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上五島住民新聞ブログ版

みんなで町政と自分たちの町を考えるインターネットスペース。新上五島町より発信。

まちづくり もうひとつの選択肢7(7月号2面より)

2006年07月13日 | 新聞記事(一部公開)
議会の在りかたを条例化
北海道 栗山町

 5月18日、北海道・栗山町議会(定数18)は町民の意思をより的確に町政に反映させることを目的として、その具体的方策を盛り込んだ「議会基本条例」を全会一致で可決した。この条例は議会運営のための「会議規則」等とは一線を画す議会運営の最高規範。
この条例の大きなポイントは議会が請願および陳情を「町民による政策提案」として位置づけることをはっきりと示していること。
また、本会議における議員同士の討論や議員の質問に対する町長の反問を可能にするなど議会での活発な論議を促すほか、
・重要案件に対する各議員の態度を議会広報で公表すること、
・議員による年一回以上の政務調査費による活動状況報告の義務化、
・少なくとも年一回の町民に対する議会報告会(全議員出席)、
・議員と町民が自由に意見交換する「一般会議」の設置、
・傍聴者への資料配布や全町民が利用可能な議会資料室の設置
など抽象的でなく具体的な規定をこまかく定め、議会の透明性を高め審議内容と政策の水準を高めて町民が町政に対して自由に意見を交換し政策に参加できるように配慮された内容になっている。
栗山町は人口約一万四千五百人。同議会はこれまでもインターネットによる議会中継(H14年開始、18年より録画による時間外配信も開始)や議員全員による議会報告会など積極的に改革に取り組んできた。
この条例でさらに、これまでの議会・議員の在り方が大きく転換すると見られる。この記事を伝えた新聞記事でも、識者のコメントとして「議会の在り方を大きく変える」と積極的な評価。本紙もこの1年間議会を可能な限り傍聴してきたが、町民代表としての議会と町民、町と町民との距離は遠いと実感している。町民の請願を政策提案と位置づけるとか、議会報告会の開催義務付け、或いは町民主催の議会設置などは本町でも真剣に検討して欲しい。これを妨げる壁は何もないはず。また広報などでの重要法案に対する議員の態度公表は議会の透明性の上で絶対に必要だし、すぐにも実行可能な案ではないだろうか。ぜひとも具体的な作業の開始を提案したい。

リンク>栗山町ホームページ

特産焼酎作り(7月号1面)

2006年07月13日 | 新聞記事(一部公開)
誰のための特産開発?
地域づくりに密着した方向性を探る

 国の規制緩和の流れの中、今年1月、焼酎作りの製造免許も取得緩和措置が決定した(所轄:国税庁)。100kl以下、販売も地元が原則など制約条件が大きく採算性に疑問が残る中、町では積極的な開発態勢構築に取り組んでいる。まだ成否を問う段階ではないものの、現在の議論と進行の方向には懸念すべき点がある。

気になる町の独走と事業計画への懸念
 町が音頭を取り町内有志が集まる「焼酎を造ろう会」が3月末に発足。会長にクラークケント・原口社長が就任。4月、5月と2回の会議がもたれ、基本的な方向付けがなされつつある。それによれば、来年にも焼酎製造開始(30Kl)を目指し、今年度から種芋栽培に着手。10年(H22年)には100KL製造を目論む。プロジェクトをリードする「まちづくり推進課」(以下推進課)の計画案では、資本金2千万円、初期投資額(借入)1億円規模になると試算。出資者は民間主体で、第2回の議論では町からも25%以内ながら(議会の議決が不要)出資が検討されている。
 出資者も未定、組織形態も株式会社なのか新会社法に基づく会社なのかも検討段階、原料芋の手当ては? 要の仕込み用水は? など重要な問題もほとんど机上のプランのみ。にもかかわらず、種芋を栽培指導者付きで鹿児島県南さつま市から仕入れ、去る5月28日に推進課が植え付けするというような先走ったちぐはぐな動き。こちらも気になるが、それ以上に、取らぬ狸の「事業計画」は素人目にも無理がある。
 一例を挙げれば、初期投資の1億円以上はほとんど機械設備・建屋建設費用などハード費用だが、これだけの投資で100KLの製造になっても4号瓶1300円、1升3000以上(末端予想価格)という“高級焼酎”になる。伝統も製造技術もブランド力も抜きんでている薩摩焼酎の高級酒並で、これに「上五島焼酎」が対抗できるとは思えない。数値は最大見積で、うまくやれば削減可能だとしても、基本的な方向性に無理がある。

本質的問題
 一方、それ以上に気になる点がある。余りにも事業の地域経済効果への配慮がない点だ。例えばこの島にとっては大きな規模の工場にもかかわらず、杜氏など招聘人材は別にして、地元の雇用は正社員1人、パート120日/人(一人でも半年分)。人件費の1/4にも満たず、全て自動化処理するための機械投資だ。
 もうひとつ、原料芋の調達価格が80円/㎏という設定。鹿児島では50円程度というが、一枚の畑がヘクタール規模・大型機械での作業で採れる芋と、一枚数畝の狭隘な段段畑で猪と知恵比べしながら栽培する島の芋とは比較はできない。芋を作っている人なら、自分の収穫量を80円/㎏で計算してみてほしい。とても売る気にはなれないだろう。推進課では新生の農業法人「シーランドファーム」への期待が何度も表明されている。しかし当のシーランドファーム側は「正直言って当惑しています」(関口事務局長)という。かなり手広い用地を借りている同社としても、とても採算に合わないばかりか、計画数量の達成もおぼつかないようだ。町の拙速を物語る話だ。
 三つ目の問題は資金面。既述のように初期投資額が大きいから当然借り入れとなる。その際、町の出資があることで有利な公的融資・助成制度があるものの、雇用者が5人以上など諸条件がクリアできない。したがって国民生活金融公庫など政府系金融機関に依存せざるを得ず、そうなれば保証人が当然要求されよう。民間の出資者が応じるとは思えないから、必然的に町が表に出ることになる。失敗を前提にするつもりは毛頭ないけれども、この国の自治体が絡む第三セクター方式の失敗例は枚挙に暇がない。町民にとっても看過できないリスキーな話だ。

集落再生・農地再生へ提案
 さて、以上のような問題があるとはいえ、規制緩和で焼酎が作れるということそれ自体はチャンス。町の意欲を殺ぐことなくより確実なチャンスにする道筋はないか。以下に本紙が「焼酎を作ろう会」で提案していることを記しておきたい。
 この町の焦眉の課題のひとつは端の著しい崩壊現象だ。高齢化と人口減で活力の喪失が激しい。加えて耕地の荒廃が活力喪失を倍加させている。そこで集落再生と農地再生に本件を利用できないかという提案だ。
 沖縄の泡盛や薩摩の焼酎も、元はといえば地域の手づくり技術が基盤だ。この島でも例外ではなく、二世代前までは焼酎をほうぼうで作っていて、いまの端にはその名残がある。これを復活再生できないかというのが第一の提案。焼酎の製造工程は実はきわめてシンプルで大規模の設備を必要とするわけではない。むろん安定した品質を維持するには最新設備を導入した方がいいが、「地元消費に徹した手づくり焼酎」というコンセプトならば、多少のばらつきがあっても許されるだろう。それ以上に「自分たちの焼酎」という誇りがきっと生まれよう。こうした小規模設備を分散して作り(規定では最小10KLだから10か所は作れる)、集落産品として位置付ける。その際の製造マニュアルは新会社が知恵を絞り、集落の公民館・廃校のような遊休施設を利用する。小規模で手作業部分を増やしてやれば初期投資は数分の一で済むはずだし、したがって製品の売価も下がり、手作業が増える分だけ雇用は増える。
 第二の提案は原料芋調達を農地再生とつなげること。推進課のプランでも地元の契約農家から買い上げるとしているが、仮に買上単価を160円/㎏と倍にしても、茅に覆われたような荒廃農地を耕してまで作る人を期待するのは無理。最低、トラクターやパワーショベルを入れて植えられる状態にしてあげないと耕作意欲が沸くはずがない。この町には土建業者の建設機械は余っているのだから、これを活用してまとまった荒廃地を再生させる。紙幅上詳述はできないが、国の遊休農地再生事業で半分は補助があるから、出資金に充当する資金を振り向ければ、数ヘクタール遊休農地再生と猪対策用の電気柵設置は十分可能なはずだ。
 とりあえずまとまった遊休農地が確保できそうな集落を選んでパイロットモデルを作り、徐々に製造拠点を増やしていくという方向ならリスクは極小にできるはずだ。
 町は「民」がやるべき産品開発には直接タッチしない方がよい。そのためのインフラ整備に徹するべき。今後の「作ろう会」の進行を注視したい。

解説 06年度町予算

2006年06月03日 | 新聞記事(一部公開)
実質10億円削減(昨年比)
借金のつけ 先送りも
 町広報4月号でも公表されたように、06年度(H18年度)予算が3月議会で決定した。一般会計216億円、特別会計104億円、総額321億円。厳しい財政危機の中でやりくりせざるを得なかった点は理解できるとしても、今年度は合併効果が生まれるべき本格的な新町予算編成。歳出抑制への真摯な取り組みが検討されたかといえば、少なからぬ疑問符が残る。一面の人件費問題を除いて、素人目ながらいくつか疑念を記しておきたい。
 一般会計216億円は前年の170億円に比し46億円の増加だが、後述のように借り換え債56億円を含むからこれを差し引けば160億円で、実質10億円、率にして約6%の削減予算ということになる。削減額が大きいのは議員数が大幅削減された議会費の2・2億円(削減率62%)は当然として、橋梁・道路の維持管理など土木費1億円(10、9%)、教育費9700万円(5.9%)、農林水産業費9500万円(7.5%)などとなっている。細目をみれば水産業振興費1.6億円増などもあるが(本面漁業再生支援交付金事業)、特殊事情で微増の総務費を除いて概ね平均的に削減されている。
 一方、特別会計は国民健康保険会計、老人保険・介護保険や、水道、ターミナルビル会計など独立会計部門で、ここでは104億円の予算(前年比18%減)のうち一般会計からの繰出し金、つまりすべて赤字で町が補填している額が問題になるが、水道料金の値上げなどで補填額を一部削減しているものの、老人保険の増加などもあり総額として16億円弱とほぼ前年並。福祉・医療や町営バス・船など生活密着型の分野が多いだけに削減は難しいのだろう。
 さて、A4判130頁に及ぶ「新上五島町一般会計予算書」を今回改めて読んだが、行政サービスの幅広さ、そして各種補助や助成の無秩序ともいえる広がりに、行政と住民の関係を見直す必要を痛感する。つまり行政依存の歪な構造が奥深く根を張り、結果として行政組織を異常に膨らませている。住民自治の根幹を再検討して行政が果たすべき分野を整理していかない限り、大胆な切開は不可能だ。
 その第一段階として、例えば本紙4号でも検証した曽根のふれあいランドなどは地元に運営を下ろすなどの試みが必要だと思うが、他の費目も含めて出費削減努力以上に費目そのものの存否を見直すべき事項が多いのではないか。詳述は避けるが、昨年末に出された財政健全化計画と比しても、歳出抑制の計画値にほとんど未達。「今年度中に急ピッチで見直していく」「今年が最大の山場」(財政課)との認識のようで、補正などの行方を注視していきたい。
 もう一点、借り換え債の問題。これは06~07年度にピークを迎える町債償還が財政を大きく圧迫するため、430億円のうち56億円分を借り換えて返済期間を延ばし、単年度の負担を軽減する措置。家計でいえば10年ローンで組んでいたものを20年返済に切り替え、月々の返済を減らすのと同じだ。財政健全化計画では07年度から予定されていたがこれを繰上げ実施することになったようだ。長期金利の動向を見据えた判断というほかに、やはり計画通りに歳出削減が進まない故の措置という面もある。これは明らかに「赤字のつけの先送り」という側面を否定できず、残念ながら財政危機の深刻さを浮き彫りにしたものといえよう。

住民の会ニュース(5月号2面)

2006年06月03日 | 新聞記事(一部公開)
3つの部会発足 活動テーマを決定
 本紙6号で既報の通り、「高レベル放射性廃棄物処分場拒否 上五島住民の会」は2月「上五島住民の会」として再発足。依然として見え隠れする誘致運動の動向を見据えながら、誘致反対に止まらない地域づくりに活動の幅を広げていくことを決め、会員の希望を取った上で3つの部会を発足。4月、各部会のスタートを切った。部会のテーマと概要は以下。
①農園部会
 町の荒れた畑を細やかでも回復させ、「少しでも自給」「子供たちの体験学習」「安全食を考える」などをテーマに、実際に農園を拓き野菜作りのスタートを確認。
 幸い部会員の方から、畑と果樹園を開放するとの申し出があり、早急に現地(浦桑地区)を見学することを決定、早ければ夏野菜から栽培する方向で意見が一致した。(関心ある方は歌野礼まで:42-3427)
②環境美化部会
 共通の関心事項は「海、浜辺、道端をきれいに」。とにかく散逸ごみの酷さに全員が「何とかしたい」との強い思い。これについては「ごみ拾いデー」を早急に設定して実施する方向で検討。できれば町の同種のグループと連絡を取り合い、少しでも町民へのアピールが浸透する工夫を行う。そのほかにも、浜に積まれている漁網やフロート、ドラム缶の廃油、FRP廃船など島の産廃系の厄介なごみの話題が相次ぎ、互いに知らない深刻な実情が披露された。これについては別途、業者や役場の担当を招いて学習会を開くよう働きかけていくことになった。(同、歌野敬まで42-3427)
③うまかもん倶楽部部会
 4月5日現在会員数155名に増え、3月セットの受注・送付を終え4月セットの配送に入っていることを報告。部会としても主たる活動は「集落の逸品」の探索・開発、それに事務局作業の分担。年内に三百人会員目標達成に向けて取り組んでいく必要性が話し合われた。(同、事務局・立花信一まで54-1150)

離島漁業再生支援交付金(5月号2面)

2006年06月03日 | 新聞記事(一部公開)
有効活用で集落再生に
 離島漁業再生支援交付金事業(以下事業)が2年目にして少しずつ定着し始めた。従来の補助制度とはひと味もふた味も違う破格に使いやすい交付金。これを有効に使う知恵を出せるか否かで集落の活気に大きな差が付くといえる。先行している日島地区を例に制度を紹介する。

 この事業の特徴は①漁業集落単位に直接支払われる交付金、②磯の回復などソフト事業対象、③5年間の事業で繰り越しが可能。交付額も05年度で1億8360万円(国1/2、県・町各1/4)で、これは県交付金全体の1割強を占める。まだ未参加集落が2割ほどあるので、全部参加すると仮定すれば2億4千万弱。現に厳しい財政難の中で、町は06年度全世帯分6千万円弱の予算を組んだ。
 具体的にみていこう。 日島地区の場合、日島、有福、漁生浦、間伏、榊ノ浦の5郷11集落で共同事業を推進している。05年度は国の予算確定の遅れなどで実質的には10月以降の活動になったが、それでもこれまでの懸案であった海岸・海底の清掃、密漁防止のための監視活動とサザエ稚貝の放流も実施。06年度はこれらに加え、カサゴ稚魚3万尾放流、一本釣りより各段に漁れる曳縄漁法を取り入れるなどの積極的な計画を策定。「住民の意識が変わり集落に活気が戻ったですよ」と事業の世話人を務める西村忠美さん(以下同)。
 交付額は集落の漁業1世帯につき13、6万円(世帯に交付されるのではなくあくまで集落の事業が対象)。日島地区は160世帯なので単年度で2176万円、5年間で1億円を越える。この額であればこそ「密漁監視船2隻と暗視カメラが導入できたし、重機の力を借りなければ出来なかった大型ごみの清掃もやれました」。
 ごみ清掃は05年度1回実施、06年度はすでに1回終え、年度中にもう一度計画されている。この島の海岸線のごみ問題は深刻だが、磯場の回復には不可欠な課題。サザエやアワビを放流するにしても磯をきれいにしなければ始まらない。残念ながらこれが現実だ。作業参加者には日当8千円が支払われているというが、これは集落住民の意識を変えるための先行投資として位置づけるべきだろう。「浜の美しさを取り戻したいとは共通の意識としてあったとですよ。それがこの事業で皆で頑張ればできるということが分かった。日当には変えられない価値だと思います」。
 これまで11集落がまとまって共同作業することはなかった。お陰で集落の一体感が醸成され、普段でもボランティアで浜の掃除をしている風景が見られるようになった。事業の直接的な効果もさることながら、地元への愛着をもう一度深く問い直すきっかけになったということだろう。
 密漁対策も同じく深刻な悩みだったが、住民の一体化が生まれたことで、監視体制もしっかりしてきた。それもこれも集落単位への交付金ならではの効果というべきだ。
 以上、日島地区に限定して紹介したが、町全体では7地区(旧有川・新魚目は全体で1地区)と5集落が認定を受け、今年度から本格化する。知恵の出し所だ。
 集落、とくに辺地集落の崩壊はほとんど危機ラインにある。これを食い止めるには思い付くものすべてをやるような対応策が必要だが、その意味ではこの制度は格好の制度であろう。
 ひとつだけ注文は、とくに有川・新魚目のように広域でやるのなら、ぜひ磯焼け対策に真剣に取り組んでもらいたい。決定打はいま無いのが実情だが、全国各地で必死の取り組みがなされている。どんな策がこの島に有効かのサンプル調査だけでも意味があるのではないか。検討を期待したい。

特集 町職員給与(5月号1面)

2006年06月03日 | 新聞記事(一部公開)
なぜ進まぬ 格差是正
自立・自治の中軸問題として
 財政危機から国の公務員給与にメスが入りつつあるように、町職員の給与問題がこの町でも焦点化してきた。直接的には財政再建団体転落を防ぐための緊急避難的措置として取られた町長以下三役・職員の給与カットに端を発するが、問題はこれに止まらない。自ら襟を正し給与カットした町長以下の姿勢は評価に値するが、合併丸2年を迎える今年度も旧町間の給与格差が是正される見込みはなく、職員のモラルに看過できない悪影響を与えている。この難題を中心に本町の給与問題を検討する。

三つの問題
 公務員天国と揶揄される状況はこの国の大いなる病のひとつ。むろん高度成長期の頃までは民間に比し公務員の賃金は安かった。それが高度成長の終焉以降、バブルとその崩壊を境に民間企業が厳しい経営環境に見舞われリストラ・賃金抑制が進む中、公務員待遇は相対的に急上昇し、他方で莫大な借金を抱え財政危機に陥った国の現状に非難の矛先が向かったというのが正直な経緯だろう。
 ともあれ、この町もまた同種の問題を抱え、そこに合併後の歪みも加わって深刻さを増している。整理すれば問題は三点。
①旧町間の格差問題
 合併前の04年度の旧町のラスパイラス指数(国家公務員給与を100とした場合の指数)でみると、若松100.2、上五島97・5、新魚目92・5、有川93・1、奈良尾94・0。最大で7.7ポイントの差だから、同格の職員で旧若松町の職員が年収401万円なら旧新魚目の職員は370万円の差になる計算だ。これは平均値だから課長級になれば100万円近い差という風聞も決して誇張ではあるまい。
 年齢や勤務年数に差があるから月額給与の単純比較はできないが、それでも明瞭な格差があることは分かる。とくに「技能職=現業職員」の格差は一般職よりも大きい。たとえば年齢・勤務年数が比較的近い若松と奈良尾では月額で6万円強の差だから年収ベースでは100万円になる。これも風聞では「職種によっては倍近い差」といわれているが、有り得る話だ。
②漏斗型の給与構造
 これはいわゆる「わたり」という悪弊が生んだ、民間では考えられない異様な給与構造だ。「わたり」とは係長とか課長とか管理職でないのに、給与の基本となる「級」=形式的な能力評価=が勤務年数や年齢で自動的に格上げされ、曖昧な役職名により管理職と同等の給与が与えられる任用制度を指す。結果、職員の6割に管理職レベルの給与が支給される漏斗型の構造になり、人件費が極端に肥大化する原因になっている。まさに惰性的に既得権化した結果の「公務員天国」の実態だ。
③官民格差
 04年度段階の町全体のラスパイラス指数は94・3、臨時措置である給与カットを繰り込めば現時点では下がっていようが、指数は国家公務員との比較である。東京や大阪で暮らす国家公務員よりも旧若松町職員の給与が高いというのは非常識を通り越している。正式なデータがないからあくまで推定ながら、町民感覚では民間の平均給与と役場職員の差は倍以上ではないか。こちらは町民のモラルに対し確実に悪影響を与えている。

[現給保証]の根拠
 こうした歪みに対し、町も無策というわけではない。③の官民格差は給与制度の全面的改定を伴うため一朝一夕には行かないだろうから、ここでは一応さておく。でも①②は明らかに是正すべき事柄。①の格差是正については何度も職員組合や当事者との話し合いがなされているようだが、まったく進展していない。
 ②については、この3月議会で町職員の給与に関する条例を一部改正した。等級と給与を定める細部の見直しで、改正案を見ても数字の羅列で素人には解読不能。総務課長に要点を聞けば「上限枠を設定したことと、昇級方法の見直し」ということらしい。上級職は7%程度、平均4・8%ほどの減給になるという。しかしこれは国が進めている官民格差是正、あるいはわたり禁止、能力給への見直しなどの指導を受けた改正で、町が独力で改善したわけではない。どこの自治体も類似の手直しがなされている。
 それでも②について不完全ながらも改善の方向に向かったことは評価しよう。でも制度は変わっても、現実に支払われる給与が是正されるわけではないのだ。今後の昇級昇格に際し適用されるというだけで平均4・8%の減給というのも5年後とか10年後に結果が出るということにすぎない。なぜか?!。これに対する総務課長の回答は「現給保証、つまり現在支払っている給与の維持は国の通達でそれを順守してせざるを得ない」らしい。昨年夏に出た人事院勧告に「給与改善に際しては生活給の要素を考慮し、段階的に進めるべき」という内容の一項があり、これが即時是正できない根拠という。
 不可解なのは①の格差是正ができないのも同じ論拠なのだ。現状の給与維持が原則なら、高い方に合わせるならともかく、賃下げになる是正はできない、との説明。
 そこで人事院に直接取材したら「勧告は国家公務員に対するもので、地方公務員は総務省の管轄」とした上で、「勧告はあくまで勧告。実施主体である政府が最終的に判断することで強制力はない」と補足があった。つまり町が勧告を盾にとるのはおかしいということだ。
 総務省の担当者はもっと明快だ。当地の①②の事情を説明した上で、町の対応について意見を求めたら即座に「勧告は尊重するよう県に指導しているが、それは給与制度を適切に運営しているのが前提であって、事情通りなら不適切な運用以外ではなく、論外」(自治行政局給与能率推進室・増田係長)。増田係長の指摘は主に②を念頭に置いた回答だが、①について、格差是正(むろん賃下げ)を強引にやったら職員組合は提訴し町は敗訴するのは事実か、という問いに(未確認だが議会で町長・総務課長がその内容の答弁があったと聞く)、いろいろ調べてくれ後日回答があった。内容を要約すると、給与問題は基本的に自治体の専管事項だから踏み込みはできないと断った上で、議会や町長の意思でやれば是正できないはずはないということだった。つまるところ仮に提訴されても敗訴の可能性はないと判断できよう。総務課長(町長)の論拠はまったく適性を欠くといわざるを得ない。

自立した町づくり
 国の三位一体の改革とは地方切り捨て策に他ならない。いま国はアメリカの先例に倣い「自治体破産法」まで検討し始めている。財政再建団体が多発すれば面倒見切れないと判断したと想定される。
 これに自治体が抗していけるとすれば必死で自立の道を探るしかないと本紙は繰り返し提言してきたし、その一環として給与問題も取り上げることにした。こんな大問題を放置しておくような姿勢で、真に自立した町づくりができるのか、との深い懸念があるからだ。
 町長は町づくり懇談会で財政危機解決に触れて「町長を辞めて問題が解決するなら直ぐにも辞める」と発言があった。困難を極める現状の危機解決へ強い意思を示したものだが、職員のモラルを著しく低下させている現実の格差は、それこそ訴訟をも辞さない覚悟で臨むべき性質の問題ではないか。 当事者の苦労は十分に察した上で、議会・町当局の真摯な対応を望みたい。

コールセンター誘致(4月号2面)

2006年04月14日 | 新聞記事(一部公開)
アルバイト含む61名採用でスタート
「県内離島初のコールセンター進出」と話題を集めた(株)ビジネスサポート社が、オフィスとなる旧有川港ターミナルビル二階の改修も順調に進み、3月28日をもって正式に業務をスタート。雇用状況が極端に悪化する中、150名余の応募者から61名(うちアルバイト15名)採用、久し振りに明るい材料となった。ここでは誘致の内実と意味、そして少し気になる問題点を含め報告する。

コールセンターとは
 コールセンターはごく簡単にいえば、商品の受発注、諸種の受付など電話による応対業務の代行である。電話回線のデジタル化と自由化によって通信費は劇的に下がり、電話サービス業務などは拠点を都会に置く必要はなくなった。他方、パソコンとインターネットの普及で、リストラの一環として企業内部の事務・管理・営業などを外部委託(アウトソーシング)する動きが活発化。そこに生まれたのがコールセンター事業の分野である。
 コールセンターの業務分野は大きく分けて二つ。インバウンドとアウトバウンドという。横文字で難しくいう必要はない。前者はイン=電話の受け入れで、例えば通信販売の受注、セミナーなどの際の参加者受け付け、秘書代行など向こうから掛かってくる電話への応対業務。後者はアウト=電話を掛ける方、市場調査、テレマーケティング、ダイレクトメールを打った後のフォローなどだが、つまりは電話による営業活動代行と考えたらよい。

電話での営業代行
 今回誘致が決まったビジネスサポート社は、久留米に本社を置くベルディオ・アットマーク(株)の子会社。ベルディオ社は1979年に設立し、NTTドコモ代理店として携帯電話販売を中心に業容を拡大する一方、OA機器、生損保、自動車などの代理店事業にも進出。こうした取引先の蓄積と販売ノウハウを生かして、昨05年にビジネスサポート社を設立、久留米でコールセンターをスタートし、第二弾として本町への進出となったものだ。本町での業務は先の分類では後者、営業業務で、通信会社日本テレコムの“お得ライン”を全国の法人向けに電話で紹介する仕事が100%という。完全な電話営業代行だが、成約まで担当するわけではなく、見込みありそうな客に対する詰めの営業は久留米の本社に回される(開設準備室担当・小田哲也氏=ベルディオ社)。

県の助成手厚く
 さて、ビジネスサポート社の本町への進出メリットは何か。小田氏はこの質問に「人件費と交通費負担の安さ」と即座に返答。たしかに9時~6時半の9時間半勤務で固定給151、000円(試用期間2000円減)は日給換算で6000円強、日給月給制だから休んだらその分引かれる。これに成果給が加わるが、ノルマがあるかとの問いには「目標は設定しますがノルマではない」とのこと。とすれば成果給加算率は低いとして、島では平均的な水準といえるものの、都会では低い額だろう。ちなみに61名採用者は男18名、女43名、年齢は男性は20代14、30代3、10代1、女性は30代18、20代11、40代6、50代5。意外に男性が多い。
 ところで、誘致企業へは通常各種の公的補助がある。県の「情報通信関連企業立地促進補助金」に則した助成、これに町単独の補助金も含め、ビジネスサポート社に対する助成措置は別表のようになっている。

      事業計画             見込補助金
人件費  100人(新規採用/2年間)    60万円/人
                      (採用1人につき町15万・県45万)
通信費  2600万円(年額)         1950万円×3年間(補助75%)
(含フリーダイヤル)
賃借料  318万円(年額)          119万円×3年間(補助35.5%)
投資額  1億3500万円          2025万円(投資額の15%補助)

 この額をどうみるかはいろいろ意見はあろう。町の助成はせいぜい3年間で最大1000万円、見返りに遊んでいた旧有川港ターミナルビルの賃借料が入るわけだから、町にとっては好条件の誘致といえようが、その代わりに県の補助は、離島の場合通常より50%加算されることもあって実に手厚いものと記者の目には映る。人件費補助は雇用を生む効果を考えれば妥当とみる余地はあるとしても(推定で4人に一人分の人材費は補助金で賄えるはず)、コールセンターの業務上最大の費目と推定される通信費の75%が補助というのは“おんぶに抱っこ”という印象をぬぐえない。

地場への定着を
 ともあれ、ビジネスサポート社はスタートを切った。業容がこの地で拡大成長することを期待したい。その上で、やや辛口の報告をしてきたのは二つの理由による。
 ひとつは過去の当町においても或いはどこの過疎地でも、とかく誘致企業は優遇措置がある間は操業するものの、終われば程なく撤退するという事例に事欠かないからだ。国のIT産業育成の背景があり、情報通信産業(コールセンターが果たして先端的な意味合いが強い情報通信産業に該当するかはなはだ疑問なのだが)への補助が手厚いだけに、3年間の助成期間終了後も地場企業として定着しかつ業務分野も多様化するよう強く望む。
 二つ目は人材観の面。冒頭に述べたように、コールセンターが企業の事務の外部委託という合理化の結果生れた業界。逆の動きが派遣社員受け入れで、これも正社員を派遣社員で代行させ人件費抑制を計るという合理化要求の産物である。激しい企業間競争時代を生き抜く企業の対応策としてやむを得ないとしても、派遣会社は多くの労働問題(雇用の不安定さ・賃金のピンハネ等)を引き起こしている。IT産業の周辺として新興のコールセンターは類似の事例はまだ聞かないけれど、ビジネスサポート社の採用要項にある「3か月ごとの昇級・昇格査定」や日給月給制などを考えると、思ったより業績が上がらない場合、人材使い捨ての方策に走る危険性はないかとの懸念が残る。この点では「他に雇用の場が少ないからできるだけ安定雇用に努める」という小田氏の付言どおりに安定雇用が維持されることを望む。

農業法人シーランドファーム(4月号1面)

2006年04月14日 | 新聞記事(一部公開)
農再生に向けて苦難のスタート
 上有川の奥まったダム近くの一角に真新しい牛舎が建ち、夏に出産を控えた繁殖用五島牛二頭が3月導入された。付属の堆肥舎の建設も着々と進む。坂本組や羽二生建設など土建業者を中心に6法人と個人二人が出資して昨年7月に発足した農業法人、シーランドファーム(以下ファーム)畜産部門のスタートである。公共事業激減をカバーすべく異業種への展開が試行される中で、とりわけ異色といえる新事業だ。ファームの狙いと展望について検討してみたい。

 昨年4月に公表された法人設立に先立つ「設立趣意書」によると、「焼酎原料としてのさつまいも生産」を核とする農業生産法人が構想されている。これはいま町主導で模索中の焼酎プロジェクトと連動しているから後述するとして、法人の目的・意義を以下に置いている(一部略)。

①遊休・荒廃農地の有効活用
②特産農作物の開発による就業者の増加、農作業受託などによる農業振興の環境整備
③有害鳥獣の防除防止事業
④グリーンツーリズムなどの都市農村交流事業
⑤食農教育実践

 どれひとつ取っても容易なテーマではないが、まずはその意欲にエールを送りたい。公共事業依存とはいえ土建業者はこの島で数少ない経営資源を蓄積してきたのは事実。これを有効活用する道のひとつは農業分野に間違いなく、遊んでいる建設機械は基盤整備や荒廃農地の再生に不可欠だし、耕地の整備と前耕起をやれば高齢化している農家にとって一番の手助けだ。町民農場として貸し出すとか、直営農場を経営するとか、従来の土建業のような収益事業にはならないにせよ、解雇者を減らす方策として真剣な検討を期待していた。とりあえずその一歩を踏み出したことの意味は大きい。

パイロット事業
 ファームは冒頭の畜産部門のほか、きのこ、自然薯、野菜の各部会が設定され、きのこはすでにほだ木が準備され、旧大田幼稚園の利用許可が下り次第仕込みの予定、自然薯は青方郷中野橋に100本の試験栽培実施など、パイロット事業が着手されている。
 これまで農地を6ヘクタール確保(有川・青方)、さらに20ヘクタールが交渉中(若松)ということで、これだけの面積が農地に再生されるとすれば画期的だ。このうちいま開墾済みは1ヘクタールほど。「表土が薄くすぐに大石が出てくるので難儀しています」とはファーム全体を統括する事務局長の関口毅氏。社員は専従として畜産部門中心に4人、いずれも出資企業からの出向者で、その他の部会の作業は恒常的に作業があるわけではないので、集中作業日にこれも出資企業からの助っ人を集めてやる仕組み。
 当面の事業の主体は牛で、2か月に1回のセリごとに増やし、「できれば4人態勢で自立できる40頭まで早くもっていきたい」という。とはいえ今回入れた妊娠牛は二頭で100万円。子牛が産まれても出荷には1年以上かかるから、相当の投資が必要になる。「投資資金の調達、牛の餌をひとつをとっても日常的な資金繰対策があるし、椎茸や自然薯、それに早く取り組みたい野菜になると働き手がぐんと必要になる」など悩みは多い。 中でも資金面の壁は厚い。出資者の会社も余裕があるわけではなく「社長のポケットマネーで動いているようなもの」というのが実態。関口氏自身も含め農業経験は皆無のスタートだから、農業者が過半を占めなければならない農業生産法人の認定も受けられず、したがってスーパーL資金などの公的な制度融資も受けられない。いま参加してくれる農業者を募集しており「何とか夏までにはこの認定も受けたい」と多忙な合間に説得活動を続ける関口氏である。

町民を巻き込む工夫を
 町の荒廃農地が再生し、さつまいもを筆頭に極端に自給率が低い野菜栽培が行われる光景は想像するだけでわくわくする。けれども、意欲に水を差す意図は毛頭ないが、正直いってファームの展望を考えると“茨の道”といわざるを得ない。もともと農業生産法人の認可を受け、数千万円(限度は2億円)の融資が受けられたとしても、それに見合う経営計画を策定するのは至難の技である。本土なら一枚の田畑は1ヘクタールというような完全な基盤整備がなされ、かつ使いこなされて土ができている耕地を数十ヘクタール規模でやるのが生産法人である。そこで施設野菜など付加価値の高い作物栽培が一般的。繁殖牛にしても、例えば下五島の農家は家族で母牛30~40頭を飼うのが普通の営農スタイルで、法人でやるとなると経営的には最低100頭以上。そのための放牧地や草地をこの島で求めるのは容易ではない。
 一方、設立趣旨にあった芋焼酎計画については、3月28日に役場主催で催された説明会での計画を聞く限り、ファームの主力事業には当面なりえない。認可された100KLに要する芋畑は10ヘクタール、買取り価格の試算は80円/㎏だから生産法人の作物としては明らかに不適だろう。かといって自力で焼酎工場を持つとなると投資額の桁が上がるし、採算性が取れるとはとても思えない。
 以上、厳しさが予想される現実を正直に記してきたが、このような経営環境のなかで、何か妙案はないものだろうか。島再生の可能性を秘めているだけに、何とか芽を出してほしい。
 そこで提案だが、公的な助成制度はフルに活用するとして、労力・資金面を中心にいろんな意味で町民を巻き込むプランを検討できないか。例えば牛のオーナー制の導入、島に不足している自然卵養鶏、これもオーナー制の採用は可能。また既述の町民農園の具体化なども真剣に考慮してほしい。
他方、労力については町民イベントを開催することだ。芋植えデー、芋堀デー、自然薯掘り大会など、町の協力をえる必要があろうがいろいろプランニングできよう。いずれにしろ、絶対的な資金的労力的不足を、何とか知恵を絞って補う策が不可欠ではないか。計画されれば、本紙も細やかながら広報その他プランへの協力をしていきたいと思う。

放射性廃棄物処分場拒否の会 新しい住民活動へ(6号2面)

2006年03月08日 | 新聞記事(一部公開)
 昨年8月、放射性廃棄物処分場誘致運動の表面化を伝える新聞報道をきっかけに発足した「高レベル放射性廃棄物処分場拒否 上五島住民の会」は、2月19日の定例会で「上五島住民の会」として再発足することを決定した。
「処分場の会」は発足以降、本紙で誘致反対の論陣を張って各戸に配布、町長への要望書提出(受入れ意思なしの回答)、東大体験学習事業の問題化―教育長宛要望書提出など一連の活動を展開してきた。その成果あって町民の間に一定の浸透が計られ、公然とした誘致活動(六ヶ所村視察や地元での集会など)は沈静化してきている。
 これを受けて今後の会の存続を含めた話し合いが行われ、いまは沈静化しているとしても誘致活動の再燃の可能性はあり、六ヶ所村の再処理施設稼働~核燃料サイクルの推進という状況は変わらない以上、原子力発電環境整備機構(NUMO)は必死で立地先を探しており、今後も引き続き監視活動を持続していくことを確認。一方で、住民の会として「うまかもん倶楽部」の活動をスタートさせ、処分場反対の運動を一歩越えた活動も開始していることから、今後、町の活性化に積極的に関わる方向で会を存続するという事務局提案がなされ、了承された。
 具体的には幾つかのテーマごとに活動部会を発足させ、周囲に働きかけながら活動を広げていく。部会案と参加希望のアンケートをもとに4月スタートを目指す。
部会テーマの例は以下。
・うまかもん倶楽部委員会=商品発掘・開発のための活動
・地域通貨研究会=効果的な地域通貨の導入を目指す
・「上五島住民新聞」編集委員会=住民の声を拾う活動
・自然エネルギーを考える=原子力技術の問題点や代替エネルギーを考える
・環境美化部会=島の自然を守る活動を行う
・農園部会=農地を借り受けて米や野菜づくり

※町民皆様の積極的なご参加を期待したい。詳細は事務局まで。

東京大学体験学習問題

2006年03月08日 | 新聞記事(一部公開)
参加者10名で実施
 本紙で何度か取り上げてきた、島の中学生を選抜・派遣する「東大体験学習」。高レベル放射性廃棄物処分場誘致活動を行っているNPO法人「日本の将来を考える会」(以下IOJ)主催で町が後援しているこの事業、4号で既報のように昨年11月に申し込みを締め切ったが、派遣14名予定のところ申し込みはわずか6名(昨年は35名余の応募で選抜試験実施)。この結果について本紙は、処分場誘致との関係を見透かした町民の判断だからIOJは中止し、町からの助成金は返還するよう勧告していた。本件の実施予定は3月だったので、その後の状況を知るべく共催である町教育委員会に問い合わせると「10名か11名で実施すると聞いているが詳しくは分からない」と無責任な返事。
 そこでIOJとの連絡事務を担当していると教育委員会から紹介された町民のKさんに直接確認したところ、締切り段階での申し込み者6名のうち2名は昨年の参加者で対象から外れるため4名に止まったが、周囲に働きかけて何とか追加で6名を確保、10名で実施を決定したという。選抜して行うはずの「平成の遣東使」が、(恐らくは)頼み込んで数合わせを試みても定数に満たない惨澹たる結果だったことになる。そのことはIOJ本部への取材で「中止になる可能性が高いとの報告を受けていたが、最近になって中止にするのはまずいから実施したいとの連絡があり、慌てて対応している」との担当者の正直な回答が物語っている。急な要請ゆえ現段階(2月22日)で3月26・27日の講師陣・内容も不確定という。同情したくなるほど何ともお粗末な“事業”ではないか。
 本事業への町の助成金は、教育委員会が「オーライ上五島事業」のひとつとして認定し、派遣者の交通・宿泊費実費の9割分として支給されているが、14名の予定が10名になったことで「当然4名分の返還になる」(教育委員会)。同じことをオーライ上五島を所管する町づくり推進課に確認したところ、「事業費が予定よりオーバーすると聞いているので、具体的な返還金は不明」という。目くじらを立てるほど大した額(20万円前後)ではないが、これほどの無理をした実施は自分の首を締める行為に等しいことを、関係者は自覚すべきだろう。当然次年度以降の中止は不可避と予想される。