遥かなる旅路(心臓バイパス手術手記)+(糖尿病日記)

実名で語る心臓バイパス手術手記+匿名で公開する糖尿病日記

日記(平成10年7月17日:金曜日)

2007年04月07日 | Weblog
平成10年7月17日 (金曜日) 

今朝は入院してから2回目のシャワーが使える日
である。前回同様、午前9時を過ぎると直ぐシャワ
ー室へ行く。本当はいけない事だが、洗濯物を少し
シャワー室へ持ち込む。「体と一緒にこの際、下着
も洗濯してしまえ!」。

 同室の患者さん。Nさん、Kさん、Oさん、Aさんと
Iさん。この人たちは出戻りの患者さん達である。

夜暗くなると、あちらこちらでポリ、ポリ、ガサ、ガサ
と音がする。食べ物を入れたスーパーの包みを開け
る音は、静かな部屋の中では予想外に大きな音とな
って響く。
  最初の音から少しして、別のベッドからもあのス
ーパーの買い物袋の音がガサガサとした。

それほど長い時間ではなかったが、ぐっすりと眠っ
ている時に突然、部屋に響く音は深夜となると我慢
ができない音でもある。

「こちらだって空腹だ。いつも腹の虫がグウグウと
鳴り、何か食べたいと催促しているのだ」

1部屋7人用の相部屋で他の患者さん達は息を潜
めている。目が覚めているのだ。その内、あちらこ
ちらのベッドで寝返りをする音が「ギシギシ」と聞
こえ始めた。間食をしている患者さんは、音を出さ
ないように気を付けているのだろう・・・・・・・。

しかし、深夜の暗闇の病室内での静けさの中で、音
を立てないでスーパーの買い物袋を静かに開けること
はできない。食べ終わって再び静けさが戻ると、いつ
の間にか、眠ってしまうのであるが私にとって最悪な
夜は、一人の患者さんの間食に付き合ってからまた別
な患者さんのそれに付き合う事になる夜だ。

こんな夜は眠れずに一夜を明かす事になる。翌朝が
来ると、

「おはようございます」

と挨拶をして始まる。生唾を飲み込んでじっとおな
かの空いたのを我慢した昨夜の事はまるで忘れた
かのように誰も何も語らない。
(自分も何か食べたいのをじっと我慢しているのだ。
だから)黙っていることが精一杯の友達にたいする
行為なのであろう。

治療日誌

朝6時起床、同室のご同輩はすでに起きている人、
イビキをかいて寝ている人、まちまちでる。

看護婦さんの、

「おはようございます、失礼します」

の透き通った声で、今日の第1回目の採血が始まる。
少し低血糖値気味か、目が霞む。9時、血糖値コン
トロールのため運動を30分間する。今朝の血圧は、
高い方が130、低い方は60。(まれにない良い値
である)

血糖値
 7時00分 137(mg/dl)
11時15分 286(mg/dl)
17時15分 175(mg/dl)
22時00分 212(mg/dl)


平成10年7月18日へ続く

日記(平成10年7月16日:木曜日)

2007年04月06日 | Weblog
注)画像解説:この絵は私が糖尿病教育入院してい
  た時の、阿佐ヶ谷の駅の近くを描いたものです。


平成10年7月16日(木曜日)

 今日は採血がない日、入院してから3日間に血
管は注射針で穴だらけだ。それに、入院前の食い
だめもさすがに3日も過ぎるとお腹がすいてくる。

 主治医K先生が回診で部屋に来られた。

「朝は下がっているよ(血糖値が)。しかし、昼
 が高いんだよな」

それを受けて私が答える。

「先生、今朝は139(mg/dl)です。少し下がるの
 が早いと思います。1週間ぐらいかけてゆっくりと
 さげたかったのですが...」

先生は、

「昼間に血糖値が下がるようにしなければならない」

といわれた。そして、私が持ち込んだノートパソコン
を見て、

「そんなことしている場合ではないよ。運動をしなけ
 れば...」

私が、

「血糖値の最高値が食後3時間を過ぎて降下を始めた。
 以前は4時間を過ぎないとさがらなかったのに...」

と話すと先生は、

「運動を、食後1時間過ぎてから始めてはどうだろうか、
 血糖値が上がる前に始めるといいよ」

と言われた。主治医の指示を受けて、今日は病院の階段
を30分間(歩数にて2、039歩)運動療法をした。
階段での運動は少しきついと思ったが、外はシトシトと
雨が降っているため病院外での運動はできなかった。

治療日誌

本日は採血のない日であるため、病院の採血時間と同じ
時刻に自己採血をする。院長先生の回診が10時15分
にあった。

「血糖値がさがってきたね。インスリンは絶対に嫌だっ
 て聞いているよ。(MクリニックのS先生からの連絡を
 聞かれたのだろう)」

「運動やっている?」

私が、

「はい」

と答えると、

「なかなかいいね」

と会釈をされて部屋を出て行かれた。

 午前10時20分。昨日病院が採血した私の血糖
値をナースステーションへ聞きに行く。

血糖値(自己測定)

  7時15分 139(mg/dl)
11時15分 302(mg/dl)
17時15分 144(mg/dl)
22時00分 195(mg/dl)


日記(平成10年7月15日:水曜日)

2007年04月05日 | Weblog
平成10年7月15日(水曜日)  

「グリコヘモグロビンは7ぐらいが正常」であると
主治医、K先生から知らされた。「糖尿病治療の手引
き」(日本糖尿病協会、南江堂)によると、グリコヘ
モグロビンの値は4~ 7(%)位が大変良好である
と記されている。

私も9以下の値を示した事があったが遥か昔のこと
で覚えていない。入院前のヘモグロビンの値は11
から12の間を行ったり来たりしていた。

この値は、血糖値で換算すれば300(mg/dl)位
の値であるらしい。ヘモグロビンの値を7まで減少
させるのは大変だと感じた私は、

「難しいですね、先生」

と答えると、

「必ず落せる」

と先生はおっしゃった。心の中で、「無理だよ!」
と呟きつつもそれ以上私は、何も言わなかった。

 昨夜から体調の変化があった。それは嬉しい変
化で階段の昇り降りに、以前のような心臓の苦し
さが無いのである。言葉ではどのように変わった
かを言い表す事は難しいが、心臓に負担をかけた
時、爽快な疲労感が蘇ってきたのだ。

心臓病が直ったような嬉しい気持ちでいっぱい
になった。
 私に入院を決意させた理由は、仕事中、左目の
白目のところに出血が1ヶ月の間に2回も起きた
事であるが、この時、今回は真剣に血糖値のコン
トロールをしなければいけないとも考えた。それ
に、MクリニックのS先生に、あの歯切れのいい言
葉で、

「がんばってね!」

と、励まされて緊急入院の準備をしたのであった。

 K先生(:糖尿病入院の時の主治医)の私の心を
擽るように挑発を続ける対応に接しながらも、家に
残してきた妻をちょっぴりと案じながら、看護婦さ
んの優しさに埋もれて、入院3日目を無事に迎える
事となった。

治療日誌

グリコヘモグロビンの値を見ると、 向こう3ヵ月
間の食生活がわかるといわれている。

 しかし、あくまでもヘモグロビンの値は、3ヵ月
間の平均が現れるから、例えば、この期間に数回暴
飲暴食をしても、平均値は上がらない場合もあるの

で注意が必要ではないだろうか?

血糖値

 7時00分 171(mg/dl)
11時15分 308(mg/dl)
17時15分 206(mg/dl)
22時00分 224(mg/dl)



           平成10年7月16日(木曜日)に続く


日記(平成10年7月14日:火曜日)

2007年04月04日 | Weblog
平成10年7月14日 (火曜日)   
   
主治医、K先生の回診。

「もう食べられないからと入院前に思い切り甘いもの
 を食べてくる人ってはじめてだ。考えられない事を
 する人だ!」

と、おっしゃった。これは、病院での食餌療法など注意
事項を話された時、入院前に心の区切りのつもりで甘
いものを食べてきたと話した事に対する先生の返事で
ある。

「昨日より、血糖値がさがっています」

と、私は答えた。続けて、

「甘いものを食べたいと思いながら我慢していると、
 いつまでたっても食べたいと思う気持ちから抜け
 出せない。思い切り食べれば、諦めがつく」

と答えた。この言葉で、先生は、あきれてしまったの
か話題を変えられた。


(注 糖尿病は甘い物が食べられないという意味ではない)

 先生は、

 「自分で食事の管理ができない人は、外食の場合で
  も食べ物の選定ができない。これでは、いつまで
  たっても血糖値コントロールができない」

 「合併症は自分より子供、子供よりその子供と段々早
  く現れる。あなたの場合は、自分に合併症がでるま
  での期間が長いが、あなたの子供が糖尿病になった
  時、合併症が現れる期間は、あなたより早くなる」

「そして、あなたの子供のその子供は、もっと合併症が
  早く現れる。それを考えると自分の自己管理がしっか
りできていないと子供に悪影響を与える。良好なコン
トロールができれば、糖尿病で苦しまなくて済む」

先生のこの言葉は私の心に痛くこたえた。そのような事
から、「自己血糖値コントロールを本気で実行しよう」と
心に誓った。

治療日誌

本日の診察結果:眼科

1、糖尿病性出血――――ランクA2
*ランクは(A1,A2,B1,B2,B3,B4,B5)とあるらしい。

2、平常食事の血糖値
  食事前 203(mg/dl)
1時間後 357(mg/dl)
2時間後 400(mg/dl)
4時間後 352(mg/dl)



平成10年7月15日(水曜日)へ続く

日記(平成10年7月13日:月曜日)

2007年04月03日 | Weblog
10年7月13日(月曜日)


 大きなナップサックを背負い、平成10年7月13日
午前10時、私はMクリニックの糖尿病担当で、私の主
治医であるS先生に紹介された病院に到着した。入院手
続きを済ませ、看護婦さんに指示されたベッドの上に横
になって、まもなく、この病院での私の主治医であるK先
生が来られた。

「現在の血糖値が400(mg/dl)以上もある。あなたの
 血糖値のピークは、700(mg/dl)を超えているでし
 ょう。放置しておくと血管がぼろぼろになるし、合併症
 も心配される」

と話された。インスリン注射の投与を極端に恐れていた私
は、次のように答えた。

「急激に血糖値を降下させないで、徐々に下げて下さい」

一息おいて、私は次のように言った。

「長い間、高血糖値であったから、急激な血糖値の変化は
 身体のある部分に影響を与えます」

 血糖値を急激に降下させると体調に変化がでることを、
以前の経験から私は知っていた。 私の場合、低血糖にな
ると、目が暗く霞んでその後、太陽が凄くまぶしく感じる
のである。

 私はさらに、

「血糖値は徐々に降下させて、正常値に持って行きたい。
 食餌療法、運動療法を行った上で、 効果が出ない時は、
 インスリン注射をして下さい」

とK先生に告げた。この時私は口径血糖降下剤の投与は受
けていた。

 S先生から緊急入院の指示を受けた時、 Mクリニックに
通院をはじめて、すでに1年半が過ぎていた。

 先回の海外赴任から3年が経過しており、1回目の海外
赴任先であった南米への出発前に、 Mクリニックで健康診
断を受診したいきさつから当病院にはなじみがあった。

 それに、S先生が患者に気軽に接してくださるお人柄の
良さも手伝って、つい甘えて、

「先生!入院して、インスリンを注射するとお医者さんが
 いったら、俺、すぐ病院を逃げ出すからね」

と言ったことを先生が入院先に連絡されたのだろう。こち
らの主治医K先生はインスリンについては全く触れられなか
った。しかし、状況からしてインスリン投与を直ぐにしな
ければと考えておられたのではないだろうか。

 先生は、

「点滴するように」

と看護婦さんに指示をされただけであった。後に、看護婦
さんにその中の物質を尋ねたが、それは生理用食塩水との
ことであった。生理用食塩水は、血糖値を降下させ、さら
に心臓の苦しさを3日間、完全に消し去ってくれた。
(私は、今回の海外勤務中に、心臓の苦しさを覚え、一時
帰国の時から心臓の口径薬治療を受けていた)この点滴に
よって血糖値は次の日、空腹時で203(mg/dl)に降下し
たのである。

治療日誌

食後生理食塩液 500(ml)
17時15分    採血
22時00分 採血  

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇  


         平成10年7月14日に続く