グリシンの現状: 必須、条件付き必須、非必須の3説の混在、恐らく過渡期
グリシンは、非必須アミノ酸というのが栄養学の常識になっています。(1)(4)
しかし、条件付き必須としている学者たちもいます。(2)
その主張は、以下の通りです。
・通常の給餌条件下では、鳥や他の動物、特に病気の状態ではグリシンが十分に合成されません。
・グリシンのこれらの複数の有益な効果は、その不十分な新規合成と相まって、哺乳動物(ブタやヒトを含む)にとって条件付き必須アミノ酸であり、機能性アミノ酸でもあるという概念を裏付けています。
グリシンは、必須アミノ酸であるとしている学者たちもいます。(3)
その主張は、以下の通りです。
・人間の代謝によって生成されるグリシンは細胞の必要量よりもはるかに少ないため、人間の一般的なグリシン欠乏症は 10g/日となります。
有名なウェストン・プライスの伝統的な食生活に関する研究では、退行的な「文明病」は高度に工業化された社会の特徴である簡素化された食事によって引き起こされたとのことです。(5)
伝統的食品のゼラチンとグリシンを多量に含む事例には、次のものがあります。
・私が初めてメキシコに留学したとき、市内でも多くの伝統的な食べ物がまだ手に入りました。豚の皮を揚げて、カリカリに焼いたり、ソースと一緒に煮たりしたもの、ブラッドタコス、さまざまな動物の軟骨部分、鶏の足のスープ、甲殻類、昆虫などです。(5)
・私たちが伝統的な方法で動物性タンパク質を摂取すると(たとえば、魚の頭のスープと筋肉、または「ヘッドチーズ」とポークチョップ、鶏の足のスープとドラムスティックを食べるなど)、動物性タンパク質を同化します。グリシンとゼラチンが多量に含まれています。(5)
・鶏の足のスープはさまざまな病気のためにいくつかの文化で使用されてきました。(6)
・アジアの食料品店では、調理済みの豚の皮、耳、尾、鶏の足など、ゼラチンを多く含む伝統的な食品が販売される可能性があります。(6)
穀物・芋などの糖質を食べずに、肉類を豊富に食べる糖質制限で食べるのは、動物の筋肉の部分です。グリシンを多量に含む、軟骨、皮、関節、ゼラチンは、普通は食べません。
この部分が、糖質制限の盲点になっています。
我々の現代栄養学は、まだ完全なものではありません。
恐らく、現在はグリシンが非必須から必須へと変化していく過渡期の時代だと思われます。
このため、我々は、健康を維持するために、伝統的食事に習って、我々の現代栄養学が無視しているグリシンを多量に含む、軟骨、皮、関節、ゼラチン、そしてグリシン粉末を積極的に摂取するよう努める必要があると思われます。
参考資料