妻の花粉が可哀想なぐらい酷かった。ぐったりしてて、息子も猫も元気がない。
やっぱり妻は我が家の太陽なんだなぁ、ってね、思いましたよ。昨日は風がすごくて、そのぶん花粉もすごかったみたい。
私は申し訳ないぐらい花粉無感覚症なので、妻の気持ちはわかるにわかり得ません。困った主人です。
で、昨日も一日、中途半端な天気と半端ない風の中、トラックを運転してきたわけなんですが……、
クラクションを鳴らしながら突っ込んでくる奴がいるんですよ。それも結構な確率で。
トラックってさ、モタモタ動く種類の車なんですよ、荷物も重いし、荷崩れ起こさないように慎重に運転しなければならないし、視界も悪いし。
そこを……、もう少し分かってくれませんかね？
なんて……、
へりくだる気持ちはもうありません。 なくなりました。
私はクラクションを鳴らす場合は、道を譲ってもらったときのお礼と、青信号に気付かない前の車にその事を教える時ぐらいです。
毎日乗ってますとね、しかも十時間近く、いろんな場面で危ない思いもするんです、気を付けていても、ハッとして思わず急ブレーキをかける事も、何度もありました。今日もあるかもしれません。
本当に危ない時ってさ、クラクション鳴らす余裕なんかない訳ですよ。まずブレーキ。
つまり、クラクションを鳴らしながら突っ込んでくる奴は、状況を確認するのに十分な時間も余裕もあってあえて鳴らしてくる奴なんですね。なぜなんでしょ？
そこには人間の本当に浅はかな部分が露見しています。それは、
『優先意識』
交通ルールを守るのは当然、しかし、ルールはすべての緊急事態にまで対応しきることは不可能です。つまり、ルールはルールとしても、緊急の場合はやはり、それぞれが賢明な判断をしなければならない。それは基本中の基本。
しかしそういう連中はその『優先意識』に囚われて何も見えなくなって、何もまともな判断が出来なくなっているから、直進優先、とか、歩行者優先、とか、そんなモノに命を懸けてくるんです。こっちとしては冗談じゃない！
私は安月給を稼ぐために毎日身を危険にさらしている。出来るだけ早くその状況から抜け出して、何事もなく、一刻も早く自宅に戻って、愛する妻や息子や猫と一緒に、一秒でも長くだんらんの時を過ごしたい。
そう思っているんです。命を懸けるなら家族の方に掛けるんです。見ず知らずの他人が運転する車になんか、絶対自分の命なんか掛けません。当たり前でしょ！！
しかしそういう連中はその『優先意識』を誇示したいばかりに、クラクションを鳴らしながらあえて突っ込んでくるんですよ。こっちが優先だろ！オラ！ って按配にね。
『優先』と『優越』を混同している。勘違いしている。自分の車の前のスペースを自分の占有スペースだと勘違いしている愚か者たち。お前が一体、この道路にたいしてどれだけの権利を保有していると思っているんだ？ この道路を管理するのに、お前は一体、幾らの金を払っているんだ？ 交通ルールとはいったい、何の目的であるんだ？
すべて勘違いしている。そしてさらにその元々の、もはや本能に及ぶ部分まで……。
トラックという大きな鉄の塊にぶつかって、自分の身がどうなるか？
わかるはずなんですよね……。犬でも猫でもわかるんですから、人間にだって。時速数十キロで走る鉄の塊にぶつかったら、自分の体がどうなるか。犬や猫ならそんな無駄な危険は冒しません。避けるでしょ。逃げるでしょ。当たり前です。
自転車に乗ってる人も同じですよ。自転車なんかトラックにしたら、蚊トンボ……。そう思ってください。
権利とか、優先とか、そんなモノは一切、あなたの身を守ってはくれません。
そうそう、自治体にも文句を言いたい。
なんですかね？ あの道路の端に描いた自転車の絵。あそこを、走れと？ 走ってもいいと？ そういう意味ですかね？
じゃあそのためにどんな安全対策を施したんでしょう。道幅もそのまま、段差も、ガードレールもない、ただの車道に自転車の絵を描いただけで、それで本当にそこを自転車が走っていい事になったんでしょうか？
そういう勘違いを、あえて起こさせる自転車の絵を描く事は、自転車に乗る人を騙して危険に身を晒すように仕向ける悪質ないたずら以外に、私には思えませんけど。
安全はね、一人一人の安全でないと意味がない。もちろん、私達ドライバーの安全も。ルールはそのための共通意識でなければいけない事も、了解です。しかし、ルールにほだされて、或いは騙されて、あえて危険な行為に及ぶ、それは意識的にしろ、無意識的にしろ、それじゃあルールそのものの意味がなくなります。ルールが危険を誘発する、ルールのために死んだ。なんて、バカバカしいことこの上ない。
やっぱりね、目の前の状況を、自分の安全に照らし合わせて判断しましょう。ルールは身を守りません。
信号だけ見て横断歩道を渡るより、車だけ見てわたる方が絶対安全ですよ。
朝から堅苦しくてすみませんでした。妻が、寝息が苦しそう……。可哀想に、愛してるよ。
