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上五島住民新聞ブログ版

みんなで町政と自分たちの町を考えるインターネットスペース。新上五島町より発信。

住民新聞10月号(13号)をアップしました。

2006年12月14日 | 事務局よりお知らせ
毎度遅れますが10月号のメイン記事をこちらにも掲載しました。

10月号その他の記事は
「私見 焼酎プロジェクトに寄せて」若松郷元町議の方談話
「なくしてはならない島の味」堀江製菓の栗どら
「ひとりごつ」

となっております。
バックナンバー等ご希望の方は返信用封筒同封の上事務局まで。
サポーターも引き続き募集しております。電話・ファックス・メールでご一報ください。折り返しこちらから連絡させていただきます。

寄稿 高レベル放射性廃棄物問題を考える(10月号1面)

2006年12月14日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
住民の意思 もっと明確に

 私が「上五島住民の会」に参加して1年が過ぎました。きっかけはいうまでもなく“高レベル放射性廃棄物処分場誘致”問題が沸き上がっていたから。初めてそのことを知ったとき「まさか! こんな島に?!」という思いだったのですが、日に日にTV、新聞等で取り沙汰されるようになり、「このまま傍観してていいのか」「他人まかせでいいのか」「自分の故郷を自分の手で守らなければ!!」という衝動に駆られ、友人と二人で「住民の会」に参加しました。
 その後、会合に何度か出席し、参加者と意見交換をすることで、少しずつですが私なりに処分場施設がどんなものか分かってきて、ますますとんでもないという思いが強まりました。最近でもNUMOのTVコマーシャルでいかにも「画期的で安全ですよ!!」と宣伝し、宮さんや誘致派の資料でも安全だといいますが、そんな安全なものだったらわざわざこんな五島まで持ってくることなく、東京やその近辺で誘致してもいいでしょうに!! どこも手を挙げるところがないから五島のような遠隔地にまで話が持ち上がるのではないですか。
 そんな危険施設なのに、なぜ手を挙げるような誘致運動がなされるのか。なぜ町民の皆さんがこれを静観しておられるのでしょうか? 今一度考えて下さい。20年ほど前“備蓄基地”を誘致して一時期は景気よく活気づいたかのようにみえましたが、今現在はどうでしょうか。幻に過ぎなかったといえませんか。
 六か所村の再処理施設では事故が発生していると聞きます。再処理のごみが五島にくるとすれば、自分たちの健康がおびやかされることへの不安はぬぐい取れません。私たち島民が今一番望むことは何でしょうか。自然と健康を台無しにする島づくりですか。なぜ、この島の自然を大事にし、子供達に残してあげようと思わないのでしょう。
 本紙9月号によると、本島元長崎市長が「被爆県だからこそ誘致しなければならない」と積極的な発言をされたと知りました。被爆県長崎だからこそ反対しなければならないのではないですか。私の住む地区で、ある方が核実験反対の座り込み抗議をされている姿を何度か目にしたことがありますが、頭が下がる思いでただ見守るだけでした。今回の処分場問題はもっと身近な問題。黙ってみているわけにはいきません。町民の皆さんも、反対なら反対と声を大にして、共に手を取り合って行動して欲しいものです。(青方郷 C.M.)

次世代への義務は

 エネルギー資源のないわが国が原子力に頼る事情が解らないではないが、この事業を長く続けると、蓄積する廃棄物で居住空間が浸食されてしまう。それに代る太陽光、風力、潮力、温度差等、あらゆるエネルギーの開発・拡大利用が急がれる。
 国はその廃棄物の処分に困り、好条件を提出して処分場探しに懸命になっているが、何処も引受地はないようだ。ところが何箇所かの候補地のうち本町では、町財政への寄与と建設特需事業を求めて、地元のNPOが中心となり最終処分場の誘致運動を進めている。これは本町民だけで決められる問題なのか。誘致されると下五島を含む全体に影響があるのは必定で、島のイメージダウンになり島で生産される総てのものが敬遠されることになりはしないか。また、現在の一時凌ぎの潤いを求めたことが子孫の恨みを買うことにもなりかねない。一度廃棄物で汚れた島の自然とクリーンなイメージ(誘致派は処分施設をクリーンと考えているようだが)を取り戻せるのか。私達にはキレイな島を次に世代に引き継ぐ義務もある。
 議会でも、誘致反対の5~6人の議員を除き明確な意思を示さないという。町長も、本町は誘致の意思はないと断言しながら、反対運動はしてくれるなとも言われているようだ。NPOが主導する六ヶ所村や原子力関連施設の視察など、着々と誘致運動は進められ、模様眺めの状態にある町民の今の状態なら、一挙に誘致が可決されることも考えられる。立地調査に応募するだけでも10億円を越える交付金が入るというから、議会や町当局者には、打ち出の小槌にも映るのではないのか。
 財政が苦しいのは本町だけではないはずだ。島独自の振興開発を考えない、交付金補助金頼みでは、目先を凌ぐだけで衰退を辿るだけだろう。(岩瀬浦郷 Y.I)

※本紙では実名で寄稿していただいていますが、インターネットという媒体の質を考慮してここではイニシャルにさせていただきました(管理者)

焦点 島の漁業を考える(10月号2面)

2006年12月14日 | 新聞記事(一部公開)
【守り】の漁業に道しるべを
―国・県の施策の本質は?

 今年、島の漁業は未曾有といっていいほどの不漁に見舞われている。春先からいつも入るアジがさっぱり。この夏はいつものイサキやイカも無残なほど少なかった。定置網網元によれば、例年の一割に満たないところもあるという。今年は特に極端だが、ここ数年の巾でみても低迷しているのが実情。海の異変か、その他の要因なのか。漁業を取り巻く環境を考えてみたい。

 まず、大雑把に国の漁業政策の流れをたどると、1963年に国は沿岸漁業等振興法を定めた。当時は水産資源が比較的良好な状態にあることを前提に、生産の効率化、漁獲量の増大に重点を置くことで、
①沿岸漁業等の生産性の 向上、
②沿岸漁業等従事者の生 活水準の他産業との均 衡
を図ることを目的とし、沿岸漁業及び中小企業を施策の主な対象とした。
 しかし、漁業生産量の約80%を占めてきた遠洋・沖合漁業が、沿岸国が200海里内において排他的経済水域を設定できるとする国連海洋法条約の発効等により漁業に対する制約が増し、75年当時約1,200万トンもあった生産量は99年には約600万トンにまで減少。 結果として、食用魚介類の自給率も60%弱にまで低下した。
 これらの状況を背景に、03年に沿岸漁業振興法に替わる水産基本法を制定。その主要目的は、
①水産資源の持続的利用 の確保
②水産業の健全な発展
③国民に対する水産物の 安定供給
であり、施策の対象も漁業部門に加え、加工・流通も含めた水産業全体と拡大された。
 一方、県でも国の一連の動きを踏まえ、00年に策定された「長崎県長期総合計画」を補完する個別計画として「長崎県水産業振興基本計画」が策定された。
 これまでの生産拡大の方針を見直し、「本県の美しい海を守り、水産資源の適切な管理と利用による持続可能な新世紀の水産業をめざす」との基本理念の下、水産業を維持するための基本要件は「漁場の安定」、「経営の安定」、「漁業・漁村の継承」の実現であると考え、豊かな食材や憩いの場の提供等県民生活への貢献を念頭に置きつつ、新世紀初頭における今後10ヵ年の本県水産業の再生の礎となる基本的施策の展開方向等を提示するという計画内容で、その期間は01年から10年までとされている。
 
■五島の重点施策

 つまり、この計画の基本的な着眼点は、「限られた漁場を効率よく大事に利用する!」「漁獲を増やすのではなく、減らさないような努力する!」、即ち、略奪するのではなく恵みをいただく漁業と理解できる。
 にもかかわらず計画では、各論に入るとやや視点が変わってくる。上記3テーマに即して、それぞれの目標に応じた11の施策を重点プロジェクトとして掲げ、さらに海域ごとの推進方向が示されているが、例えば、五島地域においては「地域資源を生かす競争力ある水産業の展開と漁村の活性化」をテーマに以下の具体策が提案されている。
1 漁場の生産力向上と 沖合漁場の開発
・地域重要資源の放流種 苗の安定確保と放流事 業の拡大
・藻場の造成等による幼 稚仔魚の保護育成場づ くりの推進
・人工海中林型魚礁方式 による漁場造成等、新 たな技術を活用した沖 合漁場づくり
2 養殖業、まき網漁業 の経営の安定化
・マグロ、アラ(クエ) 等の新高級魚導入によ る複合型養殖業の推進
・操業形態や出荷体制の 改善、生産構造の再編 等によるまき網漁業の 経営改善
3 流通改善、漁獲物の 付加価値向上と販売力 強化
・地域の資源を生かした 水産加工の促進と関係 業界の連携による販売 力の強化
・産地と消費地を結ぶ情 報ネットワークや効率 的な集出荷体制の整備
4 担い手の育成確保と 活力ある漁村づくり
・意欲ある漁業者の活動 促進や新規漁業就業者 の受け入れ体制の整備
・資源管理や担い手の育 成等漁協が果たすべき 指導的役割を十分担い 得る自立する漁協づく りの推進
・観光事業との連携によ る漁村地域の活性化
漁業衰退の実情を踏まえ、有識者の方々がその衰退に歯止めをかけようと練りに練った施策だと思うが、本来あるべき姿の自然に手を加えて生産性を維持しようとする施策には疑問を感じる。

■発想の転換を

 つい最近、畠山重篤氏の著書「リアスの海辺から」を読み同氏の「森は海の恋人」運動を知った。 森・川・海は一体であり、そのどれかに必要以上の手が加えられると他にも影響をおよぼすことになる、海の生産性を取り戻すために森に樹を植え元の姿に戻そうという運動であり既に各地で実行されているようだ。
 自然全体を眺めず、海だけの環境変化をとらえ、海に手を加えて漁場の生産力を図ろうとするのは人間の驕りであり、恵みを頂くという謙虚さを微塵も感じらない。特に生産性向上目的の海底山脈造成等大規模な事業が、後に有明海問題のような想定外の結果を招くことがなきよう祈るのみ。
 養殖業についても新高級魚の導入が掲げられているが、利益率の高い魚種でありその養殖技術に問題がなければ誰でもその魚種へ移行して経営安定を図ろうとするのは当然のことであり、結果として希少価値による高級魚が養殖真鯛同様スーパーの目玉商品並みにならないとも限らない。生産者全てが利益率の高い魚種の養殖を目指すのではなく、長崎の真鯛、鹿児島のブリというふうに各所に養殖魚種を分散させることも一考に値するのではないか。
 余談ながら、漁法にはまき網、底引き漁業のような能動的なものと、定置網のように受動的なものがある。受動的な定置網には網の形、網の敷き方等人間の工夫と魚との知恵比べというほのぼのとしたものを感じる。一方まき網漁業は魚群探知機、ソナー等先進技術を駆使することで魚群を一網打尽にしてしまう、魚の知恵が狡猾な人間に勝つはずがない。
 生産性を維持するためには先進技術開発への歯止めも必要ではないだろうか。
 食物連鎖の中で生物は自らの種を絶やさぬよう下位の生物に対し必要以上の捕食はしないようコントロールされていると学んだが、その頂点に立つ人間には当てはまりそうにもない。人も自然の一員なのに!
 いずれにしろ、漁業に対する公的施策は依然として略奪漁業の尾を引きながら漁獲量を維持するという方向にみえる。これが今のこの島の漁業の現状を変える方向かどうか、実態を考えながら目指すべき方向について機会を改め考えてみたい。 (若松郷 漁協職員)

公共料金値上げ問題2 水道料金(10月号1面)

2006年12月14日 | 新聞記事(一部公開)
財政危機のしわ寄せ重く
消えない将来への不安も


 前回の国民健康保険・介護保険税に続き、今回は9月から改定された水道料金値上げ問題。健康を守る医療、生活に不可欠な水、暮らしの基盤であるこの双方で家計を直撃する値上げがなされたことになる。いずれも根はひとつ、町財政危機のしわ寄せ。そして国保税と同じく、水道料金も将来への不安を残しつつの値上げだ。

 今回の改定は二つの要因に基づく。ひとつは合併後の旧町間の料金格差調整。他は独立会計で運営されている水道事業の、一般会計からの赤字補填を軽減する(4年後にゼロを目指す)ため。
 まず前者の格差調整。最大で2倍近い差があった料金を別表のように4年間で統一する。これまで一番高かった新魚目の1㎥当りの単価231円より8円高い(!)239円を統一料金とし、若松、新魚目、奈良尾についてはこの9月から、料金が安かった上五島、有川については一挙に上げると影響が大きいとして、上五島3年、有川は4年で段階的に上げていく。初年度の値上げ率は新魚目の3、7%~有川の28、4%、最終的には上五島、有川ではそれぞれ56%、85%の値上げとなる。若松、新魚目、奈良尾についてはこれ以外にメーター器使用料(一般家庭で月50円)が新たに加算。
 こうした値上げにより、06年度2600万円、07年度7600万円、08年度9800万円、最終年度の09年度は1億300万円の増収が見込まれ、現在一般会計からの繰り入れ、つまり水道会計の赤字分(05年度で約1億2000万円)を解消していこうというものだ。

設備の整備へも影響

 ところで以上は平均値上げ率で、実際は一般家庭・事業所など用途に応じ、またそれぞれ使用量に応じて料金が変わるため、具体的にどの程度の値上げ幅になるかは個別のケースを探るしかないが、例えば一か月20㎥使用する家庭で有川の場合1880円の負担増。年額2万円以上になる。やはり厳しい数字といわざるを得ないだろう。
 財政危機に由来するこうしたしわ寄せは、実は使用料値上げに止まらない。毎月検針の隔月化や職員の削減(06年度は1名)などの効率化・合理化が同時に進められているほか、支出項目で大きな比重を占める事業計画の先送りがある。18ある簡易水道の中には有川・小河原のように40年以上前の老朽施設もあるが、漏水防止や水質保全に必要な改修・補修、敷設やり変えなどが最小限に止めざるをえない。
 加えての不安材料は、前回の国保税同様、島の雇用不安から青壮年世代の流出が激しく、使用料収入の狂いが発生していくだろうこと。06年度だけでも200万円程の減収が見込まれている。今後もこの状況が続けば、更なる値上げか、安定かつ安全な水供給に影響が及ぶような合理化がなされる可能性も否定できない。
 こうした苦しい事情はもちろん町財政危機に直接に端を発しているとはいえ、固有の事情もまたある。これは次回に「特別会計問題」として取り上げる予定だが、水道会計自体で過去の累積借金が45億円もある。これはこれまで公開されてきた「町の借金430億円」とは別個のもので、この返済額が水道会計を著しく圧迫している。
 ともあれ、水は命の糧。なんとか耐え切っていくしかないのである。