空を見上げる 風に吹かれる

私を揺らすものがある。それらをそっと捕まえて 私は 詩を書いています。> [ 蒼井 夜生 公式ブログ]

「 俯き 」

2018-10-29 21:08:25 | ポエム

透きとおる黄緑色に

純白を添えて

ふわんと フリルを寄せました

恥じらいと ときめきのあまり

俯いていますが

綺麗だよって

目線を合わせてくださいますか



「 湖 」

2018-10-28 22:09:13 | ポエム


流れないと 淀みますか

流さないと 朽ちますか

微動だにしない湖に なれませんか

広い広い湖底にある

小さな 小さな穴ぼこから

ショロショロと湧き出でる

密かに 静かな息をして



冬は 薄氷に雪をのせ

春は 花弁で 着飾って

夏は 瞬く星を映し

秋は 紅葉と月あかり



怖いくらい静かで

欠伸が出るほど平らに

そんなふうに時を越えて行きたいのです

名前もなく 地図にも載らない

そんな湖に 私はなりたいのです





「 土曜日 」

2018-10-28 10:01:25 | ポエム


受付けの 番号札を持たされて

ソファーに座る土曜日は

壊れた予定が 匂ってくる

週末を 密かに夢みて 無理もした

ウィークデーに 叱られる


処方箋を 渡されて待つ 土曜日は

テレビと一緒に流れていく

馬鹿馬鹿しいほど のんびりと

足を止めずに着々と

知らないどこかへ

消えていく









「 稲刈り風景 」

2018-10-25 14:11:11 | ポエム


稲刈り途中の田んぼの横を通りました

金色の稲穂は こんにちはと頭を下げ

真っ直ぐ整列しています

順番が来たら

それでは さようならと

行儀良く 刈られていくのでしょう

四角い田んぼの 角では

稲と同じ色の作業服を着たおじいさんが

ひとりでお昼を食べていました

眼鏡をかけたおじいさんの背中は

少し丸くなっていました

上向きで 余りにも大きな口で頬張っていましたので

ほろっとほぐれて

美味しい塩加減のおむすびを食べているのかなと思いました

私も あの場所で あのおむすびを食べてみたくなりました