花のある生活

花はあまり出てきませんが。

「パブロフの犬」と「アメとムチ」

2024-10-07 | 心理学
「パブロフの犬」は、条件反射といえば「パブロフの犬」というぐらい有名な心理学用語。

ロシアの生理学者イワン・パブロフが「ベルを鳴らしたら犬にエサを与える」という行動を繰り返したところ、あるときから「犬はベルを鳴らしただけでエサがもらえると思い、よだれを垂らすようになった」という実験をしたところからこの名が付いた。

パブロフの犬

パブロフの犬~条件反射の実験と人間の条件付け


「古典的条件付け」「レスポンデント条件付け」とも呼ばれていて、動物に芸を仕込むときなどに使われる手法だそうです。


「口の中に食べ物を入れると自然に唾液が出る」というように、外部からの刺激に対して無意識的に反応(反射)するのが「生理的反応」で、「食べ物を見ただけで唾液が出る」といった経験によって後天的に獲得した反応(反射)を「条件反射」と言います。

よく「梅干しを見るとツバが出てくる」というのがありますよね。


また「ストーカーの加害者」や「窃盗症」などの重度の依存症患者の治療にも、この「古典的条件付け」が使われているそうです。



次は、いわゆる「アメとムチ」と言われるもので、心理学では「オペラント条件付け」と呼ばれます。

アメリカの心理学者で行動分析学の創始者であるバラス・スキナーが「スキナー箱」を用いて研究したのが有名。

オペラント条件付け(道具的条件付け)


「オペラント行動」とは、ある環境に対して「自発的な行動」を取ること。 

「オペラント条件付け」とは、行動を起こしたことにより得られた結果(刺激)に対して、その「自発的行動の頻度」が変化する学習の仕組み。 

「自発的な行動そのもの」を、何らかの結果を得るために利用した「道具」と考えるところから「道具的条件付け」とも言われます。


実験では「スキナー箱」という実験装置を使い「レバーを押すとエサが出てくる仕掛けをした箱」に、ネズミを入れます。

たまたま、レバーを押したことで「エサが出てきた」ことに気付いたネズミが、その行動を繰り返すうち「レバーを押せばエサが出てくる」ということを経験する(オペラント行動)。

「レバーを押せば、エサが出る」ことを覚えたネズミは、「エサを求めて『自発的に』レバーを押すようになる」というもので、ネズミが「レバーを押せばエサが出てくる」ことを覚えて、「自発的に」レバーを押すようになったのは「オペラント行動」が強化されたから。


「きっかけとなる刺激」によって、オペラント行動が強化されることを「正の強化子」「負の強化子」と言います。

正の強化  良い経験をしたことで行動が増える↑

正の罰(弱化)  嫌な経験をしたことで行動が減る↓


負の強化  不快なことを取り除いたことで行動が増える↑

負の罰(弱化)  不快な思いをしたことで行動が減る↓




お手伝いをしたら、ほめられた。(正の強化

さらに、やる気がアップ!(行動が増える↑


ボール遊びをしていたら、窓を割って怒られた。(正の罰

窓にぶつけないように、気を付けて遊ぶことを覚える。(行動が減る↓


道が凍っていて滑りそう。(負の強化

タイヤも履き替えたし、ゆっくり走れば大丈夫!(行動増える↑


お菓子を食べ過ぎて太った。(負の罰

体重が増え過ぎないように食べる量を少なくしよう。(行動が減る↓


「子供のしつけ」のように、相手に「都合のよい行動」をとらせるために行なう場合もありますが、自分自身の行動のために使うこともできます。


他にも、「ハトの迷信行動」という実験があります。

1.「スキナー箱」に、空腹のハトを入れる。

2.ハトの行動とは無関係に15秒間隔で5秒間、エサを与える。

3.ハトは、エサの無い15秒間に「決まった行動」をするようになった。


この実験では8羽のハトで実験し、6羽のハトに「ぐるぐる回る」「頭を上げる」などの独自の行動がみられるようになった。

ハトは「自らの行動によってエサが与えられた」と勘違いし、エサが無い時にも「その行動」を繰り返すことで「エサが得られる」が強化された、というもの。

「直前の行動と結果の間には因果関係は存在していないが、偶然起こった強化によって条件付けが成立し維持された例」とのこと。



問題に対して「試み(行動)」と「失敗(結果)」を繰り返して解決方法を学習する「試行錯誤学習」の実験をした、ソーンダイクの「猫の問題箱」。

人間の行動は、どんなに複雑に見えても「外部からの刺激(S)」に対する「反応(R)」の連合にすぎない、とする理論を提唱した、ワトソンの「S-R理論」。

チンパンジーの実験で、試行錯誤せずに全体の状況を見通すことで瞬時に問題を解決した、ケーラーの「洞察学習」。


心理学は人間の行動を解明しようと、新たな理論を発見してきた結果なんだね。





この記事についてブログを書く
« ゲシュタルトの祈り  フレ... | トップ | 「ヤマザキマリの世界」展 »
最新の画像もっと見る