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上五島住民新聞ブログ版

みんなで町政と自分たちの町を考えるインターネットスペース。新上五島町より発信。

対馬市議会 受け入れ反対を決議(3月25日号)

2007年03月23日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
 3月17日長崎新聞によれば、対馬市議会は19日にも、高レベル放射性廃棄物処分場受け入れに反対する決議を行う模様。本紙が現地へ確認したところ、15対9の票差で可決される見込み。2月末に旧町の議長経験者30余名による市長への申し入れが功を奏した模様。依然として推進派の動きは伝えられているが、対馬はもっとも危険水域にあるとみられていただけに、今回の決議により活動の後退は避けられないとみられる。
 反対運動を主導している「核のゴミと対馬を考える会」では、これを機に誘致の動きを根絶するため、「核のゴミ拒否の条」制定に向け、取組んでいくとのこと。この町もぜひ同様の対策を練り上げたい。

対馬市で誘致の動き(1月号)

2007年02月11日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
高レベル放射性廃棄物処分場
対馬市
賛成議決の可能性も

 高レベル放射性廃棄物処分場問題が全国各地で急展開し始めている。理由は明快だ。本紙も危惧したように、候補地として名乗りを上げるだけで出る補助金(文献調査段階補助)の額が、来年度以降、従来の2億円強から一挙に10数億円にアップするということで、この町と同様に財政難にあえぐ自治体が、競って誘致に色目を使い始めたからだ。建設を担いながらも候補地が出ずに焦っていた原子力発電環境整備機構(NUMO)の思うつぼで、高知県の数町、滋賀県の余呉町など急に誘致運動が活発化した。しかし高知の東洋町を除いて、住民の反対で撤回に追い込まれている。といっても、同じ高知・津野町などではまだ六か所ツアーが続くなど巻き返しの可能性は消えていない。
 そんな中で、今度は対馬市で動きが始まった。議員主導で二度勉強会がもたれ(西日本新聞など)、議会に正式に議案として上程される可能性が出てきた。NUMOの精力的な説得工作がなされているのは間違いない。というのも、国によってかつて極秘になされてきた候補地としての調査で、適地と判定がなされていたからだ(本問題に関し情報公開で調査資料を手に入れて精読された岡山・「核に反対する津山市民会議」石尾禎佑氏による)。市の現況について、内部事情に詳しい複数の市民へ取材したところ、議会に上程されれば確実に通るという。議員に反対を表明している者はおらず、かつて原子力船「むつ」寄港問題のとき反対した漁協も、候補地と目されているのが上対馬の山中で、静観の態度という。 高レベル廃棄物問題は当該地だけの問題では済まない。漁業県長崎全体に影響は及ぶし、漁場をともにするこの島にとってはもっと深刻だ。同じ問題を抱えるものとして、連携して反対運動を進めていく必要がある。
 ちなみに、本紙読者からの情報によれば、東京五島会(上下五島全体の会)で宮健三氏が誘致すべしとの話をしたという。会長の又野寛氏(五島市出身)に確認したら「全体会ではスケジュールに入ってなかったから地区会での話だろう」とのことであった。地区レベルだとしても、性懲りもなく画策を続けているのなら、対馬の動向によっては拍車がかかる可能性もあろう。県議選の動向と併せ目が離せない。

投稿 高レベル放射性廃棄物処分場問題に思う(12月号)

2007年02月11日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
 五島といえば美しく澄んだ青い海、そこで穫れた魚貝類、それらを原料とした特産の手づくり俵物(編集部注:干アワビなど江戸時代の輸出海産物)等、数えるときりがないほどの品々。観光においては県指定の教会群、それを取り巻く椿の木など、自然の恩恵を授かったものを挙げれば暇なく、先人の知恵と努力に感謝せずには居られません。
 そういうところに、高レベル放射性廃棄物処分場を当町の某がリーダーとなり、隠密裏に、かつ積極的に動いているとのこと、これは断じて許してはならない。この島にとってマイナスにこそなれプラスにならないことは火を見るより明らかであり、それがダメージとなり、地元特産品は、山の幸しかり、海の幸しかり、島でのすべての生産品は将来、停滞状態になる可能性は必定である。
 誘致による多額の交付金は誰しも欲しい、それは本音です。しかし一時的な目先の欲で、風光明媚なこの島を、悪魔に魂を売り渡すようなことだけは止めてほしい。してはならないことである。
 諫早湾の水門みたいなもので、わざわざ無限の富の潮流をせき止めて、自ら干上がらせるような愚策と同じ。
 誘致した結果の後遺症は、どこの誰が責任を取るというのだ。もう一度声を大にして言いたい。誘致に積極的な一部の人間よ、目を覚ませ、目先の欲に惑わされるな! と。それにより失われるもののほうが間違いなく多い。10月号の岩瀬浦の飯田さんの発言と重複するが、一時凌ぎの潤いを求めたことが、子孫の恨みを買うことにもなりかねない。
 この島の将来について、もう一度、いや何度も、真剣に話し合ってほしい。住民の会の皆様、この件に関し、今後とも、油断なく、目を離さないでほしい。絶対に許してはならない。(奈良尾 ピン子/投稿)

寄稿 核のゴミと平和(12月号)

2007年02月11日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
 先日、長崎にて京都大学・小出裕章さんの「プルサーマル・核のごみ…」についての講演会に参加しました。その中で、日本の原子力発電所が、私たちの電気を供給するために毎年、広島原爆の約5万発分の「死の灰=核のごみ」を出している、そしてすでにいま約百万発分も溜め込んでいることを知りました。そのごみ捨て場にわが町が候補地の一つとして名前が上がっていること、とんでもないことだと思いました。建設を担当しているのがNUMO=原子力発電環境整備機構ですが、きちんと翻訳すれば核廃棄物管理機構ということも知りました。びっくりすることばかりでしたが、でも正直いって私には核のごみの恐ろしさは実感できませんでした。
 時間があったので、長崎原爆資料館を訪ねました。長崎に原爆が投下されてから61年、1945年8月9日午前11時2分、長崎に何が起こったかを目の当たりにしました。隣に祈念館がありました。資料館は学ぶ所、祈念館は祈る所でしょう。その祈念館の前に大きな水盤があり、水が張ってありました。そして水盤のそこに埋められている無数のランプが光り始めました。その数は7万以上とのこと、その光る様は壮観ですが、それは実は死者の数だそうです。原爆が落ちてから同年末までに原爆のために亡くなった人達、7万余名を表しているとのこと。
 風が吹き、水面が波立ち、光がいっせいに揺らめいて、無数の魂のさざめきのようでした。無数の無念があったのでしょう。一つひとつの灯りに感情があり、友情があり、愛があり、家族、家庭があり、喜びがあり、悲しみがあった。つまり命があったのです。
「原爆(戦争)は人間がしたことです。人間の仕業です」(ヨハネ・パウロ二世)。改めてこの邪悪な時代に生まれたものとして、あえてこの悲しい現場に立って、見て、平和の尊さ、大切さを考えました。そしていま、核のごみ問題を含む、私たちの周りで起きている出来事にもっと真剣に取り組まねばと思ったものでした。(桐古里郷 T.E)

本紙では実名で寄稿していただいておりますがこちらではイニシアルにさせていただきました。管理者

寄稿 高レベル放射性廃棄物処分場問題を考える(14号1面)

2007年01月09日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
寄稿1

町も納得いく姿勢を
 私は高レベル放射性廃棄物最終処分場の誘致に絶対反対です。理由は、とても安全だとは思えないからです。
誘致に向けて活動する団体があるということに驚き、怒りさえ覚えます。とんでもないことです。なぜ、そのようなことをするのでしょうか。お金のためでしょうか。【核のゴミの島】というレッテルを張られることがどういう結果を産むのか考えてみて欲しい。島にとって大切な第一次産業は廃れ、まだ少しは未来に残せそうな自然も台無しです。住みたいと思う人もいなくなるでしょう。
私たちは、かつて、原子力発電を原子力の“平和利用”という心地よい言葉に安心してしまい、“軍事利用”ではないから安全なのだろうと、浅はかにも思い込んでいたのではないでしょうか。
しかし、現在、多くの人がそうではなかったのだと気付いています。原子力発電が、まだ安全性の確立していない技術だということは明らかです。それでもなお、政府はエネルギー政策を変更しようとせず、あいかわらず原子力発電を重要な柱にしています。結果、大量のゴミを持つに至り、それは増え続けているのです。そして、その危険極まりないゴミを、大金をちらつかせながら弱小の自治体に押し付けようと画策しているのです。
いくら苦しいからといって、目先の利益に目を奪われ、先人から受け継いだ大事なものを後代に残す義務を放棄するのは、やはり誤った選択だと思います。
 誘致活動への町の対応には、不信感を拭えません。“基本的に反対”ということは、条件次第では受け入れにまわるというニュアンスも感じられますし、情報公開も含め、もっとスジの通った、納得のいく姿勢を示して欲しいと思います。(有川郷 Y.I.)

寄稿2
もうだまされないぞ!
 この島に核の廃棄物処分場を誘致しようという話を聞いたとき、旧上五島町の30年前の出来事が重なって想い出された。当時の誘致派の殺し文句「お前たちは油はいらんとか」の油が、今回「電気」に変えられてそのまま聞こえてきそうで…。
 30年前石油は世界で30年分しか資源がないといわれていたのが、今じゃ50年以上はあるといわれる(10年後にはまた増えるかも)。
 原子力発電も世界では止める国が増えているのに、日本は逆の方向へ今も進んでいる(再処理とプルサーマル計画)。
 30年前の石油危機のとき、国は節電を唱え、テレビ放送も0時から6時まで自粛し、当時の大臣は「半袖シャツ」。今年のクールビズとよく似ている。
「日本人は働き過ぎ、貯金ばっかりしないでもっと使いなさい」と「内需拡大」を唱え始めて、いつの間にか「消費税」という新たな税金ができ、3%から5%に上がりまもなく更なるアップが間近に迫っている。この税金の使い道として、私には国民の総意とは思えない「原子力発電」のごみ(放射性廃棄物)を安全だと偽り、立地交付金にも回されているのだろう。どこかで歪んだ社会がみえてくる。
 いま、島で暮らしている一国民として言いたいのは、無限の自然エネルギー政策に力(税金)を注ぐべきということ。
 石油備蓄基地はいつの日かなくなる可能性はあるが、放射能の危険性と島民の哀しみは、いつまでも消えない。(青方郷C・M)

本紙で実名で寄稿していただいている方も、インターネットの媒体としての質を考慮してここではイニシャルにさせていただきました。管理者

寄稿 高レベル放射性廃棄物問題を考える(10月号1面)

2006年12月14日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
住民の意思 もっと明確に

 私が「上五島住民の会」に参加して1年が過ぎました。きっかけはいうまでもなく“高レベル放射性廃棄物処分場誘致”問題が沸き上がっていたから。初めてそのことを知ったとき「まさか! こんな島に?!」という思いだったのですが、日に日にTV、新聞等で取り沙汰されるようになり、「このまま傍観してていいのか」「他人まかせでいいのか」「自分の故郷を自分の手で守らなければ!!」という衝動に駆られ、友人と二人で「住民の会」に参加しました。
 その後、会合に何度か出席し、参加者と意見交換をすることで、少しずつですが私なりに処分場施設がどんなものか分かってきて、ますますとんでもないという思いが強まりました。最近でもNUMOのTVコマーシャルでいかにも「画期的で安全ですよ!!」と宣伝し、宮さんや誘致派の資料でも安全だといいますが、そんな安全なものだったらわざわざこんな五島まで持ってくることなく、東京やその近辺で誘致してもいいでしょうに!! どこも手を挙げるところがないから五島のような遠隔地にまで話が持ち上がるのではないですか。
 そんな危険施設なのに、なぜ手を挙げるような誘致運動がなされるのか。なぜ町民の皆さんがこれを静観しておられるのでしょうか? 今一度考えて下さい。20年ほど前“備蓄基地”を誘致して一時期は景気よく活気づいたかのようにみえましたが、今現在はどうでしょうか。幻に過ぎなかったといえませんか。
 六か所村の再処理施設では事故が発生していると聞きます。再処理のごみが五島にくるとすれば、自分たちの健康がおびやかされることへの不安はぬぐい取れません。私たち島民が今一番望むことは何でしょうか。自然と健康を台無しにする島づくりですか。なぜ、この島の自然を大事にし、子供達に残してあげようと思わないのでしょう。
 本紙9月号によると、本島元長崎市長が「被爆県だからこそ誘致しなければならない」と積極的な発言をされたと知りました。被爆県長崎だからこそ反対しなければならないのではないですか。私の住む地区で、ある方が核実験反対の座り込み抗議をされている姿を何度か目にしたことがありますが、頭が下がる思いでただ見守るだけでした。今回の処分場問題はもっと身近な問題。黙ってみているわけにはいきません。町民の皆さんも、反対なら反対と声を大にして、共に手を取り合って行動して欲しいものです。(青方郷 C.M.)

次世代への義務は

 エネルギー資源のないわが国が原子力に頼る事情が解らないではないが、この事業を長く続けると、蓄積する廃棄物で居住空間が浸食されてしまう。それに代る太陽光、風力、潮力、温度差等、あらゆるエネルギーの開発・拡大利用が急がれる。
 国はその廃棄物の処分に困り、好条件を提出して処分場探しに懸命になっているが、何処も引受地はないようだ。ところが何箇所かの候補地のうち本町では、町財政への寄与と建設特需事業を求めて、地元のNPOが中心となり最終処分場の誘致運動を進めている。これは本町民だけで決められる問題なのか。誘致されると下五島を含む全体に影響があるのは必定で、島のイメージダウンになり島で生産される総てのものが敬遠されることになりはしないか。また、現在の一時凌ぎの潤いを求めたことが子孫の恨みを買うことにもなりかねない。一度廃棄物で汚れた島の自然とクリーンなイメージ(誘致派は処分施設をクリーンと考えているようだが)を取り戻せるのか。私達にはキレイな島を次に世代に引き継ぐ義務もある。
 議会でも、誘致反対の5~6人の議員を除き明確な意思を示さないという。町長も、本町は誘致の意思はないと断言しながら、反対運動はしてくれるなとも言われているようだ。NPOが主導する六ヶ所村や原子力関連施設の視察など、着々と誘致運動は進められ、模様眺めの状態にある町民の今の状態なら、一挙に誘致が可決されることも考えられる。立地調査に応募するだけでも10億円を越える交付金が入るというから、議会や町当局者には、打ち出の小槌にも映るのではないのか。
 財政が苦しいのは本町だけではないはずだ。島独自の振興開発を考えない、交付金補助金頼みでは、目先を凌ぐだけで衰退を辿るだけだろう。(岩瀬浦郷 Y.I)

※本紙では実名で寄稿していただいていますが、インターネットという媒体の質を考慮してここではイニシャルにさせていただきました(管理者)

総特集 高レベル放射性廃棄物処分場問題4

2006年09月28日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
宇検村で誘致運動発覚
反対の声大きく5日目で断念

 奄美大島・宇検村で処分場の誘致運動が発覚(8・21西日本新聞トップ)。「勉強のため」と称して村長自らの要請でNUMOの説明会を開催。町幹部や議会、商工会などを対象に2度実施された。「村単独で生きるための財源確保を目的にした企業誘致の選択肢の一つ」というのがその理由。
 しかし直後に村内外の反対の声が大合唱。議会、村民、鹿児島県知事等相次いで懸念・反対の声が続き、5日目の26日には村長が「行政主導の勉強会(説明会)は行わない」と留保付きながらも「断念」を表明。いったん幕を閉じる結果となった。
 とはいえ、この幕閉じなら再発の可能性は十分にある。本紙で繰り返し提案してきたように、最終的には「核物質持ち込み拒否条例」を制定して受入れ拒否の意思を不動のものとしなければ、決して安心はできないことをもう一度肝に銘じたい。

青森県六ヶ所村
ある妄言
六ヶ所村で6月に開始した原発使用済み燃料の再処理試験は、これまでもたびたび放射能漏れの事故を発生させてきたが、24日にはついに内部被爆、つまり作業員の体内に放射能が取り込まれる事故が発生。いよいよその危険性が明らかになった。これに関して 石川廸夫・日本原子力技術協会理事長はこう語った。「再処理する限り体内被爆は起こる。お百姓さんをやっていると泥がつかないわけがないのと同じ。体内被爆を皆無にすることは不可能だ」(7・4東奥日報)。あまりに「正直な」発言に、三村青森県知事 も色をなしたという。なお再処理した残りのゴミが高レベル廃棄物だ。

総特集 高レベル放射性廃棄物処分場問題3

2006年09月28日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
交付金 一気に数倍増
候補地選定進まぬ現状

資源エネルギー庁は高レベル放射性廃棄物の処分地選定に当たり、第一段階の文献調査時に年間2.1億円を上限に交付するとしてきたが、これを一挙に10数億円に引き上げるべく、07年度の概算要求に盛り込むことを決めた(電気新聞7・21、長崎新聞8・6)。
 本紙2号でも詳述したように、処分場決定に至るには次のステップを踏む。自治体の応募→論文や古文書などによる「文献調査」→仮ボーリングなどによる「概要調査」→詳細な「精密調査」→立地決定。このステップごとに交付金の額は増えていく。留意しなければならないのは、地震多発地帯の青森県六か所村に原発関連施設が集中するようになったことでも分かるように、本当に適地かどうかという前に、立地が可能ならさまざまな理由をつけて「適地場所」にしてしまうというこれまでの国の姿勢だ。したがって誘致する意思を示したその時から、調査は「適地」の理由作りのためになされると考えた方がよい。
 2000年に地層処分を国が決定して6年。推進母体であるNUMO発足からでも3年になる。シンポで強調されたように処分場が安全なら、とうに候補地のひとつも決まって良さそうなもの。これまで10にあまる地域で誘致の動きが起きたが、いずれも短期間に撤回されている(この町では残念ながらしぶとく残っている)。これに業を煮やした国が、札束でひっぱたくという品のない愚民政策をやろうと決めたわけだ。
 文献調査の交付金は性格から判断してほとんど“純益”というべき無条件の補助金。金に目が眩む人には垂涎の的であろう。しかしおいしい話に裏がないはずがない。しっかりのこの補助金増額の意図を読み取ろう。
 因みに、文献調査の補助金は、地元に半額、周辺町村に残りである。

総特集 高レベル放射性廃棄物処分場問題2

2006年09月28日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
福岡発レポート 地層処分シンポジウムin九州
シナリオ通りの受け入れ促進企画

 シンポジウムは2部構成。
 第1部は地層処分の技術や概要に関する説明で、高レベル放射性廃棄物は厳重に幾重にも包み、地下深い所に埋設するなど安全性を強調。さらに処分事業を引き受けた地域には「活性化につながるよう地域共生への取り組みを支援」するとアピール。
 中で強調されたのは「廃棄物の安全性」。廃棄物はガラス固化体にしただけではごく短時間被爆でも死に至るものだが、それを金属製の容器に入れ、固めた粘土で包むなど何重にもバリア(人工障壁)を設けたうえで、天然バリアである地下300m以深の安定した岩盤地層に埋蔵すれば安全…という。 だがその根拠として「粘土層から古代の鉄器がほとんど原形をとどめた形で出土した」など、説得力があるはとてもいえない内容。天然の障壁を人工的に加工して処
分場を作るのだから、根拠にならないのは素人でも分かる。「ウランよりラドンのほうがはるかに扱い難いがラドン温泉は歓迎される」などの発言に至っては、市民を無知と小馬鹿にするものでしかない。  第2部は市民・消費者代表パネリスト3者からの質問に回答する形で進行。「地層処分を初めて知った」「家庭ゴミは自覚できても原発ゴミはわかりにくい」「広
報活動が不十分ではないか」など、ごく一般的な質問に終始。"専門知識を有する反対派パネリスト"が一人も登壇していないから、ディスカッションになっていない。信じがたいことに最後に設けるべき会場の参加者からの「質疑応答」時間も設定されていなかった。
 一、二部を通じての印象は、「どこか積極的に受け入れてくれる自治体があれば」と、今現在も貯まり続ける放射性廃棄物の地層処分場を、一刻も早く確保したいという焦りが強く感じられた。受け入れ自治体の【地域共生】支援に言及することしきりで、配布資料でも受け入れることによる雇用誘発効果、税収、交付金などバラ色の地域活性策が強調されていた。そうやって視聴者を見回すと、招待者と思しき人が多数を占めている雰囲気で、シンポ全体が、主催者側の「計画的なシナリオ通り」に進行された、3時間にわたるごく初歩的な説明会であったのもうなずける。(シンポに参加した福岡在住の本紙読者から寄稿)

総特集 高レベル放射性廃棄物処分場問題(12号1面)

2006年09月28日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
70名が招待ツアーに
誘致の熱意 国に表明
 前号の「ひとりごつ」欄で速報した、高レベル放射性廃棄物処分に関する福岡でのシンポジウムと玄海原子力発電所見学を組み合わせたツアー(7月28~29日)に、町から70名が参加。福岡ではシンポジウム参加とは別個に「特別懇談会」も設けられ、早く処分地を決めたい国(資源エネルギー庁ほか)と直接接触。誘致派の“熱意”を正式に伝えた模様。多くの町民の意思を無視したこの誘致派の行動は許されるものだろうか。

参加者の1/4が町民

「地層処分シンポジウムin九州&玄海原子力発電所見学」と題されたこのツアー。主催は処分場建設を担う原子力発電環境整備機構(以下NUMO)、参加者の過半は町の建設業関係者で、「旅行に行こう」と誘われた一般町民も一部いたようだ。完全招待はまずいとの判断からか参加費用5千円(食費名目)。お膳立てしたのはかの元東大教授宮健三氏とみられる。
 シンポジウムの中身は別掲を参照してもらうとして、事前申込による定員300名の参加者のうち70名を占める異常さ、3時間のシンポ(多くは居眠りしていたよう)の後で「国との意見交換会」がもたれるなど、シンポの主催者NUMOにとっても特別の参加者として扱われている。それだけ処分場候補地として有力と考えられているのか、宮氏の熱意の成果なのか。いずれにしろ、NUMOが新上五島町を「誘致に熱心な町」と判断していることは否めない。

特別室で国の直接説明

 ところでこのツアー最大の目玉は「国との意見交換会」だろう。何しろ国にとっては受け入れてくれそうな地域住民に対し、直接働きかけができる場だ。効果的に利用しない手はない。
 シンポ会場のホテル(ハイアットリージェンシー福岡)の別室に設けられたこの懇談会では、宮氏が進行役を務め、資源エネルギー庁放射性廃棄物対策室長やNUMO理事から、立地した場合のメリットについて具体的な説明がなされたようだ。最近になって交付金の額を数倍に引き上げるほど切羽詰まった状況だから(別掲記事参照)、仕事に飢えている土建業者が飛び付きそうな話が出たであろうことは想像がつく。東大元教授が熱心に勧め、国のお墨付きを得ている施設なのだ。おまけに豊富なお金が落ちるという。どこかで疑問を持ちながらも「いい話かも」と受け取る危険性がきわめて大きい。

本島元長崎市長も!

 その説得役の一人として、思いがけない人物が登場した。かの平和市長として名を馳せ、凶弾に屈せずに持論を貫いた本島等氏である。いうまでもなく氏は本町北魚目の江袋出身。苦労して市長に登りつめた人だ。その氏が「意見交換会」に出席、70名町民の側に席を置いて「被爆県長崎だからこそ、誘致しなければならない」と発言、誘致派応援団の立場を明確にしたという。
 この発言はにわかには信じ難く、直接電話で真意を確かめたが、「柴田久直氏からの要請で出席した」ことは認めつつも、発言内容に関しては「誤解を与える恐れがある」として具体的な言及を避けた。ただ話の中での「沖縄の人の苦労を考えたら米軍基地は本土に移転すべき」などの発言をみると、地方ではなく国の立場で物事を考えていると想像される。ゆえに原発の廃棄物を国が地層処分にすることに関して、出身地の地元が望んでいるなら誘致も選択肢として検討して良いと判断しても不思議ではない。本当の平和主義者なら、米軍基地は本土移転などではなく、縮小・撤退を主張すべきだからだ。
 本島氏に関して優れた人物伝を書いたジャーナリストの中村尚樹氏に以上の事情を伝え、本島氏の発言について感想を求
 資源エネルギー庁は高レベル放射性廃棄物の処分地選定に当たり、第一段階の文献調査時に年間2.1億円を上限に交付するとしてきたが、これを一挙に10数億円に引き上げるべく、07年度の概算要求に盛り込むことを決めた(電気新聞7・21、長崎新聞8・6)。
 本紙2号でも詳述したように、処分場決定に至るには次のステップを踏む。自治体の応募→論文や古文書などによる「文献調査」→仮ボーリングなどによる「概要調査」→詳細な「精密調査」→立地決定。このステップごとに交付金の額は増えていく。留意しなければならないのは、地震多発地帯の青森県六か所村に原発関連施設が集中するようになったことでも分かるように、本当に適地かどうかという前に、立地が可能ならさまざまな理由をつけて「適地場所」にしてしまうというこれまでの国の姿勢だ。したがって誘致する意思を示したその時から、調査は「適地」の理由作りのためになされると考えた方がよい。
 2000年に地層処分を国が決定して6年。推進母体であるNUMO発足からでも3年になる。シンポで強調されたように処分場が安全なら、とうに候補地のひとつも決まって良さそうなもの。これまで10にあまる地域で誘致の動きが起きたが、いずれも短期間に撤回されている(この町では残念ながらしぶとく残っている)。これに業を煮やした国が、札束でひっぱたくという品のない愚民政策をやろうと決めたわけだ。
 文献調査の交付金は性格から判断してほとんど“純益”というべき無条件の補助金。金に目が眩む人には垂涎の的であろう。しかしおいしい話に裏がないはずがない。しっかりのこの補助金増額の意図を読み取ろう。
 因みに、文献調査の補助金は、地元に半額、周辺町村に残りである。
めたら「氏の政治姿勢を考えればありえない発言ではないが、もし本当なら平和市長としての晩節を汚すもの」との回答だったことを付記しておく。

「説明会」を要請

「意見交換会」は以上のように完全に「誘致を前提とした意見交換」の場。(恐らく)宮・柴田両氏の思惑通りに進んだ上で、柴田氏は「ぜひ私たちの町に来て説明会を開催してほしい」と要請。NUMOからすれば「渡りに船」なのは明瞭で「依頼があればいつでも出向く」と回答。
 柴田氏のこの要請は二重の意味で許し難い。ひとつは、この町の将来方向を決定付ける重要な問題に対し、本紙は誘致の選択肢を巡って住民討論会開催を、直接間接に何度も提案してきた。住民自身の問題ゆえ、自分たちの言葉で語り合うことが何よりも必要と考えるからだ。氏の行動はこれを放棄して、推進主体に住民説得を依頼するという没主体的かつ本末転倒の行動を取った。自らの確信的な論理を持っていないとみなすしかない。
 もうひとつは、NUMOに説明会開催を要請するということは、誘致運動を一歩進めること意味する。本町でも性こりもなく数回組まれた、NUMOによる六ヶ所村などへの招待旅行は珍しくないが、地元にNUMOを呼んで公式の説明会を開くというのは、奄美大島・宇検村の最近の事例しか知らない(別掲記事参照)。宇検村のケースはしたがって西日本新聞のトップ記事になるほどの衝撃的事件なのだ。もし新上五島町で要請通りの説明会がなされるとしたら、それだけでイメージダウンになることはまず避けられない。
 処分場誘致は正式には「町としての立候補」が必須。井上町長は住民の会の要望書に対し「誘致の意思なし」と文書で明言している。住民の意思については、誘致運動の一環として「東大体験学習」が、応募者激減のためこの春の2回目で中止。住民の意思の一端が表現されたことは柴田氏も認めざるを得まい。

町民の声を上げよう

 柴田氏らの行動は、まことに身勝手というしかない。NUMOの説明会を本気でやるつもりなら、自らの意見を何らかの文書で堂々と町民に伝える義務がある。でなければイメージダウンの責任をどう取るつもりか。
 住民の皆様にも、もし反対ならぜひ真剣に自分の意思を表明してほしい。本紙への投書、町への要望、あるいは直接NUMOへ意思を伝えることも有効(NUMOの連絡先は〒108-0014 東京都港区芝4-1-23 三田NNビル2階 電話03-4513-1116 Fax:03-4513-1299 立地広報部立地グループ)