「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「B 肥満と代謝疾患 (c 脂質異常症, d 高尿酸血症, 痛風)」 の練習問題と解答・解説です.
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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント B 肥満と代謝疾患 c 脂質異常症, d 高尿酸血症, 痛風 14問 問題
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28 血清リポたんぱく質に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) キロミクロン (カイロミクロン) は, 肝臓の滑面小胞体で合成される.
(2) キロミクロン (カイロミクロン) は, リン脂質を多く含む.
(3) 超低密度リポたんぱく質 (VLDL) は, 血中におけるコレステロールの主要運搬リポたんぱく質である.
(4) 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 電気泳動によりβ-リポたんぱく質として捉えられる.
(5) 低密度リポたんぱく質 (LDL) 濃度の低下により, 動脈硬化が促進する.
29 血清リポたんぱく質に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 血中におけるトリアシルグリセロールの主要運搬リポたんぱく質である.
(2) 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 受容体を介して細胞内に取り込まれる.
(3) 超低密度リポたんぱく質 (VLDL) は, 末梢組織にあるコレステロールを肝などへ運び込む役目を担っている.
(4) 血中リポたんぱく質で比重が最も重いのは, キロミクロンである.
(5) 持久性運動トレーニングにより, 高密度リポたんぱく質 (HDL) 濃度は低下する.
30 脂質異常症に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) アポC-2欠損症は, 高コレステロール血症の一種である.
(2) 高コレステロール血症では, 常に高HDL-コレステロール血症をともなう.
(3) 原発性高カイロミクロン血症は, アキレス腱肥厚を呈することが多い.
(4) 遺伝性の家族性高コレステロール血症は, 常染色体優性遺伝疾患である.
(5) 遺伝性の家族性高コレステロール血症の有病率は, ヘテロ型が約50人に1人, ホモ型が100人に1人とされている.
※ アラビア数字で表記しました.
31 脂質異常症に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 家族性高コレステロール血症 (2a型) は, 組織のLDL受容体の欠損のため著明な高コレステロール血症を呈する.
(2) 高コレステロール血症の背景の一つに, 甲状腺機能亢進症がみられることがある.
(3) 3型高脂血症では, 中性脂肪高値のため膵炎を呈することがある.
(4) 低HDL血症では, 運動を制限する.
(5) 2a型脂質異常症 (家族性高コレステロール血症) では, 血中コレステロール, トリアシルグリセロール, リン脂質が上昇する.
※ アラビア数字で表記しました.
32 脂質異常症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高キロミクロン (カイロミクロン) 血症では, 飽和脂肪酸の摂取を促す.
(2) 高VLDL血症では, 単糖類の摂取を促す.
(3) 中性脂肪濃度が高値の場合, コレステロールの多い食品を制限する.
(4) 中性脂肪濃度が高値の場合, アルコールを制限する.
(5) 高トリアシルグリセロール血症は肥満に伴って起こるので, 減量のためエネルギー摂取制限のみをを行う.
33 脂質異常症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高VLDL血症では, 短鎖・中鎖脂肪酸の摂取を避ける.
(2) 高LDL-コレステロール血症では, エネルギー量は 15~20 kcal/kg 標準体重/日とする.
(3) 遺伝性の高コレステロール血症2a型では, 脂肪の摂取エネルギー比率を 10~15% とする.
(4) 高LDL-コレステロール血症では, 飽和脂肪酸のエネルギー比率は 4.5% 以上 7.0% 未満とする.
(5) 遺伝性の高コレステロール血症2a型では, 獣鳥性脂肪摂取を多くする.
※ アラビア数字で表記しました.
34 脂質異常症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高LDL血症では, 多価不飽和脂肪酸の摂取を制限する.
(2) 高LDL-コレステロール血症では, コレステロールは 400 mg/日以下とする.
(3) 高LDL-コレステロール血症では, ビタミンAは 3,000 レチノール当量 (μgRE)/日以上とする.
(4) 高LDL-コレステロール血症では, 食物繊維は 10 g/日以下とする.
(5) LDL-コレステロール濃度が高値の場合, 抗酸化物質の多い食品を摂取させる.
35 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版における 「危険因子を改善する食事」 に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) エネルギー摂取量を標準体重×25~30 kcal/日とする.
(2) 炭水化物エネルギー比率を 50% 以下とする.
(3) 脂肪エネルギー比率を 15~20% とする.
(4) コレステロール摂取量を 500 mg/日以下とする.
(5) 高カイロミクロン血症の場合, 脂肪エネルギー比率を 15% 以下とする.
36 尿酸とその代謝に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 血中尿酸は, プリン体代謝の最終産物である.
(2) 生成する尿酸のうち, 食事由来のプリン塩基に由来するものが 85% を占める.
(3) 血中尿酸は, 主に腎から尿中に排泄される.
(4) エストロゲンには, 尿酸の尿中排泄促進作用がある.
(5) 血清尿酸の基準値は, 男性が 3.0~7.0 mg/dL, 女性が 2.5~6.5 mg/dL である.
37 高尿酸血症に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高尿酸血症は, 血清尿酸値が 5 mg/dL 以上で診断される.
(2) 高尿酸血症は, 中年女性に多くみられる.
(3) 高尿酸血症は, 主にプリン体含有食品の摂取に起因する.
(4) 高尿酸血症では, プリン体含量の多い食品摂取を控えさせ飲酒も制限するが, 薬物療法が主である.
(5) 高尿酸血症では, 低用量アスピリンを服用する.
38 高尿酸血症に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高尿酸血症では, 尿管結石の合併がみられる.
(2) 尿酸の結晶が腎臓に沈着して腎不全を起こすことを, 痛風腎という
(3) 高尿酸血症では, 腎機能のモニタリングをする.
(4) 痛風における尿路結石の予防には, 尿の酸性化に努める.
(5) 無酸素運動は, 尿酸値を上昇させる.
39 痛風発作に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 痛風による関節炎発作は, カルシウムが関節に沈着して起こる.
(2) 痛風発作は, 1ヶ月以上持続する.
(3) 痛風発作は, くり返し起こることはまれである.
(4) 痛風発作は, やせ型の人にみられやすい.
(5) 女性では, 高尿酸血症に起因した痛風関節炎は閉経後に増加する.
40 痛風発作に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 血清尿酸濃度 7 mg/dL 以上で痛風発作をみる.
(2) 痛風の治療目標は, 血清尿酸濃度 8.0 mg/dL 以下である.
(3) 高尿酸血症における痛風発作極期には, 尿酸生成阻害薬 (アロプリノール) を使用する.
(4) 高尿酸血症に起因した痛風関節炎は, 尿の酸性化薬による排泄促進により発作が生じにくくなる.
(5) 精神的ストレスは, 痛風発作のリスクである.
41 高尿酸血症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) プリン体の含有量の多い食品には, 牛タン, ベーコン, 肉汁, イワシなどがある.
(2) 高尿酸血症では, プリン体の摂取量を 100 mg/日以下に制限する.
(3) 動物性たんぱく質の摂取を勧める.
(4) 高尿酸血症では, 水分制限を勧める.
(5) 高尿酸血症では, アルコール摂取を勧める.
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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント B 肥満と代謝疾患 c 脂質異常症, d 高尿酸血症, 痛風 14問 解答と解説
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28=(4)
(1) 誤 キロミクロン (カイロミクロン) は, 小腸吸収上皮細胞の滑面小胞体で合成される.
(2) 誤 キロミクロン (カイロミクロン) は, トリアシルグリセロールを多く含む.
(3) 誤 超低密度リポたんぱく質 (VLDL) は, 血中におけるトリアシルグリセロールの主要運搬リポたんぱく質である.
(4) 正 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 電気泳動によりβ-リポたんぱく質として捉えられる.
(5) 誤 低密度リポたんぱく質 (LDL) 濃度の上昇により, 動脈硬化が促進する.
29=(2)
(1) 誤 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 血中におけるコレステロールの主要運搬リポたんぱく質である.
(2) 正 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 受容体を介して細胞内に取り込まれる.
(3) 誤 高密度リポたんぱく質 (HDL) は, 末梢組織にあるコレステロールを肝などへ運び込む役目を担っている.
(4) 誤 血中リポたんぱく質で比重が最も重いのは, 高密度リポたんぱく質 (HDL) である.
(5) 誤 持久性運動トレーニングにより, 高密度リポたんぱく質 (HDL) 濃度は上昇する.
30=(4)
(1) 誤 アポC-2欠損症は, 高カイロミクロン血症 (1型) である.
(2) 誤 高コレステロール血症では, 一般に高LDL-コレステロール血症をともなう.
(3) 誤 原発性高コレステロール血症 (2型) は, アキレス腱肥厚を呈することが多い.
(4) 正 遺伝性の家族性高コレステロール血症は, 常染色体優性遺伝疾患である.
(5) 誤 遺伝性の家族性高コレステロール血症の有病率は, ヘテロ型が約500人に1人, ホモ型が100万人に1人とされている.
※ アラビア数字で表記しました.
31=(1)
(1) 正 家族性高コレステロール血症 (2a型) は, 組織のLDL受容体の欠損のため著明な高コレステロール血症を呈する.
(2) 誤 高コレステロール血症には, 甲状腺機能亢進症がみられることはない.
(3) 誤 3型高脂血症では, 血中コレステロールとトリアシルグリセロールが軽~中等度まで上昇するが, 膵炎を呈することはない.
(4) 誤 低HDL血症では, 継続的な運動を促す.
(5) 誤 2a型脂質異常症 (家族性高コレステロール血症) では, 血中コレステロールとリン脂質が上昇するが, トリアシルグリセロールは一般に基準範囲である.
※ アラビア数字で表記しました.
32=(4)
(1) 誤 高キロミクロン (カイロミクロン) 血症では, 飽和脂肪酸の摂取を控える.
(2) 誤 血清中の中性脂肪やVLDL値が高い場合には, 糖質, エネルギー, アルコールを制限する.
(3) 誤 血清中の中性脂肪やVLDL値が高い場合には, 糖質, エネルギー, アルコールを制限する.
(4) 正 血清中の中性脂肪やVLDL値が高い場合には, 糖質, エネルギー, アルコールを制限する.
(5) 誤 高トリアシルグリセロール血症は肥満やアルコールの多飲, 糖質の過剰摂取などによって起こるので, まず減量のためのエネルギー摂取制限のほかアルコールや糖質の摂取制限も行う.
33=(4)
(1) 誤 高VLDL血症では, 短鎖・中鎖脂肪酸摂取が有用である.
(2) 誤 高LDL-コレステロール血症では, エネルギー量は標準体重を維持する量とする.
(3) 誤 遺伝性の高コレステロール血症2a型では, 脂肪の摂取エネルギー比率を 20~25% とする.
(4) 正 高LDL-コレステロール血症では, 飽和脂肪酸のエネルギー比率は 4.5% 以上 7.0% 未満とする.
(5) 誤 遺伝性の高コレステロール血症2a型では, 獣鳥性脂肪摂取を少なくする.
※ アラビア数字で表記しました.
34=(5)
(1) 誤 高コレステロール血症では, LDL受容体の活性を高める n-3 系多価不飽和脂肪酸が不足しないようにする.
(2) 誤 高LDL-コレステロール血症では, コレステロールは 200 mg/日以下とする.
(3) 誤 高LDL-コレステロール血症では, ビタミンAは性別, 年齢等を考慮した量とする.
(4) 誤 高LDL血症では, 適切量 (20~30 g/日) の水溶性食物繊維を摂取させる.
(5) 正 LDL-コレステロール濃度が高値の場合, 動脈硬化を促進させる酸化LDLの生成を抑えるため, 抗酸化物質の多い食品を摂取させる.
35=(5)
(1) 誤 エネルギー摂取量を, 身体活動量も考慮した上で標準体重を維持するエネルギー量とする.
(2) 誤 炭水化物エネルギー比率を 50~60% とする.
(3) 誤 脂肪エネルギー比率を 20~25% とする.
(4) 誤 コレステロール摂取量を 200 mg/日以下とする.
(5) 正 高カイロミクロン血症の場合, 脂肪エネルギー比率を 15% 以下とする.
36=(2)
(1) 正 血中尿酸は, プリン体代謝の最終産物である.
(2) 誤 生成する尿酸のうち, 生合成されたプリン塩基に由来するものが 85% を占める.
(3) 正 血中尿酸は主に腎から尿中に排泄され, 他に胆汁とともに糞中に排泄される.
(4) 正 エストロゲンには, 尿酸の尿中排泄促進作用がある.
(5) 正 血清尿酸の基準値は, 男性が 3.0~7.0 mg/dL, 女性が 2.5~6.5 mg/dL である.
37=(4)
(1) 誤 高尿酸血症は, 血清尿酸値が 7 mg/dL 以上で診断される.
(2) 誤 高尿酸血症は, 中年男性に多くみられる.
(3) 誤 高尿酸血症は, 大半が腎臓における尿酸排泄障害に起因する.
(4) 正 高尿酸血症では, 薬物療法が主である.
(5) 誤 高尿酸血症では, 尿酸産生抑制剤 (アロプリノールなど) や尿酸排泄促進剤 (プロベネシドなど) を服用する.
38=(4)
(1) 正 高尿酸血症では, 尿管結石の合併がみられる.
(2) 正 尿酸の結晶が腎臓に沈着して腎不全を起こすことを, 痛風腎という
(3) 正 高尿酸血症では, 尿酸の腎臓への沈着や尿路結石などの監視のため腎機能のモニタリングをする.
(4) 誤 痛風における尿路結石の予防では, 尿酸やシュウ酸カルシウムの結石を避けるため尿の酸性化を避ける.
(5) 正 激しい運動により核酸の分解が亢進し, 尿酸生成が促進されるため, 無酸素運動は尿酸値を上昇させる.
39=(5)
(1) 誤 尿酸は血液が酸性になると関節に尿酸塩として結晶化し, 痛風結節を伴う痛風発作を起こす.
(2) 誤 痛風発作は, 一般に1週間以内に消退する.
(3) 誤 痛風発作は, 適切な治療を怠るとくり返し起こる.
(4) 誤 痛風発作は, 肥満者にみられやすい.
(5) 正 女性では, 高尿酸血症に起因した痛風関節炎は閉経後に増加する.
40=(5)
(1) 誤 血清尿酸濃度 10 mg/dL 以上で痛風発作をみる.
(2) 誤 痛風の治療目標は, 血清尿酸濃度 6.0 mg/dL 以下である.
(3) 誤 高尿酸血症における痛風発作極期には, 消炎鎮痛剤 (インドメタシン, コルヒチン, 非ステロイド系抗炎症剤) を使用する.
(4) 誤 高尿酸血症に起因した痛風関節炎は, 尿のアルカリ化薬による排泄促進により発作が生じにくくなる.
(5) 正 交感神経の興奮により代謝が異化に傾いて尿酸生成を促進するため, 精神的ストレスは痛風発作のリスクとなる.
41=(1)
(1) 正 プリン体の含有量の多い食品には, 牛タン, ベーコン, 肉汁, イワシなどがある.
(2) 誤 高尿酸血症では, プリン体の摂取量を 400 mg/日以下に制限する.
(3) 誤 動物性たんぱく質が多い食事は尿中尿酸排泄量の増加による尿の酸性化につながり, 尿路結石の危険因子となる.
(4) 誤 高尿酸血症では, 尿酸の排泄を促進するため水分摂取を増やし, 尿量 2,000 mL/日以上を維持させる.
(5) 誤 高尿酸血症では, 尿酸生成促進作用と尿酸排泄阻害作用をもつアルコールの摂取を控えさせる.
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次回は 「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「C 消化器疾患」 ですが, 量が多いので, 「a 口内炎, 舌炎 ~ g 便秘と下痢」 と 「h 肝炎 ~ l 膵炎」 の2つに分けました.
したがって, 次回は, 「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「C 消化器疾患 (a 口内炎, 舌炎 ~ g 便秘と下痢)」 の穴埋め問題と正文集をお送りします.
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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント B 肥満と代謝疾患 c 脂質異常症, d 高尿酸血症, 痛風 14問 問題
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28 血清リポたんぱく質に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) キロミクロン (カイロミクロン) は, 肝臓の滑面小胞体で合成される.
(2) キロミクロン (カイロミクロン) は, リン脂質を多く含む.
(3) 超低密度リポたんぱく質 (VLDL) は, 血中におけるコレステロールの主要運搬リポたんぱく質である.
(4) 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 電気泳動によりβ-リポたんぱく質として捉えられる.
(5) 低密度リポたんぱく質 (LDL) 濃度の低下により, 動脈硬化が促進する.
29 血清リポたんぱく質に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 血中におけるトリアシルグリセロールの主要運搬リポたんぱく質である.
(2) 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 受容体を介して細胞内に取り込まれる.
(3) 超低密度リポたんぱく質 (VLDL) は, 末梢組織にあるコレステロールを肝などへ運び込む役目を担っている.
(4) 血中リポたんぱく質で比重が最も重いのは, キロミクロンである.
(5) 持久性運動トレーニングにより, 高密度リポたんぱく質 (HDL) 濃度は低下する.
30 脂質異常症に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) アポC-2欠損症は, 高コレステロール血症の一種である.
(2) 高コレステロール血症では, 常に高HDL-コレステロール血症をともなう.
(3) 原発性高カイロミクロン血症は, アキレス腱肥厚を呈することが多い.
(4) 遺伝性の家族性高コレステロール血症は, 常染色体優性遺伝疾患である.
(5) 遺伝性の家族性高コレステロール血症の有病率は, ヘテロ型が約50人に1人, ホモ型が100人に1人とされている.
※ アラビア数字で表記しました.
31 脂質異常症に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 家族性高コレステロール血症 (2a型) は, 組織のLDL受容体の欠損のため著明な高コレステロール血症を呈する.
(2) 高コレステロール血症の背景の一つに, 甲状腺機能亢進症がみられることがある.
(3) 3型高脂血症では, 中性脂肪高値のため膵炎を呈することがある.
(4) 低HDL血症では, 運動を制限する.
(5) 2a型脂質異常症 (家族性高コレステロール血症) では, 血中コレステロール, トリアシルグリセロール, リン脂質が上昇する.
※ アラビア数字で表記しました.
32 脂質異常症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高キロミクロン (カイロミクロン) 血症では, 飽和脂肪酸の摂取を促す.
(2) 高VLDL血症では, 単糖類の摂取を促す.
(3) 中性脂肪濃度が高値の場合, コレステロールの多い食品を制限する.
(4) 中性脂肪濃度が高値の場合, アルコールを制限する.
(5) 高トリアシルグリセロール血症は肥満に伴って起こるので, 減量のためエネルギー摂取制限のみをを行う.
33 脂質異常症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高VLDL血症では, 短鎖・中鎖脂肪酸の摂取を避ける.
(2) 高LDL-コレステロール血症では, エネルギー量は 15~20 kcal/kg 標準体重/日とする.
(3) 遺伝性の高コレステロール血症2a型では, 脂肪の摂取エネルギー比率を 10~15% とする.
(4) 高LDL-コレステロール血症では, 飽和脂肪酸のエネルギー比率は 4.5% 以上 7.0% 未満とする.
(5) 遺伝性の高コレステロール血症2a型では, 獣鳥性脂肪摂取を多くする.
※ アラビア数字で表記しました.
34 脂質異常症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高LDL血症では, 多価不飽和脂肪酸の摂取を制限する.
(2) 高LDL-コレステロール血症では, コレステロールは 400 mg/日以下とする.
(3) 高LDL-コレステロール血症では, ビタミンAは 3,000 レチノール当量 (μgRE)/日以上とする.
(4) 高LDL-コレステロール血症では, 食物繊維は 10 g/日以下とする.
(5) LDL-コレステロール濃度が高値の場合, 抗酸化物質の多い食品を摂取させる.
35 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版における 「危険因子を改善する食事」 に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) エネルギー摂取量を標準体重×25~30 kcal/日とする.
(2) 炭水化物エネルギー比率を 50% 以下とする.
(3) 脂肪エネルギー比率を 15~20% とする.
(4) コレステロール摂取量を 500 mg/日以下とする.
(5) 高カイロミクロン血症の場合, 脂肪エネルギー比率を 15% 以下とする.
36 尿酸とその代謝に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 血中尿酸は, プリン体代謝の最終産物である.
(2) 生成する尿酸のうち, 食事由来のプリン塩基に由来するものが 85% を占める.
(3) 血中尿酸は, 主に腎から尿中に排泄される.
(4) エストロゲンには, 尿酸の尿中排泄促進作用がある.
(5) 血清尿酸の基準値は, 男性が 3.0~7.0 mg/dL, 女性が 2.5~6.5 mg/dL である.
37 高尿酸血症に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高尿酸血症は, 血清尿酸値が 5 mg/dL 以上で診断される.
(2) 高尿酸血症は, 中年女性に多くみられる.
(3) 高尿酸血症は, 主にプリン体含有食品の摂取に起因する.
(4) 高尿酸血症では, プリン体含量の多い食品摂取を控えさせ飲酒も制限するが, 薬物療法が主である.
(5) 高尿酸血症では, 低用量アスピリンを服用する.
38 高尿酸血症に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高尿酸血症では, 尿管結石の合併がみられる.
(2) 尿酸の結晶が腎臓に沈着して腎不全を起こすことを, 痛風腎という
(3) 高尿酸血症では, 腎機能のモニタリングをする.
(4) 痛風における尿路結石の予防には, 尿の酸性化に努める.
(5) 無酸素運動は, 尿酸値を上昇させる.
39 痛風発作に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 痛風による関節炎発作は, カルシウムが関節に沈着して起こる.
(2) 痛風発作は, 1ヶ月以上持続する.
(3) 痛風発作は, くり返し起こることはまれである.
(4) 痛風発作は, やせ型の人にみられやすい.
(5) 女性では, 高尿酸血症に起因した痛風関節炎は閉経後に増加する.
40 痛風発作に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 血清尿酸濃度 7 mg/dL 以上で痛風発作をみる.
(2) 痛風の治療目標は, 血清尿酸濃度 8.0 mg/dL 以下である.
(3) 高尿酸血症における痛風発作極期には, 尿酸生成阻害薬 (アロプリノール) を使用する.
(4) 高尿酸血症に起因した痛風関節炎は, 尿の酸性化薬による排泄促進により発作が生じにくくなる.
(5) 精神的ストレスは, 痛風発作のリスクである.
41 高尿酸血症の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) プリン体の含有量の多い食品には, 牛タン, ベーコン, 肉汁, イワシなどがある.
(2) 高尿酸血症では, プリン体の摂取量を 100 mg/日以下に制限する.
(3) 動物性たんぱく質の摂取を勧める.
(4) 高尿酸血症では, 水分制限を勧める.
(5) 高尿酸血症では, アルコール摂取を勧める.
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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント B 肥満と代謝疾患 c 脂質異常症, d 高尿酸血症, 痛風 14問 解答と解説
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28=(4)
(1) 誤 キロミクロン (カイロミクロン) は, 小腸吸収上皮細胞の滑面小胞体で合成される.
(2) 誤 キロミクロン (カイロミクロン) は, トリアシルグリセロールを多く含む.
(3) 誤 超低密度リポたんぱく質 (VLDL) は, 血中におけるトリアシルグリセロールの主要運搬リポたんぱく質である.
(4) 正 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 電気泳動によりβ-リポたんぱく質として捉えられる.
(5) 誤 低密度リポたんぱく質 (LDL) 濃度の上昇により, 動脈硬化が促進する.
29=(2)
(1) 誤 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 血中におけるコレステロールの主要運搬リポたんぱく質である.
(2) 正 低密度リポたんぱく質 (LDL) は, 受容体を介して細胞内に取り込まれる.
(3) 誤 高密度リポたんぱく質 (HDL) は, 末梢組織にあるコレステロールを肝などへ運び込む役目を担っている.
(4) 誤 血中リポたんぱく質で比重が最も重いのは, 高密度リポたんぱく質 (HDL) である.
(5) 誤 持久性運動トレーニングにより, 高密度リポたんぱく質 (HDL) 濃度は上昇する.
30=(4)
(1) 誤 アポC-2欠損症は, 高カイロミクロン血症 (1型) である.
(2) 誤 高コレステロール血症では, 一般に高LDL-コレステロール血症をともなう.
(3) 誤 原発性高コレステロール血症 (2型) は, アキレス腱肥厚を呈することが多い.
(4) 正 遺伝性の家族性高コレステロール血症は, 常染色体優性遺伝疾患である.
(5) 誤 遺伝性の家族性高コレステロール血症の有病率は, ヘテロ型が約500人に1人, ホモ型が100万人に1人とされている.
※ アラビア数字で表記しました.
31=(1)
(1) 正 家族性高コレステロール血症 (2a型) は, 組織のLDL受容体の欠損のため著明な高コレステロール血症を呈する.
(2) 誤 高コレステロール血症には, 甲状腺機能亢進症がみられることはない.
(3) 誤 3型高脂血症では, 血中コレステロールとトリアシルグリセロールが軽~中等度まで上昇するが, 膵炎を呈することはない.
(4) 誤 低HDL血症では, 継続的な運動を促す.
(5) 誤 2a型脂質異常症 (家族性高コレステロール血症) では, 血中コレステロールとリン脂質が上昇するが, トリアシルグリセロールは一般に基準範囲である.
※ アラビア数字で表記しました.
32=(4)
(1) 誤 高キロミクロン (カイロミクロン) 血症では, 飽和脂肪酸の摂取を控える.
(2) 誤 血清中の中性脂肪やVLDL値が高い場合には, 糖質, エネルギー, アルコールを制限する.
(3) 誤 血清中の中性脂肪やVLDL値が高い場合には, 糖質, エネルギー, アルコールを制限する.
(4) 正 血清中の中性脂肪やVLDL値が高い場合には, 糖質, エネルギー, アルコールを制限する.
(5) 誤 高トリアシルグリセロール血症は肥満やアルコールの多飲, 糖質の過剰摂取などによって起こるので, まず減量のためのエネルギー摂取制限のほかアルコールや糖質の摂取制限も行う.
33=(4)
(1) 誤 高VLDL血症では, 短鎖・中鎖脂肪酸摂取が有用である.
(2) 誤 高LDL-コレステロール血症では, エネルギー量は標準体重を維持する量とする.
(3) 誤 遺伝性の高コレステロール血症2a型では, 脂肪の摂取エネルギー比率を 20~25% とする.
(4) 正 高LDL-コレステロール血症では, 飽和脂肪酸のエネルギー比率は 4.5% 以上 7.0% 未満とする.
(5) 誤 遺伝性の高コレステロール血症2a型では, 獣鳥性脂肪摂取を少なくする.
※ アラビア数字で表記しました.
34=(5)
(1) 誤 高コレステロール血症では, LDL受容体の活性を高める n-3 系多価不飽和脂肪酸が不足しないようにする.
(2) 誤 高LDL-コレステロール血症では, コレステロールは 200 mg/日以下とする.
(3) 誤 高LDL-コレステロール血症では, ビタミンAは性別, 年齢等を考慮した量とする.
(4) 誤 高LDL血症では, 適切量 (20~30 g/日) の水溶性食物繊維を摂取させる.
(5) 正 LDL-コレステロール濃度が高値の場合, 動脈硬化を促進させる酸化LDLの生成を抑えるため, 抗酸化物質の多い食品を摂取させる.
35=(5)
(1) 誤 エネルギー摂取量を, 身体活動量も考慮した上で標準体重を維持するエネルギー量とする.
(2) 誤 炭水化物エネルギー比率を 50~60% とする.
(3) 誤 脂肪エネルギー比率を 20~25% とする.
(4) 誤 コレステロール摂取量を 200 mg/日以下とする.
(5) 正 高カイロミクロン血症の場合, 脂肪エネルギー比率を 15% 以下とする.
36=(2)
(1) 正 血中尿酸は, プリン体代謝の最終産物である.
(2) 誤 生成する尿酸のうち, 生合成されたプリン塩基に由来するものが 85% を占める.
(3) 正 血中尿酸は主に腎から尿中に排泄され, 他に胆汁とともに糞中に排泄される.
(4) 正 エストロゲンには, 尿酸の尿中排泄促進作用がある.
(5) 正 血清尿酸の基準値は, 男性が 3.0~7.0 mg/dL, 女性が 2.5~6.5 mg/dL である.
37=(4)
(1) 誤 高尿酸血症は, 血清尿酸値が 7 mg/dL 以上で診断される.
(2) 誤 高尿酸血症は, 中年男性に多くみられる.
(3) 誤 高尿酸血症は, 大半が腎臓における尿酸排泄障害に起因する.
(4) 正 高尿酸血症では, 薬物療法が主である.
(5) 誤 高尿酸血症では, 尿酸産生抑制剤 (アロプリノールなど) や尿酸排泄促進剤 (プロベネシドなど) を服用する.
38=(4)
(1) 正 高尿酸血症では, 尿管結石の合併がみられる.
(2) 正 尿酸の結晶が腎臓に沈着して腎不全を起こすことを, 痛風腎という
(3) 正 高尿酸血症では, 尿酸の腎臓への沈着や尿路結石などの監視のため腎機能のモニタリングをする.
(4) 誤 痛風における尿路結石の予防では, 尿酸やシュウ酸カルシウムの結石を避けるため尿の酸性化を避ける.
(5) 正 激しい運動により核酸の分解が亢進し, 尿酸生成が促進されるため, 無酸素運動は尿酸値を上昇させる.
39=(5)
(1) 誤 尿酸は血液が酸性になると関節に尿酸塩として結晶化し, 痛風結節を伴う痛風発作を起こす.
(2) 誤 痛風発作は, 一般に1週間以内に消退する.
(3) 誤 痛風発作は, 適切な治療を怠るとくり返し起こる.
(4) 誤 痛風発作は, 肥満者にみられやすい.
(5) 正 女性では, 高尿酸血症に起因した痛風関節炎は閉経後に増加する.
40=(5)
(1) 誤 血清尿酸濃度 10 mg/dL 以上で痛風発作をみる.
(2) 誤 痛風の治療目標は, 血清尿酸濃度 6.0 mg/dL 以下である.
(3) 誤 高尿酸血症における痛風発作極期には, 消炎鎮痛剤 (インドメタシン, コルヒチン, 非ステロイド系抗炎症剤) を使用する.
(4) 誤 高尿酸血症に起因した痛風関節炎は, 尿のアルカリ化薬による排泄促進により発作が生じにくくなる.
(5) 正 交感神経の興奮により代謝が異化に傾いて尿酸生成を促進するため, 精神的ストレスは痛風発作のリスクとなる.
41=(1)
(1) 正 プリン体の含有量の多い食品には, 牛タン, ベーコン, 肉汁, イワシなどがある.
(2) 誤 高尿酸血症では, プリン体の摂取量を 400 mg/日以下に制限する.
(3) 誤 動物性たんぱく質が多い食事は尿中尿酸排泄量の増加による尿の酸性化につながり, 尿路結石の危険因子となる.
(4) 誤 高尿酸血症では, 尿酸の排泄を促進するため水分摂取を増やし, 尿量 2,000 mL/日以上を維持させる.
(5) 誤 高尿酸血症では, 尿酸生成促進作用と尿酸排泄阻害作用をもつアルコールの摂取を控えさせる.
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次回は 「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「C 消化器疾患」 ですが, 量が多いので, 「a 口内炎, 舌炎 ~ g 便秘と下痢」 と 「h 肝炎 ~ l 膵炎」 の2つに分けました.
したがって, 次回は, 「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「C 消化器疾患 (a 口内炎, 舌炎 ~ g 便秘と下痢)」 の穴埋め問題と正文集をお送りします.