有楽町で行われる会議に出席するため、山手線内回りに乗った。
1つ手前の新橋駅。
明らかにお芝居でも見てきたのだろう、と思しき、典型的な東京のオバチャン4人組がドシャドシャと乗り込んできた。
しかもドアに挟まれるかもしれないタイミングで、
少々小走りに、しかし、堂々と、喋りまくりながらドシャドシャと乗り込んでくる。
筆舌しがたい風格だ。
すばらしい存在感だ。
オバチャン1名分×4、などという、こじんまりした集団ではない。
1名⇒2名⇒4名⇒16名と、オバチャンは1名増えるたびに二乗してゆくカウント方法が正しい。
そして、何より非常に楽しそうだ。
日々粛々と悲観的に生きながらえているワタシと、
同じ言語を話し、性別も同じであり、
ましてや紙一重の年代とは・・・どんなに訴えても、誰一人、同じムジナとは思っていただけないだろう。
一体どんな男と結婚すると、こんなに明るく元気に、よく喋る主婦になれるのか。
夫を見てみたい。
そんなワタシのささやかな疑問を知る由もなく、
姿は4名だが、存在感16人分のオバチャンは、
1席の空席を発見してしまった。
ロックオンした空席に向かって、全員で、にじり寄ってゆく。
そんな時のオバチャンは、弥勒菩薩が羽衣でもかぶっているのではないか、と思いたくなるほど、
慈悲深く、やさしい。
「あら、あなたが座りなさいよ」
「大丈夫よ。あなたの方が腰が痛いんだから、あなたが座りなさいよ」
「一番年上が座るべきよ」
「やぁね。ほほほ。そんなことないわよ~」
すると、突然、空席(1)の隣3名が立ち上がった。
エ~~~!!!
よく見ると“ダンディ”という表現がピッタリ、黒のキャリーバックを持った白人男性3人である。
50~60歳代か。シルバーがかった髪と品の良いスーツ。
一瞬、ニューヨークの電車に乗っているのではないか、と勘違いするほどだ。
「マイネーム イズ ハリソンフォード」
と誰が言い出してもハリセンで引っぱたかれることは決してありえない、ステキ、ダンディ3人組。
もちろんハリセンフォードではない。
彼らはニコニコと席を立ち、自分たちの大きなキャリーバックを移動して、オバチャンが座りやすくなるようにスペースを空けている。
「あらぁぁぁ~いやだぁぁぁ~」
歓喜に包まれたオバチャンたちは、
演舞場で誰を見てきたのかわからないが、
往年のハリウッド女優にでもなったかのように(共通点は性別が同じだということだけであるが)
目をパチパチさせて、まことしやかに、大きなお尻を座席にフィットさせた。
どう見てもヘップバーンではない。ヒップバーンである。
何と言う文化だ。
「女性はか弱い」「女性は大切に扱う」「女性には席を譲る」「女性はいたわる」
という正しい常識を持っている。
しかも、彼らは人種を差別するくせに、女性は区別しないところも素晴らしい。
それにしても、なぜワタシには席を譲らなかったのか。
少なくとも、新橋演舞場から大はしゃぎで帰路についているオバチャンより、
はるかに疲労度は強く、か弱く見えたはずだ。
ワタシの姿を見て、電車の中で3秒も立っていられないのではないか、と心配にならなかったのか。
蝶やカゲロウは群衆に溶け込みやすいから、見えなくても致し方ないと言えば、それまでだが。
何と言う影の薄い存在か・・・自分があわれになってくる。
冷え込む夜。
ネコの日本男子は、女性を押しのけて布団を占領する。
8kgの茶トラは、もろ、ワタシの胃の上で眠る。
これはワタシがみたらしチャンを見ているアングルである。
この愛くるしいデカい体は、ワタシの上を占拠しているのだ。
苦しくて横を向くと、脇腹の上で眠る。
そして、足の置場もないように、マカロニが隙間を埋め尽くす。
苦しみから逃れられないワタシの布団の中には、7kgのポテチが入っている。
修行のようだ、微動だにできない。
壁とポテチに挟まれて、身が引き締まるというか、身が細るというか、
いつか壁の一部になってしまうのではないか、と危惧しながら、
深い眠りにつけるのは奇跡としか言いようがない。
そんな身動き取れないワタシのテンプルを、爪でガリガリしに来る「明け方のフェレット」も居る。
小さなころから体が弱いかもしれないと心配しながら生きてきたので、
極力、無理はしないよう微力を尽くして生活するように心がけているが、
もしかしたらワタシは修行に強いタイプなのかもしれない。
いや、そんなことより、外国産のネコだったら暖めた布団を女性に譲ってくれることくらい、するのかもしれない。
次回はアメリカで育ったネコと暮らすことにしよう。
本日もご訪問ありがとうございました!
1つ手前の新橋駅。
明らかにお芝居でも見てきたのだろう、と思しき、典型的な東京のオバチャン4人組がドシャドシャと乗り込んできた。
しかもドアに挟まれるかもしれないタイミングで、
少々小走りに、しかし、堂々と、喋りまくりながらドシャドシャと乗り込んでくる。
筆舌しがたい風格だ。
すばらしい存在感だ。
オバチャン1名分×4、などという、こじんまりした集団ではない。
1名⇒2名⇒4名⇒16名と、オバチャンは1名増えるたびに二乗してゆくカウント方法が正しい。
そして、何より非常に楽しそうだ。
日々粛々と悲観的に生きながらえているワタシと、
同じ言語を話し、性別も同じであり、
ましてや紙一重の年代とは・・・どんなに訴えても、誰一人、同じムジナとは思っていただけないだろう。
一体どんな男と結婚すると、こんなに明るく元気に、よく喋る主婦になれるのか。
夫を見てみたい。
そんなワタシのささやかな疑問を知る由もなく、
姿は4名だが、存在感16人分のオバチャンは、
1席の空席を発見してしまった。
ロックオンした空席に向かって、全員で、にじり寄ってゆく。
そんな時のオバチャンは、弥勒菩薩が羽衣でもかぶっているのではないか、と思いたくなるほど、
慈悲深く、やさしい。
「あら、あなたが座りなさいよ」
「大丈夫よ。あなたの方が腰が痛いんだから、あなたが座りなさいよ」
「一番年上が座るべきよ」
「やぁね。ほほほ。そんなことないわよ~」
すると、突然、空席(1)の隣3名が立ち上がった。
エ~~~!!!
よく見ると“ダンディ”という表現がピッタリ、黒のキャリーバックを持った白人男性3人である。
50~60歳代か。シルバーがかった髪と品の良いスーツ。
一瞬、ニューヨークの電車に乗っているのではないか、と勘違いするほどだ。
「マイネーム イズ ハリソンフォード」
と誰が言い出してもハリセンで引っぱたかれることは決してありえない、ステキ、ダンディ3人組。
もちろんハリセンフォードではない。
彼らはニコニコと席を立ち、自分たちの大きなキャリーバックを移動して、オバチャンが座りやすくなるようにスペースを空けている。
「あらぁぁぁ~いやだぁぁぁ~」
歓喜に包まれたオバチャンたちは、
演舞場で誰を見てきたのかわからないが、
往年のハリウッド女優にでもなったかのように(共通点は性別が同じだということだけであるが)
目をパチパチさせて、まことしやかに、大きなお尻を座席にフィットさせた。
どう見てもヘップバーンではない。ヒップバーンである。
何と言う文化だ。
「女性はか弱い」「女性は大切に扱う」「女性には席を譲る」「女性はいたわる」
という正しい常識を持っている。
しかも、彼らは人種を差別するくせに、女性は区別しないところも素晴らしい。
それにしても、なぜワタシには席を譲らなかったのか。
少なくとも、新橋演舞場から大はしゃぎで帰路についているオバチャンより、
はるかに疲労度は強く、か弱く見えたはずだ。
ワタシの姿を見て、電車の中で3秒も立っていられないのではないか、と心配にならなかったのか。
蝶やカゲロウは群衆に溶け込みやすいから、見えなくても致し方ないと言えば、それまでだが。
何と言う影の薄い存在か・・・自分があわれになってくる。
冷え込む夜。
ネコの日本男子は、女性を押しのけて布団を占領する。
8kgの茶トラは、もろ、ワタシの胃の上で眠る。
これはワタシがみたらしチャンを見ているアングルである。
この愛くるしいデカい体は、ワタシの上を占拠しているのだ。
苦しくて横を向くと、脇腹の上で眠る。
そして、足の置場もないように、マカロニが隙間を埋め尽くす。
苦しみから逃れられないワタシの布団の中には、7kgのポテチが入っている。
修行のようだ、微動だにできない。
壁とポテチに挟まれて、身が引き締まるというか、身が細るというか、
いつか壁の一部になってしまうのではないか、と危惧しながら、
深い眠りにつけるのは奇跡としか言いようがない。
そんな身動き取れないワタシのテンプルを、爪でガリガリしに来る「明け方のフェレット」も居る。
小さなころから体が弱いかもしれないと心配しながら生きてきたので、
極力、無理はしないよう微力を尽くして生活するように心がけているが、
もしかしたらワタシは修行に強いタイプなのかもしれない。
いや、そんなことより、外国産のネコだったら暖めた布団を女性に譲ってくれることくらい、するのかもしれない。
次回はアメリカで育ったネコと暮らすことにしよう。
本日もご訪問ありがとうございました!