第1種換気とは、給気・排気とも機械で換気を行う方式を言います。
基本的には家の中と外で圧力差が生じないため、気密性能レベルによる換気不良や温度ムラがありません。
熱交換を併用でき、排気する空気から熱や湿気を回収し、それを給気する空気に戻すことで室内の温湿度を安定させ、冷暖房エネルギーの削減に貢献してくれます。
第3種換気とは、排気のみを機械で換気する方式を言います。
ファンによる強制排気によって家の中を負圧にし、外気が給気口から入ることで換気が成立します。隙間があるとそこから外気が入ってくるので計画換気が出来なくなり、ゆえにC値は1.0以下にしないといけない、と言われています。
熱・湿度を交換できる第1種換気がいいのでしょぅか?
それとも、シンプルな第3種換気がいいのでしょぅか?
さて、どちら換気設備が住宅に適しているのか、いろいろ探っていきましょう!
快適性は?
冬期、外気温0℃・湿度70%、家の中の温度20℃・湿度40%のとき、暖房を止めて、1時間後はどうなるか…
第3種換気:温度10℃・湿度55%
第1種換気:温度18℃・湿度38%
温度10℃と18℃はかなり違いますが…壁面の輻射熱等を考慮するとイメージの温度差はないと思われますが、それにしても8℃差があることは確かで、第1種換気の方が快適と言えます。
それでは夏期の場合、外気温35℃・湿度55%、家の中の温度26℃・湿度50%のとき、冷房を止めて1時間後は…
第3種換気:温度30.5℃・湿度55%
第1種換気:温度26.9℃・湿度60%
温度差が3.6℃ありますが冬ほどの差にはなりません。
光熱費は?
第3種換気:暖房費38,000円(前後)冷房費17,000円(前後)換気代 3,000円(前後)
第1種換気:暖房費34,000円(前後)冷房費17,000円(前後)換気代27,000円(前後)
暖房費は第1種換気の方が4,000円少ないのですが、換気では24,000円も高くなります。
ダクト式の第1種熱交換換気の場合、第3種換気と比べて換気扇に使われるモーターの消費電力が上がります。熱交換素子という大きな抵抗をもつ素材と潜り抜け、ダクトを通って家の各所に空気を届けるには強力に送風するファンが必要になるからです。それと熱交換は1年のうち、冷房を使う期間が約3カ月、暖房は4ヶ月とすると残りの5ヶ月の熱交換換気は、あまり役に…。
熱交換器の多くは、外気温が氷点下になり熱交換素子が凍結破損するおそれが生じると、自動的にファンを停止する、または風量を落とす制御装置(デフロス運転)が装備されています。凍結防止運転の期間が1日以上に及ぶ地域では十分な換気量を確保できない可能性が高まります。その場合、外気温を温める装置(プレヒーター)が必要になってきます。
寒い地域である北海道では第1種熱交換換気の採用が多いイメージですが、普及率は高くありません。その理由の一つに、デフロス運転の稼働率の問題があります。
マイナス2℃でデフロス運転になる場合、それ以下の温度が続く北海道では一晩中または1日中になることもあり、計画的な換気ができません。そこでプレヒーターを使い、ある程度、温度を上げて室内に給気する場合、北海道だと何時間もプレヒーターを稼働することになり、熱交換することで暖房負荷を減らせると言っても…それ以上にプレヒーターの電気代がかかってしまい…普及率が低いのです。
導入・ランニング・メンテナンスコストは?
導入コストの差額は、第1種換気の方が約60~90万円、工事も含め考えると多くなります。また、15~20年後に交換する場合、それ以上の金額がかかってしまいます。
メンテナンスコストは第1種換気の場合、フィルターの交換で1年に約1万円(機種による)、第三種は2~3年で0.3万円ぐらいになります。
(6地域、36坪、2021年資料より)
まとめ
第1種のメリット
1. 必要な空間の給排気量をコントロールしやすい
2. 熱だけでなく湿度も交換できる(全熱交換型)
3. 暖房機の稼働率が下がり、光熱費が軽減される(熱交換型)
4. 外風圧の影響を受けにくい
第1種のデメリット
1. 第3種に比べでイニシャルコストがかかる
2. 第3種に比べて機械交換時に費用がかかる
3. 換気代は第3種よりかかる
4. 機械本体が第3種に比べ大きく、スペースが必要
5. フィルターの交換等、ランニング・メンテナンスは第3種より多い
第3種のメリット
1. 第1種よりもイニシャルコストはかからない
2. C値1.0以下であれば計画換気ができる
3. 第1種に比べて施工がシンプル
第3種のデメリット
1. 冬は低温で乾燥した空気、夏は高温多湿の空気が直接入る
2. 屋内が負圧傾向になり、外風圧の影響を受けやすい
ポイント
換気の目的は、住まい手が快適と感じる空気環境をつくることです。
それに適しているのは、第1種換気(全熱交換)になりますが…。
熱を交換してくれる第1種換気の方が光熱費はかからない…イメージだったと思いますが、実際は第3種換気より光熱費はかかっています。それだけエネルギーを多く使っているのです。また、導入費やメンテも…。
第3種換気のデメリット部分をすこしでも小さく出来れば…。
・C値(隙間相当面積)を0.5とする。
・ダクト式第3種換気を導入する。
・給気口はエアコンの近くに設ける。
予算に余裕があれば…第1種換気(全熱交換)という考え方でいいと私は思います。
参考(構造見学会にて第3種換気 日本住環境のルフロを説明)
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