夏の暑さが和らぎ過ごしやすい季節。
日中は暑いけど、朝晩は肌寒さを覚えたり、
たまに吹く風には金木犀の香りが混ざり、
爽やかさや切なさを運んでくる。
夏に聞こえた蝉の声は次第に鳴りを潜め、
赤とんぼの群れや、虫の声が耳にとまるようになる。
稲は黄金に色付き、花は秋桜が揺れ、果実は栗や梨、葡萄が店頭を飾る。
台風がしばしば来ては、秋雨を永く降らすけれど
晴れた空は高く澄み渡り、夜は長くなり
月を賞でたり、読書やスポーツを勤しんだりする。
朝晩と肌寒さが段々と募り、
昼夜の温度差が大きくなれば
野の草には露が置き、木々は紅葉してくる。
色付いた葉が散り始めたら、
僕達はそれを羽織るように重ね着し、
押入れからストーブを出したら、
秋も終わりを知る。
そんな短い秋の季節、「食欲の秋」「スポーツの秋」「読書の秋」「芸術の秋」といった、
様々な言葉がありますが、
僕はというと肌寒くなった仕事帰り、
赤提灯の灯りに誘われて
お酒を熱めの燗にして
炙ったイカと通り過ぎる想い出を噛み締める、
それが僕なりの秋。
「八代亜紀」
涙がポロリとこぼれたら歌いだすのさ。
取り壊しが決まっている僕の部屋
ここで過ごす最後の秋。
丹澤
東京 中野 花屋 GreenCoast