中田人材経営サロン

元ソニー人事部長であり、青山学院大学客員教授の中田研一郎より、企業の視点と個人の視点で「キャリア」「生き方」を語ります。

中国人材に対するアプローチは新しいフェーズに

2008-03-18 11:21:32 | パブリシティー
質的にも量的にも日本のトップ人材を凌駕するようなナレッジワーカーが
多数輩出している中国の現実を踏まえ、従来の「アッセンブリ工場中心」
「安価な労働力」という既成概念にとらわれず、多層的に人材戦略を展開する
時代になっている。

全てのビジネス領域においてソフト開発力強化が必要という現状において、
IT関連のマンパワーが急速に増大し、人材の一大供給源となった中国と、
人材構成の変革の中にある日本企業のニーズをマッチングさせる
大きなチャンスである。
 
実際、PC、デジタルカメラ、あるいは携帯電話などには莫大な量の集積回路が
入っている。そしてその技術に関してはハードウエアとソフトウエア両面を
カバーしなければならない。

その両面の高等な技術に習熟し、高密度実装をする設計という極めて高度な技術が
要求される。これらの機器の1台を設計するのに要する工数はカラーテレビ製造と
同等といわれるぐらいである。しかも商品のライフサイクルが短くなった。
例えば携帯電話は3カ月に1度、新商品を出さなければならない。
カラーテレビも、昔は年に1回でよかったが、現在ではそれでは間に合わない。
そのため設計開発に係る負荷が極端に増大し、人材不足に陥ることは当然だが、
そういう現場の声が翌日、人事施策に反映されるというわけにはいかない。

そこで人事部としても、人材のグローバル化と多様化(ダイバーシフィケーション)
という方針を打ち出した。日本では、いまだにダイバーシフィケーションは
女性の活用という狭い理解しかされていないきらいがある。
国際的に広く人材を求めるという視点が必要である。
本来日本人だけしかいないという職場は国際的に見て例外的といわざるを得ない。
日本の雇用構造は国際的視野からダイバーシフィケーションを進めなければならない。

そこで日本における単一民族の村社会の雇用構造を変えるには、
外国人の新卒を採用することが1つのブレークスルーとなるだろうと考えた。
中国の子会社が中国人を採用するのは当然だ。
しかしそれだけでは真のダイバーシフィケーションにはならない。
なぜなら日本語ができるという理由のみで採用しコア人材としては
使わないことが多いからである。

では真のダイバーシフィケーションとは何か。
外国人を中核コア人材として活用することである。
キャリア・ディベロップメント上、明確に位置付けることか必要である。
私がソニーで人事部長をしていた当時、この方針によってグローバル人材の採用と、
人材の多様化という大きなコンテクストに乗せようと考えて、
日本において中国人の新卒採用を始めた。
そしてそれまでの数人の採用を数十人規模の採用に拡大して、
本社の人事部長の直轄プロジェクトにした。
もちろん中国の大学と直接交渉だ。
その結果、清華大、北京大、上海交通大など中国のトップクラスの大学から
3年間で延べ百数名採用した。彼らは中核人材として主要商品の設計開発の
重要プロジェクトにおいて主力リソースとして現在も活躍していると聞いている。

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次回は、上記の続きで、
中国だけでなく、韓国ほかアジア諸国の人材にも注目
について掲載します。

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