<nobr>米国防総省が認め、自衛隊も対応を検討へ</nobr>
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アメリカ国防総省は、2020年4月27日に「未確認の飛行現象」の映像3本を正式公開しました。これが宇宙人の乗り物なのかどうかはともかく、こうした映像(未確認飛行物体)が実在することを国家が認めるかたちとなり、日本政府も対応を示しました。オカルトの世界というイメージが根強い中で、UFOの話題が今後どこまでリアリティを持つものになるのかを考えてみませんか。
■国防総省が宇宙人の存在を認めた?
アメリカ国防総省の「未確認の飛行現象」映像公開によって、長年の話題になっていた不可解な現象の映像を、国防総省が公式に認めたと言えるでしょう。
今回発表された映像は、2007年と2017年にすでに流出していたもので、米国防総省は2017年、UFOを長年にわたって調査していることを認めましたが、調査はすでに打ち切ったとしていました。
無論、これは宇宙人の存在を認めたということではありません。UFOはあくまでその言葉の通り、Unidentified flying object=未確認飛行物体のことであって、それが「未確認」であるというだけで、未公表の衛星や軍事演習、幻影の可能性もあります。
一方で、この映像の発表を受けて日本では防衛大臣の河野太郎氏がこのような事態に対する自衛隊の対応に関して、「万が一、遭遇した時の手順をしっかり定めたい」とコメントを発表するなど、UFOをめぐる問題は新たな局面を迎えたと言えるかもしれません。
■日本でも未確認飛行物体に遭遇したといううわさ
日本でも、未確認飛行物体に遭遇したとされている事例があります。あくまでも、うわさの検証としてお知らせしましょう。
●1972年の介良事件(けらじけん)
1972年8月、高知県高知市の介良地区で、当時の中学生数人が、田んぼの上空に浮かんでいた底の深い灰皿のような手のひらサイズの物体を捕獲したとして、当時ワイドショーで話題になりました。
この小さな物体は、捕獲と脱走を繰り返しましたが、結局は忽然と消えたといいます。子どもだけではなく、彼らの両親など目撃者も多数おり、著名な作家も取材してエッセイにするなどし、事件の顛末も詳細に取材されてはいますが、依然として真相は謎のままです。
●1975年の甲府事件
1975年、山梨県甲府市の団地でローラースケートをしていた小学生の男子2人が、オレンジ色に光る物体が自分に向かって近づいてくるのを発見。怖くなって近くの墓地に隠れたところ、その物体は自宅近くのブドウ畑に着陸したといいます。
恐る恐る見に行くと、着陸したその物体はアダムスキー型円盤にそっくりで、中から茶色いしわしわの宇宙人が降りてきて、後ろから肩をたたかれたそうです。証言が具体的で信ぴょう性があるとされており、海外でも有名な接近遭遇事例とされています。
●1986年の日航ジャンボ機UFO遭遇事件
1986年11月17日、日本航空の貨物機がアラスカ上空で、自機の大きさの3~4倍にも匹敵する巨大な球形の物体に遭遇したとされる事件。機長の供述によると旋回して逃れようとしたが、ついてきたといいます。
レーダーには雲のような存在としてしか映っておらず、副操縦士は光を見たものの物体自体は見ていないといい、同乗の機関士は全く見ていないと供述。
目的地のアンカレジに到着後、「航空機の安全運航に影響がある事象」としてアメリカ連邦航空局から事情聴取を受け、機長には酩酊などの可能性はないとされました。
■自衛隊が未確認飛行物体と遭遇した場合
これまでにも未確認飛行物体との接近遭遇事例が民間では確認されており、そのうちのいくつかは綿密な取材もされているようです。
河野防衛大臣が4月28日の会見で述べたように、自衛隊での接近遭遇事例は報告されていないようですが、「手順を定めておく必要がある」というのは、万が一の事態に備えるという意味では妥当な発言でしょう。
では実際に、もし自衛隊機などが未確認飛行物体と遭遇した場合、どのように対応するのでしょう。
●日本の防衛・防空はどうなっているのか
防衛省が定めた防空識別圏(ADIZ)というエリアがあります。これは、国際法上領空とされている範囲が陸地から22.2キロメートルと防空の観点からはあまりにも狭いため、領空に侵入しようとする航空機やほかの物体に対して、国籍の判別、領空侵犯の可能性の有無を識別するための空域です。
ここで、自衛隊機が異常事態であるとして「緊急発進(スクランブル)」を実施するかどうかが判断されます。事前に飛行計画などが提出されていない場合、直ちにスクランブルの対象となります。
航空自衛隊では、全国28ヵ所のレーダーサイトと早期警戒機E-2C、早期警戒管制機E-767、移動警戒隊などが365日24時間体制でADIZを見張っています。国籍不明機が領空を侵犯する可能性があり、接近し続けた場合の手順は次の通りです。
- 無線で呼びかける。相手機の国籍がわかる場合はその国の言語を使用する。またこの時、主翼を左右に振って合図(ミサイルを搭載していることを示す)
- 無視された場合、警告射撃を行う。強制着陸させることもできる
- 攻撃された場合は自衛戦闘を行う
日本のADIZの面積はヨーロッパに重ねると、ポルトガルからポーランドまで及ぶ、広大な面積になります。それだけの面積を航空自衛隊などが守っているということです。
これはあくまで現状の対応ではありますが、未確認飛行物体の飛来に対しても、同様の対応が取られるのではないでしょうか。
■UFOと経済は関係があるか……今後に注目
アメリカがUFO報道をする時は裏で何かが行われるときだという意見もありますが、先に述べた通り、2017年に米国防総省はUFOについて調査していたことを一度認めています。そのとき、米国経済は上り調子で絶好調の最中でした。
今回は新型コロナウイルス感染症の影響で世界経済が深刻な打撃を受けており、状況は大きく異なります。あくまで悪戯な気持ちではなく、この報道の裏にアメリカのどんな意図が隠れているのか、想像を巡らせてみるのもおもしろいかもしれません。
米国防総省と自衛隊が公式にコメントしていることから、このニュースに限っては単にオカルトと切り捨てるわけにもいかないでしょう。いったんは受け入れて、ビジネス会話のアイスブレークで話のネタとして使うというのもいいかもしれませんね。