袋田病院ブログ

茨城県大子町にある精神科・直志会袋田病院のブログです。

お祝いお弁当を開けてみると(^^♪

2017年01月23日 13時15分49秒 | アーユルヴェーダの取り組み
お祝いお弁当を開けてみると(^^♪

2016年11月19日と20日に開かれたアートフェスタ2016袋田病院美術館で、入院患者さんのお昼を「お祝い弁当」で提供しました。

精神科病院は、社会的な要因も大きく影響し、長く入院している方が多くいらっしゃいます。
少しでも、入院生活の中で、楽しさや喜びを感じて頂きたく、
特に5つのことにこだわりました。

1. やっぱり『お弁当がいい』
人生においてお弁当を食べる時は、特別な日が多いですよね。
運動会、遠足など愛しい人が作ってくれた温もりある食事。。。
今回は、事前にお弁当の中身が見えないようにフタに紙を敷き、メッセージを添えました。
ぱかっと開ける時は、ワクワク(^◇^)




2.アーユルヴェーダの観点
アーユルヴェーダでは食事の一番の目的は「幸福を得る」ことなんです!
それは5感の味(味覚)、香り(嗅覚)、歯触り(触覚)、彩り(視覚)、噛む音(聴覚)を向上させることで得られます。この幸福感を大切に、そして精神治療にもつながるなぁと思っています。


3.季節の演出!旬のものと地のもの。 
季節は秋ですから、栗、サツマイモ、リンゴ、柚子など意識的に使いました。
袋田病院は、自然農法を通した精神科治療を行っているんです。
ここあ農園といいまして、サツマイモが甘い♪幸せな気持ちになります~。
そして、大子町はリンゴが特産です。入院患者さんは地元の人も多く、かつて家庭でよく食べた大子産のリンゴにこだわりました。リンゴは、リンゴで、青森県産など味の違いは変わらないかもしれませんが、「何か」をもたらせてくれたかな?




4.患者さんの嗜好を取り入れる
栄養課で患者さんの嗜好アンケートをとっていまして、
混ぜご飯(白いご飯ではないもの)と揚げ物が人気なんです。

●鶏肉の甘たれ揚げ       
あんかけにし触感に配慮しました。
●付け合わせ
しゅうまい+卵焼き+かまぼこ 
お弁当は色々詰めてあるのが嬉しいですよね。

●栗赤飯:もち米4割で!
通常は、患者さんの口腔内の状態などを配慮し、
もち米2割+米8割になっています。
もう少し、もっちりとした「赤飯」を味わって欲しいと、現場の看護師さんたちが食事介助を頑張ってくれ、もち米を4割に出来ました。

5.刻み食の方も香りで配慮
何人かの方は、食事が細かく刻んである「刻み食」を摂られています。
大切な5感を向上させにくいのですが、嗅覚があります。
香りを楽しんでいただきたく柚子を積極的に使いました。


●花麩と柚子の清まし汁
すまし汁にすることで彩りに配慮しました。

●蓮根金平
旬と触感を配慮して。


患者さんの反応は?

まだ比較的若い統合失調症の女性の患者さんからは上機嫌で、「今日のお弁当は美味しかった」と!
「いい仕事だった」とお褒めの言葉を頂きました(´∀`)。

いつもニコニコ。でも会話が嚙み合わない、典型的な統合失調症の男性患者さん。
診察補助でお弁当の話になり会話のキャッチボールが出来ました。
「栗ごはんがおいしゅうございました。」と。
内心「栗お赤飯ですから」っと突っ込みをいれたかったですが(笑)

この患者さんもいつもニコニコ。でも願望や要望がとても少なく会話も乏しいのですが、診察補助でお弁当の話をすると、覇気がみられ、一番美味しかったのは「サツマ!」と満面の笑み。
さすが、自然農の味を分かっていらっしゃる。
お祝いお弁当を通じ、患者さんのためと「こちらから与える」でしたが、患者さんから、みなさんが豊かな力を持っていることを教えてもらい、患者さんから幸せな時間を与えてもらえました。


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