(で、予想通りと言うか、亜有が初日から付いてきた。現地で虎之介と合流。昼食直前だ。)
芦屋。何しに来たの。
清水。訓練を見せてもらいに。
奈良。私が許可した。
芦屋。海岸近くでスーツを試す以外は、見ているだけだよ。
清水。それでいい。
(虎之介はIFFの軍事設備を感づかれるのを恐れているようだ。でも、使うのはDTMが整備した通信網など。ID社もちゃっかり使用している。IFFのはいざという場合しか使わない。
で、まずは館長に全員であいさつに行く。虎之介も亜有もいる、ということは、トラブル必至。)
奈良。はじめまして、ID社の奈良治といいます。
伊勢。同じくID社の伊勢陽子。よろしくお願いします。
館長。よくおいでなさいました。歓迎します。我が大学の学生3人の上司とか。お世話になっています。お二人の専攻は生物学、論文を拝見しました。
奈良。ありがとうございます。こちらは、社所属の芦屋虎之介です。
芦屋。よろしくお願いします。
館長。よろしく。そちらがうわさの自動人形ですか?。派手です。
奈良。今は戦闘ロボ風の外見ですが、近々、アンドロイドに改造予定です。
モ、ピ。よろしくお願いします。
館長。幸い海は穏やか。たっぷりと訓練してください。必要なものがあれば、連絡をください。すぐに検討いたします。ショーはあさってとしあさって。
奈良。そのようにお聞きしてます。午前1回と午後2回。その前の夕方に練習します。
館長。楽しみにしています。
(粗相はなかったようだ。ふつうに海岸に出かける。)
奈良。装備を付けてくれ。
(モノリスには男性、ピナクスには女性が行って着替える。私も伊勢も着替える。ご丁寧にも分子シンセサイザーを用意している。)
奈良。出発。
(モノリスとピナクスで沖に出る。といっても、海岸から20mほどのところ。砂浜の続き。重いから結構沈む。いつも使っている普通のドアは開かない。左右と天井に専用の出入り口がある。おまけに、水上にはバランスよく浮くだけで、船としての形状などほとんど考えられていないので、遅い。川渡り専用のようだ。その割には、計測器などは充実していて、外洋でも使えそう。
外部蓄電器付きのA31を先に潜らせて、危険がないかを探らせる。)
タロ(通信機)。穏やかです。普通に注意していればOKです。
伊勢。モノリスとピナクスを先に試しましょう。
(ロボ型、ウマ型、白鳥型を次々に試す。ウマ型がある程度潜って行動できるとは、あらためて見ると変な感じ。カバみたいだ。動作に異常はない。設計は念入りのようだ。最後に竜型を試す。するするとうまく泳ぐ。)
鈴鹿。分かっていてもびっくり。
芦屋。ああ、特に竜型は驚異だな。
(A31の水中推進装置や予備センサーを試す。すぐに慣れて、使いこなしている。ちょっと楽しそうだ。)
奈良。虎之介、志摩、鈴鹿。装備をチェックしてくれ。
(次々と飛びこむ。志摩と鈴鹿は久しぶりのはずだが、すぐに思い出したらしく、うまく泳いでいる。水中スクータも試した。)
奈良。志摩、鈴鹿、私と伊勢と交代してくれ。
(こちらも装備を試す。うまくできている。ちっとも寒くない。少し泳いで全員帰還する。お茶の時間にする。)
奈良。志摩、水中スクータはどうだった?。
志摩。面白かったです。機動性もあるし、計器で前方もよく分かる。安ければレジャー用に売り出せそうです。
芦屋。いまのところ、商用には向かないほど高価。慣れも必要だし。
(ピナクス車内にて。)
伊勢。ふーん、久しぶり。水中遊泳はいつやってもいいわ。
清水。寒くなかったですか?。
伊勢。スーツがよくできているから大丈夫。水は冷たい。先に清水さんに潜水を体験してもらいましょう。それから沖に出る。
清水。暗くなります。
伊勢。A31たちがいるから大丈夫。さっき試したのはそのため。志摩たちは夜の海の経験はあるはず。そうでしょ?。
鈴鹿。やらされた。怖かった。
伊勢。鈴鹿、清水さんに潜水の初歩を教えてあげて。
鈴鹿。はーい。お待たせ、亜有。
清水。よろしくお願いします。
(小一時間の講習。念のため、アンとジロが付いている。亜有は器用で、最低限必要な器具の使い方はすぐに覚えてしまった。戻ってきたので、沖に向かう。時速20kmほどか。海が荒れていたら、とても使えない。)
鈴鹿。レジャー用。
清水。それにしては装備が大げさです。第一、歩いてもあまり揺れない。不思議。
伊勢。スタビライザーがある。でないと、ロケット人間を発射しただけで船体が傾く。
清水。これだって、魚群探知機というより、海底の地形が丸分かり。高度な機械。
伊勢。あら、ID社のラインナップにあったでしょ。
清水。とてつもなく高価。もちろん、実物を見たのははじめて。
伊勢。それより、潜水初体験はどうだった?。
清水。浅瀬だと簡単。寒くなかった。よくできた装備です。海がきれいでよかった。
伊勢。レジャーの範囲なら楽しいわ。
清水。わざわざ私のために用意したのは、今後も使う、ということです。
伊勢。そうね。いつ使うかは分からないけど。私の装備も、当分役立たずかもしれない。年に数回の練習に使うだけかも。
(沖に出た。あたりは急速に暗くなってきた。水深は1000mほどもある。)
清水。ここで潜るの?。とんでもない深さ。
伊勢。志摩たちの軽い訓練と自動人形の調整。壊すと大変だから、カタログ性能の確認。
奈良。A31とモノリス、ピナクス。水中活動開始。
(自働機械が水中にはいる。クロともども、深く潜って行く。600mまでわずか5分。)
奈良。タロ、異常はないか。
タロ(通信)。異常なし。ソナーで互いを確認しています。
(伊勢が一つずつ項目をチェックして行く。)
清水。よく通信できます。びっくりするほど。
伊勢。あら、よく気付いたわ。
清水。ええっ、やっぱりしかけがある。
伊勢。そりゃそうよ。作戦時にびっくりされても困るから、先に言っておく。光ファイバーによる中継装置をすぐ近くに降ろしている。こっちのパネルに位置が表示されている。
清水。簡易環境計測器付き。水温は0℃近く。ふむ。よくファイバーが切れません。
伊勢。細くてよく切れるようにわざわざ作っている。複数台配備していて、切れたらすぐに予備を向かわせる。切れた中継装置は戻ってくる。
清水。ID社の技術。
伊勢。そう。高価だし、普通は音響だけで交信するから普及はしていない。
清水。用意周到。
伊勢。でないと、作戦できない。でも、さっきから装備に足りない点がいくつも発見された。すぐに整備しておかないと。
清水。そういう意味の訓練だったんですか。
伊勢。機械の調整のつもりだったけど、ほかにもあった。
奈良。虎之介、志摩、鈴鹿。潜ってみてくれ。
(3人が海中に入る。)
鈴鹿◎(DTM手話の通信)。肉眼では全く何も見えない。
芦屋◎。じゃあ、練習しようか。目標を投げるから、互いにキャッチしよう。
(ゴム製のロケットを投げる。すぐに止まるから、取りに行く。自動人形も加わって、試してみる。)
清水。アクロバット。
伊勢。よく訓練されている。うまいわ。
清水。映画では訓練で機械を組み立てたりしていました。
伊勢。そうね。ショーではアンドロイドにも竜型にもやらせてみる。穴開けとか溶接もしたいけど、魚のいる水族館の水槽では無理。
清水。なんとまあ、大変なこと。
伊勢。たいへんよ。水中での作業なんて。装備が発達したから鈴鹿たちでもできるけど、本来は専門家でないとできなかった。
清水。じゃあ、自動人形は大変な装置。
伊勢。ええ、そうよ。不気味なほど。
(すぐに疲れるだろうから、一時間ほどで引き上げさせた。本日はおしまい。施設に戻る。)
芦屋。何しに来たの。
清水。訓練を見せてもらいに。
奈良。私が許可した。
芦屋。海岸近くでスーツを試す以外は、見ているだけだよ。
清水。それでいい。
(虎之介はIFFの軍事設備を感づかれるのを恐れているようだ。でも、使うのはDTMが整備した通信網など。ID社もちゃっかり使用している。IFFのはいざという場合しか使わない。
で、まずは館長に全員であいさつに行く。虎之介も亜有もいる、ということは、トラブル必至。)
奈良。はじめまして、ID社の奈良治といいます。
伊勢。同じくID社の伊勢陽子。よろしくお願いします。
館長。よくおいでなさいました。歓迎します。我が大学の学生3人の上司とか。お世話になっています。お二人の専攻は生物学、論文を拝見しました。
奈良。ありがとうございます。こちらは、社所属の芦屋虎之介です。
芦屋。よろしくお願いします。
館長。よろしく。そちらがうわさの自動人形ですか?。派手です。
奈良。今は戦闘ロボ風の外見ですが、近々、アンドロイドに改造予定です。
モ、ピ。よろしくお願いします。
館長。幸い海は穏やか。たっぷりと訓練してください。必要なものがあれば、連絡をください。すぐに検討いたします。ショーはあさってとしあさって。
奈良。そのようにお聞きしてます。午前1回と午後2回。その前の夕方に練習します。
館長。楽しみにしています。
(粗相はなかったようだ。ふつうに海岸に出かける。)
奈良。装備を付けてくれ。
(モノリスには男性、ピナクスには女性が行って着替える。私も伊勢も着替える。ご丁寧にも分子シンセサイザーを用意している。)
奈良。出発。
(モノリスとピナクスで沖に出る。といっても、海岸から20mほどのところ。砂浜の続き。重いから結構沈む。いつも使っている普通のドアは開かない。左右と天井に専用の出入り口がある。おまけに、水上にはバランスよく浮くだけで、船としての形状などほとんど考えられていないので、遅い。川渡り専用のようだ。その割には、計測器などは充実していて、外洋でも使えそう。
外部蓄電器付きのA31を先に潜らせて、危険がないかを探らせる。)
タロ(通信機)。穏やかです。普通に注意していればOKです。
伊勢。モノリスとピナクスを先に試しましょう。
(ロボ型、ウマ型、白鳥型を次々に試す。ウマ型がある程度潜って行動できるとは、あらためて見ると変な感じ。カバみたいだ。動作に異常はない。設計は念入りのようだ。最後に竜型を試す。するするとうまく泳ぐ。)
鈴鹿。分かっていてもびっくり。
芦屋。ああ、特に竜型は驚異だな。
(A31の水中推進装置や予備センサーを試す。すぐに慣れて、使いこなしている。ちょっと楽しそうだ。)
奈良。虎之介、志摩、鈴鹿。装備をチェックしてくれ。
(次々と飛びこむ。志摩と鈴鹿は久しぶりのはずだが、すぐに思い出したらしく、うまく泳いでいる。水中スクータも試した。)
奈良。志摩、鈴鹿、私と伊勢と交代してくれ。
(こちらも装備を試す。うまくできている。ちっとも寒くない。少し泳いで全員帰還する。お茶の時間にする。)
奈良。志摩、水中スクータはどうだった?。
志摩。面白かったです。機動性もあるし、計器で前方もよく分かる。安ければレジャー用に売り出せそうです。
芦屋。いまのところ、商用には向かないほど高価。慣れも必要だし。
(ピナクス車内にて。)
伊勢。ふーん、久しぶり。水中遊泳はいつやってもいいわ。
清水。寒くなかったですか?。
伊勢。スーツがよくできているから大丈夫。水は冷たい。先に清水さんに潜水を体験してもらいましょう。それから沖に出る。
清水。暗くなります。
伊勢。A31たちがいるから大丈夫。さっき試したのはそのため。志摩たちは夜の海の経験はあるはず。そうでしょ?。
鈴鹿。やらされた。怖かった。
伊勢。鈴鹿、清水さんに潜水の初歩を教えてあげて。
鈴鹿。はーい。お待たせ、亜有。
清水。よろしくお願いします。
(小一時間の講習。念のため、アンとジロが付いている。亜有は器用で、最低限必要な器具の使い方はすぐに覚えてしまった。戻ってきたので、沖に向かう。時速20kmほどか。海が荒れていたら、とても使えない。)
鈴鹿。レジャー用。
清水。それにしては装備が大げさです。第一、歩いてもあまり揺れない。不思議。
伊勢。スタビライザーがある。でないと、ロケット人間を発射しただけで船体が傾く。
清水。これだって、魚群探知機というより、海底の地形が丸分かり。高度な機械。
伊勢。あら、ID社のラインナップにあったでしょ。
清水。とてつもなく高価。もちろん、実物を見たのははじめて。
伊勢。それより、潜水初体験はどうだった?。
清水。浅瀬だと簡単。寒くなかった。よくできた装備です。海がきれいでよかった。
伊勢。レジャーの範囲なら楽しいわ。
清水。わざわざ私のために用意したのは、今後も使う、ということです。
伊勢。そうね。いつ使うかは分からないけど。私の装備も、当分役立たずかもしれない。年に数回の練習に使うだけかも。
(沖に出た。あたりは急速に暗くなってきた。水深は1000mほどもある。)
清水。ここで潜るの?。とんでもない深さ。
伊勢。志摩たちの軽い訓練と自動人形の調整。壊すと大変だから、カタログ性能の確認。
奈良。A31とモノリス、ピナクス。水中活動開始。
(自働機械が水中にはいる。クロともども、深く潜って行く。600mまでわずか5分。)
奈良。タロ、異常はないか。
タロ(通信)。異常なし。ソナーで互いを確認しています。
(伊勢が一つずつ項目をチェックして行く。)
清水。よく通信できます。びっくりするほど。
伊勢。あら、よく気付いたわ。
清水。ええっ、やっぱりしかけがある。
伊勢。そりゃそうよ。作戦時にびっくりされても困るから、先に言っておく。光ファイバーによる中継装置をすぐ近くに降ろしている。こっちのパネルに位置が表示されている。
清水。簡易環境計測器付き。水温は0℃近く。ふむ。よくファイバーが切れません。
伊勢。細くてよく切れるようにわざわざ作っている。複数台配備していて、切れたらすぐに予備を向かわせる。切れた中継装置は戻ってくる。
清水。ID社の技術。
伊勢。そう。高価だし、普通は音響だけで交信するから普及はしていない。
清水。用意周到。
伊勢。でないと、作戦できない。でも、さっきから装備に足りない点がいくつも発見された。すぐに整備しておかないと。
清水。そういう意味の訓練だったんですか。
伊勢。機械の調整のつもりだったけど、ほかにもあった。
奈良。虎之介、志摩、鈴鹿。潜ってみてくれ。
(3人が海中に入る。)
鈴鹿◎(DTM手話の通信)。肉眼では全く何も見えない。
芦屋◎。じゃあ、練習しようか。目標を投げるから、互いにキャッチしよう。
(ゴム製のロケットを投げる。すぐに止まるから、取りに行く。自動人形も加わって、試してみる。)
清水。アクロバット。
伊勢。よく訓練されている。うまいわ。
清水。映画では訓練で機械を組み立てたりしていました。
伊勢。そうね。ショーではアンドロイドにも竜型にもやらせてみる。穴開けとか溶接もしたいけど、魚のいる水族館の水槽では無理。
清水。なんとまあ、大変なこと。
伊勢。たいへんよ。水中での作業なんて。装備が発達したから鈴鹿たちでもできるけど、本来は専門家でないとできなかった。
清水。じゃあ、自動人形は大変な装置。
伊勢。ええ、そうよ。不気味なほど。
(すぐに疲れるだろうから、一時間ほどで引き上げさせた。本日はおしまい。施設に戻る。)