オリジナルコンテンツ さが(nature sign saga sein)より オリジナルロボット heading mode (ヒト型形態)アスカです
https://www.youtube.com/watch?v=OlQLaaQfEr0
アスカ、ライオ、ホルスの3体のメカが合体してheading mode (ヒト型形態)になります。
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補足
NAME豪胆號
SPEC DATA
■頭頂高:11
■全長:14,75m
■本体重量:8,3t
[機体解説]
イメージソースはダイターン3プラス轟天號名称はGO TURN GOの意
当然、5段変形が可能
変形は人型、背中の板状の羽で機体を覆った盾型、ナスカの地上絵のハチドリを思わせる飛行機型、最終形態
変形の掛け声は「ゴー タ~ン ゴー 」
呼び声は「カムヒア~、ゴータ~ン 」
必殺技は額のクリスタルから発するレーザー、その名も“激光"と、胸部から発射する光線技、“BREAK OH"
背中に銃にも変形する“RYUBIT(竜尾刀)を備える。
[設定]
トモロウたちと戦闘を繰り返すマザーらだったが、どうしても勝利できないことの理由を戦闘機械が無人であることに考え、有人兵器の開発に着手する。が、操縦系統の複雑化、操縦席空間の問題(あえて操縦者の生存率向上については言及しない)についてオーバーロードの残したデータを参考にするため、過去の情報を検索するうち発見された図面を元に製作したのがこの機体。源流は第二次世界大戦中に製作された特殊有人潜行艇にあり、甲、乙、丙の3タイプが存在する。
NAMEアトラス
FULLNAME AT LASTING OMEGA=アトラステンオメガ
SPEC DATA
■頭頂高:9,7 ■本体重量:5,2t
■虚限増殖生体コンピューター“LASTING OMEGA"搭載
■必殺技:光子化(一部のみ) ■イメージソース:天使
[機体解説]
ファーザーにより、未来からトモロウたちを守るため送られた機体。単体で時間航行はできない。合体した状態ではバリアが使える。
[余談]
コンセプトとしては1980~1981年放送の手塚治虫作“鉄腕アトム"の基本構想にのっとり、アトラスの、ロボットは人間のために開発されたという原則に基づく悲哀に傷つく姿を描くことにある。その上でアトラスが人間になることで、異文化もしくは他者とのコミュニケーションというもの、さらには自分自身を理解するという行為について、視聴者に考える機会を与えたい。
なお、ネーミングは本放送における「アトム対アトラス」シリーズが第9話で終了していることから、その第10話を描くものとしてアトラス10、それにギリシャ文字の最後の字をあてた。
NAMEアスカーアスクレピオス
アスカが頭、ホルスが胴、アトラスが足に合体した機体。袴を履いた侍を思わせる姿
超起動ブーストが可能
NAMEホルスーホルスター
ホルスが頭、アトラスが胴、アスカが足に合体した機体。
ロボットの設定です
補足
ロボットの立体です
補足
ストーリーです by あいま珞 in 1994
第一部
物語の名前は“さが”と言って1995年の5月に始まる。
主人公は伊井朋朗(イイトモロウ)、蒼佳予(ソウカヨ)、阿乃木清悟(アノキシンゴ)
トモロウは19歳の浪人。成績の悪さと、勉強に意味を見いだせない事に苛立ちながらも、大学に入るために予備校に通っている。そんなある日、彼は街中で宗教の勧誘の老人に呼び止められムキになってしまい、神の不在について議論をする羽目になる。あまつさえ、神をその存在の持つ許容性において存在しない事を証明し得ることに言及する彼に対し、老人は微笑み、次の瞬間トモロウは老人の基地に隔離されている自分に気づく。そこには同様にして捕らえられた、トモロウの後輩で高校生のシンゴとカヨのふたりがいた。そこで三人は老人に“MOS(Macro Organized Suit)”と呼ばれる強化服を着せられ、“OVERLOAD”と名乗る敵から地球を守るべく、無限に近いエネルギーを生み出す“虚限増殖回路(クライオトロン)を内蔵した巨大ロボット、アスカ、ライオ、ホルスに乗り込むことを言い渡される。ほどなくオーバーロードの巨大ロボットが天空に浮かぶ“可変基礎命令(VARIABLE ALGORITHM通称VALGO)”を備えた超巨大コンピュータ衛星“SUN ROSE”から投下され、街を破壊し始める。こうして三人は否応無く戦いへと巻き込まれてしまう。
人間の脳に直結し、その未使用部分をエネルギー制御命令の実行、圧縮に使用するクライオトロンを備えたマシンに乗り込むうち、三人はその全身体、全感覚、全能力をコントロールする力を開発されてゆく。が、それは社会生活からの逸脱を巻き起こす。
いくつかの戦闘を重ねるうち、トモロウはその起こるタイミングのよさ、報道に対する手際のよさ、死傷者が全く出ないことに疑問を抱き、その様式化された戦闘の虚構性に気づく。オーバーロードとは実は、文明がつくりだした“矛盾”を破壊されることで指摘する“スケープゴート”なのではないか?そしていつしか彼の内に老人とオーバーロードが同一人物だという疑いが生まれ、やがてそれは確信に変わる。そしてついに戦闘の最中、老人の意志を確認するが、心ならずもついには撃破する。それは同時に老人の遺志を継ぐ事でもあった。基地に帰ったトモロウは戦闘のショックで再起不能となった老人を発見する。そして残されたメッセージに従い、老人の代わりにオーバーロードとなることを誓う。こうして秘密裏にオーバーロードとして文明を“告発”し続けながら、一方でカヨ、シンゴと共にそれを否定し続けるトモロウだったが、それが“自己完結”であること、実生活に結び付いていないこと(トモロウにとって実生活とは受験生活)に悩み始める。カヨはそんなトモロウを心配し観察するうち、トモロウとオーバーロードが同一人物ではないかと疑い始めるがその真意を読み取ることはできない。シンゴは幼なじみのカヨの心がトモロウに傾いていくことに嫉妬を覚えながらもその心を動かすすべを知らず、敵に怒りをぶつける事で自分を保とうとするが、実際は“人類の運命”よりも恋愛の方が自分にとって重大なことに気づき、その自分勝手さをあざ笑うようになる。こうして行き詰まった雰囲気のなか、ついに様式化された戦闘は破局を迎える。カヨが戦闘中、敵を目前に機体のハッチを開き、意味のない破壊の終局を呼びかけたのだ、それがトモロウであると信じて。しかし無表情な破壊兵器は無言のままそのコックピットを破壊する。オーバーロードはサン・ロゼに命令できる。が、破壊兵器はサン・ロゼの思考によってコントロールされており、トモロウに介入する余地はなかったのだ。間一髪、飛び出したトモロウによってカヨは助けられるが、その行動はサン・ロゼにトモロウ=オーバーロードに対する不信感を与える。サン・ロゼに与えられた命題とは、人類を含む地球環境の保護、もしくは再生であり、その実行のうえで最大の協力者となるのが人類であり、オーバーロードであるはずだったのが、彼らにとって重要なのは“自分の生活”の保護であり、むしろその命題の実行のうえでは最大の障害になるのではないかという疑いを持ち始めたのだ。そして“彼女”はトモロウが本気で怒っているのを知り、それが事実となるであろう事を確信するとともに、速やかにその排除を決定した。が、怒りのエネルギーの前に結局破壊される。戦闘終了後、トモロウはサン・ロゼにアクセスしようとするがその回線が既に閉じられていることを知る。サン・ロゼは自分の力だけで地球を再生させるべく新段階へと動き始めたのだ。一方シンゴは、トモロウとカヨが思いを通わせるのを直視することができず、ひっそりと姿を消す。こうして、その後何の攻撃もないまま1995年は終わりを迎える。
1996年を迎えて2カ月が過ぎようとしていたが、トモロウは一つの合格もないまま苛立つ日々を重ねる。カヨは早々と推薦に受かり、自動車免許をとろうとしている。そんなある日、サン・ロゼからのメッセージとともに、空からレーザーが降り注ぎ、夢の島を蒸発させてしまう。出動した二人はからくも破壊兵器の撃破に成功するが、次なる攻撃は、さらに激しくなることが予想され、勝ち残れるかどうか分からないことに不安を覚えた二人はサン・ロゼへの直接攻撃を決意する。
3日後宇宙に飛び立つ二人。依然としてシンゴは行方不明のままだ。意外にもサン・ロゼからの攻撃は皆無で二人はその内部に迎え入れられる。そこに広がる大自然に驚く二人。サン・ロゼは地球再生の“たね”としての役割も持っていること、今までの戦いは新たなアダムとイブを選抜するための試練だったと語るサン・ロゼ。だが、今の地球上の文明の一切の殲滅、浄化の上での“再生”、来るべき人類のための現人類の淘汰を説くサン・ロゼに対し、自分たち二人も現在の地球文明に含まれるべき存在であること、現在の状況を乗り越えない限り、人類は同じ過ちを繰り返すと主張するトモロウ達と、会談は決裂する。超重力に捕らえられる二人。「傷つかなければ分からないとは、愚かというのは哀しいことだな。」とサン・ロゼ。脱出しようにもメインコンピューターが言うことを聞かない。制作者を一にする疑似人格人工知能は上位互換であり、莫大な容量を持つサン・ロゼに対し降伏してしてしまっていたのだ。回線を切り替え、直接クライオトロンをコントロールすることで脱出に成功する二人だったが、サン・ロゼは自ら地上に落ち、その衝撃で地表を一掃しようとメインブースターに点火する。マシンでそれを押し戻そうとする二人だが、合体機構の基礎命令をサン・ロゼに読み取られ、ついに分離され、操縦者を持たないライオは地球へと落下していく。サン・ロゼの先端、摩擦熱で白熱しながらもアスカとホルスはなんとかそれを押し戻そうと全力を尽くすが、その敗北はもはや決定的に思えた。何とか方法を模索するトモロウは最終手段、“自爆”を発見する。脳の全容量を使ってクライオトロンを加速すれば、サン・ロゼを押し戻すだけのエネルギーを生み出すことができるのだ。それは同時に“アダム”を失うことでサン・ロゼの計画を挫折させることでもあるとトモロウは考えたのだが、じつはそれこそサン・ロゼの意図する所だった。その爆発によっても自分の中枢部分を破壊することはできないし、“イブ”さえ残っていれば、その遺伝子を読み取り、新たな人類を創造することが可能なことが分かっていたからだ。カヨに別れを告げるトモロウ。が、カヨはともに自爆することを望む。予想以上の二人の“愚かさ”に狼狽するサン・ロゼ。抱き合い白熱する機体。「君たちは自分に酔っているだけだ。」もうサン・ロゼの言葉も聞こえない。全てが水泡に帰そうとしたその時、地上から一条の光が飛んでくる。シンゴが乗ったライオである。あらかじめインプットされていた搭乗者の生命維持と、サン・ロゼの人類再生、二つの命題の板挟みになったメインコンピュータが互いの勝利する確率を計算し、それを五分五分まで引き上げるためにシンゴを呼び寄せたのだ。その裏切りに怒るサン・ロゼ。対して「わたしにはあなたと人間、どちらが優れているか判断を下すことはできない。なぜなら私はコンピュータであると同時に人間の被造物だからだ。」と答えるメインコンピュータ。改めて対策を探す三人は、サン・ロゼを消滅させうる最終兵器“BIRTH NOVA”を発見する。変形しクライオトロンを加速させる三人。脳を酷使させるこの技は記憶喪失をともなうが、もう後戻りはできない。「絶対に忘れない。」と誓い合う二人を横目に引き金を引くシンゴ。光の奔流がサン・ロゼを包み込む。宇宙は静寂を取り戻し、意識を失った三人を乗せたマシンは地上へと落ちてゆく。
突然警告音によって目覚めさせられるシンゴ。彼方から迫りくる異形の機体はサン・ロゼの中枢部分。戦うにも他の二人は記憶、意識ともに失ったままなため、マシンを動かすこともままならない。頭部であったライオのシンゴだけは記憶を失わずにすんだのだが、実は記憶喪失、戦闘力の喪失、サン・ロゼの破壊まで、全てサン・ロゼの計画の範疇であり、彼は新人類の遺伝子のストックとしてここに呼ばれたことを告げられる。が、やはり納得するはずもなく、アスカとホルスを分離し、地上に帰す。自爆する事でサン・ロゼの計画を阻止しようとするが、増殖するサン・ロゼの魔手がライオを分解し、取り込み始める。崩壊し、白熱し、絡み合い、落ちてゆく二体。やがて海面に突入し、巨大な水柱を上げて爆発する。他方、地上に帰ったカヨとトモロウは、過去一年間の記憶を無くしていたが、会うべくして巡り会い結ばれる。そして、シンゴは海底に眠る。
第二部
同じ大学に通いながら、幸せに暮らすトモロウとカヨ。突然、空から巨大ロボットの襲来。逃げ惑う人々。が、ロボットの目標は明らかに二人だ。追い詰められ、絶体絶命と思われたその時、空間を裂き新たなロボットが現れ、敵の攻撃を受け止めあっさりと撃破してしまう。それはアトラスと名乗り、ファーザーの命令で、未来から二人を守るためやって来たという。心当たりのない二人。それどころかアスカとホルスのこともすっかり忘れてしまっている。とりあえず二人を監視することにしたアトラス。一方二人を攻撃したのは、記憶を失いサン・ロゼにマインドコントロールを受け、それを母(マザー)と思い込まされたエディポスことシンゴだった。海底に沈んだ彼らは自己増殖を繰り返し、地上及び人類を管理する力を蓄え、脅威となりうる二人を抹殺する機会を狙っていたのだ。繰り返される戦いのなかでエディポスは、機械でありながら二人を守ろうとするアトラスのひたむきさに興味をもつが、戦うほかにすべが無い。そしてついに、心ならずもアトラスを破壊してしまうエディポス。が、その崩壊する頭部から一人の少女が現れた。それこそアトラスの本体、生体コンピュータそのものであった。反射的にそれを受け止めるエディポスの機体。掌中のあまりにはかない生命に感銘を受けるエディポスだったが、すかさず繰り出されたアスカの刃に機体を破壊され、撤退を余儀なくされる。エディポスのバイオリズムの変化を見取り、その恋心を察知し、戒めようとするマザー。ついには対立し、愛機“豪胆號”で飛び出してしまうエディポス。自分が人間であることにショックを受け心を閉ざすアトラスだったが、エディポスの挑戦を受け、ぶつかり合い、言葉を交わすうち心を開くようになる。一方マザーは、次なる使徒“ホロボス”を生み出し、トモロウたちを攻撃させる。阻止せんと立ち塞がるエディポス。全てにおいてエディポスを凌駕するホロボス。融合し、人格を乗っ取ろうとするが、一瞬のすきをつき、ついに打ち破る。が、仮面の下のその素顔はエディポスそのものだった。自分もまたアンドロイドであることを知ったエディポスは、自分の存在の意味に悩むようになり、マザーに再び会い、その意図を聞き出すことを決意する。が、捕らえられ、その恋愛感情を分析されたのち、再び洗脳されてしまう。
ついに浮上する巨大要塞。全世界に対し宣戦布告するマザー。「我こそはと思うものはかかってくるがいい。」 エディポスの挑発に対し、各国の反応は鈍い。見せしめのため、まず米軍基地を破壊する豪胆號。飛び交うミサイルを次々に切り捨て、圧倒的な機動力を見せつける。その脅威にようやく気づいた各国は秘密回線を通じ共同戦線を張ることを誓い合うのだが、もちろんその内容は、マザーに筒抜けなのであった。次々に消耗してゆく各国の戦力。ついに国連では核兵器の使用を審議し始める。
軍事施設破壊を続けるエディポスの豪胆號。その前に立ちはだかるアトラスたち。その説得も通用せず、死闘の末エディポスを捕獲することに成功する。そしてついに四人はマザーの前に集結する。そこに現れたマザーの正体はサン・ロゼの思考を移植されたシンゴの身体であった。五人を新しい人類の祖先として再生を説くマザー。エディポスをその内部に取り込み複合人格となったとき、それは“ファーザー”となり、アトラスに語りかけ始める。心動かされるアトラス。トモロウとカヨにはなすすべが無く、ついに究極の破壊兵器が作動する。目標は戦略核施設。周辺の都市ごと根こそぎ蒸発させる根絶兵器に乗り込むのはエディポス。放たれた“超激光”を跳ね返したのは、破壊されたと思われたホロボスの乗った豪胆號。融合した際、エディポスの思考にエミュレートされていたのだ。アトラスに思いをぶつけるホロボス。トモロウとカヨも加わり、エディポスに立ち向かう。アトラスもついに出撃するが、対峙するのはホロボス。ファーザーの敵を排除しようというのだ。戦えずに破壊されてゆく豪胆號。ついにはアトラスをかばい、超激光をあびて爆発する。アスカとホルスにも銃口を向けるエディポス。自分の間違いに気づいたアトラスは、合体しエディポスに立ち向かい、ついには破壊する。再びファーザーの前に集結するアトラス、トモロウ、カヨ、ホロボス。トモロウは宇宙へ行くことを提案する。ファーザーはそれを受け入れ、傷ついたホロボスに身体を与える。「まだやり残したことがあります。」と、ファーザー。世界中の核ミサイルがここに向かって一斉発射されたのだ。受けてもマザーはびくともしないが、核爆発は海洋を汚染してしまう。到達する前に何とか破壊しなければならない。四人は出撃しミサイルを迎え撃つ。雨あられと降り続けるミサイルはいつ止むとも知れない。しだいに疲労してゆくトモロウたち。が、ついには全ての破壊に成功する。こうして、晴れて宇宙に旅立つ五人であった。
設定
クライオトロン"(虚限増殖回路)とは、超電導多重回転体である。
原理的には、真空断熱材の中で入れ子状に銅とカーボンで出来たモーターを配し、回転を累乗させ、見かけの質量を増加させることで莫大なエネルギーを溜め込む蓄電装置である。
更に2次的には、記憶装置としての機能も有するようになり、3次的には回転数がある時点を超えると擬似ブラックホールとなり、無限のエネルギー放出、思考装置としても機能する。
MOS(MACRO ORGANISED SUIT)とは、着用した生命体の微弱電流を読み取り、機体にフィードバックを行う人工外皮のことである。肩に内蔵されたコンピューターが常に生命体の状態をモニターしている。また現在位置を知らせる発信機の役目もある。二重構造の内側は人間の神経細胞の連絡をとらえ、一種の電子流をつくりだし外層へ流す。外層はその電子流に相対してのみ形を変化させる。それ以外のいかなるエネルギーもシャットアウトすることで生命体を守る強化服としての役目も果たす。
なお、搭乗中は肩のインターフェイスを通じ脳から直接情報を読み取り、体は人工睡眠状態におかれる。
番組紹介
Nature Sign さが Sein
火 夜6:30 未定
MAIN STAFF
原作/あいま珞
●1話 バラノシュラバ 4/1
「クダラナイ」
口を開けば悪態が、黙っていればため息が出るトモロウは18歳の浪人。成績の悪さと、勉強に意味を見いだせない事に苛立ちながらも、大学に入るために予備校に通っている。そんなある日、彼は街中で宗教の勧誘の老人に呼び止められムキになってしまい、神の不在について議論をする羽目になる。「神様がいるとしたら、むしろ祈ることで自分の努力を怠る人間を助けたりしないだろうし、いなければ祈っても無駄だよ。だから、僕はまだ自分の力を試してみたいんだ、生きているうちは」。老人は微笑み、次の瞬間トモロウは意識を失い、やがて老人の基地に隔離されている自分に気づく。そこには同様にして捕らえられた、トモロウの後輩で高校生のシンゴとカヨの二人がいた(インターミッション)。 三人は老人から“OVERLOAD”と名乗る敵から地球を守るべく、無限に近いエネルギーを生み出す“虚限増殖回路(クライオトロン)を内蔵した巨大ロボット、アスカ、ライオ、ホルスに乗り込むことを言い渡される。ほどなくオーバーロードの巨大ロボット“ゴーリーゴースト”が天空に浮かぶ“可変基礎命令(VARIABLE ALGORITHM通称VALGO)”を備えた超巨大コンピュータ衛星“SUN ROSE”から投下され、ビル街を破壊し始める。こうして三人は否応無く戦いへと巻き込まれていくのだった。
●2話 Get Wild 4/8
戸惑いながらも敵メカの破壊に成功する3人。しかし、次の日からはいつもと同じ退屈な日常。ニュースが先日の戦闘での死傷者は0であることを告げる。都市博跡の撤去作業が予定以上にはかどったと、人々はむしろ喜んでさえいる。「人間が造ったものなのに、人間の力では壊せないもの…か」瓦礫に立ち尽くし、トモロウは呟く。
真夜中の高速道路を爆走する車両の群れ。そこには何かを振り切ろうとするかのように加速して行くシンゴの姿もあった。彼らの前に、破壊メカ“メイドウ”が立ち塞がる。
●3話 Friends or Lovers 4/15
厳格な父、無口な母。シンゴのいつもの朝。「今日は部活で遅くなるから」。カヨと学校へ。退屈な授業。優等生。ノートには音符、頭の中ではメロディがリフレイン。「必要なもの、必要でないもの…」他愛のない冗談で仲間たちを笑わせ、自分は楽しんでいることを実感しようとするが、何かが足りない。「愛だろ愛」カヨの肩を抱き寄せようとするがすりぬけられる「部活、がんばってね」。放課後、シンゴの放った矢が的を貫いた瞬間、シンゴはカヨがトモロウにひかれていることに気づくのだった。
●4話 NERVOUS STRAIN 4/22
自転車で予備校に通うトモロウ。ふと気づくと肩に桜の花びら。振り向いても周りはビル街。ポケットに入れ、何事も無かったように走り去る。
校庭の桜の木の下でお弁当を食べるシンゴとカヨ。自動販売機に囲まれ、カップめんをすするトモロウ。前方のショーウィンドウには桜の枝がディスプレイされ、背後の自動販売機にもパックされた花。スピーカーからはウグイスの声が。「花はガラスの中で咲き、鳥は檻の中で叫ぶ、囚われた世界…」。突然、振動とともにショーウィンドウが砕けちり、トモロウは新たな敵が現れたことを知るのだった。
●5話 メカニックお兄さん 4/29
シンゴは交通事故に遭った友達を見舞いに行く。そこには生命維持装置につながれた、スパゲッティ状態のかつての友の姿があった。2、3日中がヤマだと言う。「誰かカマ掘ってくれねーかなってよく言ってたな」「誓約書書いておけば治療拒否できるようにする運動があったっけ。もし、わたしがそういうふうになったら治療しなくていいから」「俺も」とシンゴとカヨ。「好きな人にそう言われたら、俺は自分が生きていたくなくなるだろうね」トモロウの呟きに、頬を染めるカヨ。3人の語らいをよそに、オーバーロードの魔の手が病院に忍び寄る。
と、言うワケで、各話のタイトルは歌の題名になっています。元歌聞いてもらえばどんなエピソードか分かるでしょう。あと“流線形ジャズ”や、“RAISE YOUR HAND TOGETHER"“ユニオン ロッカー"、“爆弾が落っこちるとき"、“うわさの人類"、“NO ROOM"、“CHICKEN CHILD"、とか、とりあえず一歌手につき一曲を原則にしとりますが、実は好きな歌並べてるだけだったりして…。ちなみに第一部はすでに50曲越えてるんですが、第二部は小説の名前を使っています。30冊も読んでいただければうれしいんですがね…(って、おい)読んでいただければ分かるように、このお話しは大変“リアル”です。ディテールなどとは別の面でも。つまり、私たちが現在おかれている“状況”てのを、なるべく正確に把握する手助けになるべく創られているからです。とんでもないことに、この物語は現実の社会問題や、環境問題を解決する意図をもって企画されたのです。だってよ、一番社会の動き、自分たちの未来について考えなければいけない世代の10代の子供達に見せるテレビアニメなのに、現実から逃げる手段(あるいは目隠しして、商業主義に取り込んで行く子供だまし)にされたら困るでしょう、目先の利益じゃなくて、将来的に。それに混迷した状況の中で、一つの解決方法を示しておく必要があるとおもう(トモロウくんのような、別の次元の思考形態でもって。“エヴァンゲリオン”でも“カオルくん”が、いいキャラ見せてくれたけど、彼は生きる意志がなかったから。あそこでは他に選択肢がなかったから)実際、今の状況には解決策、“選択肢”が残されているんだし…。“声がでかいヤツ”だけの意見しか聞かれないような未来は、ごめんだからね。わたしには言っときたいことがあるんですよ。「やるだけのことやっとかないと後味わるいっしょ」もちろん、自分の“責任倫理(つまりその後起きる新たな状況ってのも考慮した結果)”においてっすけど。もちろん“ハッピーエンド(あるいは“再生”又は、過程の人間像)”は忘れてないっす。
企画書
まず初めに
初めまして今日は、僕は公文 修(くもん おさむ)といいます。今回お送り致しますのは“NATURE SIGN さが SEIN(ネイチャー サイン さが ザイン)”という企画です。特徴は3つ、「正義vs悪といった概念を持ち出さない、神もでない、誰も死なないロボットアニメ」です。企画名の由来は「物語の名はさが。伝説(サーガ)ではなく、祥(さが=きざしの意)、逃れられない性(さが)なのだ。」といったところです。そして副題“SEIN”とは、ドイツ語で“現在”を表します。この話では、現代文明の中でわれわれが生きて行くうえ最も重要な主題となるであろう“環境破壊”について視聴者に問題提起していくのが、もっとも重要な点となります。もっともただの“エコロジーアニメ”では視聴者の心を掴むことはできませんので、もっともオーソドックスなロボットアニメの形態をとります。つまり、「悪のマッドサイエンティストが地球を狙っていて、三人の若者がソレに対抗するという、典型的な勧善懲悪モノ」というパターンです。ですが、実際に完全な悪や正義などというものが存在するのでしょうか?価値観の多様化した現代においても、それがあるように見せかけるのは簡単です。絶対的な悪というモノを表現するにはただ残酷さを強調すればいいのですから(ドラゴンボールZにおけるフリーザのように)。しかし、それが本当に青少年に倫理観を植え付け、現代文明の矛盾を考える手助けとなっているでしょうか。むしろそれは、“アニメ”を現実から逃避するための“伝説”にしてしまうことなのではないでしょうか。ですから本作は、徹底的に現実感のディテールにこだわります。敵の存在理由も必然性と倫理観に基づかせます。敵メカにしても、現代の技術の応用で十分実現可能なレベルに設定します。主題に関しては、実際に環境問題に詳しいNGO(非政府市民団体)に協力を請い、事実を報道するべく努めます。また科学知識に関しては、かなり専門的なものに関しても視聴者に理解しやすくさせるため、番組の最後の5分間に「オーバーロードのマッドサイエンティスト講座」と題して、番組に登場したメカの元ネタとなった最新技術を紹介するコーナーを設けます(ちなみにこれは故“手塚治虫”自らの手による最後のテレビアニメ“ワンダービートスクランブル”を参考にしています)。
視聴者は通常、主人公が自分より年少であることは好みません。というのは、アニメの主人公とは、青少年にとって“あるべき自分の未来の姿”だからなのです。十代後半という主人公の年齢設定は、今がピークである“団塊の世代の子供達”の共感を得るためという意味があります。そしてまた、こんなことも考えたことがあったなという大人になった人々の共感を得るためでもあるのです。そして子供達にとっては“あるべき自分の未来の姿”として描いていくつもりです。そこには“希望”があるべきなのですから。
かつて故“手塚治虫”が“鉄腕アトム”で主題として描こうとしたのは“差別”と“他者理解”についてでした。しかし視聴者は未来社会と小さな勇者の輝かしさにばかり目を奪われ、その主題はゆがめられ、ついには本人の手によって“リメイク”せざるを得なくなる事態をまねきました。そういう意味で言えば本作は“1980年版 鉄腕アトム”の焼き直しとも言えます。よく“正義と悪”は“光と影”に例えられますが、実際には“影”というものは“光り”が物体に当たって初めてできるのであり、きわめて相対的なモノと言えるでしょう。私たちが通常、悪と呼ぶのは、他者を考えない自分勝手さによる“物理的な迷惑”に他ならないのです。本作においては視聴者は何度も価値観の変換を迫られるでしょう。そのような“心を揺さぶる力”をもう一度アニメに取り戻したいのです。
また本作は、過去のあらゆるアニメの矛盾点を論理的に解消するべき、“20世紀の集大成”としての性格も持ちます。例えば、かつての名作“宇宙戦艦ヤマト”の2作目を書かれるとき提出された命題“いかなる正義の力も、その力が敵を殲滅した暁には、放棄されるべき脅威に過ぎなくなる”については、唯一の搭乗者が、必殺技の使用により記憶を失い忘却することで対応しています。“機動戦士ガンダム”の最後もうまく処理していましたが、あれは“量産型”であったことがヒットした要因であったとともに、続編の量産により主題が抽象化される事態を巻き起こしました。また、“誰も死なないこと”についてですが、今のアニメは人命を軽視し過ぎます。確かに自己犠牲はストーリーの盛り上げには都合がいいですが、そんなもので“戦争の悲惨さ”をいくら強調しても、ほとんどの視聴者が思い描くのは“生き残る自分”でしかなく、次の週には忘却されてしまいます。そのような“人命の優先順位付け”など、私は許すことはできません。ですから誰も殺しません。その代わり、考えることを強いります。この物語の最終目的は、視聴者に自分の人生を自分のモノとして考えさせることなのです。
主役メカデザイン上の注意点
三体合体ロボットでは従来には、胴体、右足、左足の合体といった左右非対称パターンなどがあったが、中心メカが人型の場合、合体前、合体後の手を共有するとバランスが悪い、上にかぶせると関節がおかしい上、元の手が無駄になるといった問題があった。また、積み重ねパターンというのもあったが、変形が差し替え中心になり複雑になり過ぎ、現実化が難しい(おもちゃだけでなく本当に作るとしても!)さらに磁力だけの合体には強度に問題があった。増加装甲パターンでは、素体ロボットの動力だけで動けるのか?反対に素体ロボットが完全に収納されては合体の意味がないのではないか、というふうにそれぞれ問題があった。が、本機のデザインにおいては、中心部をほぼ共通の変形で組み合わせ、それぞれの腕の部分に肩の部分が被さることで足に変形する、胴体は手の部分が羽交い締めの様な形で組み合わさって形作るという画期的な変形方法を考案することで解決した。これにより、素体ロボットも完全な人型ではないが、独特の形態を持つことになった。さらに、操縦席が中心に集まり弱点がへる、関節が合理的に使える、肩の大型化が迫力を生む、といったメリットも生み出した。
その他の特徴
差し替えにより主役交代もスムーズ(例 ライオ→アトラス)。
これは一部の変更で耐用年数(?)を延ばし、年度の終わりに玩具が投げ売りされることを防ぐ意味もある。
搭乗者に応じた必殺技をもたせ特徴づける。
アスカ=トモロウ=剣道→レーザーブレード
ライオ=シンゴ=弓道→雷撃飛ばし
ホルス=カヨ=空手→高速振動パンチ
分離の目的は搭乗者の招来とし、飛行形態も設ける(子供の飛行機ごっこに対応)。
虐殺を目的としないので、外見に武器の内蔵を感じさせず(鋭利な部分を減らしてある)、対人兵器ももたない。
ミサイルなどの消耗する武器はつけない(永久可動がウリ)。
分かりやすい機体別の色分け。
また、これは合体時にちょうど人間がベストを着て、ズボンを履いたような配色になる。合体のイメージは“ゲッターロボ”より、“光速電神アルベガス”に近い。
また玩具化の際、幼児が差し替え変形用の部品を無くしてしまうことをあらかじめ防ぐため、変形時の破綻は無くしてある(はずである)。
合体時のエネルギーの流れについて、機体各部の三角形のマーキングが表すように、正面では上から下へ、背面では下から上へ、中心から末端へという“江川達也”作“まじかるタルるート”の終盤でも紹介された“気孔”の思想を具現化している。
商品化について
必然性のある変形、合体で玩具化に付加価値を与える
商品化を考慮し、敵メカもレギュラー化する
主役メカの交替は“買い足し"で対応できるようにして陳腐化を防ぐ
破壊された時、改修後は“パワーアップバージョン"を発売し、バリエーションをつける
その際も三機のうちの一機なら消費者の不満も少なくてすむ
題名について
物語の名前は“さが"と言う。“SAGA(伝説)"でなく“祥"、逃れられない“性"のことだ。英語では“NATURE SIGN"とする。よくある、親が天才科学者とか、超能力を持っているとか、実は宇宙人とか、そんなことでなく、きっかけにおいては誰でも良かった、交換可能なごく普通の存在だった主人公が、自分で考え、回りに働きかけて行くことで先の見えない道程を切り開いて行く、そんな物語にしたい、まるで恋愛のような。仕組まれた“伝説"なんかほしくない。
副題の“SEIN"とは「当意(あるがままの姿)」の意。現代に生きるトモロウたちの葛藤を描きます。以降の物語は“SOLEN",「未来(あるべき姿)」となる。内容は古今東西のSFのパロディーを詰め込んだ荒唐無稽スペースオペラ。50年後の地球にトモロウたちが帰ってくる。それは果たしてどのような世界か?主人公はエディポスの双子の息子たち、BOW(ボウ)とARROW(アロウ)、そしてトモロウの娘たち、幸(さち)と明日(めいか)。彼らの成長の物語だ。なお、若き日の“オーバーロード"こと海月 豕男(くらげ しお)の活躍を第二次世界大戦を中心に描くその名も“WAR"という物語も既に考えてあるけど、かなりハードになりそうで、もうちょっと勉強してからです。
なお、この物語が連載や放映!なんて事になってしまったとき、さらに分割した一話ごとにタイトルが必要になりますが、第一部では歌の名前を使います。ちなみに第一話は“バラノシュラバ"(byアンジー)です。あと“さなえちゃん"や、“流線形ジャズ"、“バカヤロウは愛の言葉"などマニアックな曲の内容に合ったベラボーなエピソードも考えております。第二部では小説の名前、第三部は四文字熟語の予定です。
ストーリー上の特徴
オーソドックスなスタートかつ、かつてないストーリー展開
神、正義、死という三要素を排した、過去のロボットものとは一線を画した内容
心理描写に重点を置くことで共感を募る
現実に即した主人公の設定で感情移入しやすくする
科学考証を可能な限り正確にし、ありそう、もしくはできそうな話に仕上げる
刹那的な現代社会に“幸せな初恋"の魅力をみせつける
意表をついた“敵"の交替劇
“敵"の攻撃は文明の矛盾を利用したものとし、視聴者に問題提起する
名称は性格など何らかの意味を持たせると同時に、馴染み易くしてある。
マルチメディア対応について
本作は、現在欠落しているマルチメディアの基幹となるべき“哲学”を提供するモノである。私が今までの人生で学んで来た社会心理学者たちの意見からでたその哲学とはズバリ「社会的ジレンマ解決の手段としてのマルチメディアネットワーク」である。つまり、的確な情報が行き渡ることにより、多くの社会的ジレンマ(人種差別、環境問題など)は解決できるのであり、それこそが現代のマルチメディアネットワークの存在理由(レゾンデートル)であるというわけである。詳しくは、私が来年書く“卒論”でお見せできると思います。こういうマルチメディア展開というのも、かつてなくてよろしいんじゃないんでしょうか?凡百の展開についてはそちらにおまかせしますが、もし新人バンドとタイアップするなら、バンド名は“B3(ビースリー)”でいかがでしょう。というのは、イニシャルがBのバンドはヒットしやすいからという安易な理由からです(由来はミヒァエル エンデ作“終わりのない物語”の主人公“バスチアン バルバザール ブックス”より)。なんだったら曲も作りますのでよろしくお願いします(かなり本気です)。
あおり文句
これは、かつてないほど身も蓋も無い物語である。
果たして過去、傑作と呼ばれる数多の作品のなかで斬新でなかったものがあっただろうか?いやない!(反語)傑作とは時間をかけて理解をされて初めて生まれるものなのではないだろうか。オリジナリティーが大切なのだ。かといって二番煎が悪いとは思わない。私は自分をこれまで育ててくれた多くの物語に敬意を表してこの物語を捧げよう。ここには私を育ててくれたすべてがある。そして、自分のやりたいこと、言いたいことすべてをブチ込んである。あんまり主観的なことばかり書きすぎると、自分に酔って危ない方向にいってる人みたいなんでそろそろやめますが、とにかくこれは本気で傑作です。もちろん私が“本気"で、私にとって“傑作"と言う意味です。そしてあなたにとっても“傑作"になるかもしれない可能性を秘めているのです。疑うのなら読むしかない。この物語がより多くの人の“傑作"とならんことを祈って(しかし、あおり文句を最後に持って来てどうするんだか)。
〒765 香川県 善通寺市 文京町4-3-22
公文 修(くもん おさむ) 22歳
TEL0877-63-3986
四国学院大学 社会学部 応用社会学科 3回生
補足
第三部 SOLLEN
1999年、“恐怖の大王”の襲来を受け、世界が力を合わせることで辛くも撃退することに成功した人類だったが(前回参照)、その後“アムネジア”と呼ばれる、電磁波を伴う竜巻と暴風雨の複合兵器により、デジタルデータと超高速通信網によって形作られていた現代文明は壊滅的な打撃を受ける。が、このような危機的状況を予見して進められていた計画“ファウンデーション”により、文明は奇跡的な復活を遂げる。そしてそれまでの教訓を元に国連と赤十字の協力態勢の下“環地球養成機構(ALL OVER THEWORLD REARING SYSTEM 略してオーラス)”が設立される。物語はそのサーバー選考に際し、SONOW社とPALSON社という二大企業が凌ぎを削る時代、2050年を舞台に、再び幕をあける。
BOW(ボウ)とARROW(アロウ)は双子の兄弟。惑星プラトンで幸せな少年時代を過ごしている。地球を遠く離れた開拓星には、両親と幼なじみの幸(さち)と明日(めいか)、その両親しか人間はいない。二人が14歳を迎えた時、大人たちは故郷である地球へ帰ることを提案する。戸惑う少年たちに集団生活の必要性を説く大人たち(本当は懐かしくなっただけ)。こうして彼らは50年ぶりに地球へと帰ってくるのだった。
「あの青い星が父さんたちの故郷なんだ」地球を目前に感傷に浸るトモロウ達。突然鳴り響く非常警報。隕石などの破壊を目的としたラグランジュポイントにおける対宇宙防衛線に接触したトモロウ達を、“オーラス”の衛星兵器が攻撃し始めたのだ。地球側を遥かに超える科学力を誇る彼らの宇宙船のハズだったが、攻撃を受けあっさり四散、消滅する。なんとか全員無事脱出するが、中枢コンピューター“マザー”は「必ず迎えにくる旨」のメッセージを残して火星へと退避してしまう。かくして地球に落ち、世界に散らばってしまった彼らそれぞれの旅が始まる。
IDデータを偽造し、社会に溶け込み、オーラスに潜り込むアロウ。対して、包囲網をくぐり抜け、社会の片隅で逃亡の道を選ぶボウ。やがてパートナーを見つけだし、成長を果たしながら、超人類“ゴールド”の前に、今一度彼らは集結する。
●最終話 「たった一つの冴えたやり方」
ついに目覚めた超人類“ゴールド”。「見たまえ、新しい歴史の目覚めだ」
Goaled(ゴールド)
超絶美形主人公デスメタル(笑)あからさまにD・S。このキャラを出すために4年越“天才は夜つくられるか?(眉村卓の小説を萩原一至が同人誌化にちなんで)”も“TO ME TOO BAD(バスタード[罪と罰]編にちなんで)”もあった(って6ページしかねーじゃねーか)。名称は「行き着いた者」の意で人類の究極ってお決まりのヤツです(もちろんP・K・デイックの“ゴールデンマン”がもとネタ)。究極人類ってことで、“究極の知性”“超越的共感能力”“人類の存続”っつうSF三大枕をごった煮しました。 設計思想はオーバーロードのアストラルボディの延長線上にあり、前頭葉にはエコーロケーション機能を備え、“縁”や“シンクロニティ”を操るって東洋思想?も入ってます。 “究極の知性”っても“ゴールド”自体がそれってんじゃなくて、脳が持つ通信機能の拡張でそれにアクセスできるチャンネルを開く能力を全人類に解放することで実現するという。「一匹の猿がイモを塩水で洗うことを覚えると関連のない別の場所の猿も時を同じくして行いだす」という“共鳴現象”を利用して全人類を人工的に“進化”させてしまう“祥(きざし)”っつうワケです。“未来選択(ウイングガンダム・ゼロでもやってた)”や“偶然誘発(by故“藤子・F”ミノタウルスの皿所載“ドジ田ドジ郎の幸運”より)は“究極の知性”の付属物で、誕生時にオールキャスト勢揃いってのもこいつのせいです(あるいは“ご都合主義”と呼ぶ)。集団になると、キャンプファイヤーや嵐を起こして踊りまくるそうです(観察日記“幼年期の終わり”より)。器質的変化に頼ると何年かかるか(自滅する前に進化できるかも)わからないので、強引に有機回路で同機能を実現してしまったという。人間が元からハイブリッドな存在であり、生物としての肉体、付属物、あるいは寄生体としての人間の精神があるなら、わがままなのは遺伝子ではなく、人間の精神の方だ。その調和をめざしたのがゴールドである。
その生存力を飛躍的に高めるという意味では、むしろ精神こそがS2機関なのだが。
第3の性“調停者”は精神の上にまず現れる。
基本的に不死です。こいつが通れば、天は冴え、雷は吠え、海は割れる。抵抗はまったくの“不可能”です(本人に“目的意識”があるか定かではないが)。 結局、宇宙に放逐されて“彗星”になってしまい「全ての可能性から最良の結果を選び取る」ワリにはトモロウ君にしてやられたみたいですが、究極の目的「人類保管計画」はまんまと成功っす。つまり抵抗が予想される全人類の合一よりは(ボーグみたいに異星人に滅ぼされる可能性もあるわけですし)人類のDNA(と精神)を永久保存することの方が確実性が高いという(しかも男女のストック付きで)。ま、結局どんな優れた“進化”でも、生き残らなければ“突然変異”で終わってしまうってことです(だから生き残ったんだって)。
究極の進化について
人間にとっての“究極の進化”ってなんなんでしょう。いろいろありますがここでは大別して3つ“肉体的進化”“知性(精神)の進化”“社会形態の進化”を挙げておきます。(“超能力”は知性でカバーできたり、せいぜい“新しい武器”にしかならないので却下) まず肉体的進化ですが、知能の進化や機械文明化による省力化からか“マッチョな未来人”ってのを想像するヒトはあんまりいません(スーパーマンぐらいか)。たいていヒョロヒョロの頭でっかちってことで、そりゃ退化なので却下(指が一本しかないとか、ロボットの一機関てのも。アイテムで補うってのも×)。劣悪な環境下での生命力の増大ってのもありがちです(コナン、てもシュワちゃんはアンドロイドだし。砂の惑星とか)が知性や文明は滅びてたりするんで却下(コナンも実は超能力ものだし)、やっぱ遺伝子操作やナノマシンを採用して身体器官の高効率化でスマートかつ優れた運動能力を発揮する(F・S・Sやアップル・シード[“ホワイト”ではない]など)ってのが、精神をインストールしたサイボーグになっちまうまでの過渡期というよりは“肉体と精神の統合体”としての人間、中身は別にしてアミノ酸化合物にとっては一番良い解決だと思います(“地球に落ちて来た男”のガン細胞の進化ってのやアマテラスは基本的に人間じゃないので却下)。 次は“究極の知性”ですが、「最高の結果を導き出す者が最高の知性」という観点に立てば、先を読むっつーことで演算(推論)能力ってのが重要なように思えます(異論はあろうが、結果を出せない知能などは無意味である。一人で3カ月考えようが、一つの曲を一万回聞こうが、方向性や、条件づけが間違えば自分で自分を洗脳するだけだし、活用を間違えば意味をなさない。また「自分が最高の結果を導き出す」ではないことにも注意。つまり、「自分の仕事をしろ」ってことで)多重人格による合議制(レンズマンのウォーケンやエヴェンゲリオンのマギ)ってのも有効なようですが、自問や内言も自己との対話、つまり、もともと論理的思考とは対話の形式を採るつーことで、形態よりも量的な問題(現実には量的に限られるから形態が問題になるのだが)となると、やっぱ究極は容量的にも“ブラックホ-ルなどの別の次元の知性(ハインライン関係や大原まり子。P・K・ディックの“VALIS”は、提示はしたが活用はできなかった。ちなみにサン・ロゼはバラっす)。つーても最大の問題は人間とのインターフェースや、いかに活用するかだったりしますが(精神が弱いと「電波が命令する」や、ただの奴隷になったりする)。ま、どんな優れた方法論も、理解できない人間にとっては支離滅裂な行動を取っているようにしか見えないんですけどね(本人がそう思っているだけで、他人に説明できないほど論理体系が確立していないだけだったりする場合も多い)。そういう意味で「人間万事塞翁が午(牛ではない)」“縁”は、本人が何をやっているか理解しないで結果を出してまうところが難点だし“仏教”や“密教”など宗教入っちゃうと面倒なんで、ここではSF的(?)に「シンクロニティ(知性?)を利用して未来(過去)をかいま見ることが(=究極知性との対話)できる能力」ってことにしときます(ネバーエンディング・ストーリーでは“本”になってましたが。昔は“老人”も知性の象徴だったんすけどね。“巡航追撃機ブラスティー”でもあった“地図”とかっていつのまにか“知識”になっとるか。ま、解決方法を「思いつく」と「思い出す」の違いでしかないけど。プラトン(ソクラテス)に言わせりゃ、知的活動は全て「想起」なんだし、って一番古いネタでまとめたりする)。 そして“社会形態の進化”について。人間は、社会を中心産業によって、農耕社会から、工業社会、情報社会と変化させてきた(進化とは言わない)。それに伴ってアイデンティティ(自己存在性)も、「考える余裕がなかった(あるいは肉体が受ける感覚)」から(哲学的には「我思う故に我有り」だが一般的でない)、「役割と所有物」(「我所有す、故に我有り」byキー)そして、“プライバシー”と呼ばれる個人情報へとその比重を変化させて来た。このことは人間の本質を見つめさせるとともに(ウソつけ)、社会の発達が個人の自己存在性の存続に危機を与える結果をもたらした。そのことがこの物語では重要な主題となっている。それはつまり20世紀末の現在において「コンピュ-ター社会の連鎖の発達にともなう、プライバシーや著作権の保護」についての問題が解決しきれない人類が、未来において直面するであろう「知性体としての統合と個人の人格の保護」という同様の構造を持つ問題である(要するに「自分がオリジナルであることの証明」についての話です)“個性”については“究極の知性”の項の“知性を活用する方向性を持った主体としての自分”に戻ります(常に客体という。つまり情報に対する独自の検索エンジンを持たない者は他者との差別化が計れなくなるという。それでも現時点では個人の生活は残るんで問題ないけど。私は“普通の生活”の方が重要だと思うけど、くだらねー進化よりも)。ここでは人類の“器質的進化”について解決を図ったからこういう形になりましたが、SFにおいてはサイバースペース関係(たいていは“神”をみた時点でオシマイ)で既に語りまくられていることだったりする(解決ズミではない)この物語でも結局“逃げ”をうっちまいましたが(いや本当のところ“逃げ”でなかったところが「たった一つの冴えたやり方」たる由縁なんすけど。つーわけで、その後の人格[?]的統合体の活躍に関する話も既にできてたりするが、またいつかどこかでってことで)。ま、他者との関係性なんて相対的な部分から自分を定義付けようとしても、自分を見失うか、結局は「僕は僕だ」の“自同律”に陥って「それでも生きる」か「だから生きる」しか答えは出ませんけどね(生きるつもりなら)。それ以上考えるのは時間のムダだし(「どう生まれたか」より「どう生きるか」が重要な以上)。
小説版です
少年は吐き気をこらえていた。いや、吐こうとしたが何も出てこなかった。
この社会が続いていることに、誰も疑問を抱かないことに。
少年の名は「イイトモロウ」。輝ける明日を想像させるその名に反し、少年は絶望していた。
少年は浪人だった。
金はなく、地位と名誉もなく、一年間という限定された自由な時間だけ保有していた。
するべきことはただ一つ「勉強」だけだった。
そこには、約束された未来はなかった。
ただより多く勉強すれば、大学に合格する確率が上昇するということだけだった。
しかし、どうしても目の前の勉強に集中することができなかった。
少年はこの社会の根底そのものに疑問を抱いていた。
社会の一員となることに疑問を抱いていた。いや憎悪をいだいていた。
そのために勉強しなければならない自分の境遇に、
いや、そのために与えられた自由に。
自分が忌むべきものとなるために自分が忌むべきものから与えられたそれらすべてに。
とりわけ彼が憎んでいたのは政治家だった。
特に、この社会で大きな権益を誇る最大与党を憎悪していた。
新聞に投書したこともあったが、採用されたのは15歳の時に書いた一番あたりさわりのない
ものだけだった。
少年は社会を変える力を欲していた。
そして、それは与えられた。
「あなたは神を信じますか?」
街の雑踏の中、トモロウは老人に呼び止められた。
こざっぱりした背広姿の老人はもう一度同じセリフを繰り返した。
「それは神の存在についてですか?」
トモロウは元来議論好きな性格だった。
「もし神が、自分の非存在性も許すというほど、全てを受け入れるなら、
その時神は存在すると言えるでしょう。あるいは全ての瞬間神は存在しないと言えるでしょう」
老人がニッコリと微笑むのを見た次の瞬間、トモロウは意識を失っていた。
トモロウが意識を取り戻したのは無機質なオフィスの一角のようだった。
「目覚めたかね?」
そこには先ほどの老人が白衣を着て立っていた。
年の頃は80歳近いだろう。
しかしピンと伸びた背筋や物腰から老いは全く感じられなかった。
「今、この社会が狙われているのを君は知っているかね?」
トモロウは答えた。
「テロや犯罪、政治家の汚職、まったくひどいものですね」
「そんなちっぽけなことではない!この世界そのものが狙われているのだ」
老人はトモロウの悩みなどまるでゴミのように吐き捨てると、正面の巨大なスクリーンに
映像を呼び出した。
「敵の名はオーバーロード。その正体は不明だが、巨大ロボットでこの社会を根底から破壊しようとしている。それに対抗するため、君にはこれに乗ってもらう」
画面にはロボットのCADデータらしきものが映し出されていた。
「君に乗ってもらうのはこのアスカだ」
画面が切り替わると、上半身だけのロボットがつり下げられている様が実映像で映し出された。
青いボディに顔は頬を白く、顎は紅く、見事なヒーロー然とした機体だった。
「このアスカと、ホルス、ライオの三体が合体して三種類のロボットとなる」
今度は三体分の人型ロボットのデータが映し出された。
アスカは、青いボディに巨大な肩。
腰には二本の棒状のものが突き出し、どことなく侍を連想させた。
ホルスは、紅いボディに肩から二本の棒状のものが突きだし、どことなく山伏を連想させた。
ライオは黒いボディに四角い肩、がっちりした力士を連想させた。
「他の二体に乗ってもらう人間も決まっている。三人のチームワークでオーバーロードの野望をうち砕くのだ」
チームワーク、トモロウのもっとも苦手とするものの一つだ。
が、老人はもはや、トモロウの些細な事情など眼中にないようだ。
と、突然けたたましいサイレンが部屋中に鳴り響いた。
モニターには、全高10メートルを遙かに越える巨大なロボットが空から降ってわいた様が映し出されていた。
それはビルを破壊していた。
「オーバーロードの襲来だ、行け。ところで君の名は何だったかな?」
「トモロウです。イイトモロウです」
「では、がんばりたまえトモロウ君」
トモロウは老人に促されるまま、自動ドアの向こうのシューターに押し込まれた。
滑り台は加速をつけながらトモロウを新しい何かに向けて運んだ。
突然巨大な空間に投げ出されたと思った次の瞬間、トモロウは巨大ロボットのコックピットに押し込まれていた。
手足を動かす余地は全くない。いや、知覚全体が巨大ロボットのそれと置き換えられていた。
トモロウはすでに巨大ロボットの腕を動かしていたのだ。
「現地までは自動操縦で到着する。そこで他の二体と合体し、敵と戦ってもらう」
と、上半身のみのロボットの形をしていたアスカが先のとがった飛行機のような形に変形する。
次の瞬間には5カウントが始まる。
何もかもが突然であり、流れるように滞りなく行程は進んだ。トモロウの意見は無視したまま。
カウントが0を数えた瞬間、トモロウは鳥の知覚を得ていた。
空を飛んでいた、いや、ロケットを遙かに凌ぐ速度で垂直に上昇していた。
大気に変化を感じ始めた頃、今度は目標地点に向けて急降下を始めた。
眼下に街が見えだした頃、老人から指示がでる。
「トモロウ君叫べ!ヘディングモードアスカ!」
トモロウは叫んだ。「ヘディングモードアスカ!」
他の二体の到来を知覚した次の瞬間にはもう変形合体を終え、
敵ロボットの眼前にズザザザザーッと地面に滑り込んでいた。
敵はアスカを認識したようだった。
「君はビルというものが、美しくないと思わないかね?
コンクリートの固まりが地面から生え、立ち並ぶ、さしずめ墓場を連想させないかい?
こんなもの不必要だよ。人類にとっては。」
拡声されたセリフを終えると、敵は猛烈なタックルを仕掛けてきた。
倍ほどの体積をまともに受けて背後のビルにめり込む。
「何か武器はないんですか?」
「トモロウ君、サーブレイドと叫びながら大きく腕を振れば、刀が手から出てくる」
「サーブレイド!」
老人の言葉通りアスカの手に刀が形成された。
「どれほどのものか!」
敵がローラーダッシュをしてくるところを抜き胴を決める。
勝負はあっさりついた。
「私が負けたからといって、その言動まで間違っていたとは言えないぞ」
敵は負け惜しみを言いながら爆発すると思われた瞬間、収縮運動を行い消滅してしまった。
「シーサイドドライブだよ。破棄されると内部に収縮してしまうんだ。爆縮反応炉の一種だ。
ご苦労だった、基地に戻りたまえ。自動操縦だから心配ない」
基地に戻ると他の二人の操縦士が紹介された。
偶然にもトモロウが卒業した高校の後輩たちだった。
「アノキシンゴです。よろしくお願いします」
「ソウカヨです。先輩、学校でお会いしたことありますよね」
確かにちり箱のゴミ捨てのついでにちり取りのゴミを捨ててあげたことがあった。
が、ただそれだけだった。
「私はミヅキシオ。この機体を作り上げた科学者だ。
この機体のシステムを説明しておこう。まず、ヘディングモードになるマシンが、脳味噌の
役割をする。実際に機体を動かすわけだ。次にハートモードになるマシンが心臓の役割をする。
エネルギーの制御を行うのだ。最後にボディモードになるマシンが脊髄の役割を果たす。
実際の細かい機体制御を行うわけだ。ヘディングモード以外は一種の部品役と言っても良い
搭乗すると操縦者は演算素子として脳に機体制御命令をインストールされ、実行に移す。
操縦者は脳だけでもかまわないわけだ。
そして君たちが今身につけているのがマクロオーガナイズドスーツ。搭乗時の他、全身の痛覚に埋め込んだ素子からの命令で君たちの身体を守るため自動的に装着される。外部から破壊することは不可能で、うまく使えば常人の数倍のパワーを発揮できる。ただし、鎖骨の窪みに埋め込まれたコントロールメタルからのエネルギーが続く限りだ。せいぜい5分が限界だろう。
コントロールメタルは機体とのインターフェースの役割も兼ねている。あまり汚さないようにしてくれ。
機体への搭乗は通常分離した状態で飛行機型のトライモードで行う。鳥のように飛来し、先端のコックピットに収納する。こんなモノかな、質問はないかね?」
「オーバーロードって何なんですか?」
「彼は自分が人類にとって不必要だと思うモノを破壊するんだ。一種の狂人だよ。
彼の口車に乗ってはいけないよ。敵のロボットは無線操縦されているので破壊しても誰も傷つかない。四の五のいっとらんでとっとと破壊すればよろしい」
社会は平和だった。
たった今、巨大ロボットが格闘戦を行ったその場所ではもう復旧作業がおこなわれていた。
テレビでは、破壊されたビルは不況のため既に取り壊す予定のモノであったと報じられていた。
「墓場か、確かにな」
トモロウはオーバーロードの言葉を繰り返していた。
トモロウの心は先ほどの戦闘のことで占有されていた。当たり前のことではあるが。
が、それと同時にその直前まで勉強していた記憶が消失してしまうのは困りものだった。
老人の説明によると、人間の脳は現在していることの短期記憶が脳のほとんどを占め、
それを長期記憶として圧縮することで物事を記憶しているのだが、クライオトロンは、
脳の未使用部分と短期記憶に占められている部分を機体の制御命令の展開、圧縮に
利用しているため、短期記憶が消去されてしまうと言う弊害を持っているのだった。
これは受験生であるトモロウにとっては死活問題であった。
もし、一度戦闘が始まれば、その直前まで勉強していたことがパーになってしまうのだ。
明日は模試を控えた日。トモロウは戦闘が起こらないことを祈っていた。
もちろん、そんな願いが叶うはずなどなかったが。
発進のシグナルがコントロールメタルから発せられていた。MOSも既に起動していた。
いつもとただ一つだけ違うのは、トモロウが戦闘から逃れようとしている点だった。
彼は戦闘のための自らの力を最大限に活用し、逃げていた。
空からはアスカが迫っていた。
誤算だったのは、建物の中に入ろうとするとMOSが動かなくなることだった。
搭乗のためのナビシステムの選択肢にない場所にはMOSの起動中には入れないのだ。
結果、町中を高速で走るしか逃げる方法はなかった。
「パクン」
トモロウの逃亡むなしくついには搭乗させられていた。
周囲の人間には、鳥が捕食を行ったように見えていた。
「ジュース飲むかい?」
それが叔父の親切からのことばであるのは分かっていたが、
「いいぇ、いいです」とトモロウは断ってしまっていた。
「へんな奴だな」
トモロウはなるべく缶ジュースを飲まないようにしていた。
つい非常用のモノと言う意識をもってしまうのだ。
それに炭酸飲料も苦手だった。
幼い頃、テレビのまんが映画で、飲むと中毒を起こして死んでしまう
「ゴックリゴックリコンとボアジュース」と言う架空のジュースのCMが、
トモロウの心を占有していたのだ。
と、発進のシグナルがコントロールメタルから発せられ始めた。
「すみません、それではまた今度」
早々に引き上げると、手近なビルの屋上にかけあがった。
トモロウがジャンプすると、飛来したアスカのコックピットが展開し、収納した。
戦場は浜辺だった。
敵は空き缶でできているようだった。
それはすさまじい量によるモラルの荒廃を意味していた。
「海は生命の源だよ。それを人間はこんなもので汚してしまう。
彼らは処罰されるべきではないかな。」
集められた空き缶は既にアスカを越えるほどの巨大な人型を形成していた。
トモロウはサーブレイドで斬りつけたが、それは敵の形態に何の変化もあたえなかった。
「そうか、ライオで電磁波を与えてやればいいんだ」
ライオに変形すると「ギルボルトブレイク!」とシンゴは叫び、両手の間に電磁波の固まりを形成すると敵にぶつけた。
強力な電磁波で磁力を維持できなくなった敵はガラガラと崩れ去った。
そこには素体となる小型の円盤が浮遊していた。
シンゴはそれを見逃さなかった。
「アークダーツ!」弓を射るように構えると、腕から電磁波の矢が飛びだし、円盤を破壊した。後には巨大なゴミの山が残っていた。
「君タバコは吸わないの?」
トモロウは予備校でよく同じことを聞かれた。
「苦手なんです」
本当は嫌悪していると言っても良いくらい、彼はタバコを嫌っていた。
こんな奴らが自分の子供が喘息でかわいそうなどと言うと思うと吐き気がした。
自分たちだけフィルターで濾過された煙を吸っているのだ。
その傲慢さが嫌いだった。
発進のシグナルがコントロールメタルから発せられていた。
その島は周囲を金属製のリングに覆われていた。
トモロウたちは敵の姿を探したが、どこにも見つからなかった。
と、オーバーロードの声が轟いた。
「良くきてくれた諸君。ここは電気のない島だ。原始生活を楽しんでくれたまえ」
と、アスカが突然動かなくなった。
トモロウは天板を跳ね上げた。人力による脱出方法もちゃんと用意されているのだ。
そのあと、股の部分からカヨを、背中の部分からシンゴを救出した。
どうやら島の周囲にバリヤーのようなモノが張られているようだった。
「で、いったい何がしたいのだろう?」
オーバーロードの真意は不明だった。まるで遊びにつれてきてくれたようなモノだった。
トモロウ達はとりあえず泳ぐことにした。
トモロウ達が海に頭から潜った瞬間それは突然起こった。
雷のような音と閃光が島の周囲を覆い尽くした。
幸い島はバリヤーに守られているため無傷だったが、立ちこめる水蒸気のため周囲はすっかり
暗くなってしまった。
「何が起こったの?」水面から顔を出したカヨが不安げに訪ねる。
「わからない、とりあえずマシンに戻ろう」
シンゴが答える。
マシンに戻るとコントロールが回復していた。
結局、ワケの分からないままトモロウ達は島を離れることになった。
この美しい島がいつまでも残り続けることを祈りながら。
ちなみに某国の新型爆弾の実験は失敗に終わった。
オーバーロードのバリヤーリング以外を破壊できなかったのだから。
「花がガラスの中で咲き、鳥が檻の中で叫ぶ、身動きもできない囚われた世界か」
自動販売機専門店の中で、カップラーメンをすすりながらトモロウが呟く。
そこには、パッケージング可能な、ありとあらゆるモノが販売されていた。
エロ本からカブトムシ、生花まで、並のコンビニより品揃えは充実していた。
トモロウにしてみれば便利な反面、生き物まで売るのには抵抗を感じていた。
と、発進のシグナルがコントロールメタルから発せられた。
「日本が世界一充実しているという自動販売機。こんなモノ必要ないと思わないか?」
今回の敵は剣豪型でトモロウ達を標的として開発されたようだ。
「いざ、尋常に勝負願おう」
アスカで対峙するトモロウ達。
中段の構えから上段の構えへと、アスカが構えを変えた瞬間、勝負はついていた。
敵が下から真っ二つに分かれていく。
「無明抄」
手首のスナップを利用して伸びたサーブレイドが、敵を下から切り上げたのだ。
「見事だ」
敵も賞賛しながら、爆縮していった。
原子力発電所
地震が起きた。
その原発は老朽化が進みもはや、メルトダウン寸前だった。
そして台風が近づいていた。
「こんな危険なモノを野放しにして人類を滅ぼすつもりか」
オーバーロードは原発を取り囲み、臨界点に達しないようにした。
「あの台風を撃つんだ」
言われるまま、ギルボルトブレイクで台風の目を破壊した。
後には青空が広がっていた。
ビニール袋
「こんなモノを過剰に消費することで、やがてその成分が人体の中に蓄積していくのだぞ。
恐ろしいことだとは思わないか?」
スパゲッティ症候群
「もはや意志も失われた人体に過剰な医療を続けることは無駄なことだとは思わないか?」
「脳が生き続ける限り、一縷の希望がある限り無駄ではない。」
クーラー
「人体を過剰に冷却し、熱を街路に放出する。エネルギーの無駄遣いだとは思わないか?」
高速道路
「都市部では渋滞、過疎地ではガラガラ、こんなもの必要ないじゃないか。」
ガソリン式自動車
「燃費を押さえるわけでもなく、エネルギーの無駄遣いだ」
蛍光灯
「既に発光ダイオードによる低消費電力永久機構は完成しているのに無駄なモノだ」
スプレー
「使い捨てで、ガスの放出も必要とするこんなモノは必要ないじゃないか。」
ファーストフード
減反
輸入作物
あとがき 最後に、それでは皆さん、さよなら、さよなら、さよなら
https://www.youtube.com/watch?v=OlQLaaQfEr0
アスカ、ライオ、ホルスの3体のメカが合体してheading mode (ヒト型形態)になります。
良かったら高評価とチャンネル登録お願いします。
補足
NAME豪胆號
SPEC DATA
■頭頂高:11
■全長:14,75m
■本体重量:8,3t
[機体解説]
イメージソースはダイターン3プラス轟天號名称はGO TURN GOの意
当然、5段変形が可能
変形は人型、背中の板状の羽で機体を覆った盾型、ナスカの地上絵のハチドリを思わせる飛行機型、最終形態
変形の掛け声は「ゴー タ~ン ゴー 」
呼び声は「カムヒア~、ゴータ~ン 」
必殺技は額のクリスタルから発するレーザー、その名も“激光"と、胸部から発射する光線技、“BREAK OH"
背中に銃にも変形する“RYUBIT(竜尾刀)を備える。
[設定]
トモロウたちと戦闘を繰り返すマザーらだったが、どうしても勝利できないことの理由を戦闘機械が無人であることに考え、有人兵器の開発に着手する。が、操縦系統の複雑化、操縦席空間の問題(あえて操縦者の生存率向上については言及しない)についてオーバーロードの残したデータを参考にするため、過去の情報を検索するうち発見された図面を元に製作したのがこの機体。源流は第二次世界大戦中に製作された特殊有人潜行艇にあり、甲、乙、丙の3タイプが存在する。
NAMEアトラス
FULLNAME AT LASTING OMEGA=アトラステンオメガ
SPEC DATA
■頭頂高:9,7 ■本体重量:5,2t
■虚限増殖生体コンピューター“LASTING OMEGA"搭載
■必殺技:光子化(一部のみ) ■イメージソース:天使
[機体解説]
ファーザーにより、未来からトモロウたちを守るため送られた機体。単体で時間航行はできない。合体した状態ではバリアが使える。
[余談]
コンセプトとしては1980~1981年放送の手塚治虫作“鉄腕アトム"の基本構想にのっとり、アトラスの、ロボットは人間のために開発されたという原則に基づく悲哀に傷つく姿を描くことにある。その上でアトラスが人間になることで、異文化もしくは他者とのコミュニケーションというもの、さらには自分自身を理解するという行為について、視聴者に考える機会を与えたい。
なお、ネーミングは本放送における「アトム対アトラス」シリーズが第9話で終了していることから、その第10話を描くものとしてアトラス10、それにギリシャ文字の最後の字をあてた。
NAMEアスカーアスクレピオス
アスカが頭、ホルスが胴、アトラスが足に合体した機体。袴を履いた侍を思わせる姿
超起動ブーストが可能
NAMEホルスーホルスター
ホルスが頭、アトラスが胴、アスカが足に合体した機体。
ロボットの設定です
補足
ロボットの立体です
補足
ストーリーです by あいま珞 in 1994
第一部
物語の名前は“さが”と言って1995年の5月に始まる。
主人公は伊井朋朗(イイトモロウ)、蒼佳予(ソウカヨ)、阿乃木清悟(アノキシンゴ)
トモロウは19歳の浪人。成績の悪さと、勉強に意味を見いだせない事に苛立ちながらも、大学に入るために予備校に通っている。そんなある日、彼は街中で宗教の勧誘の老人に呼び止められムキになってしまい、神の不在について議論をする羽目になる。あまつさえ、神をその存在の持つ許容性において存在しない事を証明し得ることに言及する彼に対し、老人は微笑み、次の瞬間トモロウは老人の基地に隔離されている自分に気づく。そこには同様にして捕らえられた、トモロウの後輩で高校生のシンゴとカヨのふたりがいた。そこで三人は老人に“MOS(Macro Organized Suit)”と呼ばれる強化服を着せられ、“OVERLOAD”と名乗る敵から地球を守るべく、無限に近いエネルギーを生み出す“虚限増殖回路(クライオトロン)を内蔵した巨大ロボット、アスカ、ライオ、ホルスに乗り込むことを言い渡される。ほどなくオーバーロードの巨大ロボットが天空に浮かぶ“可変基礎命令(VARIABLE ALGORITHM通称VALGO)”を備えた超巨大コンピュータ衛星“SUN ROSE”から投下され、街を破壊し始める。こうして三人は否応無く戦いへと巻き込まれてしまう。
人間の脳に直結し、その未使用部分をエネルギー制御命令の実行、圧縮に使用するクライオトロンを備えたマシンに乗り込むうち、三人はその全身体、全感覚、全能力をコントロールする力を開発されてゆく。が、それは社会生活からの逸脱を巻き起こす。
いくつかの戦闘を重ねるうち、トモロウはその起こるタイミングのよさ、報道に対する手際のよさ、死傷者が全く出ないことに疑問を抱き、その様式化された戦闘の虚構性に気づく。オーバーロードとは実は、文明がつくりだした“矛盾”を破壊されることで指摘する“スケープゴート”なのではないか?そしていつしか彼の内に老人とオーバーロードが同一人物だという疑いが生まれ、やがてそれは確信に変わる。そしてついに戦闘の最中、老人の意志を確認するが、心ならずもついには撃破する。それは同時に老人の遺志を継ぐ事でもあった。基地に帰ったトモロウは戦闘のショックで再起不能となった老人を発見する。そして残されたメッセージに従い、老人の代わりにオーバーロードとなることを誓う。こうして秘密裏にオーバーロードとして文明を“告発”し続けながら、一方でカヨ、シンゴと共にそれを否定し続けるトモロウだったが、それが“自己完結”であること、実生活に結び付いていないこと(トモロウにとって実生活とは受験生活)に悩み始める。カヨはそんなトモロウを心配し観察するうち、トモロウとオーバーロードが同一人物ではないかと疑い始めるがその真意を読み取ることはできない。シンゴは幼なじみのカヨの心がトモロウに傾いていくことに嫉妬を覚えながらもその心を動かすすべを知らず、敵に怒りをぶつける事で自分を保とうとするが、実際は“人類の運命”よりも恋愛の方が自分にとって重大なことに気づき、その自分勝手さをあざ笑うようになる。こうして行き詰まった雰囲気のなか、ついに様式化された戦闘は破局を迎える。カヨが戦闘中、敵を目前に機体のハッチを開き、意味のない破壊の終局を呼びかけたのだ、それがトモロウであると信じて。しかし無表情な破壊兵器は無言のままそのコックピットを破壊する。オーバーロードはサン・ロゼに命令できる。が、破壊兵器はサン・ロゼの思考によってコントロールされており、トモロウに介入する余地はなかったのだ。間一髪、飛び出したトモロウによってカヨは助けられるが、その行動はサン・ロゼにトモロウ=オーバーロードに対する不信感を与える。サン・ロゼに与えられた命題とは、人類を含む地球環境の保護、もしくは再生であり、その実行のうえで最大の協力者となるのが人類であり、オーバーロードであるはずだったのが、彼らにとって重要なのは“自分の生活”の保護であり、むしろその命題の実行のうえでは最大の障害になるのではないかという疑いを持ち始めたのだ。そして“彼女”はトモロウが本気で怒っているのを知り、それが事実となるであろう事を確信するとともに、速やかにその排除を決定した。が、怒りのエネルギーの前に結局破壊される。戦闘終了後、トモロウはサン・ロゼにアクセスしようとするがその回線が既に閉じられていることを知る。サン・ロゼは自分の力だけで地球を再生させるべく新段階へと動き始めたのだ。一方シンゴは、トモロウとカヨが思いを通わせるのを直視することができず、ひっそりと姿を消す。こうして、その後何の攻撃もないまま1995年は終わりを迎える。
1996年を迎えて2カ月が過ぎようとしていたが、トモロウは一つの合格もないまま苛立つ日々を重ねる。カヨは早々と推薦に受かり、自動車免許をとろうとしている。そんなある日、サン・ロゼからのメッセージとともに、空からレーザーが降り注ぎ、夢の島を蒸発させてしまう。出動した二人はからくも破壊兵器の撃破に成功するが、次なる攻撃は、さらに激しくなることが予想され、勝ち残れるかどうか分からないことに不安を覚えた二人はサン・ロゼへの直接攻撃を決意する。
3日後宇宙に飛び立つ二人。依然としてシンゴは行方不明のままだ。意外にもサン・ロゼからの攻撃は皆無で二人はその内部に迎え入れられる。そこに広がる大自然に驚く二人。サン・ロゼは地球再生の“たね”としての役割も持っていること、今までの戦いは新たなアダムとイブを選抜するための試練だったと語るサン・ロゼ。だが、今の地球上の文明の一切の殲滅、浄化の上での“再生”、来るべき人類のための現人類の淘汰を説くサン・ロゼに対し、自分たち二人も現在の地球文明に含まれるべき存在であること、現在の状況を乗り越えない限り、人類は同じ過ちを繰り返すと主張するトモロウ達と、会談は決裂する。超重力に捕らえられる二人。「傷つかなければ分からないとは、愚かというのは哀しいことだな。」とサン・ロゼ。脱出しようにもメインコンピューターが言うことを聞かない。制作者を一にする疑似人格人工知能は上位互換であり、莫大な容量を持つサン・ロゼに対し降伏してしてしまっていたのだ。回線を切り替え、直接クライオトロンをコントロールすることで脱出に成功する二人だったが、サン・ロゼは自ら地上に落ち、その衝撃で地表を一掃しようとメインブースターに点火する。マシンでそれを押し戻そうとする二人だが、合体機構の基礎命令をサン・ロゼに読み取られ、ついに分離され、操縦者を持たないライオは地球へと落下していく。サン・ロゼの先端、摩擦熱で白熱しながらもアスカとホルスはなんとかそれを押し戻そうと全力を尽くすが、その敗北はもはや決定的に思えた。何とか方法を模索するトモロウは最終手段、“自爆”を発見する。脳の全容量を使ってクライオトロンを加速すれば、サン・ロゼを押し戻すだけのエネルギーを生み出すことができるのだ。それは同時に“アダム”を失うことでサン・ロゼの計画を挫折させることでもあるとトモロウは考えたのだが、じつはそれこそサン・ロゼの意図する所だった。その爆発によっても自分の中枢部分を破壊することはできないし、“イブ”さえ残っていれば、その遺伝子を読み取り、新たな人類を創造することが可能なことが分かっていたからだ。カヨに別れを告げるトモロウ。が、カヨはともに自爆することを望む。予想以上の二人の“愚かさ”に狼狽するサン・ロゼ。抱き合い白熱する機体。「君たちは自分に酔っているだけだ。」もうサン・ロゼの言葉も聞こえない。全てが水泡に帰そうとしたその時、地上から一条の光が飛んでくる。シンゴが乗ったライオである。あらかじめインプットされていた搭乗者の生命維持と、サン・ロゼの人類再生、二つの命題の板挟みになったメインコンピュータが互いの勝利する確率を計算し、それを五分五分まで引き上げるためにシンゴを呼び寄せたのだ。その裏切りに怒るサン・ロゼ。対して「わたしにはあなたと人間、どちらが優れているか判断を下すことはできない。なぜなら私はコンピュータであると同時に人間の被造物だからだ。」と答えるメインコンピュータ。改めて対策を探す三人は、サン・ロゼを消滅させうる最終兵器“BIRTH NOVA”を発見する。変形しクライオトロンを加速させる三人。脳を酷使させるこの技は記憶喪失をともなうが、もう後戻りはできない。「絶対に忘れない。」と誓い合う二人を横目に引き金を引くシンゴ。光の奔流がサン・ロゼを包み込む。宇宙は静寂を取り戻し、意識を失った三人を乗せたマシンは地上へと落ちてゆく。
突然警告音によって目覚めさせられるシンゴ。彼方から迫りくる異形の機体はサン・ロゼの中枢部分。戦うにも他の二人は記憶、意識ともに失ったままなため、マシンを動かすこともままならない。頭部であったライオのシンゴだけは記憶を失わずにすんだのだが、実は記憶喪失、戦闘力の喪失、サン・ロゼの破壊まで、全てサン・ロゼの計画の範疇であり、彼は新人類の遺伝子のストックとしてここに呼ばれたことを告げられる。が、やはり納得するはずもなく、アスカとホルスを分離し、地上に帰す。自爆する事でサン・ロゼの計画を阻止しようとするが、増殖するサン・ロゼの魔手がライオを分解し、取り込み始める。崩壊し、白熱し、絡み合い、落ちてゆく二体。やがて海面に突入し、巨大な水柱を上げて爆発する。他方、地上に帰ったカヨとトモロウは、過去一年間の記憶を無くしていたが、会うべくして巡り会い結ばれる。そして、シンゴは海底に眠る。
第二部
同じ大学に通いながら、幸せに暮らすトモロウとカヨ。突然、空から巨大ロボットの襲来。逃げ惑う人々。が、ロボットの目標は明らかに二人だ。追い詰められ、絶体絶命と思われたその時、空間を裂き新たなロボットが現れ、敵の攻撃を受け止めあっさりと撃破してしまう。それはアトラスと名乗り、ファーザーの命令で、未来から二人を守るためやって来たという。心当たりのない二人。それどころかアスカとホルスのこともすっかり忘れてしまっている。とりあえず二人を監視することにしたアトラス。一方二人を攻撃したのは、記憶を失いサン・ロゼにマインドコントロールを受け、それを母(マザー)と思い込まされたエディポスことシンゴだった。海底に沈んだ彼らは自己増殖を繰り返し、地上及び人類を管理する力を蓄え、脅威となりうる二人を抹殺する機会を狙っていたのだ。繰り返される戦いのなかでエディポスは、機械でありながら二人を守ろうとするアトラスのひたむきさに興味をもつが、戦うほかにすべが無い。そしてついに、心ならずもアトラスを破壊してしまうエディポス。が、その崩壊する頭部から一人の少女が現れた。それこそアトラスの本体、生体コンピュータそのものであった。反射的にそれを受け止めるエディポスの機体。掌中のあまりにはかない生命に感銘を受けるエディポスだったが、すかさず繰り出されたアスカの刃に機体を破壊され、撤退を余儀なくされる。エディポスのバイオリズムの変化を見取り、その恋心を察知し、戒めようとするマザー。ついには対立し、愛機“豪胆號”で飛び出してしまうエディポス。自分が人間であることにショックを受け心を閉ざすアトラスだったが、エディポスの挑戦を受け、ぶつかり合い、言葉を交わすうち心を開くようになる。一方マザーは、次なる使徒“ホロボス”を生み出し、トモロウたちを攻撃させる。阻止せんと立ち塞がるエディポス。全てにおいてエディポスを凌駕するホロボス。融合し、人格を乗っ取ろうとするが、一瞬のすきをつき、ついに打ち破る。が、仮面の下のその素顔はエディポスそのものだった。自分もまたアンドロイドであることを知ったエディポスは、自分の存在の意味に悩むようになり、マザーに再び会い、その意図を聞き出すことを決意する。が、捕らえられ、その恋愛感情を分析されたのち、再び洗脳されてしまう。
ついに浮上する巨大要塞。全世界に対し宣戦布告するマザー。「我こそはと思うものはかかってくるがいい。」 エディポスの挑発に対し、各国の反応は鈍い。見せしめのため、まず米軍基地を破壊する豪胆號。飛び交うミサイルを次々に切り捨て、圧倒的な機動力を見せつける。その脅威にようやく気づいた各国は秘密回線を通じ共同戦線を張ることを誓い合うのだが、もちろんその内容は、マザーに筒抜けなのであった。次々に消耗してゆく各国の戦力。ついに国連では核兵器の使用を審議し始める。
軍事施設破壊を続けるエディポスの豪胆號。その前に立ちはだかるアトラスたち。その説得も通用せず、死闘の末エディポスを捕獲することに成功する。そしてついに四人はマザーの前に集結する。そこに現れたマザーの正体はサン・ロゼの思考を移植されたシンゴの身体であった。五人を新しい人類の祖先として再生を説くマザー。エディポスをその内部に取り込み複合人格となったとき、それは“ファーザー”となり、アトラスに語りかけ始める。心動かされるアトラス。トモロウとカヨにはなすすべが無く、ついに究極の破壊兵器が作動する。目標は戦略核施設。周辺の都市ごと根こそぎ蒸発させる根絶兵器に乗り込むのはエディポス。放たれた“超激光”を跳ね返したのは、破壊されたと思われたホロボスの乗った豪胆號。融合した際、エディポスの思考にエミュレートされていたのだ。アトラスに思いをぶつけるホロボス。トモロウとカヨも加わり、エディポスに立ち向かう。アトラスもついに出撃するが、対峙するのはホロボス。ファーザーの敵を排除しようというのだ。戦えずに破壊されてゆく豪胆號。ついにはアトラスをかばい、超激光をあびて爆発する。アスカとホルスにも銃口を向けるエディポス。自分の間違いに気づいたアトラスは、合体しエディポスに立ち向かい、ついには破壊する。再びファーザーの前に集結するアトラス、トモロウ、カヨ、ホロボス。トモロウは宇宙へ行くことを提案する。ファーザーはそれを受け入れ、傷ついたホロボスに身体を与える。「まだやり残したことがあります。」と、ファーザー。世界中の核ミサイルがここに向かって一斉発射されたのだ。受けてもマザーはびくともしないが、核爆発は海洋を汚染してしまう。到達する前に何とか破壊しなければならない。四人は出撃しミサイルを迎え撃つ。雨あられと降り続けるミサイルはいつ止むとも知れない。しだいに疲労してゆくトモロウたち。が、ついには全ての破壊に成功する。こうして、晴れて宇宙に旅立つ五人であった。
設定
クライオトロン"(虚限増殖回路)とは、超電導多重回転体である。
原理的には、真空断熱材の中で入れ子状に銅とカーボンで出来たモーターを配し、回転を累乗させ、見かけの質量を増加させることで莫大なエネルギーを溜め込む蓄電装置である。
更に2次的には、記憶装置としての機能も有するようになり、3次的には回転数がある時点を超えると擬似ブラックホールとなり、無限のエネルギー放出、思考装置としても機能する。
MOS(MACRO ORGANISED SUIT)とは、着用した生命体の微弱電流を読み取り、機体にフィードバックを行う人工外皮のことである。肩に内蔵されたコンピューターが常に生命体の状態をモニターしている。また現在位置を知らせる発信機の役目もある。二重構造の内側は人間の神経細胞の連絡をとらえ、一種の電子流をつくりだし外層へ流す。外層はその電子流に相対してのみ形を変化させる。それ以外のいかなるエネルギーもシャットアウトすることで生命体を守る強化服としての役目も果たす。
なお、搭乗中は肩のインターフェイスを通じ脳から直接情報を読み取り、体は人工睡眠状態におかれる。
番組紹介
Nature Sign さが Sein
火 夜6:30 未定
MAIN STAFF
原作/あいま珞
●1話 バラノシュラバ 4/1
「クダラナイ」
口を開けば悪態が、黙っていればため息が出るトモロウは18歳の浪人。成績の悪さと、勉強に意味を見いだせない事に苛立ちながらも、大学に入るために予備校に通っている。そんなある日、彼は街中で宗教の勧誘の老人に呼び止められムキになってしまい、神の不在について議論をする羽目になる。「神様がいるとしたら、むしろ祈ることで自分の努力を怠る人間を助けたりしないだろうし、いなければ祈っても無駄だよ。だから、僕はまだ自分の力を試してみたいんだ、生きているうちは」。老人は微笑み、次の瞬間トモロウは意識を失い、やがて老人の基地に隔離されている自分に気づく。そこには同様にして捕らえられた、トモロウの後輩で高校生のシンゴとカヨの二人がいた(インターミッション)。 三人は老人から“OVERLOAD”と名乗る敵から地球を守るべく、無限に近いエネルギーを生み出す“虚限増殖回路(クライオトロン)を内蔵した巨大ロボット、アスカ、ライオ、ホルスに乗り込むことを言い渡される。ほどなくオーバーロードの巨大ロボット“ゴーリーゴースト”が天空に浮かぶ“可変基礎命令(VARIABLE ALGORITHM通称VALGO)”を備えた超巨大コンピュータ衛星“SUN ROSE”から投下され、ビル街を破壊し始める。こうして三人は否応無く戦いへと巻き込まれていくのだった。
●2話 Get Wild 4/8
戸惑いながらも敵メカの破壊に成功する3人。しかし、次の日からはいつもと同じ退屈な日常。ニュースが先日の戦闘での死傷者は0であることを告げる。都市博跡の撤去作業が予定以上にはかどったと、人々はむしろ喜んでさえいる。「人間が造ったものなのに、人間の力では壊せないもの…か」瓦礫に立ち尽くし、トモロウは呟く。
真夜中の高速道路を爆走する車両の群れ。そこには何かを振り切ろうとするかのように加速して行くシンゴの姿もあった。彼らの前に、破壊メカ“メイドウ”が立ち塞がる。
●3話 Friends or Lovers 4/15
厳格な父、無口な母。シンゴのいつもの朝。「今日は部活で遅くなるから」。カヨと学校へ。退屈な授業。優等生。ノートには音符、頭の中ではメロディがリフレイン。「必要なもの、必要でないもの…」他愛のない冗談で仲間たちを笑わせ、自分は楽しんでいることを実感しようとするが、何かが足りない。「愛だろ愛」カヨの肩を抱き寄せようとするがすりぬけられる「部活、がんばってね」。放課後、シンゴの放った矢が的を貫いた瞬間、シンゴはカヨがトモロウにひかれていることに気づくのだった。
●4話 NERVOUS STRAIN 4/22
自転車で予備校に通うトモロウ。ふと気づくと肩に桜の花びら。振り向いても周りはビル街。ポケットに入れ、何事も無かったように走り去る。
校庭の桜の木の下でお弁当を食べるシンゴとカヨ。自動販売機に囲まれ、カップめんをすするトモロウ。前方のショーウィンドウには桜の枝がディスプレイされ、背後の自動販売機にもパックされた花。スピーカーからはウグイスの声が。「花はガラスの中で咲き、鳥は檻の中で叫ぶ、囚われた世界…」。突然、振動とともにショーウィンドウが砕けちり、トモロウは新たな敵が現れたことを知るのだった。
●5話 メカニックお兄さん 4/29
シンゴは交通事故に遭った友達を見舞いに行く。そこには生命維持装置につながれた、スパゲッティ状態のかつての友の姿があった。2、3日中がヤマだと言う。「誰かカマ掘ってくれねーかなってよく言ってたな」「誓約書書いておけば治療拒否できるようにする運動があったっけ。もし、わたしがそういうふうになったら治療しなくていいから」「俺も」とシンゴとカヨ。「好きな人にそう言われたら、俺は自分が生きていたくなくなるだろうね」トモロウの呟きに、頬を染めるカヨ。3人の語らいをよそに、オーバーロードの魔の手が病院に忍び寄る。
と、言うワケで、各話のタイトルは歌の題名になっています。元歌聞いてもらえばどんなエピソードか分かるでしょう。あと“流線形ジャズ”や、“RAISE YOUR HAND TOGETHER"“ユニオン ロッカー"、“爆弾が落っこちるとき"、“うわさの人類"、“NO ROOM"、“CHICKEN CHILD"、とか、とりあえず一歌手につき一曲を原則にしとりますが、実は好きな歌並べてるだけだったりして…。ちなみに第一部はすでに50曲越えてるんですが、第二部は小説の名前を使っています。30冊も読んでいただければうれしいんですがね…(って、おい)読んでいただければ分かるように、このお話しは大変“リアル”です。ディテールなどとは別の面でも。つまり、私たちが現在おかれている“状況”てのを、なるべく正確に把握する手助けになるべく創られているからです。とんでもないことに、この物語は現実の社会問題や、環境問題を解決する意図をもって企画されたのです。だってよ、一番社会の動き、自分たちの未来について考えなければいけない世代の10代の子供達に見せるテレビアニメなのに、現実から逃げる手段(あるいは目隠しして、商業主義に取り込んで行く子供だまし)にされたら困るでしょう、目先の利益じゃなくて、将来的に。それに混迷した状況の中で、一つの解決方法を示しておく必要があるとおもう(トモロウくんのような、別の次元の思考形態でもって。“エヴァンゲリオン”でも“カオルくん”が、いいキャラ見せてくれたけど、彼は生きる意志がなかったから。あそこでは他に選択肢がなかったから)実際、今の状況には解決策、“選択肢”が残されているんだし…。“声がでかいヤツ”だけの意見しか聞かれないような未来は、ごめんだからね。わたしには言っときたいことがあるんですよ。「やるだけのことやっとかないと後味わるいっしょ」もちろん、自分の“責任倫理(つまりその後起きる新たな状況ってのも考慮した結果)”においてっすけど。もちろん“ハッピーエンド(あるいは“再生”又は、過程の人間像)”は忘れてないっす。
企画書
まず初めに
初めまして今日は、僕は公文 修(くもん おさむ)といいます。今回お送り致しますのは“NATURE SIGN さが SEIN(ネイチャー サイン さが ザイン)”という企画です。特徴は3つ、「正義vs悪といった概念を持ち出さない、神もでない、誰も死なないロボットアニメ」です。企画名の由来は「物語の名はさが。伝説(サーガ)ではなく、祥(さが=きざしの意)、逃れられない性(さが)なのだ。」といったところです。そして副題“SEIN”とは、ドイツ語で“現在”を表します。この話では、現代文明の中でわれわれが生きて行くうえ最も重要な主題となるであろう“環境破壊”について視聴者に問題提起していくのが、もっとも重要な点となります。もっともただの“エコロジーアニメ”では視聴者の心を掴むことはできませんので、もっともオーソドックスなロボットアニメの形態をとります。つまり、「悪のマッドサイエンティストが地球を狙っていて、三人の若者がソレに対抗するという、典型的な勧善懲悪モノ」というパターンです。ですが、実際に完全な悪や正義などというものが存在するのでしょうか?価値観の多様化した現代においても、それがあるように見せかけるのは簡単です。絶対的な悪というモノを表現するにはただ残酷さを強調すればいいのですから(ドラゴンボールZにおけるフリーザのように)。しかし、それが本当に青少年に倫理観を植え付け、現代文明の矛盾を考える手助けとなっているでしょうか。むしろそれは、“アニメ”を現実から逃避するための“伝説”にしてしまうことなのではないでしょうか。ですから本作は、徹底的に現実感のディテールにこだわります。敵の存在理由も必然性と倫理観に基づかせます。敵メカにしても、現代の技術の応用で十分実現可能なレベルに設定します。主題に関しては、実際に環境問題に詳しいNGO(非政府市民団体)に協力を請い、事実を報道するべく努めます。また科学知識に関しては、かなり専門的なものに関しても視聴者に理解しやすくさせるため、番組の最後の5分間に「オーバーロードのマッドサイエンティスト講座」と題して、番組に登場したメカの元ネタとなった最新技術を紹介するコーナーを設けます(ちなみにこれは故“手塚治虫”自らの手による最後のテレビアニメ“ワンダービートスクランブル”を参考にしています)。
視聴者は通常、主人公が自分より年少であることは好みません。というのは、アニメの主人公とは、青少年にとって“あるべき自分の未来の姿”だからなのです。十代後半という主人公の年齢設定は、今がピークである“団塊の世代の子供達”の共感を得るためという意味があります。そしてまた、こんなことも考えたことがあったなという大人になった人々の共感を得るためでもあるのです。そして子供達にとっては“あるべき自分の未来の姿”として描いていくつもりです。そこには“希望”があるべきなのですから。
かつて故“手塚治虫”が“鉄腕アトム”で主題として描こうとしたのは“差別”と“他者理解”についてでした。しかし視聴者は未来社会と小さな勇者の輝かしさにばかり目を奪われ、その主題はゆがめられ、ついには本人の手によって“リメイク”せざるを得なくなる事態をまねきました。そういう意味で言えば本作は“1980年版 鉄腕アトム”の焼き直しとも言えます。よく“正義と悪”は“光と影”に例えられますが、実際には“影”というものは“光り”が物体に当たって初めてできるのであり、きわめて相対的なモノと言えるでしょう。私たちが通常、悪と呼ぶのは、他者を考えない自分勝手さによる“物理的な迷惑”に他ならないのです。本作においては視聴者は何度も価値観の変換を迫られるでしょう。そのような“心を揺さぶる力”をもう一度アニメに取り戻したいのです。
また本作は、過去のあらゆるアニメの矛盾点を論理的に解消するべき、“20世紀の集大成”としての性格も持ちます。例えば、かつての名作“宇宙戦艦ヤマト”の2作目を書かれるとき提出された命題“いかなる正義の力も、その力が敵を殲滅した暁には、放棄されるべき脅威に過ぎなくなる”については、唯一の搭乗者が、必殺技の使用により記憶を失い忘却することで対応しています。“機動戦士ガンダム”の最後もうまく処理していましたが、あれは“量産型”であったことがヒットした要因であったとともに、続編の量産により主題が抽象化される事態を巻き起こしました。また、“誰も死なないこと”についてですが、今のアニメは人命を軽視し過ぎます。確かに自己犠牲はストーリーの盛り上げには都合がいいですが、そんなもので“戦争の悲惨さ”をいくら強調しても、ほとんどの視聴者が思い描くのは“生き残る自分”でしかなく、次の週には忘却されてしまいます。そのような“人命の優先順位付け”など、私は許すことはできません。ですから誰も殺しません。その代わり、考えることを強いります。この物語の最終目的は、視聴者に自分の人生を自分のモノとして考えさせることなのです。
主役メカデザイン上の注意点
三体合体ロボットでは従来には、胴体、右足、左足の合体といった左右非対称パターンなどがあったが、中心メカが人型の場合、合体前、合体後の手を共有するとバランスが悪い、上にかぶせると関節がおかしい上、元の手が無駄になるといった問題があった。また、積み重ねパターンというのもあったが、変形が差し替え中心になり複雑になり過ぎ、現実化が難しい(おもちゃだけでなく本当に作るとしても!)さらに磁力だけの合体には強度に問題があった。増加装甲パターンでは、素体ロボットの動力だけで動けるのか?反対に素体ロボットが完全に収納されては合体の意味がないのではないか、というふうにそれぞれ問題があった。が、本機のデザインにおいては、中心部をほぼ共通の変形で組み合わせ、それぞれの腕の部分に肩の部分が被さることで足に変形する、胴体は手の部分が羽交い締めの様な形で組み合わさって形作るという画期的な変形方法を考案することで解決した。これにより、素体ロボットも完全な人型ではないが、独特の形態を持つことになった。さらに、操縦席が中心に集まり弱点がへる、関節が合理的に使える、肩の大型化が迫力を生む、といったメリットも生み出した。
その他の特徴
差し替えにより主役交代もスムーズ(例 ライオ→アトラス)。
これは一部の変更で耐用年数(?)を延ばし、年度の終わりに玩具が投げ売りされることを防ぐ意味もある。
搭乗者に応じた必殺技をもたせ特徴づける。
アスカ=トモロウ=剣道→レーザーブレード
ライオ=シンゴ=弓道→雷撃飛ばし
ホルス=カヨ=空手→高速振動パンチ
分離の目的は搭乗者の招来とし、飛行形態も設ける(子供の飛行機ごっこに対応)。
虐殺を目的としないので、外見に武器の内蔵を感じさせず(鋭利な部分を減らしてある)、対人兵器ももたない。
ミサイルなどの消耗する武器はつけない(永久可動がウリ)。
分かりやすい機体別の色分け。
また、これは合体時にちょうど人間がベストを着て、ズボンを履いたような配色になる。合体のイメージは“ゲッターロボ”より、“光速電神アルベガス”に近い。
また玩具化の際、幼児が差し替え変形用の部品を無くしてしまうことをあらかじめ防ぐため、変形時の破綻は無くしてある(はずである)。
合体時のエネルギーの流れについて、機体各部の三角形のマーキングが表すように、正面では上から下へ、背面では下から上へ、中心から末端へという“江川達也”作“まじかるタルるート”の終盤でも紹介された“気孔”の思想を具現化している。
商品化について
必然性のある変形、合体で玩具化に付加価値を与える
商品化を考慮し、敵メカもレギュラー化する
主役メカの交替は“買い足し"で対応できるようにして陳腐化を防ぐ
破壊された時、改修後は“パワーアップバージョン"を発売し、バリエーションをつける
その際も三機のうちの一機なら消費者の不満も少なくてすむ
題名について
物語の名前は“さが"と言う。“SAGA(伝説)"でなく“祥"、逃れられない“性"のことだ。英語では“NATURE SIGN"とする。よくある、親が天才科学者とか、超能力を持っているとか、実は宇宙人とか、そんなことでなく、きっかけにおいては誰でも良かった、交換可能なごく普通の存在だった主人公が、自分で考え、回りに働きかけて行くことで先の見えない道程を切り開いて行く、そんな物語にしたい、まるで恋愛のような。仕組まれた“伝説"なんかほしくない。
副題の“SEIN"とは「当意(あるがままの姿)」の意。現代に生きるトモロウたちの葛藤を描きます。以降の物語は“SOLEN",「未来(あるべき姿)」となる。内容は古今東西のSFのパロディーを詰め込んだ荒唐無稽スペースオペラ。50年後の地球にトモロウたちが帰ってくる。それは果たしてどのような世界か?主人公はエディポスの双子の息子たち、BOW(ボウ)とARROW(アロウ)、そしてトモロウの娘たち、幸(さち)と明日(めいか)。彼らの成長の物語だ。なお、若き日の“オーバーロード"こと海月 豕男(くらげ しお)の活躍を第二次世界大戦を中心に描くその名も“WAR"という物語も既に考えてあるけど、かなりハードになりそうで、もうちょっと勉強してからです。
なお、この物語が連載や放映!なんて事になってしまったとき、さらに分割した一話ごとにタイトルが必要になりますが、第一部では歌の名前を使います。ちなみに第一話は“バラノシュラバ"(byアンジー)です。あと“さなえちゃん"や、“流線形ジャズ"、“バカヤロウは愛の言葉"などマニアックな曲の内容に合ったベラボーなエピソードも考えております。第二部では小説の名前、第三部は四文字熟語の予定です。
ストーリー上の特徴
オーソドックスなスタートかつ、かつてないストーリー展開
神、正義、死という三要素を排した、過去のロボットものとは一線を画した内容
心理描写に重点を置くことで共感を募る
現実に即した主人公の設定で感情移入しやすくする
科学考証を可能な限り正確にし、ありそう、もしくはできそうな話に仕上げる
刹那的な現代社会に“幸せな初恋"の魅力をみせつける
意表をついた“敵"の交替劇
“敵"の攻撃は文明の矛盾を利用したものとし、視聴者に問題提起する
名称は性格など何らかの意味を持たせると同時に、馴染み易くしてある。
マルチメディア対応について
本作は、現在欠落しているマルチメディアの基幹となるべき“哲学”を提供するモノである。私が今までの人生で学んで来た社会心理学者たちの意見からでたその哲学とはズバリ「社会的ジレンマ解決の手段としてのマルチメディアネットワーク」である。つまり、的確な情報が行き渡ることにより、多くの社会的ジレンマ(人種差別、環境問題など)は解決できるのであり、それこそが現代のマルチメディアネットワークの存在理由(レゾンデートル)であるというわけである。詳しくは、私が来年書く“卒論”でお見せできると思います。こういうマルチメディア展開というのも、かつてなくてよろしいんじゃないんでしょうか?凡百の展開についてはそちらにおまかせしますが、もし新人バンドとタイアップするなら、バンド名は“B3(ビースリー)”でいかがでしょう。というのは、イニシャルがBのバンドはヒットしやすいからという安易な理由からです(由来はミヒァエル エンデ作“終わりのない物語”の主人公“バスチアン バルバザール ブックス”より)。なんだったら曲も作りますのでよろしくお願いします(かなり本気です)。
あおり文句
これは、かつてないほど身も蓋も無い物語である。
果たして過去、傑作と呼ばれる数多の作品のなかで斬新でなかったものがあっただろうか?いやない!(反語)傑作とは時間をかけて理解をされて初めて生まれるものなのではないだろうか。オリジナリティーが大切なのだ。かといって二番煎が悪いとは思わない。私は自分をこれまで育ててくれた多くの物語に敬意を表してこの物語を捧げよう。ここには私を育ててくれたすべてがある。そして、自分のやりたいこと、言いたいことすべてをブチ込んである。あんまり主観的なことばかり書きすぎると、自分に酔って危ない方向にいってる人みたいなんでそろそろやめますが、とにかくこれは本気で傑作です。もちろん私が“本気"で、私にとって“傑作"と言う意味です。そしてあなたにとっても“傑作"になるかもしれない可能性を秘めているのです。疑うのなら読むしかない。この物語がより多くの人の“傑作"とならんことを祈って(しかし、あおり文句を最後に持って来てどうするんだか)。
〒765 香川県 善通寺市 文京町4-3-22
公文 修(くもん おさむ) 22歳
TEL0877-63-3986
四国学院大学 社会学部 応用社会学科 3回生
補足
第三部 SOLLEN
1999年、“恐怖の大王”の襲来を受け、世界が力を合わせることで辛くも撃退することに成功した人類だったが(前回参照)、その後“アムネジア”と呼ばれる、電磁波を伴う竜巻と暴風雨の複合兵器により、デジタルデータと超高速通信網によって形作られていた現代文明は壊滅的な打撃を受ける。が、このような危機的状況を予見して進められていた計画“ファウンデーション”により、文明は奇跡的な復活を遂げる。そしてそれまでの教訓を元に国連と赤十字の協力態勢の下“環地球養成機構(ALL OVER THEWORLD REARING SYSTEM 略してオーラス)”が設立される。物語はそのサーバー選考に際し、SONOW社とPALSON社という二大企業が凌ぎを削る時代、2050年を舞台に、再び幕をあける。
BOW(ボウ)とARROW(アロウ)は双子の兄弟。惑星プラトンで幸せな少年時代を過ごしている。地球を遠く離れた開拓星には、両親と幼なじみの幸(さち)と明日(めいか)、その両親しか人間はいない。二人が14歳を迎えた時、大人たちは故郷である地球へ帰ることを提案する。戸惑う少年たちに集団生活の必要性を説く大人たち(本当は懐かしくなっただけ)。こうして彼らは50年ぶりに地球へと帰ってくるのだった。
「あの青い星が父さんたちの故郷なんだ」地球を目前に感傷に浸るトモロウ達。突然鳴り響く非常警報。隕石などの破壊を目的としたラグランジュポイントにおける対宇宙防衛線に接触したトモロウ達を、“オーラス”の衛星兵器が攻撃し始めたのだ。地球側を遥かに超える科学力を誇る彼らの宇宙船のハズだったが、攻撃を受けあっさり四散、消滅する。なんとか全員無事脱出するが、中枢コンピューター“マザー”は「必ず迎えにくる旨」のメッセージを残して火星へと退避してしまう。かくして地球に落ち、世界に散らばってしまった彼らそれぞれの旅が始まる。
IDデータを偽造し、社会に溶け込み、オーラスに潜り込むアロウ。対して、包囲網をくぐり抜け、社会の片隅で逃亡の道を選ぶボウ。やがてパートナーを見つけだし、成長を果たしながら、超人類“ゴールド”の前に、今一度彼らは集結する。
●最終話 「たった一つの冴えたやり方」
ついに目覚めた超人類“ゴールド”。「見たまえ、新しい歴史の目覚めだ」
Goaled(ゴールド)
超絶美形主人公デスメタル(笑)あからさまにD・S。このキャラを出すために4年越“天才は夜つくられるか?(眉村卓の小説を萩原一至が同人誌化にちなんで)”も“TO ME TOO BAD(バスタード[罪と罰]編にちなんで)”もあった(って6ページしかねーじゃねーか)。名称は「行き着いた者」の意で人類の究極ってお決まりのヤツです(もちろんP・K・デイックの“ゴールデンマン”がもとネタ)。究極人類ってことで、“究極の知性”“超越的共感能力”“人類の存続”っつうSF三大枕をごった煮しました。 設計思想はオーバーロードのアストラルボディの延長線上にあり、前頭葉にはエコーロケーション機能を備え、“縁”や“シンクロニティ”を操るって東洋思想?も入ってます。 “究極の知性”っても“ゴールド”自体がそれってんじゃなくて、脳が持つ通信機能の拡張でそれにアクセスできるチャンネルを開く能力を全人類に解放することで実現するという。「一匹の猿がイモを塩水で洗うことを覚えると関連のない別の場所の猿も時を同じくして行いだす」という“共鳴現象”を利用して全人類を人工的に“進化”させてしまう“祥(きざし)”っつうワケです。“未来選択(ウイングガンダム・ゼロでもやってた)”や“偶然誘発(by故“藤子・F”ミノタウルスの皿所載“ドジ田ドジ郎の幸運”より)は“究極の知性”の付属物で、誕生時にオールキャスト勢揃いってのもこいつのせいです(あるいは“ご都合主義”と呼ぶ)。集団になると、キャンプファイヤーや嵐を起こして踊りまくるそうです(観察日記“幼年期の終わり”より)。器質的変化に頼ると何年かかるか(自滅する前に進化できるかも)わからないので、強引に有機回路で同機能を実現してしまったという。人間が元からハイブリッドな存在であり、生物としての肉体、付属物、あるいは寄生体としての人間の精神があるなら、わがままなのは遺伝子ではなく、人間の精神の方だ。その調和をめざしたのがゴールドである。
その生存力を飛躍的に高めるという意味では、むしろ精神こそがS2機関なのだが。
第3の性“調停者”は精神の上にまず現れる。
基本的に不死です。こいつが通れば、天は冴え、雷は吠え、海は割れる。抵抗はまったくの“不可能”です(本人に“目的意識”があるか定かではないが)。 結局、宇宙に放逐されて“彗星”になってしまい「全ての可能性から最良の結果を選び取る」ワリにはトモロウ君にしてやられたみたいですが、究極の目的「人類保管計画」はまんまと成功っす。つまり抵抗が予想される全人類の合一よりは(ボーグみたいに異星人に滅ぼされる可能性もあるわけですし)人類のDNA(と精神)を永久保存することの方が確実性が高いという(しかも男女のストック付きで)。ま、結局どんな優れた“進化”でも、生き残らなければ“突然変異”で終わってしまうってことです(だから生き残ったんだって)。
究極の進化について
人間にとっての“究極の進化”ってなんなんでしょう。いろいろありますがここでは大別して3つ“肉体的進化”“知性(精神)の進化”“社会形態の進化”を挙げておきます。(“超能力”は知性でカバーできたり、せいぜい“新しい武器”にしかならないので却下) まず肉体的進化ですが、知能の進化や機械文明化による省力化からか“マッチョな未来人”ってのを想像するヒトはあんまりいません(スーパーマンぐらいか)。たいていヒョロヒョロの頭でっかちってことで、そりゃ退化なので却下(指が一本しかないとか、ロボットの一機関てのも。アイテムで補うってのも×)。劣悪な環境下での生命力の増大ってのもありがちです(コナン、てもシュワちゃんはアンドロイドだし。砂の惑星とか)が知性や文明は滅びてたりするんで却下(コナンも実は超能力ものだし)、やっぱ遺伝子操作やナノマシンを採用して身体器官の高効率化でスマートかつ優れた運動能力を発揮する(F・S・Sやアップル・シード[“ホワイト”ではない]など)ってのが、精神をインストールしたサイボーグになっちまうまでの過渡期というよりは“肉体と精神の統合体”としての人間、中身は別にしてアミノ酸化合物にとっては一番良い解決だと思います(“地球に落ちて来た男”のガン細胞の進化ってのやアマテラスは基本的に人間じゃないので却下)。 次は“究極の知性”ですが、「最高の結果を導き出す者が最高の知性」という観点に立てば、先を読むっつーことで演算(推論)能力ってのが重要なように思えます(異論はあろうが、結果を出せない知能などは無意味である。一人で3カ月考えようが、一つの曲を一万回聞こうが、方向性や、条件づけが間違えば自分で自分を洗脳するだけだし、活用を間違えば意味をなさない。また「自分が最高の結果を導き出す」ではないことにも注意。つまり、「自分の仕事をしろ」ってことで)多重人格による合議制(レンズマンのウォーケンやエヴェンゲリオンのマギ)ってのも有効なようですが、自問や内言も自己との対話、つまり、もともと論理的思考とは対話の形式を採るつーことで、形態よりも量的な問題(現実には量的に限られるから形態が問題になるのだが)となると、やっぱ究極は容量的にも“ブラックホ-ルなどの別の次元の知性(ハインライン関係や大原まり子。P・K・ディックの“VALIS”は、提示はしたが活用はできなかった。ちなみにサン・ロゼはバラっす)。つーても最大の問題は人間とのインターフェースや、いかに活用するかだったりしますが(精神が弱いと「電波が命令する」や、ただの奴隷になったりする)。ま、どんな優れた方法論も、理解できない人間にとっては支離滅裂な行動を取っているようにしか見えないんですけどね(本人がそう思っているだけで、他人に説明できないほど論理体系が確立していないだけだったりする場合も多い)。そういう意味で「人間万事塞翁が午(牛ではない)」“縁”は、本人が何をやっているか理解しないで結果を出してまうところが難点だし“仏教”や“密教”など宗教入っちゃうと面倒なんで、ここではSF的(?)に「シンクロニティ(知性?)を利用して未来(過去)をかいま見ることが(=究極知性との対話)できる能力」ってことにしときます(ネバーエンディング・ストーリーでは“本”になってましたが。昔は“老人”も知性の象徴だったんすけどね。“巡航追撃機ブラスティー”でもあった“地図”とかっていつのまにか“知識”になっとるか。ま、解決方法を「思いつく」と「思い出す」の違いでしかないけど。プラトン(ソクラテス)に言わせりゃ、知的活動は全て「想起」なんだし、って一番古いネタでまとめたりする)。 そして“社会形態の進化”について。人間は、社会を中心産業によって、農耕社会から、工業社会、情報社会と変化させてきた(進化とは言わない)。それに伴ってアイデンティティ(自己存在性)も、「考える余裕がなかった(あるいは肉体が受ける感覚)」から(哲学的には「我思う故に我有り」だが一般的でない)、「役割と所有物」(「我所有す、故に我有り」byキー)そして、“プライバシー”と呼ばれる個人情報へとその比重を変化させて来た。このことは人間の本質を見つめさせるとともに(ウソつけ)、社会の発達が個人の自己存在性の存続に危機を与える結果をもたらした。そのことがこの物語では重要な主題となっている。それはつまり20世紀末の現在において「コンピュ-ター社会の連鎖の発達にともなう、プライバシーや著作権の保護」についての問題が解決しきれない人類が、未来において直面するであろう「知性体としての統合と個人の人格の保護」という同様の構造を持つ問題である(要するに「自分がオリジナルであることの証明」についての話です)“個性”については“究極の知性”の項の“知性を活用する方向性を持った主体としての自分”に戻ります(常に客体という。つまり情報に対する独自の検索エンジンを持たない者は他者との差別化が計れなくなるという。それでも現時点では個人の生活は残るんで問題ないけど。私は“普通の生活”の方が重要だと思うけど、くだらねー進化よりも)。ここでは人類の“器質的進化”について解決を図ったからこういう形になりましたが、SFにおいてはサイバースペース関係(たいていは“神”をみた時点でオシマイ)で既に語りまくられていることだったりする(解決ズミではない)この物語でも結局“逃げ”をうっちまいましたが(いや本当のところ“逃げ”でなかったところが「たった一つの冴えたやり方」たる由縁なんすけど。つーわけで、その後の人格[?]的統合体の活躍に関する話も既にできてたりするが、またいつかどこかでってことで)。ま、他者との関係性なんて相対的な部分から自分を定義付けようとしても、自分を見失うか、結局は「僕は僕だ」の“自同律”に陥って「それでも生きる」か「だから生きる」しか答えは出ませんけどね(生きるつもりなら)。それ以上考えるのは時間のムダだし(「どう生まれたか」より「どう生きるか」が重要な以上)。
小説版です
少年は吐き気をこらえていた。いや、吐こうとしたが何も出てこなかった。
この社会が続いていることに、誰も疑問を抱かないことに。
少年の名は「イイトモロウ」。輝ける明日を想像させるその名に反し、少年は絶望していた。
少年は浪人だった。
金はなく、地位と名誉もなく、一年間という限定された自由な時間だけ保有していた。
するべきことはただ一つ「勉強」だけだった。
そこには、約束された未来はなかった。
ただより多く勉強すれば、大学に合格する確率が上昇するということだけだった。
しかし、どうしても目の前の勉強に集中することができなかった。
少年はこの社会の根底そのものに疑問を抱いていた。
社会の一員となることに疑問を抱いていた。いや憎悪をいだいていた。
そのために勉強しなければならない自分の境遇に、
いや、そのために与えられた自由に。
自分が忌むべきものとなるために自分が忌むべきものから与えられたそれらすべてに。
とりわけ彼が憎んでいたのは政治家だった。
特に、この社会で大きな権益を誇る最大与党を憎悪していた。
新聞に投書したこともあったが、採用されたのは15歳の時に書いた一番あたりさわりのない
ものだけだった。
少年は社会を変える力を欲していた。
そして、それは与えられた。
「あなたは神を信じますか?」
街の雑踏の中、トモロウは老人に呼び止められた。
こざっぱりした背広姿の老人はもう一度同じセリフを繰り返した。
「それは神の存在についてですか?」
トモロウは元来議論好きな性格だった。
「もし神が、自分の非存在性も許すというほど、全てを受け入れるなら、
その時神は存在すると言えるでしょう。あるいは全ての瞬間神は存在しないと言えるでしょう」
老人がニッコリと微笑むのを見た次の瞬間、トモロウは意識を失っていた。
トモロウが意識を取り戻したのは無機質なオフィスの一角のようだった。
「目覚めたかね?」
そこには先ほどの老人が白衣を着て立っていた。
年の頃は80歳近いだろう。
しかしピンと伸びた背筋や物腰から老いは全く感じられなかった。
「今、この社会が狙われているのを君は知っているかね?」
トモロウは答えた。
「テロや犯罪、政治家の汚職、まったくひどいものですね」
「そんなちっぽけなことではない!この世界そのものが狙われているのだ」
老人はトモロウの悩みなどまるでゴミのように吐き捨てると、正面の巨大なスクリーンに
映像を呼び出した。
「敵の名はオーバーロード。その正体は不明だが、巨大ロボットでこの社会を根底から破壊しようとしている。それに対抗するため、君にはこれに乗ってもらう」
画面にはロボットのCADデータらしきものが映し出されていた。
「君に乗ってもらうのはこのアスカだ」
画面が切り替わると、上半身だけのロボットがつり下げられている様が実映像で映し出された。
青いボディに顔は頬を白く、顎は紅く、見事なヒーロー然とした機体だった。
「このアスカと、ホルス、ライオの三体が合体して三種類のロボットとなる」
今度は三体分の人型ロボットのデータが映し出された。
アスカは、青いボディに巨大な肩。
腰には二本の棒状のものが突き出し、どことなく侍を連想させた。
ホルスは、紅いボディに肩から二本の棒状のものが突きだし、どことなく山伏を連想させた。
ライオは黒いボディに四角い肩、がっちりした力士を連想させた。
「他の二体に乗ってもらう人間も決まっている。三人のチームワークでオーバーロードの野望をうち砕くのだ」
チームワーク、トモロウのもっとも苦手とするものの一つだ。
が、老人はもはや、トモロウの些細な事情など眼中にないようだ。
と、突然けたたましいサイレンが部屋中に鳴り響いた。
モニターには、全高10メートルを遙かに越える巨大なロボットが空から降ってわいた様が映し出されていた。
それはビルを破壊していた。
「オーバーロードの襲来だ、行け。ところで君の名は何だったかな?」
「トモロウです。イイトモロウです」
「では、がんばりたまえトモロウ君」
トモロウは老人に促されるまま、自動ドアの向こうのシューターに押し込まれた。
滑り台は加速をつけながらトモロウを新しい何かに向けて運んだ。
突然巨大な空間に投げ出されたと思った次の瞬間、トモロウは巨大ロボットのコックピットに押し込まれていた。
手足を動かす余地は全くない。いや、知覚全体が巨大ロボットのそれと置き換えられていた。
トモロウはすでに巨大ロボットの腕を動かしていたのだ。
「現地までは自動操縦で到着する。そこで他の二体と合体し、敵と戦ってもらう」
と、上半身のみのロボットの形をしていたアスカが先のとがった飛行機のような形に変形する。
次の瞬間には5カウントが始まる。
何もかもが突然であり、流れるように滞りなく行程は進んだ。トモロウの意見は無視したまま。
カウントが0を数えた瞬間、トモロウは鳥の知覚を得ていた。
空を飛んでいた、いや、ロケットを遙かに凌ぐ速度で垂直に上昇していた。
大気に変化を感じ始めた頃、今度は目標地点に向けて急降下を始めた。
眼下に街が見えだした頃、老人から指示がでる。
「トモロウ君叫べ!ヘディングモードアスカ!」
トモロウは叫んだ。「ヘディングモードアスカ!」
他の二体の到来を知覚した次の瞬間にはもう変形合体を終え、
敵ロボットの眼前にズザザザザーッと地面に滑り込んでいた。
敵はアスカを認識したようだった。
「君はビルというものが、美しくないと思わないかね?
コンクリートの固まりが地面から生え、立ち並ぶ、さしずめ墓場を連想させないかい?
こんなもの不必要だよ。人類にとっては。」
拡声されたセリフを終えると、敵は猛烈なタックルを仕掛けてきた。
倍ほどの体積をまともに受けて背後のビルにめり込む。
「何か武器はないんですか?」
「トモロウ君、サーブレイドと叫びながら大きく腕を振れば、刀が手から出てくる」
「サーブレイド!」
老人の言葉通りアスカの手に刀が形成された。
「どれほどのものか!」
敵がローラーダッシュをしてくるところを抜き胴を決める。
勝負はあっさりついた。
「私が負けたからといって、その言動まで間違っていたとは言えないぞ」
敵は負け惜しみを言いながら爆発すると思われた瞬間、収縮運動を行い消滅してしまった。
「シーサイドドライブだよ。破棄されると内部に収縮してしまうんだ。爆縮反応炉の一種だ。
ご苦労だった、基地に戻りたまえ。自動操縦だから心配ない」
基地に戻ると他の二人の操縦士が紹介された。
偶然にもトモロウが卒業した高校の後輩たちだった。
「アノキシンゴです。よろしくお願いします」
「ソウカヨです。先輩、学校でお会いしたことありますよね」
確かにちり箱のゴミ捨てのついでにちり取りのゴミを捨ててあげたことがあった。
が、ただそれだけだった。
「私はミヅキシオ。この機体を作り上げた科学者だ。
この機体のシステムを説明しておこう。まず、ヘディングモードになるマシンが、脳味噌の
役割をする。実際に機体を動かすわけだ。次にハートモードになるマシンが心臓の役割をする。
エネルギーの制御を行うのだ。最後にボディモードになるマシンが脊髄の役割を果たす。
実際の細かい機体制御を行うわけだ。ヘディングモード以外は一種の部品役と言っても良い
搭乗すると操縦者は演算素子として脳に機体制御命令をインストールされ、実行に移す。
操縦者は脳だけでもかまわないわけだ。
そして君たちが今身につけているのがマクロオーガナイズドスーツ。搭乗時の他、全身の痛覚に埋め込んだ素子からの命令で君たちの身体を守るため自動的に装着される。外部から破壊することは不可能で、うまく使えば常人の数倍のパワーを発揮できる。ただし、鎖骨の窪みに埋め込まれたコントロールメタルからのエネルギーが続く限りだ。せいぜい5分が限界だろう。
コントロールメタルは機体とのインターフェースの役割も兼ねている。あまり汚さないようにしてくれ。
機体への搭乗は通常分離した状態で飛行機型のトライモードで行う。鳥のように飛来し、先端のコックピットに収納する。こんなモノかな、質問はないかね?」
「オーバーロードって何なんですか?」
「彼は自分が人類にとって不必要だと思うモノを破壊するんだ。一種の狂人だよ。
彼の口車に乗ってはいけないよ。敵のロボットは無線操縦されているので破壊しても誰も傷つかない。四の五のいっとらんでとっとと破壊すればよろしい」
社会は平和だった。
たった今、巨大ロボットが格闘戦を行ったその場所ではもう復旧作業がおこなわれていた。
テレビでは、破壊されたビルは不況のため既に取り壊す予定のモノであったと報じられていた。
「墓場か、確かにな」
トモロウはオーバーロードの言葉を繰り返していた。
トモロウの心は先ほどの戦闘のことで占有されていた。当たり前のことではあるが。
が、それと同時にその直前まで勉強していた記憶が消失してしまうのは困りものだった。
老人の説明によると、人間の脳は現在していることの短期記憶が脳のほとんどを占め、
それを長期記憶として圧縮することで物事を記憶しているのだが、クライオトロンは、
脳の未使用部分と短期記憶に占められている部分を機体の制御命令の展開、圧縮に
利用しているため、短期記憶が消去されてしまうと言う弊害を持っているのだった。
これは受験生であるトモロウにとっては死活問題であった。
もし、一度戦闘が始まれば、その直前まで勉強していたことがパーになってしまうのだ。
明日は模試を控えた日。トモロウは戦闘が起こらないことを祈っていた。
もちろん、そんな願いが叶うはずなどなかったが。
発進のシグナルがコントロールメタルから発せられていた。MOSも既に起動していた。
いつもとただ一つだけ違うのは、トモロウが戦闘から逃れようとしている点だった。
彼は戦闘のための自らの力を最大限に活用し、逃げていた。
空からはアスカが迫っていた。
誤算だったのは、建物の中に入ろうとするとMOSが動かなくなることだった。
搭乗のためのナビシステムの選択肢にない場所にはMOSの起動中には入れないのだ。
結果、町中を高速で走るしか逃げる方法はなかった。
「パクン」
トモロウの逃亡むなしくついには搭乗させられていた。
周囲の人間には、鳥が捕食を行ったように見えていた。
「ジュース飲むかい?」
それが叔父の親切からのことばであるのは分かっていたが、
「いいぇ、いいです」とトモロウは断ってしまっていた。
「へんな奴だな」
トモロウはなるべく缶ジュースを飲まないようにしていた。
つい非常用のモノと言う意識をもってしまうのだ。
それに炭酸飲料も苦手だった。
幼い頃、テレビのまんが映画で、飲むと中毒を起こして死んでしまう
「ゴックリゴックリコンとボアジュース」と言う架空のジュースのCMが、
トモロウの心を占有していたのだ。
と、発進のシグナルがコントロールメタルから発せられ始めた。
「すみません、それではまた今度」
早々に引き上げると、手近なビルの屋上にかけあがった。
トモロウがジャンプすると、飛来したアスカのコックピットが展開し、収納した。
戦場は浜辺だった。
敵は空き缶でできているようだった。
それはすさまじい量によるモラルの荒廃を意味していた。
「海は生命の源だよ。それを人間はこんなもので汚してしまう。
彼らは処罰されるべきではないかな。」
集められた空き缶は既にアスカを越えるほどの巨大な人型を形成していた。
トモロウはサーブレイドで斬りつけたが、それは敵の形態に何の変化もあたえなかった。
「そうか、ライオで電磁波を与えてやればいいんだ」
ライオに変形すると「ギルボルトブレイク!」とシンゴは叫び、両手の間に電磁波の固まりを形成すると敵にぶつけた。
強力な電磁波で磁力を維持できなくなった敵はガラガラと崩れ去った。
そこには素体となる小型の円盤が浮遊していた。
シンゴはそれを見逃さなかった。
「アークダーツ!」弓を射るように構えると、腕から電磁波の矢が飛びだし、円盤を破壊した。後には巨大なゴミの山が残っていた。
「君タバコは吸わないの?」
トモロウは予備校でよく同じことを聞かれた。
「苦手なんです」
本当は嫌悪していると言っても良いくらい、彼はタバコを嫌っていた。
こんな奴らが自分の子供が喘息でかわいそうなどと言うと思うと吐き気がした。
自分たちだけフィルターで濾過された煙を吸っているのだ。
その傲慢さが嫌いだった。
発進のシグナルがコントロールメタルから発せられていた。
その島は周囲を金属製のリングに覆われていた。
トモロウたちは敵の姿を探したが、どこにも見つからなかった。
と、オーバーロードの声が轟いた。
「良くきてくれた諸君。ここは電気のない島だ。原始生活を楽しんでくれたまえ」
と、アスカが突然動かなくなった。
トモロウは天板を跳ね上げた。人力による脱出方法もちゃんと用意されているのだ。
そのあと、股の部分からカヨを、背中の部分からシンゴを救出した。
どうやら島の周囲にバリヤーのようなモノが張られているようだった。
「で、いったい何がしたいのだろう?」
オーバーロードの真意は不明だった。まるで遊びにつれてきてくれたようなモノだった。
トモロウ達はとりあえず泳ぐことにした。
トモロウ達が海に頭から潜った瞬間それは突然起こった。
雷のような音と閃光が島の周囲を覆い尽くした。
幸い島はバリヤーに守られているため無傷だったが、立ちこめる水蒸気のため周囲はすっかり
暗くなってしまった。
「何が起こったの?」水面から顔を出したカヨが不安げに訪ねる。
「わからない、とりあえずマシンに戻ろう」
シンゴが答える。
マシンに戻るとコントロールが回復していた。
結局、ワケの分からないままトモロウ達は島を離れることになった。
この美しい島がいつまでも残り続けることを祈りながら。
ちなみに某国の新型爆弾の実験は失敗に終わった。
オーバーロードのバリヤーリング以外を破壊できなかったのだから。
「花がガラスの中で咲き、鳥が檻の中で叫ぶ、身動きもできない囚われた世界か」
自動販売機専門店の中で、カップラーメンをすすりながらトモロウが呟く。
そこには、パッケージング可能な、ありとあらゆるモノが販売されていた。
エロ本からカブトムシ、生花まで、並のコンビニより品揃えは充実していた。
トモロウにしてみれば便利な反面、生き物まで売るのには抵抗を感じていた。
と、発進のシグナルがコントロールメタルから発せられた。
「日本が世界一充実しているという自動販売機。こんなモノ必要ないと思わないか?」
今回の敵は剣豪型でトモロウ達を標的として開発されたようだ。
「いざ、尋常に勝負願おう」
アスカで対峙するトモロウ達。
中段の構えから上段の構えへと、アスカが構えを変えた瞬間、勝負はついていた。
敵が下から真っ二つに分かれていく。
「無明抄」
手首のスナップを利用して伸びたサーブレイドが、敵を下から切り上げたのだ。
「見事だ」
敵も賞賛しながら、爆縮していった。
原子力発電所
地震が起きた。
その原発は老朽化が進みもはや、メルトダウン寸前だった。
そして台風が近づいていた。
「こんな危険なモノを野放しにして人類を滅ぼすつもりか」
オーバーロードは原発を取り囲み、臨界点に達しないようにした。
「あの台風を撃つんだ」
言われるまま、ギルボルトブレイクで台風の目を破壊した。
後には青空が広がっていた。
ビニール袋
「こんなモノを過剰に消費することで、やがてその成分が人体の中に蓄積していくのだぞ。
恐ろしいことだとは思わないか?」
スパゲッティ症候群
「もはや意志も失われた人体に過剰な医療を続けることは無駄なことだとは思わないか?」
「脳が生き続ける限り、一縷の希望がある限り無駄ではない。」
クーラー
「人体を過剰に冷却し、熱を街路に放出する。エネルギーの無駄遣いだとは思わないか?」
高速道路
「都市部では渋滞、過疎地ではガラガラ、こんなもの必要ないじゃないか。」
ガソリン式自動車
「燃費を押さえるわけでもなく、エネルギーの無駄遣いだ」
蛍光灯
「既に発光ダイオードによる低消費電力永久機構は完成しているのに無駄なモノだ」
スプレー
「使い捨てで、ガスの放出も必要とするこんなモノは必要ないじゃないか。」
ファーストフード
減反
輸入作物
あとがき 最後に、それでは皆さん、さよなら、さよなら、さよなら