がちゃ三毛庵~猫よ、花よ~

東京の一角。ご近所から次々合流してきたネコたちと暮らす・・・いけばな徒然日記

アレルギー自慢で盛り上がる中年女のメール文通-続編-

2015-12-08 | Weblog
江戸時代と違い、書簡は飛脚が運ぶものではない。
送信ボタンを押したら一瞬で相手にお届けさせていただける世の中になっている。
暦はすっかり師走に入ってしまったものの、あんなに心待ちにしていた寿司屋の候補日は上がってこなかった。
が、中年女の話ネタが尽きることはない。話したいことは、まだまだ溢れていたようだ。
ワタシのような「黙って話を聞く友人」は彼女の人脈でも希少な存在であろう。

候補日の代わりに、続編のメールがやって来た。
『りささま、ご機嫌よう。
先日お話した「イクラアレルギー」の続編でございますよ。

まさに救急車呼ぶくらいの症状でございました。
控えめで我慢強いと評判の私でございましょ。
救急車を呼んで騒ぎになりたくないと言い、同行者に病院へ運んでもらったもんだから、
もちろん病院は急患とは思わなかった。
で、処置室で順番を待つ間にも どんどん状況は悪化し、
挙句の果てには 軽い蘇生処置のようなことに陥っておりました!

何のアレルギーか特定するために血液検査もしたのですが
検査結果に行く時間がとれずに過ごしておりましたらば
ついに病院から電話がかかってまいりました。
それも先生直々に!
ちょっと面食らいながらお話を伺ってみると、、、
紹介状を書いておくから症例数のある病院に行きなさい とのこと。
なんで???
よくよくお話を伺ったところ 今回のアレルギーの症状はきわめて重かったらしい。
(そーよ そーよね、ハンパじゃないほど苦しんだもの。)
アナフィラキシーーショック状態で 血圧&心拍の低下もあって
(そーよ、看護婦さんの慌てっぷりと 救急の外科の先生まで駆けつけて
あっという間にベッドの周りは看護婦さんで囲まれたのを見たら
苦しい最中でも ただ事ではないって思ったもの)

これが2回目の症状だとすると 3回目はもっと深刻な症状(生命の危険も)でもおかしくないから
ショックの時に自分で投与(注射)するキットを持ち歩いたほうが良いでしょう。

ってことらしい。
先生の宣告のほうが アナフィラキシーよりよっぽどショックだったわ!!
それにしても人間とは神秘。
まだ20代のこと お邪魔したお宅で断れずに食べた散らし寿司で過去に1度苦しんだことはあったけど
(注:前回のメールで、鮮度があまり良くない&旨くない・・・って仰っていたのは、他人のお宅でご馳走になったお食事のことであった)
そのトラウマとかよりも 脳から「食べたくない」って信号が送られていたのよ。
味、好きではないけど嫌いでもなくてね なんで過去1回で済んでいたかって言ったら
「とにかく食べたくなかった」の一言につきますのよ。
不思議ねーー アレルギーだってわかったのは本当に今回の検査なのに
脳みそだけは ちゃーんと反応してたってことなのよ。

そんなわけで明日は紹介された病院に行ってまいります。
イクラだから 誤って食してしまうことは滅多にないとは思うけどさ、
ショック状態になるって聞いたとたに怖くなったわよ。
ほんと知らぬが仏ってほうが良かったかもーーー。
・・・後略』

数々の武勇伝を生み出し、男どもを叱咤激励して生きていた友人は、
あんな小さなオレンジの丸い粒で、命を落とす寸前までいったようだ。
そう言う私もイクラより小さな黒やら白やらの粒で死ぬかと思ったことがあるので、他人事ではない。

人生、いつ何が起こるかわからない・・・と、しみじみ思う。
やはり、生前葬は早いうちに済ませておくに越したことないだろう。

『ご機嫌麗しゅう。
貴女様がご提供下さるショックの数々をお伺いさせていただくにつれて
・・・いささか、深刻な問題ではないか・・・と思い始めました。

よくよく考えてみれば、お料理にイクラが入っているかどうかは目を見開いて確認すれば、ほぼ100%わかるかと存じます。
イクラは大概、鮭とセットになっているか、お寿司の中に紛れ込んでいるか、大根おろしにかかっているように認識しております。
一方、私の命を危ぶむ胡麻は、ほとんど認識できないところに忍ばせてあることも多く、
“胡麻センサー”との呼び声高いワタシにも判別が難しいことがございます。

何を隠そう・・・貴女様のお宅でお夕食に呼ばれ、サラダを出していただきました時のこと覚えていますか?
私のことを誰より親身に思って下さっていると信じて疑わない私に、
ゴマ油をかけたサラダをご提供くださいました。
サラダをご提供下さったときの、あの満面の嬉しそうな笑顔。数少ない一生の思い出になりました。

決して悪意があったとは思っておりません。
ワタシは貴女様に煎れて差し上げるコーヒーにイクラを混ぜようなどとは微塵も考えたこともございません。
そのくらい胡麻が習慣化されているジャパンなのです。

ところで、
“イクラとゴマに捧ぐ 合同生前葬”やっておきませんか。
私と貴女。この後、交通事故より当たる確率の高いイクラと胡麻から運よく生き延びられた、としても、互いの葬儀に出ることは叶いません。
お葬式に出られるのは、どちらかに決まっています。

お体はご丈夫の貴女様のこと。いつか、
すっかり色々なことがモヤモヤとわからなくなり、昨日と今日の区別がつかなくなるころ、
ご自身が何のアレルギーかどうかもわからなくなってしまうに違いありません。
来年の開催、是非、ご検討くださいませ』

その晩、イクラ丼と黒ごまおはぎ が祭壇に掲げられたセレモニーの夢をみた。

~おまけ~
巨大化してきた「つくね」
当時の様子↓


最近の様子↓





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