遥かなる旅路(心臓バイパス手術手記)+(糖尿病日記)

実名で語る心臓バイパス手術手記+匿名で公開する糖尿病日記

日記(平成10年7月18日)

2007年04月08日 | Weblog
平成10年7月18日 (土曜日)


快晴である。昨夜もお隣は忙しかった。午前0時、
午前3時と2回、間食をしていた。午前0時の場合
は、暗闇の中で、間食をする音を聞きながら、いつ
しか眠ってしまった。午前3時の場合は悪夢であっ
た。

とうとう朝まで眠れなかった。午前4時まで我慢
して4時から、屋上へ洗濯物を干しに行く。甘いも
のを食べてはいけないと注意してあげたいが、 ご
本人も、 その事は、十分承知しているだろうし、
お年も召して白髪でもある。

失明、足の切断、昏睡も覚悟の上であるかも知れ
ないと思う時、好きなようにさせてあげるのも一
つの方法であろうと考える。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 今日は間食のご老人を含めて3人退院する。2名
の方は目を手術されたようだ。この方たちも間食を
していた。アンパンがお好きなようだ。年を取ると
「あんぱん」を好きになるらしい。

若い頃は、「あんぱん」を食べていたご老人を見
ると私は、「何であんなまずいものを食べるだろう」
と思ったが、最近は私もアンパンが好きである。

 空腹時の血糖値が120(mg/dl)台に落ち着い
てきた。しかし、目が少し霞み、足の先が冷える。

 目はどうすることもできないが、足はマッサージ
を15分間くらいすると暖かくなった。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


今日は、勇気を出して左隣のベッドの人と話し
をした。糖尿病にかかって10数年が経過してい
るとのことであった。

 左の足の中指から足の半分をえぐりとってある。
 壊疽の手術の後だ。入院直前の状況は、足がし
びれるというような軽い症状ではなかったらしい。

 急に針が刺すような激痛が足に走り、冷や汗を
かいて苦しんだ。我慢できずに病院に行ったら、
すぐ足の切開手術が行われそのまま救急車で運ば
れてきたとのことであった。いつも周囲に糖尿病

患者であることを訴えていたが、見た目は健康そ
うなので仕事に追われ、付き合いの酒も飲み、病
院へ行きたいと言える環境ではなかったとのこと
だった。


 その患者さんの述懐であるが、

「私も頑固だから病院に来なかったですよ...」

 我慢ができなくなったとき、すでに手後れにな
っている事が多い病気である。このような話を聞
く時、「糖尿病の管理は自分でするのだ」という
患者の自覚はあるが、周囲の人たちに押し切られ
る場合もあることがわかる。


 患者さんが病院裏の人通りの少ないところで、
物思いにふけり、切除でなくした足の一部をさ
すっておられる姿を見たら、糖尿病患者と知っ
て酒を勧める人は絶対にいなくなると思う。

 私は、糖尿病患者の一人であり、こんな光景
を見る時、やりきれない気持ちになる。そして、
気付かれないようにそっと回り道をして、運動
療法にでかけるのだ。

 午後から同病室の3人の患者さんが退院する。
 しかし病気が完治して退院するのではない。

 対象療法が終わったから退院するだけのこと
である。

  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

         第1章 - 終わり -

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