「先生 給食費少し待ってくださいって」
「ハイッ わかりましたよ」
先生はいつもと同じ笑顔で応えた
ああよかった 普通に言えてよかったよ
昨日の夜からビクビクしてたのだ
支払いの日がわかっているのに
なんで 用意しないんだよう
体を固くして 母を恨んだ
子どもを育てるのは 親の役目なのに
なんで 病気になんかなるんだよう
台所は女の仕事だなんて 女は損だ
なんで 兄と弟しかいないいんだよう
戦争へ行ったって帰ってきた人もいるのに
なんで父さんはだめなんだよう
その上 大人になってない私を残して
母さんまで逝ってしまうなんて
大粒の涙がいつまでも溢れ出た
なんでだよう なんでだよう 頭がキンと鳴った
そしてその後 ずうと今も
私の心は「ファンタジー」を楽しめない
「新婦人しんぶん」第3008号の読者文芸欄に掲載された詩です
新聞社を通してご本人の了解を得ましたので ご紹介いたします
A・Kさん ありがとうございました
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