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管理栄養士国試のための基礎栄養学と生化学

管理栄養士国家試験のための基礎栄養学や生化学について, 勉強していきましょう.

基礎栄養学 28-20

2013年07月13日 | 日記
「9 水・電解質の栄養的意義」 の練習問題と解答・解説です.

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9 水・電解質の栄養的意義 8問 問題
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1 代謝水に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 脂質が体内でエネルギー源として利用されると, 代謝水が生じる.
(2) グルコースの代謝による代謝水量は, 脂肪の代謝による代謝水量とほぼ同じである.
(3) 代謝水の産生量は, 通常の食事では消費エネルギー 100 kcal あたり約 300 mL である.
(4) 1日の水分出納は, 飲料水と食物由来の水と代謝水とで保たれている.
(5) 酸化的リン酸化の過程では, 代謝水は生成しない.

2 不感蒸泄と不可避尿に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 安静時の不感蒸泄 (不感水損失) の量は, 1日約 400 mL である.
(2) 不感蒸泄量は, 外気温が上昇すると減少する.
(3) 不感蒸泄では, 電解質の喪失はない.
(4) 体内で生成する代謝産物の排泄のために, 1日に 1 L 以上の尿の生成が必要である.
(5) 飲水量が多くなると, 不可避尿量は増加する.

3 水の出納に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 1日の水分必要量は, 不感蒸泄量に等しい.
(2) 食物から摂取する水分は, 飲料水として摂取する水分の 10% 以下である.
(3) 1日あたり消化管内に分泌される水分の量は, 1日あたりの水分の摂取量より多い.
(4) 水分代謝の調節は, 延髄にある血液浸透圧調節中枢が中心となっている.
(5) 水分の摂取調節は, 大脳の前頭葉にある飲水中枢の意欲活動による.

4 細胞内液と細胞外液に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 細胞内液量は, 細胞外液量より少ない.
(2) 血漿中の電解質として, 最も濃度の高い陽イオンはK+である.
(3) 細胞外液のpHは, 7.50 以上に維持されている.
(4) 細胞内液中の電解質として, 最も濃度の高い陽イオンはNa+である.
(5) Ca2+濃度は, 細胞外液のほうが細胞内液よりも高い.

5 脱水に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肥満者は, やせた人に比べて体重あたりの水分含有量が多い.
(2) 成人では, 体内の水分が 5% 減少しても自覚症状はみられない.
(3) 乳幼児の腎機能は高く, 脱水は起こりにくい.
(4) 細胞の内液と外液の浸透圧に差が生じると, 水分の移動が生じる.
(5) 通常の発汗では水分よりも電解質の喪失の方が大きいため, 低張性脱水が生 じる.

6 脱水に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 高張性脱水では, 細胞外液の浸透圧は低い.
(2) 水分欠乏型脱水では, 細胞内液量は増加する.
(3) 塩分欠乏性脱水症では, 細胞外液は高張になる.
(4) 塩欠乏性脱水症では, 水は細胞内から細胞外へと移行する.
(5) 低張性脱水は同時に電解質の損失を引き起こすので, 電解質を含む水分の捕給が必要である.

7 体内の水と電解質に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 抗利尿ホルモンは, 尿細管での水分の再吸収を抑制する.
(2) バソプレシンは, 尿量を減少させる.
(3) 腎尿細管でのカリウムの再吸収は, アルドステロンにより抑制される.
(4) 海水を飲んだ場合, 腎臓の食塩排泄能を上回るので, 血液浸透圧が低下する.
(5) ナトリウムやカリウムは, 尿中排泄によってバランスを維持している.

8 体内の水と電解質に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 体水分量が不足すると, 水の損失を低下させる目的でアルドステロンの分泌が促進される.
(2) ナトリウムの尿中排泄量から, 摂取ナトリウム量を推定できる.
(3) カリウムの摂取量を制限することにより, 高血圧のリスクは低下する.
(4) 浮腫は, 細胞質内に水分が貯留した状態をいう.
(5) 血清アルブミン値が低いと, 膠質浸透圧が上昇して浮腫がおこる.

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9 水・電解質の栄養的意義 8問 解答と解説
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1=(1)かつ(4)
(1) 正 熱量素 (糖質, 脂質, たんぱく質) が体内でエネルギー源として利用 (酸化) されると, 代謝水が生じる.
(2) 誤 糖質, 脂質, たんぱく質のなかでは, 単位重量あたりの代謝水は脂質からのものが最も多い.
(3) 誤 代謝水は, 通常の食事では消費エネルギー 100 kcal あたり約 12 mL (約 300 mL/日) 生じる.
(4) 正 代謝水は, 飲水と同様に 「体内に入った水」 と解釈される.
(5) 誤 酸化的リン酸化の過程では, 電子受容体である酸素分子 (1/2 O2) が水素イオン (2H+) および電子 (2e-) を受容して代謝水 (H2O) となる.

2=(3)
(1) 誤 皮膚表面や肺から汗以外に蒸発する水分を不感蒸泄といい, 1日約 900 mL である.
(2) 誤 不感蒸泄量は, 外気温が上昇すると増加する.
(3) 正 不感蒸泄では, 電解質の喪失はない.
(4) 誤 体内で生成する代謝産物を排泄するのに必要な最小限 (500 mL) の尿を不可避尿と呼ぶ.
(5) 誤 不可避尿量は, 摂取する水分量によって変わらない.

3=(3)
(1) 誤 1日の水分必要量 (約 2,400 mL) は, 不感蒸泄量 (約 800 mL) よりも多い.
(2) 誤 食物から摂取する水分は, 飲料水として摂取する水分とほぼ同量 (約 1,100 mL) である.
(3) 正 1日あたり消化管内に分泌される水分の量 (7~8 L) は, 1日あたりの水分の摂取量 (2 L) より多い.
(4) 誤 間脳視床下部の血液浸透圧調節中枢によって, 水分代謝が調節される.
(5) 誤 間脳視床下部の飲水中枢によって, 水分摂取が調節される.

4=(5)
(1) 誤 体重の約 60% を占める水分のうち, 細胞内液は約 40%, 細胞外液は約 20% を占める.
(2) 誤 細胞外液 (血漿, リンパ液, 組織間液) で最も濃度の高い陽イオンはNa+で, 体内のNa+の約半分を占める.
(3) 誤 細胞外液のpHは 7.35~7.45 の非常に狭い範囲に維持されている.
(4) 誤 細胞内液で最も濃度の高い陽イオンはK+で, 細胞内液の浸透圧の維持や体液の平衡維持に重要な働きをしている.
(5) 正 Ca2+濃度は, 細胞外液のほうが細胞内液よりも高い.

5=(4)
(1) 誤 肥満者は, やせた人に比べて体重あたりの脂肪含有量が多く, 水分含有量が少ない.
(2) 誤 成人では, 体内の水分が 1% 減少すると喉の渇きを覚え, 5% 減少すると昏睡状態に陥る.
(3) 誤 乳幼児は腎機能が未発達なので, 脱水が起こりやすい.
(4) 正 細胞の内液と外液の浸透圧に差が生じると, 水分の移動が生じる.
(5) 誤 通常の発汗では電解質よりも水分の喪失の方が大きいため, 細胞外液が高張となる高張性脱水 (水欠乏性脱水) が生じる.

6=(5)
(1) 誤 通常の発汗では電解質よりも水分の喪失の方が大きいため, 細胞外液が高張となる高張性脱水 (水欠乏性脱水) が生じる.
(2) 誤 高張性脱水 (水欠乏性脱水) では, 水は細胞内から細胞外へと移行する.
(3) 誤 激しい発汗では水分よりも電解質の喪失の方が大きいため, 細胞外液が低張となる低張性脱水 (塩欠乏性脱水) が生じる.
(4) 誤 低張性脱水 (塩欠乏性脱水) では, 水は細胞外から細胞内へと移行する.
(5) 正 低張性脱水は同時に電解質の損失を引き起こすので, 電解質を含む水分の捕給が必要である.

7=(2)かつ(5)
(1) 誤 抗利尿ホルモン (バソプレシン) は, 集合管での水の再吸収を促進させる.
(2) 正 抗利尿ホルモン (バソプレシン) により, 尿量が減少して循環血液量が増加する.
(3) 誤 アルドステロンは, 尿細管でのNa+ (と水) の再吸収およびK+の排泄を促進する.
(4) 誤 海水を飲んだ場合, 腎臓の食塩排泄能を上回るので, 血液浸透圧が上昇する.
(5) 正 ナトリウムやカリウムは, 尿中排泄によってバランスを維持している.

8=(2)
(1) 誤 体水分量が不足すると, 水の損失を低下させる目的でバソプレシンの分泌が促進される.
(2) 正 ナトリウムや塩素の尿中排泄量から, 摂取塩化ナトリウム量を推定できる.
(3) 誤 カリウムの多量摂取によりナトリウムの排泄が促進され, 高血圧のリスクは低下する.
(4) 誤 浮腫は, 細胞外 (特に組織間液) に水分が貯留した状態である.
(5) 誤 血清アルブミン値が低いと, 膠質浸透圧が低下して浮腫がおこる.

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次回は, 「10 エネルギー代謝」 の穴埋め問題と正文集です.

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