GreenCoast

自然と共に歩む日記

a rose by any other name would smell as sweet

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2016-06-08 21:59:42 | Weblog

季節は初夏を感じさせ、

爽やかな風が新緑の香りを運んでくる。

それでも気分は、なんだか冴えない。

バラに手をやればトゲが指に突き刺さり、

花の足が速くなる季節。

枯れ行きそうなそのバラをいつかの彼に准える。

それは昨年の12月に入ったばかりの頃。

突然の一本の電話から、

あまり記憶にないんだ。

だから思い出したことを記しておこう。

僕がそこに着いた頃には、

彼女たちは泣いていて「頑張るんだよ。」と言っては、

放り出された手を強く握りただただ泣いていた。

そんな光景を目の当たりにし、

僕は呆然と立ち尽くしていた。

そんな間もない間に、

彼は扉の向こうへと移された。

僕はふとその場から離れ、

酒をただただ煽って時間が経つのを待っていた。

そんな僕を見て彼女たちは軽蔑していた。

ただまた順番を無視し欠けそうなピースに

悲しみや何か分からない怒りのような思いを

何処へ向けていいのか分からなかった。

そうしてるうちに角ビンは空になって、

一人酔っ払ってただただ泣いた。

そして泣き疲れ、目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

それから数ヶ月が過ぎ、

緊張しながらその扉を開くと

彼は僕に気付き近づいて来た。

体中には鈴が沢山付いていて、

歩く度にその鈴音が奏でる。

生々しい頭の傷跡は、見るに耐えないが

生きてくれて本当に良かったと心から思う。

失った記憶は、また新しい記憶を

皆で作っていけばいい。そう強く思った。

そして彼は、僕の肩を抱き寄せ、こう言った。

「調子はどうだい?」

それはこっちのセリフだよ。

「分かるけ?俺だよ、栄志だよ。」

 

 

 

 

 

                                 東京 中野 花屋 GREENCOAST  丹澤


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