中田人材経営サロン

元ソニー人事部長であり、青山学院大学客員教授の中田研一郎より、企業の視点と個人の視点で「キャリア」「生き方」を語ります。

技術面での質量ともに進む中国およびアジア、日本は停滞気味

2008-03-24 20:26:32 | パブリシティー
企業活動において人材の育成、人材の採用のオペレーションにおいて、
以上のようなマクロトレンドから逃れるわけにはいかない。
日本人ばかりではまずいから、BRICS諸国の成長を見込んで
BRICSの外国人を入れておこうという、近視眼的議論ですむ問題でもない。
議論をより深化させなければならない。

量とともに質の統計も注目しよう。
数学オリンピックの順位表によれば、02年度、1位からChina、Russia、
Bulgaria、Viet Nam、South Korea、Taiwan、Rumania、India、Germany
そして日本は16位だ。

しかし、国籍だけ見ても正確な姿は見えない。
「米国 エンジニアリングに関する博士論文2001年の状況」で、
博士論文を書いた人の国籍を見ると、全体の55%が外国人の研究者・学生で、
全体の43%がアジア系。20%が中国・台湾・香港。
すなわち中国人の比率が非常に高い。

国立大学の修士コースには中国人やアジア系が多い。
英語で論文を書く力が日本人の学生を上回っているのが一要因と聞いた。
学術論文は英語で書かないと国際的には通用しない、その結果、アメリカだけでなく、
日本の大学においてさえ、中国人の進出が既に始まっている。

『The World is Flat』というベストセラーで興味深い記述が出ていた。
東欧系の移民がアメリカでは教育レベルが低いから、発展途上国である母国に
子どもを送り返して教育をさせるという。

「学位取得者の研究領域でエンジニアリング領域が占める率:世界ランキング」を
見てみよう(図表2参照)。
エンジニアリングに関心を持った学位取得者の比率で、中国が6割で第2位。
香港、台湾も同じ中国人。日本は32位。アメリカは61位だ。

アメリカでは物理学やサイエンス系の学生でも弁護士を選んでいる人が多い。
理由は明確、高所得だからである。
特許弁護士にはエンジニアリングが有利だ。
エンジニアだったら、初任給は3万~4万ドルである。
特許弁護士ならばその倍は稼げる。
またMITの秀才がウォール街で株のビジネスをやる。
年収8万ドル、9万ドルは軽い。そうすると純粋のエンジニアリングは16%になってしまう。
これが先進国で起こっている状況である。

インド人は小学校で九九の暗算を99掛ける99まで暗記している。
ソニーでインド人数名のエンジニア採用募集をしたところ
インターネットに書き込みがあったため、4,000人の応募が来た。
インドにもサイエンス系のIITIなど、大変ハイレベルの大学がある。
それらの大学から毎年20万人のエンジニアが生まれる。
インドは中国よりIT人材育成という点では1歩先んじている。

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次回は「東アジアに水平的な横ぐし機能のプラットホーム形成の重要性」に
ついてお伝えします。

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