goo blog サービス終了のお知らせ 

管理栄養士国試のための基礎栄養学と生化学

管理栄養士国家試験のための基礎栄養学や生化学について, 勉強していきましょう.

基礎栄養学 27-44

2013年02月28日 | 日記
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
基礎栄養学 実戦問題8 問題
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1 栄養素の欠乏に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 糖質の摂収不足は, 血中ケトン体濃度の低下をまねく.
(2) 糖質の不足は, ウェルニッケ・コルサコフ症候群の原因となる.
(3) 葉酸の不足は, 貧血を引き起こす.
(4) セレンの欠乏症に, 甲状腺腫がある.
(5) 銅の欠乏症に, ウィルソン病がある.

2 摂食量の調節に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) レプチンは, 下垂体から分泌される.
(2) レプチンは, 視床下部に作用して食欲を抑制する.
(3) 食欲は, 生命維持のために備わった不快感を伴う感覚である.
(4) 動脈血中グルコース濃度の低下は, 摂食中枢を刺激する.
(5) 血中遊離脂肪酸濃度が低下すると, 空腹感とともに食欲が引き起こされることが多い.

3 肝臓の構造と機能に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 肝細胞に酸素を送っているのは, 門脈である.
(2) 門脈と肝動脈は肝門部で合流し, 肝小葉に流入する.
(3) 肝臓は, 補体を合成する.
(4) 血液凝固抑制因子は, 肝臓では合成されない.
(5) 肝細胞は, 脂肪酸を分解する.

4 胆汁に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胆汁の主成分は, 胆汁色素である.
(2) デオキシコール酸は, 一次胆汁酸である.
(3) 多くの天然油脂の消化・吸収には, 胆汁酸塩が不可欠である.
(4) 胆汁は, 酸性である.
(5) 胆汁酸塩は, 脂質や脂溶性ビタミンの変性を促進する.

5 栄養素の消化と吸収に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 小腸において, アミノ酸とジペプチドの輸送体は共通である.
(2) 小腸では, 単糖類と二糖類は吸収されるが, 多糖類は吸収されない.
(3) ビタミンEの吸収率は, 胆汁の分泌が障害されても低下しない.
(4) 小腸でのリンの吸収は, ビタミンDで増加する.
(5) 摂取した水分の大部分は, 胃で吸収される.

6 食物繊維, オリゴ糖, 糖アルコールに関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 食物繊維は, 動物性食品には含まれない.
(2) 不溶性食物繊維は, 便量増加効果が大きい.
(3) ペクチンは, 血清コレステロール濃度を低下させる.
(4) ソルビトールは, 口腔内細菌によって利用される.
(5) 消化吸収されにくいオリゴ糖は, 大量摂取すると低浸透圧性の下痢を生じる.

7 アミノ酸の代謝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 食事たんぱく質の分解によるアミノ酸は, 血液中に蓄えられる.
(2) 必須アミノ酸は, アミノ酸プールに入らずに, ただちに体たんぱく質の合成に利用される.
(3) 代謝プールで過剰となったアミノ酸は, 肝臓に蓄積される.
(4) たんぱく質の合成には, 食事由来のアミノ酸が優先的に利用される.
(5) 体たんぱく質の分解で生じるアミノ酸量は, 小腸から吸収されるアミノ酸量より多い.

8 血糖の調節に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 血清インスリン濃度は, 糖質負荷後20~30分で最大値に達し, 1時間後には負荷前の値に戻る.
(2) グルカゴンは, 過剰に摂取した糖質からの脂肪の合成を促進する.
(3) グルカゴンやアドレナリンは, 肝臓グリコーゲン分解を促進して血糖値を高める.
(4) 骨格筋のグリコーゲンは, 空腹時に分解され, グルコースとなって血中に放出される.
(5) 脂質の多い食事は, 脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの合成を促進する.

9 食後, 食間期の脂質代謝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 食事直後には, キロミクロンのコレステロールが脂肪組織に取り込まれる.
(2) 食後は, 脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が進む.
(3) 食後, 肝臓では, ケトン体合成が増加する.
(4) 脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解は, 絶食により亢進する.
(5) 1日の絶食によって, 肝臓では脂肪酸からのエネルギー産生が低下する.

10 カルシウム代謝とビタミンに関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) カルシウムの摂取量が少ないと, ビタミンDの必要量が減少する.
(2) 活性型ビタミンDは, 小腸粘膜でカルシウム結合たんぱく質を活性化する.
(3) 活性型ビタミンDは, 小腸上部におけるカルシウム吸収を促進する.
(4) ビタミンDを過剰摂取すると, 低カルシウム血症が生じる.
(5) ビタミンDの欠乏は, 発育期では骨軟化症や骨粗鬆症を引きおこす.

11 微量ミネラルに関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) マンガン以下の含有量の少ない元素を, 微量ミネラルと呼んでいる.
(2) 銅が欠乏すると, 貧血となる.
(3) ヨウ素は, スーパーオキシドジスムターゼ (SOD) の構成元素である.
(4) スーパーオキシドジスムターゼには, 亜鉛や銅を含むものがある.
(5) スーパーオキシドジスムターゼには, マンガンを含むものはない.

12 水分必要量と体水分の調節に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 1日の水分必要量は, 不感蒸泄量に等しい.
(2) 食物から摂取する水分は, 飲料水として摂取する水分の 10% 以下である.
(3) 1日あたり消化管内に分泌される水分の量は, 1日あたりの水分の摂取量より多い.
(4) 抗利尿ホルモンは, 尿細管での水分の再吸収を抑制する.
(5) バソプレシン (抗利尿ホルモン) は, 尿量を増加させる.

13 基礎代謝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 基礎代謝は, 坐位の状態での最小エネルギー代謝量である.
(2) 基礎代謝基準値は, 男性は16-17歳で, 女性は13-14歳で最大となる.
(3) 加齢に伴う基礎代謝量の低下には, 除脂肪体重の減少が関与する.
(4) 基礎代謝量のうち, 心臓で費やされるエネルギー量が最も大きい部分を占める.
(5) 外気温が体温より離れるほど, 基礎代謝は亢進する.

14 ある成人の体内における脂質と糖質の酸化について調べたところ, 一定時間内に脂質と糖質を酸化するのに要した酸素は 14.1 L, 脂質と糖質の酸化の結果に生じた二酸化炭素は 12.0 L であった. このとき, 脂質の酸化に要した酸素は何Lか. ただし, 脂質の呼吸商は 0.70, 糖質の呼吸商は 1.0 とする.
(1) 4.0
(2) 5.0
(3) 6.0
(4) 7.0
(5) 8.0

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
基礎栄養学 実戦問題8 解答と解説
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1=(3)
(1) 誤 糖質の摂収不足は, 血中ケトン体濃度の上昇をまねく.
(2) 誤 ビタミンB1の不足は, 脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群の原因となる.
(3) 正 葉酸の不足では, 核酸合成の低下により, 巨赤芽球性貧血を起こす.
(4) 誤 セレンの欠乏は, 克山病 (ケシャン病) の原因となる.
(5) 誤 銅の欠乏症に, メンケス病がある.

2=(2)かつ(4)
(1) 誤 レプチンは, 脂肪組織から分泌される.
(2) 正 レプチンは, 視床下部に作用して食欲を抑制する.
(3) 誤 食欲は, 出生以後の食経験によって形成される感覚である.
(4) 正 動脈血中グルコース濃度の低下は, 摂食中枢を刺激する.
(5) 誤 血糖値の低下や血中遊離脂肪酸濃度の上昇は, 空腹感を引き起こす.

3=(3)かつ(5)
(1) 誤 肝細胞に酸素を送っているのは, 固有肝動脈である.
(2) 誤 門脈と肝動脈は洞様毛細血管で合流し, 直接肝小葉に流入する.
(3) 正 肝臓は, 補体を合成する.
(4) 誤 肝臓は, ヘパリンなどの血液凝固抑制因子を合成する.
(5) 正 肝細胞は, 脂肪酸を分解する.

4=(3)
(1) 誤 胆汁の主成分は, 胆汁酸である.
(2) 誤 デオキシコール酸は, 二次胆汁酸である.
(3) 正 多くの天然油脂の消化・吸収には, 胆汁酸塩が不可欠である.
(4) 誤 胆汁は, 中性~弱アルカリ性 (pH 6.9~7.7) である.
(5) 誤 胆汁酸塩は, 脂質や脂溶性ビタミンの乳化を促進する.

5=(4)
(1) 誤 小腸において, アミノ酸 (Na+依存) とペプチド (H+依存) の輸送担体は異なる.
(2) 誤 小腸では, 単糖類は吸収されるが, 二糖類は吸収されない.
(3) 誤 ビタミンEの吸収率は, 胆汁の分泌が障害されると低下する.
(4) 正 小腸でのリンの吸収は, ビタミンDで増加する.
(5) 誤 摂取した水分の大部分は, 小腸および大腸 (特に小腸) で吸収される.

6=(2)かつ(3)
(1) 誤 食物繊維は, 動物性食品や植物性食品, 人工的な成分に含まれる.
(2) 正 不溶性食物繊維は, 便量増加効果が大きい.
(3) 正 ペクチンは, 血清コレステロール濃度を低下させる.
(4) 誤 糖アルコールは一般に, 口腔内細菌によって利用されない.
(5) 誤 消化吸収されにくいオリゴ糖は, 大量摂取すると高浸透圧性の下痢を生じる.

7=(5)
(1) 誤 食事たんぱく質の分解によるアミノ酸は, 全身に分布するアミノ酸プールに蓄えられる.
(2) 誤 アミノ酸プールには, 必須アミノ酸と非必須アミノ酸が混在している.
(3) 誤 代謝プールで過剰となったアミノ酸は, 蓄積されることなく分解される.
(4) 誤 たんぱく質の合成には, 食事由来のアミノ酸や体たんぱく質の分解によるアミノ酸に関係なく, 必要なものから使われる.
(5) 正 体たんぱく質の分解で生じるアミノ酸量 (約 180 g) は, 小腸から吸収されるアミノ酸量 (約 70 g) より多い.

8=(3)
(1) 誤 血清インスリン濃度は, 糖質負荷後30~60分で最大値に達し, 2時間後には負荷前の値に戻る.
(2) 誤 インスリンは, 脂肪組織におけるトリアシルグリセロール合成を促進する.
(3) 正 グルカゴンやアドレナリンは, 肝臓グリコーゲン分解を促進して血糖値を高める.
(4) 誤 筋肉に貯蔵されたグリコーゲンはグルコース (血糖) にはならず, 筋肉のエネルギー源として利用される.
(5) 誤 糖質を多く含む食事を摂取した後, 脂肪組織ではトリアシルグリセロールの合成が増大する.

9=(4)
(1) 誤 食後は, キロミクロンのトリアシルグリセロールからの脂肪酸が脂肪組織に取り込まれる.
(2) 誤 食後は, 脂肪組織や筋肉でのトリアシルグリセロールの合成が亢進する.
(3) 誤 食後, 肝臓ではケトン体合成が減少する.
(4) 正 空腹時には脂肪組織のホルモン感受性リパーゼが活性化され, 脂肪組織のトリアシルグリセロール分解が促進する.
(5) 誤 空腹時には, 肝臓では脂肪酸のβ酸化の亢進によるエネルギー産生が亢進する.

10=(3)
(1) 誤 カルシウムの摂取量が少ないと, ビタミンDの必要量が増加する.
(2) 誤 活性型ビタミンDは, 小腸粘膜でカルシウム結合たんぱく質を誘導する.
(3) 正 活性型ビタミンDは, 小腸上部 (十二指腸と空腸上部) におけるカルシウム吸収を促進させる.
(4) 誤 ビタミンDの大量摂取は, 高カルシウム血症による腎障害を引き起こす.
(5) 誤 ビタミンDの欠乏は, 発育期ではくる病を, 成人では骨軟化症や骨粗鬆症を引きおこす.

11=(2)かつ(4)
(1) 誤 鉄以下の含有量の少ない元素 (鉄, マンガン, 銅, ヨウ素, コバルト, 亜鉛, セレン, クロム, フッ素など) を, 微量ミネラルという.
(2) 正 銅が欠乏するとセルロプラスミンが形成されず, 鉄輸送ができなくなり, 貧血になる.
(3) 誤 ヨウ素は, スーパーオキシドジスムターゼ (SOD) の構成元素ではない.
(4) 正 スーパーオキシドジスムターゼには, 亜鉛や銅, マンガンを含むものがある.
(5) 誤 スーパーオキシドジスムターゼには, 亜鉛や銅, マンガンを含むものがある.

12=(3)
(1) 誤 1日の水分必要量 (約 2,400 mL) は, 不感蒸泄量 (約 900 mL) よりも多い.
(2) 誤 食物から摂取する水分は, 飲料水として摂取する水分とほぼ同量 (約 1,100 mL) である.
(3) 正 1日あたり消化管内に分泌される水分の量 (7~8 L) は, 1日あたりの水分の摂取量 (2 L) より多い.
(4) 誤 抗利尿ホルモン (パソプレシン) は, 集合管での水の再吸収を促進させる.
(5) 誤 抗利尿ホルモン (パソプレシン) により, 尿量が減少して循環血液量が増加する.

13=(3)
(1) 誤 基礎代謝量は, 早朝空腹時に, 仰臥安静・覚醒状態で, 快適な室温で測定したものである.
(2) 誤 個体当りの基礎代謝量は, 男性は16-17歳で, 女性は13-14歳で最大となる.
(3) 正 加齢に伴う基礎代謝量の低下には, 除脂肪体重の減少が関与する.
(4) 誤 基礎代謝量のうち, 骨格筋で費やされるエネルギー量が最も大きい部分を占める.
(5) 誤 外気温の低下で基礎代謝量が増加し, 外気温の上昇で基礎代謝量が減少する.

14=(4)
「呼吸商=生じた二酸化炭素量÷要した酸素量」 より, 「生じた二酸化炭素量=呼吸商×要した酸素量」 となる.
したがって,脂質の酸化に要した酸素を a L, 糖質の酸化に要した酸素を b L とすると,
脂質の酸化で生じた二酸化炭素は 0.70a L, 糖質の酸化で生じた二酸化炭素は 1.0b L となる.
設問に与えられた数値から,
a+b=14.1 (要した酸素)
0.70a+1.0b=12.0 (生じた二酸化炭素)
が成り立ち, この方程式を解くと, a≒7.0, b≒7.1 となる.
以上より, 脂質の酸化に要した酸素は約 7.0 L である.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

次回は, 基礎栄養学 実戦問題9です.

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。