「10 消化器系」 の練習問題と解答・解説です.
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10 消化器系 29問 問題
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1 食道と胃に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 食道は, 咽頭につづいて胃の幽門に至る臓器である.
(2) 食道の上皮は, 重層扁平上皮である.
(3) 胃の壁は二層の筋層から成っており, 内容物の攪拌と輸送に役立っている.
(4) 幽門部は, 胃底部よりも食道側にある.
(5) 胃壁の構造を管腔側からみると, 粘膜下層は固有筋層の外側にある.
2 胃に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胃の外縦走筋は, 横紋筋である.
(2) 胃運動は, 迷走神経によって促進される.
(3) 胃の主細胞から, 塩酸が分泌される.
(4) 胃の壁細胞から, ペプシノーゲンが分泌される.
(5) 胃の副細胞から, 内因子が分泌される.
3 小腸に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 十二指腸には, 肝臓からの胆管と膵臓からの膵管が別々に開口している.
(2) 消化腺からの消化液の分泌は, 主として中枢神経を介して産生された消化管ホルモンの作用によるものである.
(3) 消化管の粘膜下組織にアウエルバッハ神経叢があり, 筋層の外側にはマイスネル神経叢が存在している.
(4) 小腸粘膜には多数の絨毛があり, さらに1つの細胞に多数の微絨毛が存在している.
(5) 小腸壁に広く存在する腸腺は消化酵素を生成し, 腸液とともに分泌して小腸での消化を進める.
4 肝臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝臓は, 横隔膜直下の左上腹部にある.
(2) 肝臓の右葉は, 左葉より小さい.
(3) 肝細胞に酸素を送っているのは, 固有肝動脈である.
(4) 門脈は, 小腸で吸収したトリアシルグリセロールを直接肝臓に送っている.
(5) 門脈と肝動脈は肝門部で合流し, 肝小葉に流入する.
5 肝臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝小葉の中心に中心静脈があり, 合流を重ねて肝静脈となり, 肝門部から下大静脈に注ぐ.
(2) 肝細胞に囲まれた毛細血管壁にはパイエル板が存在し, 異物処理を行っている.
(3) 肝細胞は, 有毒物などを抱合・無毒化して胆汁中に排泄している.
(4) 肝臓は, 血液凝固因子を生成する.
(5) 肝臓は, 血液凝固抑制因子を生成しない.
6 肝臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) フィブリノーゲン, エリスロポエチン, γ-グロブリンなどのたんぱく質は, 主として肝細胞で生成される.
(2) プロトロンビン, アルブミン, ビタミンA結合たんぱく質は, 肝細胞で生成される.
(3) 肝細胞は, ビリルビンからウロビリノーゲンを生成している.
(4) ウロビリノーゲンは, 吸収後ほとんどが尿中に排泄される.
(5) 肝臓は, 抗貧血因子を生成する
7 肝臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝臓は, 血液量や血圧の調節, 鉄の貯蔵などを行っている.
(2) 肝細胞は脂肪酸, ケトン体, 尿素, 女性ホルモンなどを分解する.
(3) 肝臓で生成されたグリコーゲンは, 筋肉に供給されている.
(4) 肝臓から分泌される胆汁の脂質成分では, トリアシルグリセロールが最も多い.
(5) 胆汁は, リパーゼを含んでいる.
8 膵臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 膵臓は, 後腹壁に密着している.
(2) 膵管は, 回腸に開口している.
(3) 膵臓は, 大量の水を腸に分泌する.
(4) 膵臓は, アルカリ性の膵液および消化酵素を腸に内分泌する.
(5) 膵臓は, インスリンやアドレナリンを血中に内分泌する.
9 咀嚼と嚥下に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 口峡は, 歯列よりも口唇側の領域である.
(2) 喉頭は鼻腔と上咽頭の間に存在し, 声帯をもつ.
(3) 喉頭蓋は, 嚥下時に気管を閉鎖する.
(4) 耳下腺は, 咽頭に開口する.
(5) 舌の動きには三叉神経が関与し, 咀嚼の下顎運動には舌下神経が関与する.
10 咀嚼と嚥下に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 側頭筋は, 咀囎筋の1つである.
(2) 口を閉じる動作には, 滑車神経が関与する.
(3) 舌咽神経は, 舌の運動を支配する.
(4) 嚥下運動には, 喉頭期がある.
(5) 肺炎の原因に, 睡眠中に無意識に唾液が気道に入るなどの不顕性誤嚥がある.
11 消化管ホルモンに関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ガストリンは, 胃腺の壁細胞から分泌される物質である.
(2) ガストリンは, 胃酸分泌を促進する.
(3) セクレチンは, 胃腺の壁細胞から分泌される物質である.
(4) セクレチンは, 胃酸分泌を促進する.
(5) セクレチンは, 脂肪の分解を促進する.
12 消化管ホルモンに関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) コレシストキニンは, 小腸の内分泌細胞 (I細胞) から分泌される物質である.
(2) コレシストキニンは, 胃を収縮させる.
(3) コレシストキニンは, 主として膵液中の炭酸水素イオンの分泌を促進する.
(4) グルカゴン様ペプチド (GLP-1) は, 胃内容物の排出速度を速くする.
(5) インクレチンは, インスリン分泌を抑制する.
13 消化酵素に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) アセチルコリンやガストリンは, ペプシノーゲンの分泌を抑制する.
(2) ペプシノーゲンは, エンテロキナーゼで活性型のペプシンとなる.
(3) 膵液の液性成分は, ランゲルハンス島からホルモンと一緒に分泌されている.
(4) エンテロキナーゼは, DNAをヌクレオチドに分解する.
(5) キモトリプシノーゲンは, トリプシンにより加水分解されて活性型のキモトリプシンとなる.
14 管腔内消化と膜消化に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) トリアシルグリセロールは, 小腸において膵液由来のトリプシンやキモトリプシンにより脂肪酸とグリセロールに分解される.
(2) 中性脂肪は 2-モノアシルグリセロールと脂肪酸に分解された後, 能動輸送で吸収される.
(3) 小腸においては, 膜消化によりグルコースよりもスクロースの方が速やかに吸収される.
(4) ラクターゼは, 乳糖をガラクトースとグルコースに分解する.
(5) アミノペプチダーゼは, たんぱく質をポリペプチドに分解する.
15 吸収に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 担体とエネルギーを使い, 濃度勾配に逆らって物質が移動することを, 促進拡散という.
(2) ビタミンB12は, 回腸下部で吸収される.
(3) カルシウムの摂取量が多いときには, カルシウムの吸収は能動輸送によって行われる.
(4) 鉄の吸収では, 飲食物中の鉄がビタミンCなどによって可溶化し, 3価鉄イオンとなる.
(5) 鉄の吸収では, 飲食物中の3価鉄イオンが胃酸によって2価鉄イオンとなって吸収される.
16 誤嚥に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 誤嚥の検査には, DEXA法を用いる.
(2) 高齢者には, 不顕性誤嚥がみられる.
(3) 嚥下物の喉頭侵入では, 異常音 (ゴロゴロ音) が聴こえる.
(4) 経鼻胃管挿入状態は, 誤嚥性肺炎のリスクになる.
(5) 誤嚥性肺炎の防止には, 口腔ケアが有用である.
17 食道疾患に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胃食道逆流症の成因には, 食道裂孔ヘルニアがある.
(2) 胃酸分泌の消失は, 胃食道逆流症の原因となる.
(3) 胃食道逆流症の症候に, 黄疸がある.
(4) 食道静脈瘤の成因には, 門脈圧低下がある.
(5) 食道アカラシアでは, 噴門部が収縮しないために嚥下障害がみられる.
18 胃・十二指腸潰瘍に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 我が国では, 胃潰瘍より十二指腸潰瘍が多い.
(2) 胃・十二指腸潰瘍の合併症として, 出血, 穿孔, 幽門狭窄がある.
(3) 十二指腸潰瘍では, 食後に心窩部痛を示す.
(4) プロスタグランジンは, 胃・十二指腸潰瘍における攻撃因子である.
(5) 消化性潰瘍では, 胃酸分泌は低下している.
19 胃切除に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胃全摘手術後に, 食道アカラシアが起こる.
(2) ビルロートⅠ法 (BillrothⅠ法) による胃切除後に, 輸入脚症候群が起こる.
(3) 胃全摘手術後の吸収障害により, 再生不良性貧血が起こる.
(4) 胃全摘手術後の内因子欠乏により, 骨粗鬆症を引き起こす.
(5) 胃切除後の一過性の低血糖により, 後期ダンピング症候群が起こる.
20 たんぱく漏出性胃腸症に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 炎症性腸疾患は, たんぱく漏出性胃腸症の原因疾患となる.
(2) たんぱく漏出性胃腸症では, アルブミン/グロブリン比 (A/G比) は上昇する.
(3) たんぱく漏出性胃腸症では, アルブミン合成が低下する.
(4) たんぱく漏出性胃腸症では, 腸管浮腫をきたす.
(5) たんぱく漏出性胃腸症では, 血中カルシウム値が上昇する.
21 クローン病と潰瘍性大腸炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) クローン病の好発年代は, 30歳代である.
(2) クローン病は, 腹痛, 発熱, 体重減少を主症状とする.
(3) クローン病の治療では, 外科的治療が主体である.
(4) 潰瘍性大腸炎では, 非連続性の病変がみられる.
(5) 過敏性腸症候群では, 腸粘膜のびらんと下血がみられる.
22 肝臓疾患に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 我が国では, 慢性肝炎の 30% はA型肝炎ウイルスの感染による.
(2) 肝硬変の成因は, B型肝炎によるものが最も多い.
(3) 肝硬変では, 門脈圧が低下する.
(4) 肝硬変では, 耐糖能異常が出現する.
(5) 肝硬変では, 低インスリン血症を示す.
23 肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変では, 血小板が増加する.
(2) 肝硬変では, コリンエステラーゼ値が上昇し, γ-グロブリン濃度が低下する.
(3) 肝硬変の症候に, 手掌紅斑がある.
(4) 肝硬変では, 男性化する.
(5) 肝硬変では, フィッシャー比が上昇する.
24 肝疾患に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 非代償性肝硬変患者では, 血漿チロシン値が低下する.
(2) 非代償性肝硬変患者では, 血清ビリルビン値が低下する.
(3) 非代償期肝硬変患者では, プロトロンビン時間 (PT) が延長する.
(4) 非代償期肝硬変患者では, 血清乳酸脱水素酵素 (LDまたはLDH) が低値となる.
(5) 肝不全では, 意識障害などの肝性脳症が見られる.
25 脂肪肝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 脂肪肝は, 肝細胞中にリン脂質が過剰に蓄積した状態をいう.
(2) 脂肪肝は, マラスムス型栄養失調で認められる.
(3) アルコールの多飲は, 脂肪肝の原因とならない.
(4) たんぱく質の摂取不足は, 脂肪肝の原因となる.
(5) 食物繊維の過剰摂取は, 脂肪肝の原因となる.
26 脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 脂肪の過剰摂取は, 脂肪肝の原因とはならない.
(2) テトラサイクリン中毒は, 脂肪肝の原因となる.
(3) 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の症候に, チアノーゼがある.
(4) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は, 肝硬変に移行しない.
(5) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, インスリン抵抗性はみられない.
27 胆嚢と膵臓の疾患に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 胆石症は, 女性より男性に多くみられる疾患である.
(2) 急性胆嚢炎の病因は, アルコールの過飲が最も多い.
(3) 急性膵炎の原因に, 高キロミクロン血症がある.
(4) 慢性膵炎 (非代償期) の症候に, 体重増加がある.
(5) 膵頭部がんは, 閉塞性黄疸をきたしやすい.
28 消化器系の悪性腫瘍に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 食道がんは, 腺がんが最も多い.
(2) 胃粘膜下層までのがんを, 早期胃がんという.
(3) ヘリコバクター・ピロリは, 膵臓がんの原因となる.
(4) 早期胃がんの肉眼分類には, ボルマン (Borrmann) 分類がある.
(5) 胃がんは, 腹膜播種をきたさない.
29 消化器系の悪性腫瘍に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胃がんは, 大部分が扁平上皮がんである.
(2) 肝がんでは, 原発性でも転移性でも, 血中アルファフェトプロテイン (胎児性たんぱく, AFP) 値が上昇する.
(3) 原発性肝癌では, 肝細胞癌でも胆管細胞癌でもα-フェトプロテインが血中に高率にあらわれる.
(4) 家族性大腸腺腫症 (家族性大腸ポリポーシス) は, 大腸がんの頻度が高い.
(5) 大腸がんと食事との関連は, 明らかではない.
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10 消化器系 29問 解答と解説
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1=(2)
(1) 誤 食道は, 咽頭につづいて胃の噴門に至る臓器である.
(2) 正 食道の上皮は, 重層扁平上皮である.
(3) 誤 胃の壁は三層の筋層から成っており, 内容物の攪拌と輸送に役立っている.
(4) 誤 幽門部は, 胃底部よりも十二指腸側にある.
(5) 誤 胃壁の構造を管腔側からみると, 粘膜下層は固有筋層の内側にある.
2=(2)
(1) 誤 胃の外縦走筋は, 平滑筋である.
(2) 正 胃運動は, 迷走神経によって促進される.
(3) 誤 胃の主細胞から, ペプシノーゲンが分泌される.
(4) 誤 胃の壁細胞から, 塩酸と内因子が分泌される.
(5) 誤 胃の副細胞から, アルカリ性の粘液が分泌される.
3=(4)
(1) 誤 十二指腸には, 肝臓からの胆管と膵臓からの膵管が合流して1つとなって開口している.
(2) 誤 消化腺からの消化液の分泌は, 自律神経や消化管ホルモンを介する複雑な機構によるものである.
(3) 誤 消化管の粘膜下組織にマイスネル神経叢があり, 筋層の外側にはアウエルバッハ神経叢が存在している.
(4) 正 小腸粘膜には多数の絨毛があり, さらに1つの細胞に多数の微絨毛が存在している.
(5) 誤 小腸壁に広く存在する腸腺から分泌される腸液には, 消化酵素は含まれていない.
4=(3)
(1) 誤 肝臓は横隔膜直下の右上腹部のほとんどを占め, 一部左上腹部にも及ぶ.
(2) 誤 肝臓の右葉は, 左葉より大きい.
(3) 正 固有肝動脈は, 肝細胞に酸素を送っている.
(4) 誤 門脈は, 小腸で吸収した水溶性栄養素を直接肝臓に送っている.
(5) 誤 門脈と肝動脈は肝小葉の外 (類洞入口付近) で合流し, 肝小葉に流入する.
5=(3)かつ(4)
(1) 誤 肝小葉の中心に中心静脈があり, 合流を重ねて肝静脈となり, 肝門後方から下大静脈に注ぐ.
(2) 誤 肝細胞に囲まれた毛細血管壁にはクッペル星細胞が存在し, 異物処理を行っている.
(3) 正 肝細胞は, 有毒物などをタウリンと抱合させ, 無毒化して胆汁中に排泄している.
(4) 正 肝臓は, プロトロンビンやフィブリノーゲンなどの血液凝固因子を生成する.
(5) 誤 肝臓は, ヘパリンなどの血液凝固抑制因子を生成する.
6=(2)かつ(4)
(1) 誤 フィブリノーゲンは肝臓で, エリスロポエチンは腎臓で, γ-グロブリンは形質細胞で生成される.
(2) 正 プロトロンビン, アルブミン, ビタミンA結合たんぱく質は, 肝細胞で生成される.
(3) 誤 腸内細菌は, ビリルビンからウロビリノーゲンを生成している.
(4) 正 ウロビリノーゲンは, 吸収後ほとんどが尿中に排泄される.
(5) 誤 肝臓は, 抗貧血因子 (葉酸やビタミンB12) は生成しない.
7=(1)
(1) 正 肝臓は, 血液量や血圧の調節, 鉄の貯蔵などを行っている.
(2) 誤 肝細胞は脂肪酸, 女性ホルモンなどを分解し, 尿素を合成するが, ケトン体を分解することができない.
(3) 誤 肝臓で合成されたグリコーゲンは肝臓に蓄えられ, 血糖として血中に放出される.
(4) 誤 肝臓から分泌される胆汁の脂質成分では胆汁酸塩が最も多く, 次いでリン脂質, コレステロール, 胆汁色素などが存在している.
(5) 誤 胆汁は, 消化酵素を含んでいない.
8=(1)かつ(3)
(1) 正 膵臓は, 後腹壁に密着している.
(2) 誤 膵管は, 十二指腸に開口している.
(3) 正 膵臓は, 胃から十二指腸に移行した内容物の酸を希釈するため, 大量の水を腸に分泌する.
(4) 誤 膵臓は, アルカリ性の膵液および消化酵素を腸に外分泌する.
(5) 誤 膵臓は, インスリンやグルカゴンを血中に内分泌する.
9=(3)
(1) 誤 口峡は, 歯列よりも咽頭側の領域である.
(2) 誤 喉頭は咽頭と気管の間に存在し, 声帯をもつ.
(3) 正 喉頭蓋は, 嚥下時に気管を閉鎖する.
(4) 誤 耳下腺は, 上顎第2大臼歯の口唇側に開口する.
(5) 誤 舌の動きには舌下神経が関与し, 咀嚼の下顎運動には三叉神経が関与する.
10=(1)かつ(5)
(1) 正 側頭筋は, 咀囎筋の1つである.
(2) 誤 口を閉じる動作には, 顔面神経が関与する.
(3) 誤 舌咽神経は, 舌後 1/3 の味覚や嚥下運動を支配する.
(4) 誤 嚥下運動は, 先行期→準備期 (咀嚼期)→口腔期→咽頭期→食道期の順に進行する.
(5) 正 肺炎の原因に, 睡眠中に無意識に唾液が気道に入るなどの不顕性誤嚥がある.
11=(2)
(1) 誤 ガストリンは, 胃の内分泌細胞 (G細胞) から分泌される物質である.
(2) 正 ガストリンは, 胃酸分泌を促進する.
(3) 誤 セクレチンは, 小腸の内分泌細胞 (S細胞) から分泌される物質である.
(4) 誤 セクレチンは, 胃酸分泌を抑制する.
(5) 誤 セクレチンは, 膵臓からの炭酸水素イオンの分泌を促進する.
12=(1)
(1) 正 コレシストキニンは, 小腸の内分泌細胞 (I細胞) から分泌される物質である.
(2) 誤 コレシストキニンは, 胆嚢を収縮させる.
(3) 誤 コレシストキニンは, 主として膵液中の消化酵素の分泌を促進する.
(4) 誤 グルカゴン様ペプチド (GLP-1) は, 胃内容物の排出速度を遅くする.
(5) 誤 インクレチンは, インスリン分泌を促進する.
13=(5)
(1) 誤 アセチルコリンやガストリンは, ペプシノーゲンの分泌を促進する.
(2) 誤 ペプシノーゲンは, 胃酸で活性型のペプシンとなる.
(3) 誤 膵液の液性成分は十二指腸に分泌され, ホルモンはランゲルハンス島から血中に分泌される.
(4) 誤 エンテロキナーゼは, トリプシノーゲンを加水分解してトリプシンにする.
(5) 正 キモトリプシノーゲンは, トリプシンにより加水分解されて活性型のキモトリプシンとなる.
14=(4)
(1) 誤 たんぱく質は, 小腸において膵液由来のトリプシンやキモトリプシンによりポリペプチドに分解される.
(2) 誤 中性脂肪は 2-モノアシルグリセロールと脂肪酸に分解された後, 混合ミセルを形成して単純拡散で吸収される.
(3) 誤 小腸においては, スクロースは吸収されない.
(4) 正 ラクターゼは, 乳糖をガラクトースとグルコースに分解する.
(5) 誤 アミノペプチダーゼは, ペプチド鎖のN末端から順次アミノ酸を遊離させる.
15=(2)
(1) 誤 担体とエネルギーを使い, 濃度勾配に逆らって物質が移動することを, 能動輸送という.
(2) 正 ビタミンB12は, 回腸下部で吸収される.
(3) 誤 カルシウムの摂取量が多いときには, カルシウムの吸収は単純拡散によって行われる.
(4) 誤 鉄の吸収では, 飲食物中の鉄が胃酸によって可溶化し, 3価鉄イオンとなる.
(5) 誤 鉄の吸収では, 飲食物中の3価鉄イオンがビタミンCなどによって2価鉄イオンとなって吸収される.
16=(1)
(1) 誤 誤嚥の検査には, 嚥下内視鏡検査などを用いる.
(2) 正 高齢者には, 不顕性誤嚥がみられる.
(3) 正 嚥下物の喉頭侵入では, 異常音 (ゴロゴロ音) が聴こえる.
(4) 正 経鼻胃管挿入状態は, 誤嚥性肺炎のリスクになる.
(5) 正 誤嚥性肺炎の防止には, 口腔ケアが有用である.
17=(1)
(1) 正 胃食道逆流症の成因には, 食道裂孔ヘルニアがある.
(2) 誤 胃酸分泌の亢進は, 胃食道逆流症の原因となる.
(3) 誤 胃食道逆流症の症候に, 胸やけや胸痛がある.
(4) 誤 食道静脈瘤の成因には, 門脈圧亢進がある.
(5) 誤 食道アカラシアでは, 噴門部が弛緩しないために嚥下障害がみられる.
18=(2)
(1) 誤 我が国では, 胃潰瘍より十二指腸潰瘍が少ない.
(2) 正 胃・十二指腸潰瘍の合併症として, 出血, 穿孔, 幽門狭窄がある.
(3) 誤 十二指腸潰瘍では, 空腹時に上腹部痛を来すことが多い.
(4) 誤 プロスタグランジンは, 胃・十二指腸潰瘍における防護因子である.
(5) 誤 消化性潰瘍では, ペプシンによる自己消化で潰瘍を生じる.
19=(5)
(1) 誤 胃全摘手術後の下部食道括約機構の障害や胆汁の逆流により, 逆流性食道炎が起こる.
(2) 誤 ビルロートⅡ法による胃切除後に, 輸入脚症候群が起こる.
(3) 誤 胃全摘手術後の吸収障害により, 鉄欠乏性貧血, 骨粗鬆症, 骨軟化症などが起こる.
(4) 誤 胃切除後のキャッスル内因子 (Castle 内因子) の欠如により, 巨赤芽球性貧血 (悪性貧血), 神経障害, ハンター舌炎などが起こる.
(5) 正 胃切除後の一過性の低血糖により, 後期ダンピング症候群が起こる.
20=(1)かつ(4)
(1) 正 炎症性腸疾患は, たんぱく漏出性胃腸症の原因疾患となる.
(2) 誤 たんぱく漏出性胃腸症では, アルブミン/グロブリン比 (A/G比) は低下し, 低アルブミン血症となる.
(3) 誤 たんぱく漏出性胃腸症では, 消化管粘膜からのアルブミンの喪失を補おうとしてアルブミン合成が亢進する.
(4) 正 たんぱく漏出性胃腸症では, 腸管浮腫をきたす.
(5) 誤 血中カルシウムはアルブミンと結合しているため, たんぱく漏出性胃腸症では血中カルシウム値が低下する.
21=(2)
(1) 誤 クローン病の好発年代は, 一般に10歳代後半から20歳代である.
(2) 正 クローン病は腸管の炎症性疾患であり, 腹痛, 発熱, 体重減少を主症状とする.
(3) 誤 クローン病の治療では, 食事療法と薬物療法が主体である.
(4) 誤 潰瘍性大腸炎では, 連続性の病変がみられる.
(5) 誤 過敏性腸症候群では, 便通異常, 腹痛, 腹部膨満感など慢性の腹部症状がみられるが, 下血はみられない.
22=(4)
(1) 誤 我が国では, 慢性肝炎の 30% はB型肝炎ウイルスの感染による.
(2) 誤 肝硬変の成因は, C型肝炎によるものが最も多い.
(3) 誤 肝硬変による門脈圧亢進症では, 側副循環のため食道静脈瘤などが生じる.
(4) 正 肝硬変では, 耐糖能異常が出現する.
(5) 誤 肝硬変では, 高インスリン血症を示す.
23=(3)
(1) 誤 肝硬変では, 血小板が減少する.
(2) 誤 肝硬変では, 肝臓で合成されるコリンエステラーゼの値が低下し, γ-グロブリン濃度 (免疫グロブリン濃度) が上昇する.
(3) 正 肝硬変の症候に, 手掌紅斑がある.
(4) 誤 肝硬変では, 高エストロゲン血症により女性化がみられる.
(5) 誤 肝硬変では, 肝で芳香族アミノ酸が代謝されず, 筋で分岐鎖アミノ酸が代謝されるためフィッシャー比が低下する.
24=(3)かつ(5)
(1) 誤 非代償性肝硬変患者では, 芳香族アミノ酸が代謝されないため血漿チロシン値が上昇する.
(2) 誤 非代償性肝硬変患者では, 十二指腸への排泄が困難となるため血清ビリルビン値が上昇する.
(3) 正 非代償期肝硬変患者では, プロトロンビン時間 (PT) が延長する.
(4) 誤 非代償期肝硬変患者では, 血清乳酸脱水素酵素 (LDまたはLDH) が高値となる.
(5) 正 肝不全では, 意識障害などの肝性脳症が見られる.
25=(4)
(1) 誤 脂肪肝は, 肝細胞中に中性脂肪が過剰に蓄積した状態をいう.
(2) 誤 脂肪肝は, クワシオルコル型栄養失調で認められる.
(3) 誤 アルコールの多飲は, 脂肪肝の重要な原因である.
(4) 正 たんぱく質の摂取不足は, 脂肪肝の原因となる.
(5) 誤 食物繊維の過剰摂取は, 脂肪肝の原因とはならない.
26=(2)
(1) 誤 脂肪の過剰摂取は, 脂肪肝の原因となる.
(2) 正 テトラサイクリン中毒は, 脂肪肝の原因となる.
(3) 誤 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) のほとんどは, 無症候性である.
(4) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は, 肝硬変に移行する例が多い.
(5) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, インスリン抵抗性がみられる.
27=(3)かつ(5)
(1) 誤 胆石症は, 男性より女性に多くみられる疾患 (男女比=約 1:2) である.
(2) 誤 急性胆嚢炎の病因は, 胆嚢のカタル性炎症・化膿性炎症からの細菌感染が最も多い.
(3) 正 急性膵炎の原因に, 高キロミクロン血症がある.
(4) 誤 慢性膵炎 (非代償期) の症候に, 体重減少がある.
(5) 正 膵頭部がんは, 閉塞性黄疸をきたしやすい.
28=(2)
(1) 誤 食道がんは男性に多く, 扁平上皮がんが最も多い.
(2) 正 胃粘膜下層までのがんを, 早期胃がんという.
(3) 誤 ヘリコバクター・ピロリは, 胃がんの原因となる.
(4) 誤 進行胃がんの肉眼分類には, ボルマン (Borrmann) 分類がある.
(5) 誤 胃がんは, 腹膜播種をきたすことがある.
29=(4)
(1) 誤 胃がんは大部分が腺がんで, 食塩の摂取量との関連も注目されている.
(2) 誤 原発性の肝がんでは, 血中アルファフェトプロテイン (胎児性たんぱく, AFP) 値が上昇する.
(3) 誤 肝細胞癌ではα-フェトプロテインが血中に高率にあらわれるが, 胆管細胞癌からはα-フェトプロテイン産生されない.
(4) 正 家族性大腸腺腫症 (家族性大腸ポリポーシス) は, 大腸がんの頻度が高い.
(5) 誤 大腸がんは大部分が腺がんで, 食事 (高脂肪, 高たんぱくなど) との関連が考えられている.
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次回は, 「11 循環器系」 の穴埋め問題と正文集です.
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10 消化器系 29問 問題
''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''
1 食道と胃に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 食道は, 咽頭につづいて胃の幽門に至る臓器である.
(2) 食道の上皮は, 重層扁平上皮である.
(3) 胃の壁は二層の筋層から成っており, 内容物の攪拌と輸送に役立っている.
(4) 幽門部は, 胃底部よりも食道側にある.
(5) 胃壁の構造を管腔側からみると, 粘膜下層は固有筋層の外側にある.
2 胃に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胃の外縦走筋は, 横紋筋である.
(2) 胃運動は, 迷走神経によって促進される.
(3) 胃の主細胞から, 塩酸が分泌される.
(4) 胃の壁細胞から, ペプシノーゲンが分泌される.
(5) 胃の副細胞から, 内因子が分泌される.
3 小腸に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 十二指腸には, 肝臓からの胆管と膵臓からの膵管が別々に開口している.
(2) 消化腺からの消化液の分泌は, 主として中枢神経を介して産生された消化管ホルモンの作用によるものである.
(3) 消化管の粘膜下組織にアウエルバッハ神経叢があり, 筋層の外側にはマイスネル神経叢が存在している.
(4) 小腸粘膜には多数の絨毛があり, さらに1つの細胞に多数の微絨毛が存在している.
(5) 小腸壁に広く存在する腸腺は消化酵素を生成し, 腸液とともに分泌して小腸での消化を進める.
4 肝臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝臓は, 横隔膜直下の左上腹部にある.
(2) 肝臓の右葉は, 左葉より小さい.
(3) 肝細胞に酸素を送っているのは, 固有肝動脈である.
(4) 門脈は, 小腸で吸収したトリアシルグリセロールを直接肝臓に送っている.
(5) 門脈と肝動脈は肝門部で合流し, 肝小葉に流入する.
5 肝臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝小葉の中心に中心静脈があり, 合流を重ねて肝静脈となり, 肝門部から下大静脈に注ぐ.
(2) 肝細胞に囲まれた毛細血管壁にはパイエル板が存在し, 異物処理を行っている.
(3) 肝細胞は, 有毒物などを抱合・無毒化して胆汁中に排泄している.
(4) 肝臓は, 血液凝固因子を生成する.
(5) 肝臓は, 血液凝固抑制因子を生成しない.
6 肝臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) フィブリノーゲン, エリスロポエチン, γ-グロブリンなどのたんぱく質は, 主として肝細胞で生成される.
(2) プロトロンビン, アルブミン, ビタミンA結合たんぱく質は, 肝細胞で生成される.
(3) 肝細胞は, ビリルビンからウロビリノーゲンを生成している.
(4) ウロビリノーゲンは, 吸収後ほとんどが尿中に排泄される.
(5) 肝臓は, 抗貧血因子を生成する
7 肝臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝臓は, 血液量や血圧の調節, 鉄の貯蔵などを行っている.
(2) 肝細胞は脂肪酸, ケトン体, 尿素, 女性ホルモンなどを分解する.
(3) 肝臓で生成されたグリコーゲンは, 筋肉に供給されている.
(4) 肝臓から分泌される胆汁の脂質成分では, トリアシルグリセロールが最も多い.
(5) 胆汁は, リパーゼを含んでいる.
8 膵臓に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 膵臓は, 後腹壁に密着している.
(2) 膵管は, 回腸に開口している.
(3) 膵臓は, 大量の水を腸に分泌する.
(4) 膵臓は, アルカリ性の膵液および消化酵素を腸に内分泌する.
(5) 膵臓は, インスリンやアドレナリンを血中に内分泌する.
9 咀嚼と嚥下に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 口峡は, 歯列よりも口唇側の領域である.
(2) 喉頭は鼻腔と上咽頭の間に存在し, 声帯をもつ.
(3) 喉頭蓋は, 嚥下時に気管を閉鎖する.
(4) 耳下腺は, 咽頭に開口する.
(5) 舌の動きには三叉神経が関与し, 咀嚼の下顎運動には舌下神経が関与する.
10 咀嚼と嚥下に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 側頭筋は, 咀囎筋の1つである.
(2) 口を閉じる動作には, 滑車神経が関与する.
(3) 舌咽神経は, 舌の運動を支配する.
(4) 嚥下運動には, 喉頭期がある.
(5) 肺炎の原因に, 睡眠中に無意識に唾液が気道に入るなどの不顕性誤嚥がある.
11 消化管ホルモンに関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ガストリンは, 胃腺の壁細胞から分泌される物質である.
(2) ガストリンは, 胃酸分泌を促進する.
(3) セクレチンは, 胃腺の壁細胞から分泌される物質である.
(4) セクレチンは, 胃酸分泌を促進する.
(5) セクレチンは, 脂肪の分解を促進する.
12 消化管ホルモンに関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) コレシストキニンは, 小腸の内分泌細胞 (I細胞) から分泌される物質である.
(2) コレシストキニンは, 胃を収縮させる.
(3) コレシストキニンは, 主として膵液中の炭酸水素イオンの分泌を促進する.
(4) グルカゴン様ペプチド (GLP-1) は, 胃内容物の排出速度を速くする.
(5) インクレチンは, インスリン分泌を抑制する.
13 消化酵素に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) アセチルコリンやガストリンは, ペプシノーゲンの分泌を抑制する.
(2) ペプシノーゲンは, エンテロキナーゼで活性型のペプシンとなる.
(3) 膵液の液性成分は, ランゲルハンス島からホルモンと一緒に分泌されている.
(4) エンテロキナーゼは, DNAをヌクレオチドに分解する.
(5) キモトリプシノーゲンは, トリプシンにより加水分解されて活性型のキモトリプシンとなる.
14 管腔内消化と膜消化に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) トリアシルグリセロールは, 小腸において膵液由来のトリプシンやキモトリプシンにより脂肪酸とグリセロールに分解される.
(2) 中性脂肪は 2-モノアシルグリセロールと脂肪酸に分解された後, 能動輸送で吸収される.
(3) 小腸においては, 膜消化によりグルコースよりもスクロースの方が速やかに吸収される.
(4) ラクターゼは, 乳糖をガラクトースとグルコースに分解する.
(5) アミノペプチダーゼは, たんぱく質をポリペプチドに分解する.
15 吸収に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 担体とエネルギーを使い, 濃度勾配に逆らって物質が移動することを, 促進拡散という.
(2) ビタミンB12は, 回腸下部で吸収される.
(3) カルシウムの摂取量が多いときには, カルシウムの吸収は能動輸送によって行われる.
(4) 鉄の吸収では, 飲食物中の鉄がビタミンCなどによって可溶化し, 3価鉄イオンとなる.
(5) 鉄の吸収では, 飲食物中の3価鉄イオンが胃酸によって2価鉄イオンとなって吸収される.
16 誤嚥に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 誤嚥の検査には, DEXA法を用いる.
(2) 高齢者には, 不顕性誤嚥がみられる.
(3) 嚥下物の喉頭侵入では, 異常音 (ゴロゴロ音) が聴こえる.
(4) 経鼻胃管挿入状態は, 誤嚥性肺炎のリスクになる.
(5) 誤嚥性肺炎の防止には, 口腔ケアが有用である.
17 食道疾患に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胃食道逆流症の成因には, 食道裂孔ヘルニアがある.
(2) 胃酸分泌の消失は, 胃食道逆流症の原因となる.
(3) 胃食道逆流症の症候に, 黄疸がある.
(4) 食道静脈瘤の成因には, 門脈圧低下がある.
(5) 食道アカラシアでは, 噴門部が収縮しないために嚥下障害がみられる.
18 胃・十二指腸潰瘍に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 我が国では, 胃潰瘍より十二指腸潰瘍が多い.
(2) 胃・十二指腸潰瘍の合併症として, 出血, 穿孔, 幽門狭窄がある.
(3) 十二指腸潰瘍では, 食後に心窩部痛を示す.
(4) プロスタグランジンは, 胃・十二指腸潰瘍における攻撃因子である.
(5) 消化性潰瘍では, 胃酸分泌は低下している.
19 胃切除に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胃全摘手術後に, 食道アカラシアが起こる.
(2) ビルロートⅠ法 (BillrothⅠ法) による胃切除後に, 輸入脚症候群が起こる.
(3) 胃全摘手術後の吸収障害により, 再生不良性貧血が起こる.
(4) 胃全摘手術後の内因子欠乏により, 骨粗鬆症を引き起こす.
(5) 胃切除後の一過性の低血糖により, 後期ダンピング症候群が起こる.
20 たんぱく漏出性胃腸症に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 炎症性腸疾患は, たんぱく漏出性胃腸症の原因疾患となる.
(2) たんぱく漏出性胃腸症では, アルブミン/グロブリン比 (A/G比) は上昇する.
(3) たんぱく漏出性胃腸症では, アルブミン合成が低下する.
(4) たんぱく漏出性胃腸症では, 腸管浮腫をきたす.
(5) たんぱく漏出性胃腸症では, 血中カルシウム値が上昇する.
21 クローン病と潰瘍性大腸炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) クローン病の好発年代は, 30歳代である.
(2) クローン病は, 腹痛, 発熱, 体重減少を主症状とする.
(3) クローン病の治療では, 外科的治療が主体である.
(4) 潰瘍性大腸炎では, 非連続性の病変がみられる.
(5) 過敏性腸症候群では, 腸粘膜のびらんと下血がみられる.
22 肝臓疾患に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 我が国では, 慢性肝炎の 30% はA型肝炎ウイルスの感染による.
(2) 肝硬変の成因は, B型肝炎によるものが最も多い.
(3) 肝硬変では, 門脈圧が低下する.
(4) 肝硬変では, 耐糖能異常が出現する.
(5) 肝硬変では, 低インスリン血症を示す.
23 肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変では, 血小板が増加する.
(2) 肝硬変では, コリンエステラーゼ値が上昇し, γ-グロブリン濃度が低下する.
(3) 肝硬変の症候に, 手掌紅斑がある.
(4) 肝硬変では, 男性化する.
(5) 肝硬変では, フィッシャー比が上昇する.
24 肝疾患に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 非代償性肝硬変患者では, 血漿チロシン値が低下する.
(2) 非代償性肝硬変患者では, 血清ビリルビン値が低下する.
(3) 非代償期肝硬変患者では, プロトロンビン時間 (PT) が延長する.
(4) 非代償期肝硬変患者では, 血清乳酸脱水素酵素 (LDまたはLDH) が低値となる.
(5) 肝不全では, 意識障害などの肝性脳症が見られる.
25 脂肪肝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 脂肪肝は, 肝細胞中にリン脂質が過剰に蓄積した状態をいう.
(2) 脂肪肝は, マラスムス型栄養失調で認められる.
(3) アルコールの多飲は, 脂肪肝の原因とならない.
(4) たんぱく質の摂取不足は, 脂肪肝の原因となる.
(5) 食物繊維の過剰摂取は, 脂肪肝の原因となる.
26 脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 脂肪の過剰摂取は, 脂肪肝の原因とはならない.
(2) テトラサイクリン中毒は, 脂肪肝の原因となる.
(3) 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の症候に, チアノーゼがある.
(4) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は, 肝硬変に移行しない.
(5) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, インスリン抵抗性はみられない.
27 胆嚢と膵臓の疾患に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 胆石症は, 女性より男性に多くみられる疾患である.
(2) 急性胆嚢炎の病因は, アルコールの過飲が最も多い.
(3) 急性膵炎の原因に, 高キロミクロン血症がある.
(4) 慢性膵炎 (非代償期) の症候に, 体重増加がある.
(5) 膵頭部がんは, 閉塞性黄疸をきたしやすい.
28 消化器系の悪性腫瘍に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 食道がんは, 腺がんが最も多い.
(2) 胃粘膜下層までのがんを, 早期胃がんという.
(3) ヘリコバクター・ピロリは, 膵臓がんの原因となる.
(4) 早期胃がんの肉眼分類には, ボルマン (Borrmann) 分類がある.
(5) 胃がんは, 腹膜播種をきたさない.
29 消化器系の悪性腫瘍に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胃がんは, 大部分が扁平上皮がんである.
(2) 肝がんでは, 原発性でも転移性でも, 血中アルファフェトプロテイン (胎児性たんぱく, AFP) 値が上昇する.
(3) 原発性肝癌では, 肝細胞癌でも胆管細胞癌でもα-フェトプロテインが血中に高率にあらわれる.
(4) 家族性大腸腺腫症 (家族性大腸ポリポーシス) は, 大腸がんの頻度が高い.
(5) 大腸がんと食事との関連は, 明らかではない.
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10 消化器系 29問 解答と解説
''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''
1=(2)
(1) 誤 食道は, 咽頭につづいて胃の噴門に至る臓器である.
(2) 正 食道の上皮は, 重層扁平上皮である.
(3) 誤 胃の壁は三層の筋層から成っており, 内容物の攪拌と輸送に役立っている.
(4) 誤 幽門部は, 胃底部よりも十二指腸側にある.
(5) 誤 胃壁の構造を管腔側からみると, 粘膜下層は固有筋層の内側にある.
2=(2)
(1) 誤 胃の外縦走筋は, 平滑筋である.
(2) 正 胃運動は, 迷走神経によって促進される.
(3) 誤 胃の主細胞から, ペプシノーゲンが分泌される.
(4) 誤 胃の壁細胞から, 塩酸と内因子が分泌される.
(5) 誤 胃の副細胞から, アルカリ性の粘液が分泌される.
3=(4)
(1) 誤 十二指腸には, 肝臓からの胆管と膵臓からの膵管が合流して1つとなって開口している.
(2) 誤 消化腺からの消化液の分泌は, 自律神経や消化管ホルモンを介する複雑な機構によるものである.
(3) 誤 消化管の粘膜下組織にマイスネル神経叢があり, 筋層の外側にはアウエルバッハ神経叢が存在している.
(4) 正 小腸粘膜には多数の絨毛があり, さらに1つの細胞に多数の微絨毛が存在している.
(5) 誤 小腸壁に広く存在する腸腺から分泌される腸液には, 消化酵素は含まれていない.
4=(3)
(1) 誤 肝臓は横隔膜直下の右上腹部のほとんどを占め, 一部左上腹部にも及ぶ.
(2) 誤 肝臓の右葉は, 左葉より大きい.
(3) 正 固有肝動脈は, 肝細胞に酸素を送っている.
(4) 誤 門脈は, 小腸で吸収した水溶性栄養素を直接肝臓に送っている.
(5) 誤 門脈と肝動脈は肝小葉の外 (類洞入口付近) で合流し, 肝小葉に流入する.
5=(3)かつ(4)
(1) 誤 肝小葉の中心に中心静脈があり, 合流を重ねて肝静脈となり, 肝門後方から下大静脈に注ぐ.
(2) 誤 肝細胞に囲まれた毛細血管壁にはクッペル星細胞が存在し, 異物処理を行っている.
(3) 正 肝細胞は, 有毒物などをタウリンと抱合させ, 無毒化して胆汁中に排泄している.
(4) 正 肝臓は, プロトロンビンやフィブリノーゲンなどの血液凝固因子を生成する.
(5) 誤 肝臓は, ヘパリンなどの血液凝固抑制因子を生成する.
6=(2)かつ(4)
(1) 誤 フィブリノーゲンは肝臓で, エリスロポエチンは腎臓で, γ-グロブリンは形質細胞で生成される.
(2) 正 プロトロンビン, アルブミン, ビタミンA結合たんぱく質は, 肝細胞で生成される.
(3) 誤 腸内細菌は, ビリルビンからウロビリノーゲンを生成している.
(4) 正 ウロビリノーゲンは, 吸収後ほとんどが尿中に排泄される.
(5) 誤 肝臓は, 抗貧血因子 (葉酸やビタミンB12) は生成しない.
7=(1)
(1) 正 肝臓は, 血液量や血圧の調節, 鉄の貯蔵などを行っている.
(2) 誤 肝細胞は脂肪酸, 女性ホルモンなどを分解し, 尿素を合成するが, ケトン体を分解することができない.
(3) 誤 肝臓で合成されたグリコーゲンは肝臓に蓄えられ, 血糖として血中に放出される.
(4) 誤 肝臓から分泌される胆汁の脂質成分では胆汁酸塩が最も多く, 次いでリン脂質, コレステロール, 胆汁色素などが存在している.
(5) 誤 胆汁は, 消化酵素を含んでいない.
8=(1)かつ(3)
(1) 正 膵臓は, 後腹壁に密着している.
(2) 誤 膵管は, 十二指腸に開口している.
(3) 正 膵臓は, 胃から十二指腸に移行した内容物の酸を希釈するため, 大量の水を腸に分泌する.
(4) 誤 膵臓は, アルカリ性の膵液および消化酵素を腸に外分泌する.
(5) 誤 膵臓は, インスリンやグルカゴンを血中に内分泌する.
9=(3)
(1) 誤 口峡は, 歯列よりも咽頭側の領域である.
(2) 誤 喉頭は咽頭と気管の間に存在し, 声帯をもつ.
(3) 正 喉頭蓋は, 嚥下時に気管を閉鎖する.
(4) 誤 耳下腺は, 上顎第2大臼歯の口唇側に開口する.
(5) 誤 舌の動きには舌下神経が関与し, 咀嚼の下顎運動には三叉神経が関与する.
10=(1)かつ(5)
(1) 正 側頭筋は, 咀囎筋の1つである.
(2) 誤 口を閉じる動作には, 顔面神経が関与する.
(3) 誤 舌咽神経は, 舌後 1/3 の味覚や嚥下運動を支配する.
(4) 誤 嚥下運動は, 先行期→準備期 (咀嚼期)→口腔期→咽頭期→食道期の順に進行する.
(5) 正 肺炎の原因に, 睡眠中に無意識に唾液が気道に入るなどの不顕性誤嚥がある.
11=(2)
(1) 誤 ガストリンは, 胃の内分泌細胞 (G細胞) から分泌される物質である.
(2) 正 ガストリンは, 胃酸分泌を促進する.
(3) 誤 セクレチンは, 小腸の内分泌細胞 (S細胞) から分泌される物質である.
(4) 誤 セクレチンは, 胃酸分泌を抑制する.
(5) 誤 セクレチンは, 膵臓からの炭酸水素イオンの分泌を促進する.
12=(1)
(1) 正 コレシストキニンは, 小腸の内分泌細胞 (I細胞) から分泌される物質である.
(2) 誤 コレシストキニンは, 胆嚢を収縮させる.
(3) 誤 コレシストキニンは, 主として膵液中の消化酵素の分泌を促進する.
(4) 誤 グルカゴン様ペプチド (GLP-1) は, 胃内容物の排出速度を遅くする.
(5) 誤 インクレチンは, インスリン分泌を促進する.
13=(5)
(1) 誤 アセチルコリンやガストリンは, ペプシノーゲンの分泌を促進する.
(2) 誤 ペプシノーゲンは, 胃酸で活性型のペプシンとなる.
(3) 誤 膵液の液性成分は十二指腸に分泌され, ホルモンはランゲルハンス島から血中に分泌される.
(4) 誤 エンテロキナーゼは, トリプシノーゲンを加水分解してトリプシンにする.
(5) 正 キモトリプシノーゲンは, トリプシンにより加水分解されて活性型のキモトリプシンとなる.
14=(4)
(1) 誤 たんぱく質は, 小腸において膵液由来のトリプシンやキモトリプシンによりポリペプチドに分解される.
(2) 誤 中性脂肪は 2-モノアシルグリセロールと脂肪酸に分解された後, 混合ミセルを形成して単純拡散で吸収される.
(3) 誤 小腸においては, スクロースは吸収されない.
(4) 正 ラクターゼは, 乳糖をガラクトースとグルコースに分解する.
(5) 誤 アミノペプチダーゼは, ペプチド鎖のN末端から順次アミノ酸を遊離させる.
15=(2)
(1) 誤 担体とエネルギーを使い, 濃度勾配に逆らって物質が移動することを, 能動輸送という.
(2) 正 ビタミンB12は, 回腸下部で吸収される.
(3) 誤 カルシウムの摂取量が多いときには, カルシウムの吸収は単純拡散によって行われる.
(4) 誤 鉄の吸収では, 飲食物中の鉄が胃酸によって可溶化し, 3価鉄イオンとなる.
(5) 誤 鉄の吸収では, 飲食物中の3価鉄イオンがビタミンCなどによって2価鉄イオンとなって吸収される.
16=(1)
(1) 誤 誤嚥の検査には, 嚥下内視鏡検査などを用いる.
(2) 正 高齢者には, 不顕性誤嚥がみられる.
(3) 正 嚥下物の喉頭侵入では, 異常音 (ゴロゴロ音) が聴こえる.
(4) 正 経鼻胃管挿入状態は, 誤嚥性肺炎のリスクになる.
(5) 正 誤嚥性肺炎の防止には, 口腔ケアが有用である.
17=(1)
(1) 正 胃食道逆流症の成因には, 食道裂孔ヘルニアがある.
(2) 誤 胃酸分泌の亢進は, 胃食道逆流症の原因となる.
(3) 誤 胃食道逆流症の症候に, 胸やけや胸痛がある.
(4) 誤 食道静脈瘤の成因には, 門脈圧亢進がある.
(5) 誤 食道アカラシアでは, 噴門部が弛緩しないために嚥下障害がみられる.
18=(2)
(1) 誤 我が国では, 胃潰瘍より十二指腸潰瘍が少ない.
(2) 正 胃・十二指腸潰瘍の合併症として, 出血, 穿孔, 幽門狭窄がある.
(3) 誤 十二指腸潰瘍では, 空腹時に上腹部痛を来すことが多い.
(4) 誤 プロスタグランジンは, 胃・十二指腸潰瘍における防護因子である.
(5) 誤 消化性潰瘍では, ペプシンによる自己消化で潰瘍を生じる.
19=(5)
(1) 誤 胃全摘手術後の下部食道括約機構の障害や胆汁の逆流により, 逆流性食道炎が起こる.
(2) 誤 ビルロートⅡ法による胃切除後に, 輸入脚症候群が起こる.
(3) 誤 胃全摘手術後の吸収障害により, 鉄欠乏性貧血, 骨粗鬆症, 骨軟化症などが起こる.
(4) 誤 胃切除後のキャッスル内因子 (Castle 内因子) の欠如により, 巨赤芽球性貧血 (悪性貧血), 神経障害, ハンター舌炎などが起こる.
(5) 正 胃切除後の一過性の低血糖により, 後期ダンピング症候群が起こる.
20=(1)かつ(4)
(1) 正 炎症性腸疾患は, たんぱく漏出性胃腸症の原因疾患となる.
(2) 誤 たんぱく漏出性胃腸症では, アルブミン/グロブリン比 (A/G比) は低下し, 低アルブミン血症となる.
(3) 誤 たんぱく漏出性胃腸症では, 消化管粘膜からのアルブミンの喪失を補おうとしてアルブミン合成が亢進する.
(4) 正 たんぱく漏出性胃腸症では, 腸管浮腫をきたす.
(5) 誤 血中カルシウムはアルブミンと結合しているため, たんぱく漏出性胃腸症では血中カルシウム値が低下する.
21=(2)
(1) 誤 クローン病の好発年代は, 一般に10歳代後半から20歳代である.
(2) 正 クローン病は腸管の炎症性疾患であり, 腹痛, 発熱, 体重減少を主症状とする.
(3) 誤 クローン病の治療では, 食事療法と薬物療法が主体である.
(4) 誤 潰瘍性大腸炎では, 連続性の病変がみられる.
(5) 誤 過敏性腸症候群では, 便通異常, 腹痛, 腹部膨満感など慢性の腹部症状がみられるが, 下血はみられない.
22=(4)
(1) 誤 我が国では, 慢性肝炎の 30% はB型肝炎ウイルスの感染による.
(2) 誤 肝硬変の成因は, C型肝炎によるものが最も多い.
(3) 誤 肝硬変による門脈圧亢進症では, 側副循環のため食道静脈瘤などが生じる.
(4) 正 肝硬変では, 耐糖能異常が出現する.
(5) 誤 肝硬変では, 高インスリン血症を示す.
23=(3)
(1) 誤 肝硬変では, 血小板が減少する.
(2) 誤 肝硬変では, 肝臓で合成されるコリンエステラーゼの値が低下し, γ-グロブリン濃度 (免疫グロブリン濃度) が上昇する.
(3) 正 肝硬変の症候に, 手掌紅斑がある.
(4) 誤 肝硬変では, 高エストロゲン血症により女性化がみられる.
(5) 誤 肝硬変では, 肝で芳香族アミノ酸が代謝されず, 筋で分岐鎖アミノ酸が代謝されるためフィッシャー比が低下する.
24=(3)かつ(5)
(1) 誤 非代償性肝硬変患者では, 芳香族アミノ酸が代謝されないため血漿チロシン値が上昇する.
(2) 誤 非代償性肝硬変患者では, 十二指腸への排泄が困難となるため血清ビリルビン値が上昇する.
(3) 正 非代償期肝硬変患者では, プロトロンビン時間 (PT) が延長する.
(4) 誤 非代償期肝硬変患者では, 血清乳酸脱水素酵素 (LDまたはLDH) が高値となる.
(5) 正 肝不全では, 意識障害などの肝性脳症が見られる.
25=(4)
(1) 誤 脂肪肝は, 肝細胞中に中性脂肪が過剰に蓄積した状態をいう.
(2) 誤 脂肪肝は, クワシオルコル型栄養失調で認められる.
(3) 誤 アルコールの多飲は, 脂肪肝の重要な原因である.
(4) 正 たんぱく質の摂取不足は, 脂肪肝の原因となる.
(5) 誤 食物繊維の過剰摂取は, 脂肪肝の原因とはならない.
26=(2)
(1) 誤 脂肪の過剰摂取は, 脂肪肝の原因となる.
(2) 正 テトラサイクリン中毒は, 脂肪肝の原因となる.
(3) 誤 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) のほとんどは, 無症候性である.
(4) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は, 肝硬変に移行する例が多い.
(5) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, インスリン抵抗性がみられる.
27=(3)かつ(5)
(1) 誤 胆石症は, 男性より女性に多くみられる疾患 (男女比=約 1:2) である.
(2) 誤 急性胆嚢炎の病因は, 胆嚢のカタル性炎症・化膿性炎症からの細菌感染が最も多い.
(3) 正 急性膵炎の原因に, 高キロミクロン血症がある.
(4) 誤 慢性膵炎 (非代償期) の症候に, 体重減少がある.
(5) 正 膵頭部がんは, 閉塞性黄疸をきたしやすい.
28=(2)
(1) 誤 食道がんは男性に多く, 扁平上皮がんが最も多い.
(2) 正 胃粘膜下層までのがんを, 早期胃がんという.
(3) 誤 ヘリコバクター・ピロリは, 胃がんの原因となる.
(4) 誤 進行胃がんの肉眼分類には, ボルマン (Borrmann) 分類がある.
(5) 誤 胃がんは, 腹膜播種をきたすことがある.
29=(4)
(1) 誤 胃がんは大部分が腺がんで, 食塩の摂取量との関連も注目されている.
(2) 誤 原発性の肝がんでは, 血中アルファフェトプロテイン (胎児性たんぱく, AFP) 値が上昇する.
(3) 誤 肝細胞癌ではα-フェトプロテインが血中に高率にあらわれるが, 胆管細胞癌からはα-フェトプロテイン産生されない.
(4) 正 家族性大腸腺腫症 (家族性大腸ポリポーシス) は, 大腸がんの頻度が高い.
(5) 誤 大腸がんは大部分が腺がんで, 食事 (高脂肪, 高たんぱくなど) との関連が考えられている.
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次回は, 「11 循環器系」 の穴埋め問題と正文集です.