中国の15年GDP伸び率は6.9%、25年ぶり低水準
01.20 16:11BBC News
中国の国家統計局が19日発表した2015年の国内総生産(GDP)の成長率は物価変動の影響を除いた実質で6.9%となり、前年の7.3%を下回って25年ぶりの低水準となった。
中国政府は経済成長率の目標を「7%前後」としている。李克強首相は、雇用の創出が続く限り成長率の低下は問題とならない、と述べていた。
中国経済は世界経済の牽引役とみられており、世界の投資家らは成長率の低下傾向を懸念してきた。
実際の経済成長率は公式発表よりも低いとの見方も一部にはあるが、中国政府は否定している。
アナリストらは成長率が6.8%を下回った場合には、新たな景気刺激策への圧力が高まると指摘する。国家統計局によると2015年の第4四半期のGDP伸び率は前年同期比で6.8%に低下した。
急ぎ過ぎは危険?
10年以上続いた高成長の後、中国経済は過去2年間、成長率の低下に悩まされていた。
中国政府は経済モデルを輸出・投資主導から消費・サービス主導への転換を図っているが、これには困難が伴う。
消費主導の経済に転換する取り組みは的外れだと指摘する向きも一部にはある。経済の「リバランス(再均衡)」を図るなかで、生産性の向上によって高い経済成長を維持すべきだとの見方だ。
HSBCホールディングスのエコノミスト、ジョン・ズー氏は投資家向けリポートで、「消費増は短期的には成長を支えることができるが、経済理論でGDPの需要(支出)サイドが成長の牽引役として強調されることはほぼない」と述べた。
ズー氏はまた、中国の発展段階ではさらに投資が必要で、その逆ではない、と指摘。消費・サービスに比重が高まる再均衡は時間がたてばいずれ実現するとし、「道筋を急ぎ過ぎた経済の転換努力は危険だ」と述べた。
中国の成長率も世界経済にとって重要だが、経済情勢を詳しく点検し方向性を見極めるためには、ほかの経済指標を見ることも必要だ。
同じく19日に発表された12月の鉱工業生産や小売販売の数字も、いくぶんか予想を下回った。
12月の鉱工業生産は前年同月比5.9%で、11月の6.0%を下回った。小売販売も前年比11.1%増で、11月の11.3%を下回った。
フィデリティ・インターナショナルのキャサリン・ユング氏は、「労働市場の健全性、小売販売、鉱工業生産のデータすべてが成長の主要な指標だ」と述べた上で、「中国をこれらのレンズ(指標)を通してみた場合、今起きているのはメルトダウンではなく、減速にすぎない」と指摘した。
今回発表された経済成長率は安心材料だとの指摘も出ている。
エコノミストのトニー・ナッシュ氏は、「(中国の)GDPは、IMF(国際通貨基金)含め幅広く予想されていた内容に沿ったものだ」と述べた、また、「2015年の中国経済の拡大は、規模にしてスイスもしくはサウジアラビア経済に匹敵する」とし、「簡単なものではなく、功績の大きさを物語るものだ」と語った。
<解説>カリシュマ・バスワニ記者(アジア・ビジネス担当)
繰り返し言われて、金融市場のクリシェ(決まり文句)になったが、中国がくしゃみをすれば、世界がかぜをひく。
昨年の中国株式市場の急落は投資家心理に影響を及ぼし、今日発表された指標もそれを改善するには至らないだろう。だが、率直に言って中国経済の減速は驚くべきものでない。
中国政府はこれまでも、国家主導の投資・製造中心の経済から、より自立性のある消費・サービス中心への転換に取り組むと表明してきた。消費・サービスは経済活動の50.5%を占めるようになり、2014年の48.5%から上昇している。
しかし、懸念されるのは中国の景気が今後どれくらい悪化するのかという点であり、統計の数字がそもそも信頼できるのかという心配もある。
批判する向きは、中国の統計データが信頼できず、実際の成長率はもっと低いと指摘する。最近の地方の経済統計は中央政府が主張するよりも成長が大幅に減速していることを示唆している。
(英語記事 China economic growth slowest in 25 years)
01.20 16:11BBC News
中国の国家統計局が19日発表した2015年の国内総生産(GDP)の成長率は物価変動の影響を除いた実質で6.9%となり、前年の7.3%を下回って25年ぶりの低水準となった。
中国政府は経済成長率の目標を「7%前後」としている。李克強首相は、雇用の創出が続く限り成長率の低下は問題とならない、と述べていた。
中国経済は世界経済の牽引役とみられており、世界の投資家らは成長率の低下傾向を懸念してきた。
実際の経済成長率は公式発表よりも低いとの見方も一部にはあるが、中国政府は否定している。
アナリストらは成長率が6.8%を下回った場合には、新たな景気刺激策への圧力が高まると指摘する。国家統計局によると2015年の第4四半期のGDP伸び率は前年同期比で6.8%に低下した。
急ぎ過ぎは危険?
10年以上続いた高成長の後、中国経済は過去2年間、成長率の低下に悩まされていた。
中国政府は経済モデルを輸出・投資主導から消費・サービス主導への転換を図っているが、これには困難が伴う。
消費主導の経済に転換する取り組みは的外れだと指摘する向きも一部にはある。経済の「リバランス(再均衡)」を図るなかで、生産性の向上によって高い経済成長を維持すべきだとの見方だ。
HSBCホールディングスのエコノミスト、ジョン・ズー氏は投資家向けリポートで、「消費増は短期的には成長を支えることができるが、経済理論でGDPの需要(支出)サイドが成長の牽引役として強調されることはほぼない」と述べた。
ズー氏はまた、中国の発展段階ではさらに投資が必要で、その逆ではない、と指摘。消費・サービスに比重が高まる再均衡は時間がたてばいずれ実現するとし、「道筋を急ぎ過ぎた経済の転換努力は危険だ」と述べた。
中国の成長率も世界経済にとって重要だが、経済情勢を詳しく点検し方向性を見極めるためには、ほかの経済指標を見ることも必要だ。
同じく19日に発表された12月の鉱工業生産や小売販売の数字も、いくぶんか予想を下回った。
12月の鉱工業生産は前年同月比5.9%で、11月の6.0%を下回った。小売販売も前年比11.1%増で、11月の11.3%を下回った。
フィデリティ・インターナショナルのキャサリン・ユング氏は、「労働市場の健全性、小売販売、鉱工業生産のデータすべてが成長の主要な指標だ」と述べた上で、「中国をこれらのレンズ(指標)を通してみた場合、今起きているのはメルトダウンではなく、減速にすぎない」と指摘した。
今回発表された経済成長率は安心材料だとの指摘も出ている。
エコノミストのトニー・ナッシュ氏は、「(中国の)GDPは、IMF(国際通貨基金)含め幅広く予想されていた内容に沿ったものだ」と述べた、また、「2015年の中国経済の拡大は、規模にしてスイスもしくはサウジアラビア経済に匹敵する」とし、「簡単なものではなく、功績の大きさを物語るものだ」と語った。
<解説>カリシュマ・バスワニ記者(アジア・ビジネス担当)
繰り返し言われて、金融市場のクリシェ(決まり文句)になったが、中国がくしゃみをすれば、世界がかぜをひく。
昨年の中国株式市場の急落は投資家心理に影響を及ぼし、今日発表された指標もそれを改善するには至らないだろう。だが、率直に言って中国経済の減速は驚くべきものでない。
中国政府はこれまでも、国家主導の投資・製造中心の経済から、より自立性のある消費・サービス中心への転換に取り組むと表明してきた。消費・サービスは経済活動の50.5%を占めるようになり、2014年の48.5%から上昇している。
しかし、懸念されるのは中国の景気が今後どれくらい悪化するのかという点であり、統計の数字がそもそも信頼できるのかという心配もある。
批判する向きは、中国の統計データが信頼できず、実際の成長率はもっと低いと指摘する。最近の地方の経済統計は中央政府が主張するよりも成長が大幅に減速していることを示唆している。
(英語記事 China economic growth slowest in 25 years)
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