囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

短命 ~ 魅力ありや なしや

2020年12月18日 | 雑観の森/政治・経済・社会

 

GoToトラベルの全国一時停止

 ~ なぜ、遅きに失したのか の巻】

 


一体、どうしちゃったんだろう。

危機感も、緊張感も、ここにはない。

記録的な高い支持率だったはずの

3カ月余の出来たて内閣が、この有様である。

この党も、このリーダーも、「当たり前の政治」が

空文句であることが明らかになってゆく。

側近たちが一言、自重を求めれば、済んだものを……。

その一言を言わせない、言えない「度量の狭き事」。

苦しさは、ワケがないワケではない。

ま、長けりゃいいというワケでもないが。

 


         ◇

 


短命(たんめい)は、古典落語の演目のひとつ。東京・上方両方で広く演じられる。1727(享保12)年の笑話集「軽口はなしどり」の一編「元腹の噂」。いわゆる「艶笑落語(バレ噺)」である。

 


男(東京では八五郎)が、

街のご隠居(上方では甚兵衛)居宅に飛び込むなり

ワケの分からないことを口走る。

「表通りの質屋、伊勢屋の婿養子が

またまた死にました。

これで3度目だあ~」


男は話は、こんなである――。

先代の伊勢屋主人が亡くなり、一人娘は婿を取り店を継ぐ。

が、1人目も2人目も3人目も、顔色が日に日に青白くなり、

やがて床に就き、ほどなく死んでしまう。

夫婦仲は良好で、周囲が首をひねるうち逝ってしまうのである。


伊勢屋の娘は、三十路ながら容貌が良く、父親譲りの人格者。

店の経営はしっかりしており、婿に負担がかかるはずはない。

なぜ3人も続けて早死にするのか?


隠居は「おかみさんが美人というのが、短命の元だよ」。

「タンメイ?」

「早死にすることを『短命』という」

「じゃあ逆に、長生きのことは何と?」

「長命だ」

妻が美人だから夫が短命、というリクツが分からない男。


隠居は「食事時だ。お膳をはさんで差し向かい。

おかみさんが、ご飯なんかを渡そうとして、手と手が触れる。

白魚を5本並べたような透き通るような手だ。

そっと前を見る。ふるいつきたくなるような、いい女だ。短命だよ」

「そのうち冬が来るだろう。ふたりでこたつに入る。

何かの拍子で手が触れる。透き通るようなおかみさんの手だ。

ふるいつきたくなるような、いい女だ。短命だよ」


隠居は、なお分からない男に、川柳で謎解きをする。

 その当座 昼も箪笥の環(かん)が鳴り

 新婚は夜することを昼間する

 何よりも傍(そば)が毒だと医者が言い

ニブイ男もようやく隠居の旨意を理解した。


隠居宅から戻った男は、いきなり妻に怒鳴られる。

「なぜ伊勢屋の婿たちと、俺とはこうも違うのだろう」

幻滅する男は、昼飯を食べる際、ふと思いついて妻に話しかけた。

「給仕をしろ。茶碗をそこに放り出さず、ちゃんと俺に手渡すんだ」

妻は茶碗を、邪険に突き出す。

夫婦の指と指が触れ、「そっと前を見る]

妻の姿を見つめた男は、深く嘆息してつぶやく。


「ああ、オレは長命だ」 

 

 

 



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