注目されるのは、発刊以降昨年まで20年間の「ベスト・オブ・ベスト」が発表されていることです。国内編・海外編それぞれベスト40が掲載されていますが、海外編は少し弱いので、国内編を参考にしながら、自分の好きな作家と好きな作品を少しご紹介したいと思います。20年総合ベストの上位作家からアト・ランダムに・・・
- 宮部みゆき
「火車」・・・20年総合第1位、93年度第2位
「理由」・・・20年総合第38位、99年度第3位など
- 大沢在昌
「新宿鮫」・・・20年総合第5位、91年度第1位
「毒猿 新宿鮫Ⅱ」・・・92年度第2位など
- 高村薫
「マークスの山」・・・94年度第1位
「照柿」・・・95年度第3位など
- 東野圭吾
「白夜行」・・・20年総合10位、00年第2位など
- 桐野夏生
「OUT」・・・20年総合大30位、98年度第1位
「柔らかな頬」・・・00年度第5位など
宮部みゆき さんは、もちろん大好きな作家の一人です。何と言ってもそのストーリーテラーぶりが素晴らしい!圧倒的に引き込まれます。宮部さんが敬愛する作家はスティーヴン・キングらしいですが、その吸引力?たるや、キングに匹敵しますね。それとどことなく、暖かいところ、救われるところがあるのもいいです。ここに上げた2編以外にも、いわゆる「江戸もの」である「怪~あやし」や「震える岩」、少しSF的な「レベル7」なども好きです 「模倣犯」は未読ですが・・・
大沢在昌さんは、わが愛知県が生んだ大作家ですね。たくさんの本を書かれていますが、やはり「鮫」のインパクトは他を圧倒しています。キャラクターの個性と、しっかりとしたプロット、それから新宿という街の「凄み」が作品の厚みを増しています。その他ありえない設定ながら読まされてしまった「天使の牙」、近未来の東京を舞台にした活劇「B・D・T〔掟の街〕」 (94年度第4位)なんかもグッドですがねー(名古屋弁です)。
最近はミステリーを書かなくなった高村薫さん。でも彼女の「マークスの山」は日本ミステリー史上に残る大傑作です。警察小説としても、サイコスリラーとしても、悲劇としても超一級男より男っぽい文章を書くヒトで、ロシア文学と比較される高い文学性を持っていますが「マークス・・」は読みやすいですよ。激しい愛を描いた「照柿」もお気に入りです。その他では「レディ・ジョーカー」(総合9位、98年度1位)の人気が高いですね。個人的には短編集「地を這う虫」がお気に入りですが・・・
最近、直木賞も受賞して絶好調の東野圭吾さんが、一皮向けたのが、この「白夜行」という大作でしょう。いわゆる犯罪小説の最高峰、と申し上げておきましょう。映画にもなった「秘密」(99年度第9位)なんかも、可愛くてよかったですけどね
桐野夏生さんは好き嫌いがはっきり分かれる作家でしょう。私は好きですが・・・何といても「柔らかな・・」には泣かされました。もはやミステリーの領域を超越しています。「OUT」は後の過激路線?に向う嚆矢になった重要作です。個人的には、初期のミロシリーズ「顔に降りかかる雨」「天使に見捨てられた夜」なんかが好きなんですが、「このミス」には影も形もありませんね!特にミロのお父さんが活躍する昭和30年代もの「水の眠り灰の夢」は素晴らしいとおもうんですがね~。
(つづく)
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