「ダブルバインド」とは「二重の」「拘束」という意味をつなげて作った言葉で、命令する側の「複数の矛盾する命令」から、命令される側が「どう行動すればいいのか」分からなくなる状態。
グレゴリー・ベイトソンが統合失調症の患者を研究している時に、ある一定の傾向があることに気づき発見された。
「ダブルバインド」 3つの掟
第1次禁止令 命令に従わないことを禁じる 「~をしてはいけない」という禁止令。 具体的に「何をしてはいけないのか」は、あいまいにしておくのが特徴。
第2次禁止令 異議申し立てを禁じる 相手が反論しようとすると「あなたのことを思って言っている」と、指示に従わないことを禁じ、さらに反論することも禁じる。
第3次禁止令 関係から逃げることを禁じる 「親子関係」「職場の上下関係」などの「固定された関係」から逃げることを禁じる。
「ダブルバインド」が発生しやすい関係性は、「親子関係」や「職場の上司・部下」「先輩・後輩」など、いわゆる「主従関係」「上下関係」に多い傾向で、当事者間には全く自覚がない場合が多い。
発生しやすい要因としては、上記の関係性の中から、意識的にも無意識的にも「相手の思考・行動をコントロールしたい」という欲求が存在するからだと思われる。
相手側が「上の人間」の言われるまま無条件に従ってしまい、「これは無理」などと自己主張できない人だと「矛盾する命令」をすべて抱え込み、達成しなければならないと思い込んでしまい、暴力や自傷行為など「精神的な問題」に発展する場合もあります。
例えば「会社の上司・部下」の関係性だと、
上司A ちょっと、こっちの仕事やってくれないか?
部下B はい、すぐ行きます!
上司A おい! 何でこっちの仕事しているんだ!
部下B え?? さっき、こっちの仕事手伝えって・・・。
上司A 言い訳するんじゃない!! 自分の仕事に戻れ!!
部下B すいません・・・。(戻る)
上司A おい、こっちの仕事やってくれって言ったのに聞いていないのか?
部下B え?? さっき自分の仕事に戻れって・・・。
上司A 言い訳はいい!! 俺の言うこと聞けないのか!!
部下B すいません!! 今やります!!
・・・という感じで、言っていることは滅茶苦茶だが「とにかく自分に従え」というメッセージを出す、みたいな感じ。
相手側も、そんなやり取りに慣らされてしまって「自分でものを考えない・判断しない」という思考回路が出来上がっている状態。
これは「上司・部下」の設定だけど「親子関係」でも同じことが言える。
親A ちょっとご飯の用意が遅くなるけど、先に掃除してしまいましょ。
子B 分かったー。(掃除始める)
親A もう〇時じゃない!! ご飯の支度が遅すぎる!! よその家では・・・(延々続く)
子B ・・・・。(遅くなってもいいから掃除するって言ったやろ)
大人でも「パワハラ的な言動」に振り回されることにストレスがたまるのですから、年齢の低い子供はさらに問題です。
・言葉に表されていない意味にばかり偏執する(妄想型)
・言葉の文字通りの意味にしか反応しなくなる(破瓜型 はかがた)
・コミニュケーションそのものから逃避する
命令する側(上の人間)の方も「相手に何を求めるか」「自分の伝えたい意図がハッキリと相手に伝わるか」を考えて話をしないと、命令される側(受け取る人間)の方も、どう行動したらいいのか分からなくなります。
自分の気分次第の言動を発して「自分の言いたいことは伝わるはず」と思うのは、独りよがりな思い込みでしかありません。
お互いに分かりやすいコミニュケーションを心掛けたいものです。
ダブルバインド
「ダブルバインド」の使い方や意味、例文や類義語を徹底解説!
疲れるコミニュケーション ダブルバインド