囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

官子譜「眼あり眼なし」

2019年10月31日 | ★古典の小径をゆく

黒は2手で取られる形ですが、幸い黒の手番ですの巻】 

 

■黒先白死。

 

■攻め合いはどうなりますか?

 

まず、黒1とを作ります。

後は、黒3、黒5と外ダメを詰めていきます。

白はに入れないので、黒の1手勝ち。

黒もに入れませんが、このままで白死。白は手出しできません。

 

■攻め合いの基本で「眼があるか、眼がないか」の問題があります。

眼がある石が、眼のない石に勝つのが原則ですが、もう一つの条件があります。双方の間にあるダメは、眼のある方の手数に入るということです。「共有する内ダメは、眼のある方の有利に働く」という原理です。上の図でのことです。

 

■<先週末の京都・囲碁サロンで、七段さんの大石4カ所を殺した>と書きました。

最初に殺した大石は「二線の六死八生」で、二線の棒石6子を中央で封鎖しました。次に殺した大石は、相手が眼のある石で、わたしが眼のない石でしたが、わたしの外ダメに余裕がありました。3番目は、黒のほぼ確定地に突入してきた白石に2眼を作らせずに持ち込みに。4番目は、手入れを放置した辺の大石の急所に一撃。

全体の石の配置は七段さん有利で、このままヨセに入れば、わたしの負けの形勢。ですが、相手の大石に生きる条件がそろわなかったのです。「相手を甘く見た」と彼は言っていましたが、「自分の石の生死を甘く見ていた」というのが本当の敗因でした。合掌。

 

ヨセ 戦いが終わる頃から終局に至るまでに、自陣を増やし相手陣を削り、その境界線をはっきりさせる手段。場合によっては石の死活に発展する。昔は、結(けち)、固め、収束、侵分などの字が用いられ、中国では官子(かんず)といわれた。

 

官子譜 14~17世紀の中国・明代末期から清代初期の棋書。問題数は千題を超える。「玄玄碁経」と並ぶ二大名著とされるが、終盤の死活や攻め合いなどの「形と筋の網羅性」で勝っている。

 

参考 官子譜は2019年1月20日にも出題しています