ネコにまつわるエッセイ風味～エアーホッケー～

ピンポ～ン！
インターホン越しに宅配業者さん。
通話ボタンを押して『少々お待ちくださ～い！』。
・・・・・・無い・・・・・・
朱肉の要らないハンコが無い。
いつも置いてある〔直ぐに使える便利な場所〕に、あるはずのハンコがない。

疑わしいのは、同居のニンゲン。
“また、アイツだ。どうして使った後、元の場所に戻せないんだろう”イライラ・・・
“昨日、荷物を受け取ったのは、確かにアイツだ”イライラ・・・

とりあえず、アタマの中、グルグルにイライラさせながら、それでもニコヤカに荷物を受け取り、
取り急ぎボールペンでサインをし、
『ご苦労様でした～』なぁんて言ってみる。

帰って来たら今日こそ問い詰めてやる。と、腕まくりして待ち構え・・・。
疲れて帰って来た同居人への尋問を始めさせていただく。

まず、ハンコを使った後、どこに置いたのか？
【そう言えば、昨日、荷物受け取ったときも、無かったよ】

穏やかな返答に、イラッ。

ではなぜ、ワタシが貸してあげるメモリースティックの蓋だけが無くなるのか。
【知らないよ。パソコンの横に置いておいたよ】

チョッと置き忘れただけの指輪がなくなっているが、一体どこに仕舞ったのか？
【（さすがに相手も穏やかではいられないらしい）ホントウに知らないよ。オレを疑わないでくれ】

じゃぁ、誰よ。何で、ハンコと蓋と指輪が無くなるのよ。

言い放ち、ふと、耳を澄ますと、シャカー　ドタドタ。ポテチが暴れる音がする。
何をしているのかを見やれば、
先ほど荷物受取に使ったボールペンの蓋が、見事に床を滑っている。
楽しそうなポテチが、床を走り回っている。

そして、エアーホッケーのごとく、
見事に、ボールペンの蓋は、冷蔵庫の下へ吸い込まれて行った。

はい、冷静に考えれば、これまで消えた何もかもが、冷蔵庫か本棚の下から発見されるのであろう。
だが、ワタシは、こんなにカワイイ甘えん坊のポテチが、
ニンゲンの大切なモノで＆高価なもので、エアーホッケーを楽しんでいるなんて、
ポテチが諸悪の根源であるなんて思いたくはないのである。

だから、悪いとは思いつつも、アイツのせいにしたいのである。
夫婦喧嘩、ネコは喰うぞ。