ID物語

書きなぐりSF小説

第32話。アクロニム。24. アクロニム

2010-11-16 | Weblog
 (もちろん、かわいそうな港先生はすっ飛んで来た。こちらはID社の総務と海原所長にメールを入れる。総務からは30分後にOKの返事が来た。海原所長はどうぞご勝手に、の感じ。すでに大阪入りしている加藤氏には連絡が付いた。用件をいうと、いいっすよとのこと。何がいいのかよく分からなかったが、その後しばらく港氏と電話で相談していたから、何とかするのだろう。
 緊急に告知したいとのことで、衣裳は手許にないから、私が絵を描くことになった。小鹿氏を中心に、イチ、レイ、エレキ、マグネがポーズしている。港氏は、すぐにアイデアが湧くらしく、ちょっと人情味のある小話をすぐに作ってしまった。明日、これに動作を付けてみるとのこと。表題をつけて、ホームページに出す。臨時のメールマガジンも発行した。)

高橋。うふふ。魂が入った自動人形。江戸時代にもあったかも。

港。絡繰り人形は実在する。京都や江戸でさかんに作られたはず。ここにいるロボットと同じ、立って歩いて、仕事をしてくれる。

高橋。だから不自然に感じないのか。

港。自動人形は大衆の娯楽のために作られた。何か面白いことをしてくれるという期待が自然に湧く。人間に危害を与えるという発想が無い。

高橋。人形浄瑠璃。

港。そう。人形が演技する。その動力をゼンマイにした。

高橋。この子たちの動力はハイカラだけど。

港。燃料電池ですか。アルコールというのがいい。お酒と同じかな。

伊勢。エチルアルコールですから、物質としては全く同じ。

高橋。焼酎とかでも動くの?。

イチ。本当は燃料用アルコールがいいけど、焼酎でも動く。

高橋。おほほ、正直なこと。おいしいの?。

イチ。多分、同じ。でも、酔いません。

高橋。燃料だものね。明日は別の自動人形も来るのかしら。

奈良。はい。A31、つまり、黒猫と女性が1機ずつ、男性2機。

高橋。写真ある?。

奈良。ええと、インターネットは。

高橋。そのテレビに映せるはず。

 (A31を映す。)

高橋。こっちはお人形さんみたい。

港。今いるのは、フィギュアと呼ばれるものに近い。

高橋。A31は4機の総称なの?。

奈良。そうです。初めて製作された4機。クロ、アン、タロ、ジロ。いつもチームを組んでいるのでA31と名付けられた。自動人形、3人と1匹の意味。私と出会う、ずっと前から。

高橋。この子たちは。

奈良。寄せ集めなので、総称名はまだ。イチがF国、レイがC国、エレキがA国、マグネがB国から来た。

高橋。国際色豊か。五郎と六郎は。

奈良。この2機は他動人形と言って、他の自動人形の配下で動く。頭脳がないのです。

高橋。あら、そうなの。よく動いているのに。

奈良。普段はいいのですが、通信が途絶えると、とたんに判断ができなくなる。だから、主に留守番や輸送に使う。

高橋。じゃあ、こっちの4機か。チーム名と。

イチ。ぼくたちのチーム名を考えてくれるの?。

高橋。そうよ。余計だったかしら。

伊勢。光栄なこと。

高橋。例ならいっぱいあるわ。ビートルズとかベンチャーズとか。

港。それはロックバンドの名前です。

高橋。いいじゃない。ロックバンドで諜報部員のアニメがあったわ。

港。ジ・インポッシブルズ。アメリカの子供向けアニメですよ。日本語名、スーパースリー。

高橋。インターナショナル・レスキュー

港。それは国際救助隊。サンダーバードです。

高橋。そうだったの?。でも、こっちの方が本物っぽい。

鈴鹿。確かに、世界の名だたる大国のノウハウが詰まった救護ロボットチーム。こんな豪華な部隊、二度と組めそうにない。

高橋。じゃあ、4カ国連合救護隊。

鈴鹿。U4R。ユナイテッド・フォー・レスキュー・ロボッツ。

奈良。U4RRかな。

高橋。U4でいいわよ。決めた。言いやすいし。

レイ。決めた、って、これからそう呼ばれるの?。

高橋。そうよ。

鈴鹿。じゃあ、明後日はチームU4のお披露目公演だ。

高橋。張り切って行きましょー。

 (伊勢と顔を見合わせる。ノリノリになってくださるのはありがたいけど、大丈夫だろうか…。)

 第32話。アクロニム。終了。


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