クラウン・ジュエル(Crown Jewel)

2005年04月16日 07時54分36秒 | ゲスト
テープ起こしの仕事をするようになって、知らない言葉が
気になるようになりました。

ライブドアが日本放送への買収を仕掛け、フジテレビの戦いが
始まったころ、この「クラウン・ジュエル(Crown Jewel)」
という未知の言葉に1日に3回出会いました。
最初はメルマガ、次に新聞、最後がニュース解説です。

クラウン「王冠」、ジュエル「宝石」
つまり「とてつもなく貴重なもの」ということ。
M&A(「Merger(合併)」と「Acquisition(買収)」の略語)
用語では、これを「敵対買収ターゲットの会社の中で、最も魅力的な
部門」を指します。今回を例にとると、ポニーキャニオンなどがこれに
当たるようです。企業グループ全体で考えれば、本当のクラウン・
ジュエルは、本丸フジテレビでしょう。

普段はあまり目にすることも、耳にすることも少ないM&A用語ですが、
ライブドア対フジテレビの構図に、日本放送、ポニーキャニオンという
身近な凡例も示されていて、とてもわかりやすいM&A用語入門講座の
ようです。興味もなく、ほとんど知らない世界が実に身近に感じられる
ようになりました。

それにしても、攻防を繰り返しつつ、徐々に追いつめられていくように
見えたフジテレビが、ソフトバンク・インベストメント(SBI)の
北尾氏の登場によって形勢逆転していく様子は、これぞM&A攻防の
縮図。

北尾氏は否定しましたが、SBIはフジテレビにとってまさに
「ホワイト・ナイト(White Knight 白馬の騎士)=敵対買収を
望まない企業が、その相手企業からの買収を阻むために、提携を
希望するより友好的な企業」。お姫様を救う白馬の騎士よろしく
フジテレビを救い出したように見えました。
劣勢なほうの動きがいつも気になるのですが、果たしてライブドア
はクラウン・ジュエルに手にすることができるでしょうか。

M&A用語、面白いです。

検索していてわかったことですが、普段なじみのない用語な
だけに、何と複数の大新聞でも誤用がありました。
「クラウン・ジュエル」を、クラウン・ジュエルを奪われない
ための対抗策の1つの意味で使われる
「スコーチド・アース・ディフェンス(Scorched-earth Defense 焦土戦術)」
と混同しています。さらに、その誤用を正しいと信じて使っている
と思われるブログ、ホームページが多数あります。

言葉を扱う仕事をしている身として、調べるときは慎重に、
最低でも2カ所以上で検索、可能なら紙媒体とネットという
ように違う媒体から確認してから使わなければと思いました。


                     テープ起こしグループ鸞 -Ran-  伊奈

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