この夏、
藤沢周平に はまっている
昭和の終わりあたりから
十年ごと訪れるマイブームだ
好みは「剣豪もの」士道小説
それも短編がよい
市井の「町人もの」もよいが
わたしは武家ものを推したい
架空の東北の小藩「海坂藩」と
その江戸屋敷が主な舞台である
主人公の多くは〝時代遅れの男〟
剣技に優れた下級武士である
清廉に生きる武士道の体現者だが
藩の権力争いに巻き込まれる
内紛や派閥争い、陰謀には
権力とカネに執心する奸物や
魅力的なヒロインが登場する
士道もの短編集に共通するのは
美しい言葉と端正な文体で表す
死と隣り合わせの儚さであり
エアコンの効いた真夏の読書には
まさにうってつけなのである