GreenCoast

自然と共に歩む日記

a rose by any other name would smell as sweet

七夕の夜の出来事

2013-07-11 16:36:02 | Weblog

七夕に願いを

七夕にはどんな願いをかけますか?の問いに

僕は欲がないので願いはありません。と答えた。

あえて願うのならば彦星と織姫が無事に会えることを願います。

とそんなロマンチックなやり取りをお客様とした。

そんな七夕の夜の出来事

僕は配達に出ていた

その日も気温は35℃を超える真夏日で

夕立が来てからは更に湿度が増し

むせ返るような夜だった

七月七日七夕

こんな暑くて「7」が揃う日は

パチンコ屋にでも行って

ボケっとパチンコでも打ちながら涼んでたいやって

僕は配達中の車内で

冒頭のロマンチックな願いとは遠くかけ離れた

不埒なことを考えながら目的地に向かっていた。

暑くてボーっとしてたのか

本当にそんな妄想の世界にいたのか・・・

気が付いたら自分が何処にいるのか

分からなくなっていた。

普段、迷うこともない場所に

ましては初めてではない配達先に迷ったのだ

慌てて現在地を確かめようと車を停めて降り

ここは何処だと人に聞こうにも

熱帯夜の住宅街は20時前だというのに

人通りもなく静まり帰っていた。

たまに通るのはわりと飛ばしてる車くらいだ。

なので近くの公園の地図を見て

ようやく地理を把握し仕切り直し

更に持っていた交通地図を車内で見ていると

運転席の窓をコンコンとノックされた

僕はびっくりして窓に目をやると

背中は丸まった老婆が今にも倒れそうに

血相悪く手押しカートに

寄りかかるようにして立っていた

僕は慌てて窓を開け

どうしたの?と聞くと

老婆はここが何処なのか分からないと言う。

実は僕もなんだよね。と僕は言って笑ったけど

老婆はそれどころではない様子だった。

老婆は手押しカートがないと一人で歩くのも大変な様子で

そんな老婆がこんな暑い静かで暗い住宅街を

方向も分からず迷ってたことを理解した僕は

老婆の家の住所や何かの手がかりを聞き出そうと話していると

住宅街の一方通行

知る人ぞ知る抜け道なのか

飛ばしてる車がたまに走り抜けていく。

車の運転席の外側に老婆が立って話しているものだから

そこを通る車は決まってクラクションを鳴らす。

それに僕は憤りを感じながら、ゆっくり話もできないと

とりあえず多少クーラーの効いた車内に老婆を乗せ、

話を聞いていくと老婆は一時間くらい迷ってたらしく

この暑さで水分も摂らずに息も上がって

とにかくどうしようもない程に不安そうだった。

僕もいよいよと配達までの時間が押し迫っていたのを思い出し、

とりあえずその老婆に状況を話し

まずは一緒にお花を配達に行って

それから送ってあげるよ。と車を走らせた。

そんな車内での老婆はずっと謝っては

お金も持っていないとずっと言っていた。

なんでお金が必要なの?

大丈夫よ、安心して。

お金なんていらないから。と

僕もずっと言い返し、とりあえずさ、

僕はお花の配達の仕事を済ませて

お婆ちゃんは早くお家へ帰ろ。

と言い聞かせ、ただ車を走らせた。

それから5分程でお花を無事に届けることが出来、

またそれから20分程でお婆ちゃん家に近付いた。

近づくに連れお婆ちゃんから見る車外の風景は、

見慣れた町の風景で安心したのか

活き活きと、この次を曲がってとその次を曲がってと、

しっかりと説明してくれた。

そのしっかりした説明の中に

お婆ちゃんの安心が十分に伝わってきた。

また、か細いしわくちゃの手で拍手のような

手を合わせるような仕草で喜んでいた。

自宅前に着き、最後に助手席から抱え降ろして

やっと着いたね、お婆ちゃん。と言ったら

なんとも言えない笑顔をくれた。

今度は迷わないようにね。と

そそくさと車に乗り込み、お婆ちゃんを見ると手を振っていた。

僕もバイバイって言って手を振り返した。

帰りの道は不埒なことも考えずに

迷い人二人が偶然同じ場所で迷ってて

初対面の二人が同じ車に乗って

お花配達して家を探してって何だか不思議な配達だったなと振り返った。

そこで思い出した七夕のロマンチックな願い事。

そうか、そういうことなんだね。

迷子の織姫、天の川に無事に送り届けることが出来ました。

って微笑ましくもあり、すごく満たされた七夕の夜になった。

 

<追記>

そんな星の下に僕は産まれたんだろうか。

僕には、こういうことがよく起こる。

偶然ってないと思っていて物事のすべては必然だと思っている。

それだからか僕はわりと運命的なものに繋げたがる。

 

                                                                  丹澤

                                               東京 中野 花屋 グリーンコースト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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