皆さんは高額な商品の購入を考える際に、どのような消費行動を取るだろうか。
【画像が掲載された記事】
多くの方は、慎重に商品の価格・商品性・他の消費者の反響を調べるなどの購入検討をすることと思う。では、価格・商品性・消費者の反響などの諸条件の中で、何を決め手としているのだろうか。
消費者の状況・性格によりまちまちだが、日本の消費者は、リーマンショック以降、製品・サービスより、むしろ低価格を一番のポイントに置いているとの世論をよく耳にする。果たして、「消費者の購買意識」の実像はそのようなものなのであろうか。消費者は、購入する商品やサービスに何を求めているのか、企業との対応の間にズレはないのか。
経済産業省が2009年12月~2010年2月にまとめた「消費者購買動向調査―リーマンショック以降の日本の消費者の実像」(PDF)の調査結果要旨によると、日本の消費者は「低価格」よりも「信頼」、「安心」への嗜好性をより重視していることが分かった。
また、消費者が消費行動を起こす際に信頼できる情報源とするのは「口コミサイト」が圧倒的との結果が出た。
Wikipedia によると、「口コミ」とは造語の一つで「口頭でのコミュニケーション」の略とされている。口コミは、インターネットが普及した現代では、掲示板やブログなどで不特定多数に意見を伝えられるため、以前より影響力が大きくなっていると言われている。
その影響から現在のインターネットにおいて口コミをマーケティング戦略に取り入れる動きが盛んである。そのマーケティングの一つが、「消費者形成型メディア」と呼ばれる「CGM(Consumer Generated Media)」という考え方である。CGM とは、インターネットなどを活用して消費者が内容を生成していくメディアのことで、口コミサイト、Q&A コミュニティ、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、ブログポータル、COI(Community of Interest)サイトなどがこれにあたる。
本コラムでは口コミ(CGM)を用いた企業のマーケティング戦略のあり方について論じていきたい。
この口コミ(CGM)という観点は Web メディアだけではなく新聞・雑誌・TV・ラジオのメディアにも用いられている。例えば、新聞広告による口コミ効果で言うと、ノベルティ発刊を告知する広告の場合は、ノベルティの内容・発刊数に加えて“反響の声”を掲載することがそれにあたる。
既存の各メディアで口コミが認知・展開されている中、消費者はどこから情報を拾うのか。
経済産業省調査「消費者の自由時間とオンラインショッピングの利用実態」(PDF)によると、自由になる時間は“午後9時~午後11時“、自由時間の過ごし方は“PC・携帯などで情報の閲覧やメールのやりとり”、オンラインショッピングの利用状況はカタログショッピング、テレビショッピングを抑えて“ネットショッピング”の利用頻度・利用金額が高くなっている。
この調査結果からも消費者の情報収集と消費行動の大半は Web メディアに依存していると考えていいだろう。
この傾向から、消費者は実際に消費した人の感想を事前に見てバリュー感を判断する消費形態が定着しており、企業側からすると消費者のこの厳しいスクリーニングに残れないものは売上に大きく影響する。消費者も使ってみて良いと思った情報はメールや口コミサイトへの書き込みを通じて発信する傾向にあるため、消費者の評価は消費動向に強く影響する。
一方、企業にとっての消費者情報の入手については、消費者対応部門を窓口にした入手は大半の企業が行っているが、ネット上の口コミサイトへの書き込みの確認といった積極的な情報収集は、半分以下の企業にとどまっている。また、故障・問題発生時の対応については、消費者は「アフターサービスの内容」や「解約方法」といったサブスタンスのある情報を求める一方で、企業の経営者は「誠実な消費者対応」、「企業の信頼性」などのイメージを重視していることがわかった。
この結果から消費者と企業経営層の認識の違いが確認できる。
それでは Web による企業の販促戦略はどうなっているのであろうか、上述の消費者の消費動向に合わせたものだろうか、それとも販促戦略においても消費者と認識の違いがあるのだろうか。
矢野経済研究所が昨年実施した、「Web サイト展開企業の集客・販促戦略に関するアンケート」によると、EC サイトを中心とした Web サイト展開企業の集客実態は以下の通りとなった。
図を見てお分かりの通り、やはり企業は口コミを発生させるためにサービスレベルを向上させるなどの取り組みをしていることがわかる。この観点でみると、「消費者の消費動向」と「企業の販促戦略」の認識は一致しているが、企業の集客手法は口コミ以上にアフィリエイトに向いていることにお気づきであろうか。
アフィリエイトとは成果報酬型広告とも呼ばれ、ある広告媒体の Web サイトに設置された広告によって Web サイトの閲覧者が広告主の商品あるいはサービスなどを購入し、生じた利益に応じて広告媒体に成果報酬を与える一連の形態をさす用語である。
広告主は前述した CGM サイトに、アフィリエイトで自社の商品あるいはサービスの広告を展開し、消費者の認知を高め、さらには消費行動を促す。広告を掲載した CGM サイトには成果(購入・申込など)によって掲載報酬を支払うのである。
口コミサイトは通常、比較系口コミサイトと口コミブログサイトに分類されるが、口コミブログ広告市場は2006年頃から知名度が高まり、消費者の消費動向に口コミが強く影響するようになった。そして今後も市場は順調に拡大し、当初は10億円程度だった市場も2010年には130億円を突破すると見られている。
現在は下記の図でもお分かりの通り第4ステージとなり、広告主がブロガーへ記事掲載を依頼し、それ以外でリアルな商品サービス展開をする“クロスマーケティング展開”が主流となっている。
今後、広告主は消費動向に大きく影響する“口コミ”をどう販促に繋げるかが課題となってくるが、この口コミから得た反響をマーケティングデータとして自社のサービス向上に役立てたり、売上に影響力のある口コミ(CGM)サイトに掲載を依頼して効果検証をしていくことが重要となるであろう。
媒体ネットワークを持ち、媒体の属性に応じた広告掲載戦略で正しく効果検証を進めるには ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)、アフィリエイト専業代理店(アフィリエイトエージェント)など、アドバイザー的な存在が必要となる。
しかし、まずは自社の商品・サービスが口コミで多くの反響を得られるかどうか、その他の広告展開・リアル販促展開での効果検証はどうだったかなど、これまでの販促戦略展開の総括をして、アフィリエイト専業の業者と口コミ(CGM)サイトを活かしたクロスマーケティング戦略を進めるのが、消費者の消費動向を意識した販促戦略としては妥当ではないだろうか。
記事提供:株式会社ネットマーケティング
業界の話題、問題、掘り出し物、ちょっとしたニュース配信中。
【画像が掲載された記事】
多くの方は、慎重に商品の価格・商品性・他の消費者の反響を調べるなどの購入検討をすることと思う。では、価格・商品性・消費者の反響などの諸条件の中で、何を決め手としているのだろうか。
消費者の状況・性格によりまちまちだが、日本の消費者は、リーマンショック以降、製品・サービスより、むしろ低価格を一番のポイントに置いているとの世論をよく耳にする。果たして、「消費者の購買意識」の実像はそのようなものなのであろうか。消費者は、購入する商品やサービスに何を求めているのか、企業との対応の間にズレはないのか。
経済産業省が2009年12月~2010年2月にまとめた「消費者購買動向調査―リーマンショック以降の日本の消費者の実像」(PDF)の調査結果要旨によると、日本の消費者は「低価格」よりも「信頼」、「安心」への嗜好性をより重視していることが分かった。
また、消費者が消費行動を起こす際に信頼できる情報源とするのは「口コミサイト」が圧倒的との結果が出た。
Wikipedia によると、「口コミ」とは造語の一つで「口頭でのコミュニケーション」の略とされている。口コミは、インターネットが普及した現代では、掲示板やブログなどで不特定多数に意見を伝えられるため、以前より影響力が大きくなっていると言われている。
その影響から現在のインターネットにおいて口コミをマーケティング戦略に取り入れる動きが盛んである。そのマーケティングの一つが、「消費者形成型メディア」と呼ばれる「CGM(Consumer Generated Media)」という考え方である。CGM とは、インターネットなどを活用して消費者が内容を生成していくメディアのことで、口コミサイト、Q&A コミュニティ、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、ブログポータル、COI(Community of Interest)サイトなどがこれにあたる。
本コラムでは口コミ(CGM)を用いた企業のマーケティング戦略のあり方について論じていきたい。
この口コミ(CGM)という観点は Web メディアだけではなく新聞・雑誌・TV・ラジオのメディアにも用いられている。例えば、新聞広告による口コミ効果で言うと、ノベルティ発刊を告知する広告の場合は、ノベルティの内容・発刊数に加えて“反響の声”を掲載することがそれにあたる。
既存の各メディアで口コミが認知・展開されている中、消費者はどこから情報を拾うのか。
経済産業省調査「消費者の自由時間とオンラインショッピングの利用実態」(PDF)によると、自由になる時間は“午後9時~午後11時“、自由時間の過ごし方は“PC・携帯などで情報の閲覧やメールのやりとり”、オンラインショッピングの利用状況はカタログショッピング、テレビショッピングを抑えて“ネットショッピング”の利用頻度・利用金額が高くなっている。
この調査結果からも消費者の情報収集と消費行動の大半は Web メディアに依存していると考えていいだろう。
この傾向から、消費者は実際に消費した人の感想を事前に見てバリュー感を判断する消費形態が定着しており、企業側からすると消費者のこの厳しいスクリーニングに残れないものは売上に大きく影響する。消費者も使ってみて良いと思った情報はメールや口コミサイトへの書き込みを通じて発信する傾向にあるため、消費者の評価は消費動向に強く影響する。
一方、企業にとっての消費者情報の入手については、消費者対応部門を窓口にした入手は大半の企業が行っているが、ネット上の口コミサイトへの書き込みの確認といった積極的な情報収集は、半分以下の企業にとどまっている。また、故障・問題発生時の対応については、消費者は「アフターサービスの内容」や「解約方法」といったサブスタンスのある情報を求める一方で、企業の経営者は「誠実な消費者対応」、「企業の信頼性」などのイメージを重視していることがわかった。
この結果から消費者と企業経営層の認識の違いが確認できる。
それでは Web による企業の販促戦略はどうなっているのであろうか、上述の消費者の消費動向に合わせたものだろうか、それとも販促戦略においても消費者と認識の違いがあるのだろうか。
矢野経済研究所が昨年実施した、「Web サイト展開企業の集客・販促戦略に関するアンケート」によると、EC サイトを中心とした Web サイト展開企業の集客実態は以下の通りとなった。
図を見てお分かりの通り、やはり企業は口コミを発生させるためにサービスレベルを向上させるなどの取り組みをしていることがわかる。この観点でみると、「消費者の消費動向」と「企業の販促戦略」の認識は一致しているが、企業の集客手法は口コミ以上にアフィリエイトに向いていることにお気づきであろうか。
アフィリエイトとは成果報酬型広告とも呼ばれ、ある広告媒体の Web サイトに設置された広告によって Web サイトの閲覧者が広告主の商品あるいはサービスなどを購入し、生じた利益に応じて広告媒体に成果報酬を与える一連の形態をさす用語である。
広告主は前述した CGM サイトに、アフィリエイトで自社の商品あるいはサービスの広告を展開し、消費者の認知を高め、さらには消費行動を促す。広告を掲載した CGM サイトには成果(購入・申込など)によって掲載報酬を支払うのである。
口コミサイトは通常、比較系口コミサイトと口コミブログサイトに分類されるが、口コミブログ広告市場は2006年頃から知名度が高まり、消費者の消費動向に口コミが強く影響するようになった。そして今後も市場は順調に拡大し、当初は10億円程度だった市場も2010年には130億円を突破すると見られている。
現在は下記の図でもお分かりの通り第4ステージとなり、広告主がブロガーへ記事掲載を依頼し、それ以外でリアルな商品サービス展開をする“クロスマーケティング展開”が主流となっている。
今後、広告主は消費動向に大きく影響する“口コミ”をどう販促に繋げるかが課題となってくるが、この口コミから得た反響をマーケティングデータとして自社のサービス向上に役立てたり、売上に影響力のある口コミ(CGM)サイトに掲載を依頼して効果検証をしていくことが重要となるであろう。
媒体ネットワークを持ち、媒体の属性に応じた広告掲載戦略で正しく効果検証を進めるには ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)、アフィリエイト専業代理店(アフィリエイトエージェント)など、アドバイザー的な存在が必要となる。
しかし、まずは自社の商品・サービスが口コミで多くの反響を得られるかどうか、その他の広告展開・リアル販促展開での効果検証はどうだったかなど、これまでの販促戦略展開の総括をして、アフィリエイト専業の業者と口コミ(CGM)サイトを活かしたクロスマーケティング戦略を進めるのが、消費者の消費動向を意識した販促戦略としては妥当ではないだろうか。
記事提供:株式会社ネットマーケティング
業界の話題、問題、掘り出し物、ちょっとしたニュース配信中。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます