「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「C 消化器疾患 (h 肝炎 ~ l 膵炎)」 の練習問題と解答・解説です.
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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント C 消化器疾患 (h 肝炎 ~ l 膵炎) 20問 問題
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18 肝炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) A型肝炎は, 成人後に感染したものは慢性化することが少ない.
(2) 劇症肝炎になるのは, A型肝炎が最も多い.
(3) B型肝炎は急性型のみで, 慢性化するものはほとんどない.
(4) 我が国では, 慢性肝炎の 70%はC型肝炎ウイルスの感染による.
(5) C型肝炎は肝硬変に移行し, 更に肝がんになりやすい.
19 肝炎と肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) C型慢性肝炎では, 鉄を補う.
(2) 慢性活動性肝炎では, 黄疸, 男性における乳房の発達, 腹部膨満等がみられる.
(3) 肝硬変の原因に, A型肝炎ウイルス感染がある.
(4) 長期にわたりアルコールを過剰に摂取しても, 肝硬変にはならない.
(5) 肝硬変の長期生存をはばむ原因の1つは, 肝がんに移行することである.
20 非代償性肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変では, 黄疸, 浮腫, 腹水, 意識障害等がみられる.
(2) 肝硬変では, 高アルブミン血症がみられる.
(3) 肝硬変の腹水の原因は, 血漿膠質浸透圧の上昇である.
(4) 肝硬変では, コリンエステラーゼ活性が上昇する.
(5) 肝硬変では, 低γ-グロブリン血症がみられる.
21 非代償性肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変の非代償期における食道静脈瘤の原因は, 門脈圧の低下である.
(2) 肝硬変では, 血小板が増加する.
(3) 肝硬変非代償期では, 血液凝固因子の合成能が低下し, プロトロンビン時間が延長する.
(4) 肝硬変非代償期では, 消化管の出血はみられない.
(5) 肝硬変では, 男性化する.
22 非代償性肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変の非代償期では, フィッシャー比が上昇する.
(2) 肝硬変では, 低インスリン血症を示す.
(3) 肝硬変の非代償期では, 夜間高血糖となりやすい.
(4) 肝硬変におけるたんぱく質の異化亢進の原因として, 血中分岐鎖アミノ酸の増加と芳香族アミノ酸の減少があげられる.
(5) 肝硬変では, 高アンモニア血症を示す.
23 非代償性肝硬変の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, エネルギー量は 20 kcal/kg 標準体重/日とする.
(2) 肝硬変非代償期では, たんぱく質摂取量を 1.0~1.5 g/標準体重 kg/日とする.
(3) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, たんぱく質を 1.0~1.5 g/kg 標準体重/日とする.
(4) 肝硬変非代償期では, たんぱく質摂取量の適否を血清グロブリン値で判断する.
(5) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, 芳香族アミノ酸を投与する.
24 非代償性肝硬変の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 肝硬変の非代償期では, 脂肪エネルギー比率は 30~35% とする.
(2) 肝硬変非代償期で浮腫や腹水があるときは, 減塩 (7 g/日以下) とする.
(3) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, 食物繊維を制限する.
(4) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, ラクツロースを投与する.
(5) 肝硬変非代償期で高ビリルビン血症の場合は, 糖質の摂取過剰を疑う.
25 肝硬変とその食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変非代償期では, 高アンモニア血症は腎不全の誘因となる.
(2) 肝硬変非代償期では, 血中アンモニアは高値を示し, 蝶形紅斑が認められる.
(3) 肝硬変非代償期では, 肝性脳症の発症を予防するために分岐鎖アミノ酸を摂取してフィッシャー比を下げる.
(4) 肝硬変の非代償期では, アルコールで食欲増進をはかる.
(5) 肝硬変の非代償期では, 夜間食 (LES食, late evening snack) を加える.
26 脂肪肝に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 中性脂肪が肝臓に 20% 以上 (肝湿重量当たり) 蓄積した状態を脂肪肝という.
(2) 肝臓への中性脂肪蓄積の要因に, 肝臓での脂肪合成の促進がある.
(3) 肝臓への中性脂肪蓄積の要因に, 肝臓から末梢への脂肪移送障害がある.
(4) 脂肪肝では, 肥満あるいは極度の低栄養状態等がみられる.
(5) 脂肪肝では, 血清総コレステロールおよび遊離脂肪酸の上昇, HDL-コレステロールの低下が認められる.
27 脂肪肝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 脂肪肝では, 血清アミノトランスフェラーゼの低下が認められることが多い.
(2) 脂肪肝では, 血清アンモニア濃度が上昇する.
(3) アルコール性脂肪肝では, γ-GTPは上昇しないが, ALTの上昇が認められる.
(4) 肥満に伴う脂肪肝では, コレステロール胆石は合併しにくい.
(5) アルコールの過剰摂取は, 脂肪肝の原因の1つである.
28 脂肪肝の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) アルコール性脂肪肝では, 酒類は制限するが蒸留酒ならよい.
(2) 低栄養性脂肪肝では, たんぱく質を多くとるように指導する.
(3) 過栄養性脂肪肝では, 食物繊維を制限する.
(4) 過栄養性脂肪肝では, 運動を制限する.
(5) 脂肪肝の食事療法では, 脂肪エネルギー比率を 15% 以下にする.
29 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) C型肝炎ウィルスは, 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) の原因となる.
(2) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, インスリン抵抗性はみられない.
(3) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, 肝臓組織の繊維化が進む.
(4) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, 肝臓組織の鉄量が低下する.
(5) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は, 肝硬変に移行しない.
30 胆石症に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胆石症は, 女性よりも男性に多い疾患である.
(2) 胆石症の多くは, 疝痛発作を起こす.
(3) 胆石症は, 不飽和脂肪酸の過剰摂取が誘因となる.
(4) 日本人では, 胆石の種類としてはビリルビン系結石が多くみられる.
(5) 胆石症の疝痛発作時には, 鎮痙薬を投与する.
31 胆石症とその食事療法に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胆石溶解薬としては, ウルソデオキシコール酸やケノデオキシコール酸が用いられる.
(2) 胆石症の診断には, 超音波, CT検査が有用である.
(3) 胆石症の急性期には, 経静脈的栄養補給を行う.
(4) 胆石症の回復期・間欠期には, たんぱく質を主とした食事とする.
(5) 胆石症では, 脂肪を制限する.
32 胆嚢炎とその食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胆嚢炎では, C反応性たんぱく質 (CRP) は陰性である.
(2) 急性胆嚢炎では, 胃潰瘍が合併する.
(3) 急性期胆嚢炎では, 絶食とする.
(4) 胆嚢炎再発予防期 (無症状) の脂肪摂取量は, 20~30 g/日とする.
(5) 胆嚢炎では, 飽和脂肪酸摂取量を増加させる.
33 急性膵炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 急性膵炎の原因は, アルコールによるものは少ない.
(2) 急性膵炎の症状は上腹部の激痛で, 後屈姿勢で軽減する傾向がある.
(3) 急性膵炎では, 血清リパーゼ値が低下する.
(4) 急性膵炎の感染予防には, 抗生物質を投与する.
(5) 急性膵炎の予後は, 慢性膵炎に進展するものが多い.
34 急性膵炎の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 急性膵炎の急性期は, 経口栄養を実施する.
(2) 急性肝炎の黄疸時には, 脂質制限食とする.
(3) 急性膵炎の症状が安定した場合には, たんぱく質を中心とした流動食から開始する.
(4) 急性膵炎の症状がほぼ回復した (安定期~予防期) 場合には, 脂肪の摂取を開始する.
(5) 急性膵炎が完全に治癒し, 再発する可能性が低い場合でも, 脂肪制限は継続する.
35 慢性膵炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 日本人男性の場合, 慢性膵炎の主たる原因は高脂肪食である.
(2) 慢性膵炎非代償期患者では, 血中アミラーゼ値は上昇する.
(3) 慢性膵炎非代償期患者では, 消化吸収機能は亢進する.
(4) 慢性膵炎の非代償期には, 脂肪性下痢が生じる.
(5) 慢性膵炎非代償期患者では, 腹部疼痛は増強する.
36 慢性膵炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 慢性膵炎非代償期患者では, 血糖値は上昇する.
(2) 慢性膵炎では, 脂肪負荷試験を行う.
(3) 慢性膵炎では, グルカゴン分泌能が上昇する.
(4) 慢性膵炎非代償期患者では, 体重は増加する.
(5) 慢性膵炎では, 膵石症を認めることは少ない.
37 慢性膵炎とその食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 慢性膵炎では, 脂肪摂取を制限する.
(2) 慢性膵炎の安定時の食事は, 低たんぱく質食とする.
(3) 慢性膵炎では, 糖質やたんぱく質も制限するのが望ましい.
(4) 慢性膵炎の再燃時には, 脂肪摂取量を 30~50 g/日とする.
(5) 慢性膵炎の急性再燃時には, 粥食とする.
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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント C 消化器疾患 (h 肝炎 ~ l 膵炎) 20問 解答と解説
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18=(4)かつ(5)
(1) 誤 B型肝炎は, 成人後に感染したものは慢性化することが少ない.
(2) 誤 劇症肝炎になるのは, B型肝炎が最も多い.
(3) 誤 A型肝炎は急性型のみで, 慢性化するものはほとんどない.
(4) 正 我が国では, 慢性肝炎の 70%はC型肝炎ウイルスの感染による.
(5) 正 C型肝炎は肝硬変に移行し, 更に肝がんになりやすい.
19=(2)かつ(5)
(1) 誤 C型慢性肝炎では肝臓に鉄分が過剰に蓄積するため, C型慢性肝炎では鉄の過剰摂取を避ける.
(2) 正 慢性活動性肝炎では, 黄疸, 男性における乳房の発達, 腹部膨満等がみられる.
(3) 誤 肝硬変の原因に, C型肝炎ウイルス感染がある.
(4) 誤 長期にわたりアルコールを過剰に摂取すると, 肝硬変になることがある.
(5) 正 肝硬変の長期生存をはばむ原因の1つは, 肝がんに移行することである.
20=(1)
(1) 正 肝硬変では, 黄疸, 浮腫, 腹水, 意識障害等がみられる.
(2) 誤 アルブミンは肝臓で合成されるため, 肝硬変では低アルブミン血症がみられる.
(3) 誤 肝硬変の腹水の原因は, アルブミン合成の低下による血漿膠質浸透圧の低下である.
(4) 誤 コリンエステラーゼは肝臓で合成されるため, 肝硬変ではコリンエステラーゼ活性が低下する.
(5) 誤 肝硬変ではIgGやIgAが上昇するため, 高γ-グロブリン血症がみられる.
21=(3)
(1) 誤 肝硬変では門脈圧が亢進し, 門脈血が食道静脈等に流れるため, 食道静脈瘤がみられる.
(2) 誤 肝硬変では, 門脈圧亢進により脾臓に血液が停滞する結果, 必要以上に血球が壊され, 汎血球減少症となり, 血小板が減少する.
(3) 正 肝硬変非代償期では, 血液凝固因子の合成能が低下し, プロトロンビン時間が延長する.
(4) 誤 肝硬変非代償期では, 凝固因子の合成不全や血小板の減少により, 消化管出血がみられる.
(5) 誤 肝硬変では, 肝臓でのエストロゲン分解が障害され, 女性化する.
22=(5)
(1) 誤 肝硬変では, 肝臓で芳香族アミノ酸が代謝されなくなり, フィッシャー比 (BCAA/AAA) が低下する.
(2) 誤 肝硬変では, 肝臓へのグルコース取込みの低下による高血糖などの結果, 高インスリン血症を示す.
(3) 誤 肝硬変の非代償期では, 肝の糖新生低下により夜間低血糖となりやすい.
(4) 誤 肝硬変におけるたんぱく質の異化亢進の原因として, 肝臓のグリコーゲン合成・貯蔵の障害による糖新生の亢進があげられる.
(5) 正 肝硬変では, 尿素回路の障害やたんぱく質の異化亢進, 便秘によるアンモニア産生増加などが高アンモニア血症の原因となる.
23=(2)
(1) 誤 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, エネルギー量は 25~30 kcal/kg 標準体重/日とする.
(2) 正 肝硬変非代償期では, たんぱく質摂取量を 1.0~1.5 g/標準体重 kg/日とする.
(3) 誤 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, たんぱく質を 0.5~0.8 g/kg 標準体重/日とする.
(4) 誤 肝硬変非代償期では, たんぱく質摂取量の適否を血清アルブミン値で判断する.
(5) 誤 肝硬変では, アミノ酸インバランス, ひいては肝性脳症を防ぐために, 分岐鎖アミノ酸を補充する.
24=(2)かつ(4)
(1) 誤 肝硬変非代償期では, 脂質エネルギー比は健常者と同じ (20~25%) とする.
(2) 正 肝硬変で腹水がみられる場合には, 利尿剤投与と食塩制限 (5~7 g/日) が有効である.
(3) 誤 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, 15 g/日以上を目安として食物繊維の摂取に努める.
(4) 正 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, 便秘予防にラクツロースを投与する.
(5) 誤 肝硬変非代償期で高ビリルビン血症の場合は, 脂質やアルコールの過剰摂取, 肝機能の悪化などを疑う.
25=(5)
(1) 誤 肝硬変非代償期では, 高アンモニア血症は肝性脳症の誘因となる.
(2) 誤 肝硬変非代償期では, 血中アンモニアは高値を示し, 羽ばたき振戦が認められる.
(3) 誤 肝硬変非代償期では, 肝性脳症の発症を予防するために分岐鎖アミノ酸を摂取してフィッシャー比を高める.
(4) 誤 肝硬変の非代償期では, アルコールを制限する.
(5) 正 肝硬変の非代償期では, 低血糖予防のために夜間食 (LES食, late evening snack) を加える.
26=(1)
(1) 誤 中性脂肪が肝臓に 5% 以上 (肝湿重量当たり) 蓄積した状態を脂肪肝という.
(2) 正 肝臓への中性脂肪蓄積の要因には, 肝臓での脂肪合成の促進や肝臓から末梢への脂肪移送障害がある.
(3) 正 肝臓への中性脂肪蓄積の要因には, 肝臓での脂肪合成の促進や肝臓から末梢への脂肪移送障害がある.
(4) 正 脂肪肝では, 肥満あるいは極度の低栄養状態等がみられる.
(5) 正 脂肪肝では, 血清総コレステロールおよび遊離脂肪酸の上昇, HDL-コレステロールの低下が認められる.
27=(5)
(1) 誤 脂肪肝では, 血清アミノトランスフェラーゼの中等度の上昇が認められることが多い.
(2) 誤 脂肪肝では, まだ肝細胞 (の中の尿素回路) が機能しているので, 血清アンモニア濃度は上昇しない.
(3) 誤 アルコール性脂肪肝では, γ-GTPの上昇が顕著であるほか, ALTの上昇も認められる.
(4) 誤 肥満に伴う脂肪肝では, 肝臓でのコレステロールの合成や胆汁中への排泄が亢進しているため, コレステロール胆石も合併しやすい.
(5) 正 アルコールの過剰摂取では, アルコールが肝臓で代謝されてエネルギーが産生される結果, 肝臓での脂肪の異化が低下し, 肝臓に蓄積するため, 脂肪肝となる.
28=(2)
(1) 誤 アルコール性脂肪肝では, 酒類はすべて禁酒とする.
(2) 正 低栄養性脂肪肝では, たんぱく質を多くとるように指導する.
(3) 誤 過栄養性脂肪肝では, 食物繊維を積極的に摂取させる.
(4) 誤 過栄養性脂肪肝では, 適度な運動を行わせる.
(5) 誤 脂肪肝の食事療法では, 脂肪エネルギー比率を 20% とし, 動物性の脂肪を控える.
29=(3)
(1) 誤 肥満や非アルコール性脂肪肝 (NAFLD) は, 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) の原因となる.
(2) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, インスリン抵抗性がみられる.
(3) 正 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, 肝臓組織の繊維化が進む.
(4) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, 肝臓組織の鉄量が増加するので, フェリチン高値の場合は鉄制限食とする.
(5) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は, 肝硬変, ひいては肝臓がんに移行することがある.
30=(5)
(1) 誤 胆石症は, 男性よりも女性に多い疾患である.
(2) 誤 胆石症の半数以上は, 無症状である.
(3) 誤 飽和脂肪酸の過剰摂取は, 胆石症発作の誘発要因になる.
(4) 誤 日本人では, 胆石の種類としてはコレステロール系結石が多くみられる.
(5) 正 胆石症の疝痛発作時には, 鎮痙薬を投与する.
31=(4)
(1) 正 胆石溶解薬としては, ウルソデオキシコール酸やケノデオキシコール酸が用いられる.
(2) 正 胆石症の診断には, 超音波, CT検査が有用である.
(3) 正 胆石症の急性期には, 経静脈的栄養補給を行う.
(4) 誤 胆石症の回復期・間欠期には, 糖質を主とした食事とする.
(5) 正 胆石症では, 脂肪を制限 (10~30 g/日) する.
32=(3)
(1) 誤 胆嚢炎では, C反応性たんぱく質 (CRP) は陽性である.
(2) 誤 急性胆嚢炎では, 胃潰瘍が合併することはない.
(3) 正 急性期胆嚢炎では, 絶食とする.
(4) 誤 胆嚢炎再発予防期 (無症状) の脂肪摂取量は, 40~50 g/日とする.
(5) 誤 胆嚢炎では, 胆のう収縮を抑制するため, 飽和脂肪酸摂取量を制限させる.
33=(4)
(1) 誤 急性膵炎の原因は, アルコールによるものが比較的多い.
(2) 誤 急性膵炎の症状は上腹部の激痛で, 強い前屈姿勢で軽減する傾向がある.
(3) 誤 急性膵炎では, 膵酵素が血中に漏出するため血清アミラーゼやリパーゼが高値となる.
(4) 正 急性膵炎の感染予防には, 抗生物質を投与する.
(5) 誤 急性膵炎の予後は, 慢性膵炎に進展するものはまれである.
34=(2)
(1) 誤 急性膵炎の急性期は絶飲食とし, 静脈栄養法を実施する.
(2) 正 急性肝炎の黄疸時には, 胆汁の分泌を抑えるため脂質制限食 (20~30 g/日) とする.
(3) 誤 急性膵炎の症状が安定した場合には, 炭水化物を中心とした流動食から開始する.
(4) 誤 急性膵炎の症状がほぼ回復した (安定期~予防期) 場合でも, 脂肪制限は継続する.
(5) 誤 急性膵炎が完全に治癒し, 再発する可能性が低い場合には, 脂肪制限の程度をゆるめる.
35=(4)
(1) 誤 慢性膵炎の原因として, アルコールの過剰摂取が最も多い.
(2) 誤 慢性膵炎の非代償期には, 膵機能の喪失により膵酵素活性 (血清アミラーゼ, リパーゼなど) が低下する.
(3) 誤 慢性膵炎非代償期患者では消化吸収機能が低下し, 消化酵素薬の大量投与が必要となる.
(4) 正 慢性膵炎の非代償期には, リパーゼの分泌障害により脂肪性下痢が生じる.
(5) 誤 慢性膵炎非代償期患者では, 膵外分泌機能低下により腹部疼痛は軽減する.
36=(1)
(1) 正 慢性膵炎非代償期患者では, インスリンの分泌低下により二次性糖尿病をきたし, 血糖値が上昇する.
(2) 誤 慢性膵炎では, 経口グルコース負荷試験を行う.
(3) 誤 慢性膵炎では, グルカゴン分泌能が低下する.
(4) 誤 慢性膵炎非代償期患者では, 体重は減少する.
(5) 誤 慢性膵炎では, 膵石症を認めることが多い.
37=(1)
(1) 正 脂肪の摂取は, 強力な膵液分泌促進作用をもつセクレチンやコレシストキニンの分泌を刺激する.
(2) 誤 慢性膵炎の安定時の食事は, 低脂肪食とする.
(3) 誤 慢性膵炎では, 糖質やたんぱく質は適正範囲内であればとくに制限はしない.
(4) 誤 慢性膵炎の再燃時には, 脂肪摂取量を 10~20 g/日とするか, 絶飲絶食・静脈栄養とする.
(5) 誤 慢性膵炎の急性再燃時には, 静脈栄養により栄養補給を行う.
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次回は, 「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「D 循環器疾患」 の穴埋め問題と正文集です.
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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント C 消化器疾患 (h 肝炎 ~ l 膵炎) 20問 問題
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18 肝炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) A型肝炎は, 成人後に感染したものは慢性化することが少ない.
(2) 劇症肝炎になるのは, A型肝炎が最も多い.
(3) B型肝炎は急性型のみで, 慢性化するものはほとんどない.
(4) 我が国では, 慢性肝炎の 70%はC型肝炎ウイルスの感染による.
(5) C型肝炎は肝硬変に移行し, 更に肝がんになりやすい.
19 肝炎と肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) C型慢性肝炎では, 鉄を補う.
(2) 慢性活動性肝炎では, 黄疸, 男性における乳房の発達, 腹部膨満等がみられる.
(3) 肝硬変の原因に, A型肝炎ウイルス感染がある.
(4) 長期にわたりアルコールを過剰に摂取しても, 肝硬変にはならない.
(5) 肝硬変の長期生存をはばむ原因の1つは, 肝がんに移行することである.
20 非代償性肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変では, 黄疸, 浮腫, 腹水, 意識障害等がみられる.
(2) 肝硬変では, 高アルブミン血症がみられる.
(3) 肝硬変の腹水の原因は, 血漿膠質浸透圧の上昇である.
(4) 肝硬変では, コリンエステラーゼ活性が上昇する.
(5) 肝硬変では, 低γ-グロブリン血症がみられる.
21 非代償性肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変の非代償期における食道静脈瘤の原因は, 門脈圧の低下である.
(2) 肝硬変では, 血小板が増加する.
(3) 肝硬変非代償期では, 血液凝固因子の合成能が低下し, プロトロンビン時間が延長する.
(4) 肝硬変非代償期では, 消化管の出血はみられない.
(5) 肝硬変では, 男性化する.
22 非代償性肝硬変に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変の非代償期では, フィッシャー比が上昇する.
(2) 肝硬変では, 低インスリン血症を示す.
(3) 肝硬変の非代償期では, 夜間高血糖となりやすい.
(4) 肝硬変におけるたんぱく質の異化亢進の原因として, 血中分岐鎖アミノ酸の増加と芳香族アミノ酸の減少があげられる.
(5) 肝硬変では, 高アンモニア血症を示す.
23 非代償性肝硬変の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, エネルギー量は 20 kcal/kg 標準体重/日とする.
(2) 肝硬変非代償期では, たんぱく質摂取量を 1.0~1.5 g/標準体重 kg/日とする.
(3) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, たんぱく質を 1.0~1.5 g/kg 標準体重/日とする.
(4) 肝硬変非代償期では, たんぱく質摂取量の適否を血清グロブリン値で判断する.
(5) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, 芳香族アミノ酸を投与する.
24 非代償性肝硬変の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 肝硬変の非代償期では, 脂肪エネルギー比率は 30~35% とする.
(2) 肝硬変非代償期で浮腫や腹水があるときは, 減塩 (7 g/日以下) とする.
(3) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, 食物繊維を制限する.
(4) 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, ラクツロースを投与する.
(5) 肝硬変非代償期で高ビリルビン血症の場合は, 糖質の摂取過剰を疑う.
25 肝硬変とその食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 肝硬変非代償期では, 高アンモニア血症は腎不全の誘因となる.
(2) 肝硬変非代償期では, 血中アンモニアは高値を示し, 蝶形紅斑が認められる.
(3) 肝硬変非代償期では, 肝性脳症の発症を予防するために分岐鎖アミノ酸を摂取してフィッシャー比を下げる.
(4) 肝硬変の非代償期では, アルコールで食欲増進をはかる.
(5) 肝硬変の非代償期では, 夜間食 (LES食, late evening snack) を加える.
26 脂肪肝に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 中性脂肪が肝臓に 20% 以上 (肝湿重量当たり) 蓄積した状態を脂肪肝という.
(2) 肝臓への中性脂肪蓄積の要因に, 肝臓での脂肪合成の促進がある.
(3) 肝臓への中性脂肪蓄積の要因に, 肝臓から末梢への脂肪移送障害がある.
(4) 脂肪肝では, 肥満あるいは極度の低栄養状態等がみられる.
(5) 脂肪肝では, 血清総コレステロールおよび遊離脂肪酸の上昇, HDL-コレステロールの低下が認められる.
27 脂肪肝に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 脂肪肝では, 血清アミノトランスフェラーゼの低下が認められることが多い.
(2) 脂肪肝では, 血清アンモニア濃度が上昇する.
(3) アルコール性脂肪肝では, γ-GTPは上昇しないが, ALTの上昇が認められる.
(4) 肥満に伴う脂肪肝では, コレステロール胆石は合併しにくい.
(5) アルコールの過剰摂取は, 脂肪肝の原因の1つである.
28 脂肪肝の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) アルコール性脂肪肝では, 酒類は制限するが蒸留酒ならよい.
(2) 低栄養性脂肪肝では, たんぱく質を多くとるように指導する.
(3) 過栄養性脂肪肝では, 食物繊維を制限する.
(4) 過栄養性脂肪肝では, 運動を制限する.
(5) 脂肪肝の食事療法では, 脂肪エネルギー比率を 15% 以下にする.
29 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) C型肝炎ウィルスは, 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) の原因となる.
(2) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, インスリン抵抗性はみられない.
(3) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, 肝臓組織の繊維化が進む.
(4) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, 肝臓組織の鉄量が低下する.
(5) 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は, 肝硬変に移行しない.
30 胆石症に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胆石症は, 女性よりも男性に多い疾患である.
(2) 胆石症の多くは, 疝痛発作を起こす.
(3) 胆石症は, 不飽和脂肪酸の過剰摂取が誘因となる.
(4) 日本人では, 胆石の種類としてはビリルビン系結石が多くみられる.
(5) 胆石症の疝痛発作時には, 鎮痙薬を投与する.
31 胆石症とその食事療法に関する記述である. 誤っているのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胆石溶解薬としては, ウルソデオキシコール酸やケノデオキシコール酸が用いられる.
(2) 胆石症の診断には, 超音波, CT検査が有用である.
(3) 胆石症の急性期には, 経静脈的栄養補給を行う.
(4) 胆石症の回復期・間欠期には, たんぱく質を主とした食事とする.
(5) 胆石症では, 脂肪を制限する.
32 胆嚢炎とその食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 胆嚢炎では, C反応性たんぱく質 (CRP) は陰性である.
(2) 急性胆嚢炎では, 胃潰瘍が合併する.
(3) 急性期胆嚢炎では, 絶食とする.
(4) 胆嚢炎再発予防期 (無症状) の脂肪摂取量は, 20~30 g/日とする.
(5) 胆嚢炎では, 飽和脂肪酸摂取量を増加させる.
33 急性膵炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 急性膵炎の原因は, アルコールによるものは少ない.
(2) 急性膵炎の症状は上腹部の激痛で, 後屈姿勢で軽減する傾向がある.
(3) 急性膵炎では, 血清リパーゼ値が低下する.
(4) 急性膵炎の感染予防には, 抗生物質を投与する.
(5) 急性膵炎の予後は, 慢性膵炎に進展するものが多い.
34 急性膵炎の食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 急性膵炎の急性期は, 経口栄養を実施する.
(2) 急性肝炎の黄疸時には, 脂質制限食とする.
(3) 急性膵炎の症状が安定した場合には, たんぱく質を中心とした流動食から開始する.
(4) 急性膵炎の症状がほぼ回復した (安定期~予防期) 場合には, 脂肪の摂取を開始する.
(5) 急性膵炎が完全に治癒し, 再発する可能性が低い場合でも, 脂肪制限は継続する.
35 慢性膵炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 日本人男性の場合, 慢性膵炎の主たる原因は高脂肪食である.
(2) 慢性膵炎非代償期患者では, 血中アミラーゼ値は上昇する.
(3) 慢性膵炎非代償期患者では, 消化吸収機能は亢進する.
(4) 慢性膵炎の非代償期には, 脂肪性下痢が生じる.
(5) 慢性膵炎非代償期患者では, 腹部疼痛は増強する.
36 慢性膵炎に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 慢性膵炎非代償期患者では, 血糖値は上昇する.
(2) 慢性膵炎では, 脂肪負荷試験を行う.
(3) 慢性膵炎では, グルカゴン分泌能が上昇する.
(4) 慢性膵炎非代償期患者では, 体重は増加する.
(5) 慢性膵炎では, 膵石症を認めることは少ない.
37 慢性膵炎とその食事療法に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 慢性膵炎では, 脂肪摂取を制限する.
(2) 慢性膵炎の安定時の食事は, 低たんぱく質食とする.
(3) 慢性膵炎では, 糖質やたんぱく質も制限するのが望ましい.
(4) 慢性膵炎の再燃時には, 脂肪摂取量を 30~50 g/日とする.
(5) 慢性膵炎の急性再燃時には, 粥食とする.
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9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント C 消化器疾患 (h 肝炎 ~ l 膵炎) 20問 解答と解説
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18=(4)かつ(5)
(1) 誤 B型肝炎は, 成人後に感染したものは慢性化することが少ない.
(2) 誤 劇症肝炎になるのは, B型肝炎が最も多い.
(3) 誤 A型肝炎は急性型のみで, 慢性化するものはほとんどない.
(4) 正 我が国では, 慢性肝炎の 70%はC型肝炎ウイルスの感染による.
(5) 正 C型肝炎は肝硬変に移行し, 更に肝がんになりやすい.
19=(2)かつ(5)
(1) 誤 C型慢性肝炎では肝臓に鉄分が過剰に蓄積するため, C型慢性肝炎では鉄の過剰摂取を避ける.
(2) 正 慢性活動性肝炎では, 黄疸, 男性における乳房の発達, 腹部膨満等がみられる.
(3) 誤 肝硬変の原因に, C型肝炎ウイルス感染がある.
(4) 誤 長期にわたりアルコールを過剰に摂取すると, 肝硬変になることがある.
(5) 正 肝硬変の長期生存をはばむ原因の1つは, 肝がんに移行することである.
20=(1)
(1) 正 肝硬変では, 黄疸, 浮腫, 腹水, 意識障害等がみられる.
(2) 誤 アルブミンは肝臓で合成されるため, 肝硬変では低アルブミン血症がみられる.
(3) 誤 肝硬変の腹水の原因は, アルブミン合成の低下による血漿膠質浸透圧の低下である.
(4) 誤 コリンエステラーゼは肝臓で合成されるため, 肝硬変ではコリンエステラーゼ活性が低下する.
(5) 誤 肝硬変ではIgGやIgAが上昇するため, 高γ-グロブリン血症がみられる.
21=(3)
(1) 誤 肝硬変では門脈圧が亢進し, 門脈血が食道静脈等に流れるため, 食道静脈瘤がみられる.
(2) 誤 肝硬変では, 門脈圧亢進により脾臓に血液が停滞する結果, 必要以上に血球が壊され, 汎血球減少症となり, 血小板が減少する.
(3) 正 肝硬変非代償期では, 血液凝固因子の合成能が低下し, プロトロンビン時間が延長する.
(4) 誤 肝硬変非代償期では, 凝固因子の合成不全や血小板の減少により, 消化管出血がみられる.
(5) 誤 肝硬変では, 肝臓でのエストロゲン分解が障害され, 女性化する.
22=(5)
(1) 誤 肝硬変では, 肝臓で芳香族アミノ酸が代謝されなくなり, フィッシャー比 (BCAA/AAA) が低下する.
(2) 誤 肝硬変では, 肝臓へのグルコース取込みの低下による高血糖などの結果, 高インスリン血症を示す.
(3) 誤 肝硬変の非代償期では, 肝の糖新生低下により夜間低血糖となりやすい.
(4) 誤 肝硬変におけるたんぱく質の異化亢進の原因として, 肝臓のグリコーゲン合成・貯蔵の障害による糖新生の亢進があげられる.
(5) 正 肝硬変では, 尿素回路の障害やたんぱく質の異化亢進, 便秘によるアンモニア産生増加などが高アンモニア血症の原因となる.
23=(2)
(1) 誤 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, エネルギー量は 25~30 kcal/kg 標準体重/日とする.
(2) 正 肝硬変非代償期では, たんぱく質摂取量を 1.0~1.5 g/標準体重 kg/日とする.
(3) 誤 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, たんぱく質を 0.5~0.8 g/kg 標準体重/日とする.
(4) 誤 肝硬変非代償期では, たんぱく質摂取量の適否を血清アルブミン値で判断する.
(5) 誤 肝硬変では, アミノ酸インバランス, ひいては肝性脳症を防ぐために, 分岐鎖アミノ酸を補充する.
24=(2)かつ(4)
(1) 誤 肝硬変非代償期では, 脂質エネルギー比は健常者と同じ (20~25%) とする.
(2) 正 肝硬変で腹水がみられる場合には, 利尿剤投与と食塩制限 (5~7 g/日) が有効である.
(3) 誤 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, 15 g/日以上を目安として食物繊維の摂取に努める.
(4) 正 肝性脳症を繰り返す肝硬変患者では, 便秘予防にラクツロースを投与する.
(5) 誤 肝硬変非代償期で高ビリルビン血症の場合は, 脂質やアルコールの過剰摂取, 肝機能の悪化などを疑う.
25=(5)
(1) 誤 肝硬変非代償期では, 高アンモニア血症は肝性脳症の誘因となる.
(2) 誤 肝硬変非代償期では, 血中アンモニアは高値を示し, 羽ばたき振戦が認められる.
(3) 誤 肝硬変非代償期では, 肝性脳症の発症を予防するために分岐鎖アミノ酸を摂取してフィッシャー比を高める.
(4) 誤 肝硬変の非代償期では, アルコールを制限する.
(5) 正 肝硬変の非代償期では, 低血糖予防のために夜間食 (LES食, late evening snack) を加える.
26=(1)
(1) 誤 中性脂肪が肝臓に 5% 以上 (肝湿重量当たり) 蓄積した状態を脂肪肝という.
(2) 正 肝臓への中性脂肪蓄積の要因には, 肝臓での脂肪合成の促進や肝臓から末梢への脂肪移送障害がある.
(3) 正 肝臓への中性脂肪蓄積の要因には, 肝臓での脂肪合成の促進や肝臓から末梢への脂肪移送障害がある.
(4) 正 脂肪肝では, 肥満あるいは極度の低栄養状態等がみられる.
(5) 正 脂肪肝では, 血清総コレステロールおよび遊離脂肪酸の上昇, HDL-コレステロールの低下が認められる.
27=(5)
(1) 誤 脂肪肝では, 血清アミノトランスフェラーゼの中等度の上昇が認められることが多い.
(2) 誤 脂肪肝では, まだ肝細胞 (の中の尿素回路) が機能しているので, 血清アンモニア濃度は上昇しない.
(3) 誤 アルコール性脂肪肝では, γ-GTPの上昇が顕著であるほか, ALTの上昇も認められる.
(4) 誤 肥満に伴う脂肪肝では, 肝臓でのコレステロールの合成や胆汁中への排泄が亢進しているため, コレステロール胆石も合併しやすい.
(5) 正 アルコールの過剰摂取では, アルコールが肝臓で代謝されてエネルギーが産生される結果, 肝臓での脂肪の異化が低下し, 肝臓に蓄積するため, 脂肪肝となる.
28=(2)
(1) 誤 アルコール性脂肪肝では, 酒類はすべて禁酒とする.
(2) 正 低栄養性脂肪肝では, たんぱく質を多くとるように指導する.
(3) 誤 過栄養性脂肪肝では, 食物繊維を積極的に摂取させる.
(4) 誤 過栄養性脂肪肝では, 適度な運動を行わせる.
(5) 誤 脂肪肝の食事療法では, 脂肪エネルギー比率を 20% とし, 動物性の脂肪を控える.
29=(3)
(1) 誤 肥満や非アルコール性脂肪肝 (NAFLD) は, 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) の原因となる.
(2) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, インスリン抵抗性がみられる.
(3) 正 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, 肝臓組織の繊維化が進む.
(4) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) では, 肝臓組織の鉄量が増加するので, フェリチン高値の場合は鉄制限食とする.
(5) 誤 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は, 肝硬変, ひいては肝臓がんに移行することがある.
30=(5)
(1) 誤 胆石症は, 男性よりも女性に多い疾患である.
(2) 誤 胆石症の半数以上は, 無症状である.
(3) 誤 飽和脂肪酸の過剰摂取は, 胆石症発作の誘発要因になる.
(4) 誤 日本人では, 胆石の種類としてはコレステロール系結石が多くみられる.
(5) 正 胆石症の疝痛発作時には, 鎮痙薬を投与する.
31=(4)
(1) 正 胆石溶解薬としては, ウルソデオキシコール酸やケノデオキシコール酸が用いられる.
(2) 正 胆石症の診断には, 超音波, CT検査が有用である.
(3) 正 胆石症の急性期には, 経静脈的栄養補給を行う.
(4) 誤 胆石症の回復期・間欠期には, 糖質を主とした食事とする.
(5) 正 胆石症では, 脂肪を制限 (10~30 g/日) する.
32=(3)
(1) 誤 胆嚢炎では, C反応性たんぱく質 (CRP) は陽性である.
(2) 誤 急性胆嚢炎では, 胃潰瘍が合併することはない.
(3) 正 急性期胆嚢炎では, 絶食とする.
(4) 誤 胆嚢炎再発予防期 (無症状) の脂肪摂取量は, 40~50 g/日とする.
(5) 誤 胆嚢炎では, 胆のう収縮を抑制するため, 飽和脂肪酸摂取量を制限させる.
33=(4)
(1) 誤 急性膵炎の原因は, アルコールによるものが比較的多い.
(2) 誤 急性膵炎の症状は上腹部の激痛で, 強い前屈姿勢で軽減する傾向がある.
(3) 誤 急性膵炎では, 膵酵素が血中に漏出するため血清アミラーゼやリパーゼが高値となる.
(4) 正 急性膵炎の感染予防には, 抗生物質を投与する.
(5) 誤 急性膵炎の予後は, 慢性膵炎に進展するものはまれである.
34=(2)
(1) 誤 急性膵炎の急性期は絶飲食とし, 静脈栄養法を実施する.
(2) 正 急性肝炎の黄疸時には, 胆汁の分泌を抑えるため脂質制限食 (20~30 g/日) とする.
(3) 誤 急性膵炎の症状が安定した場合には, 炭水化物を中心とした流動食から開始する.
(4) 誤 急性膵炎の症状がほぼ回復した (安定期~予防期) 場合でも, 脂肪制限は継続する.
(5) 誤 急性膵炎が完全に治癒し, 再発する可能性が低い場合には, 脂肪制限の程度をゆるめる.
35=(4)
(1) 誤 慢性膵炎の原因として, アルコールの過剰摂取が最も多い.
(2) 誤 慢性膵炎の非代償期には, 膵機能の喪失により膵酵素活性 (血清アミラーゼ, リパーゼなど) が低下する.
(3) 誤 慢性膵炎非代償期患者では消化吸収機能が低下し, 消化酵素薬の大量投与が必要となる.
(4) 正 慢性膵炎の非代償期には, リパーゼの分泌障害により脂肪性下痢が生じる.
(5) 誤 慢性膵炎非代償期患者では, 膵外分泌機能低下により腹部疼痛は軽減する.
36=(1)
(1) 正 慢性膵炎非代償期患者では, インスリンの分泌低下により二次性糖尿病をきたし, 血糖値が上昇する.
(2) 誤 慢性膵炎では, 経口グルコース負荷試験を行う.
(3) 誤 慢性膵炎では, グルカゴン分泌能が低下する.
(4) 誤 慢性膵炎非代償期患者では, 体重は減少する.
(5) 誤 慢性膵炎では, 膵石症を認めることが多い.
37=(1)
(1) 正 脂肪の摂取は, 強力な膵液分泌促進作用をもつセクレチンやコレシストキニンの分泌を刺激する.
(2) 誤 慢性膵炎の安定時の食事は, 低脂肪食とする.
(3) 誤 慢性膵炎では, 糖質やたんぱく質は適正範囲内であればとくに制限はしない.
(4) 誤 慢性膵炎の再燃時には, 脂肪摂取量を 10~20 g/日とするか, 絶飲絶食・静脈栄養とする.
(5) 誤 慢性膵炎の急性再燃時には, 静脈栄養により栄養補給を行う.
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次回は, 「9 疾患・病態別栄養ケア・マネジメント」 の 「D 循環器疾患」 の穴埋め問題と正文集です.