囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

うつろな事を言う

2021年04月15日 | 雑観の森/心・幸福・人生

 

 

 

「口」で「虚(うつ)ろ」な事を言うと「嘘」となる の巻】

 

 

むかし中国の延陵というところに

玉須(ぎょす)という鳥屋があった。

 

ある時、道で出会った友人が

「私は白いカラスが見たいものだ」

と言った。

 

すると玉須は

「それは何でもない事。

オレの家には

白いカラスがたくさんいる。

一緒に来て、見てみないか」

と話すと、友人は大いに喜んだ。

 

ところが、行ってみると

白いカラスなど一羽もいない。

 

それから世間では玉須を

鳥素(うそ)人というようになった。

 

         ◇

 

日本ではウソのことを、

いぜんはオソといい

たとえば「玉勝間」にも

「そらごとをうそということ、

いにしへは、

おそといふ言、

京人もいひし也、

かくてをそは、

すなわちうそといふ言これ也」

とみえる。

 

このウソにもいろいろなワザがあり

「ワナにかける」

「だます」

「インチキ」

「ペテン」

「落とし穴」

「ごまかす」

「かつぐ」

といったさまざまに

時と場合により悪性のものもある。

それは国会にも、霞が関にも

そして職場にも、教室にも。

 

とはいえ、

生涯けっしてウソを言わない人間は

ただの一人としていない。

 


「うちの子どもは馬鹿なんですよ」

「(その通りだとおもいながら)

そんなことはございませんでしょ」

と答える。

 

「(まずくても)ほんと、おいしい

とTVの食レポがある。

 

「(よろしくなくとも結構なお点前で」

と世辞のひとつもいうべき所もある。

 

人を傷付けまいとの思いにて

「嘘も方便」もあり

互いにシャレヨタを飛ばし

出鱈目を言うのもまた

ひとつのハケグチとして

許されることもあるにはある。

 

ああこれが、ひとの世か、

と、嘆息したり、愉しんだり、か。

 

 


玉勝間(たまかつま) 江戸の国学者で、古事記伝や源氏物語の明解で知られる本居宣長の随筆。古典研究の知識にて、多様な思想や学問への見解を展開している。

 



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