奥武蔵の風

22 新装オープンした高指山

 高指山(たかさしやま)(標高332メートル)が新装オープンしました。山頂が開放され、誰もが登れる山になったのです。

 高指山には、かつてNTTの「高指無線中継所」という施設があり、山頂に2基の鉄塔が建っていました。東京からの無線(マイクロ波)による電話回線・データ通信と、東京タワーから発信されたテレビ局用の業務電波が、この辺りから西は山々に遮(さえぎ)られてしまうため、上信越方面へ中継する役割を、この施設が担っていたのです。

 東隣の日和田山ではなく、一つ奥の高指山が選ばれたのは、高指山の方が標高が高いうえ、何より山容が台状で山頂に施設を建設しやすかったからだと思われます。

 ともあれ、そのような訳で、高指山は鉄塔が建つランドマーク的な存在でありながら、山頂には一般人が立ち入れない山でもあったのです。

 しかし、通信技術が「無線」から光ファイバーに移行すると、無線中継所は役目を終え、2008年に鉄塔は1基となり、残っていた1基も2020年に撤去されました。

 その後、無線中継所跡地を含む高指山の山頂一帯は日高市によって買い取られ、昨年10月に「ふるさとの森 第2号地」(「第1号地」は日和田山)として整備され、山頂が開放されました。

 奥武蔵に居を構えて以来、私には鉄塔のある高指山の風景が残像のように目に焼き付いていて、気が付いたらいつの間にか鉄塔がなくなっていたという印象です。この度、初めて高指山の山頂に立ちました。広場が整備されていて、真新しい山頂標が設置されていました。

 傍らには、鉄塔の下にあった古いコンクリート造りの施設がそのまま残っています。歴史を知らない人には、老朽化した建物にしか見えないかもしれませんが、「産業遺産」であることは間違いありません。この山が一時期、重要な通信を担った山であることを示す説明板がないのは、いかにも残念です。「ここには、かつて東京と上信越方面を結ぶ無線中継所がありました」。ただそれだけの説明でよいのです。

 山頂からは、南西方向の展望が開けていて、この日は、うっすらとですが、富士山が遠望できました。

 

(写真上)© 真新しい山頂標。右側に旧無線中継所の建物。

(写真上)© 山頂に残る旧無線中継所の建物。施設があったため、山頂の手前まで車道が整備されているのも、この山の特徴です。ただし、現在も一般車の乗り入れができるのは少し下までとなっていて、写真に写っている舗装道路は、歩行者用となっています。

(写真上)© 山頂から南西方向の眺望。右は大岳山、左の雲の中に うっすらと大きな富士山。

(写真上)© 高指山(標高332メートル、左奥)と、日和田山(標高305メートル、右)

(写真上)© 高指山全景(1)南方向から。中央が山頂。

(写真上)© 高指山全景(2)さらに遠方の南方向から。

(写真上)© 山頂をズームでとらえると、旧無線中継所の建物が見えます。

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