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つれづれなるままに。

倒錯の死角 201号室の女

2005年11月03日 | Book Review
倒錯の死角(アングル) 201号室の女(折原一)

翻訳家の大沢は古い家に伯母と二人暮しをしている。二階の書斎の窓からは向かいのアパートの様子がよく見える。ある春の日、向かいの部屋に清水真弓という女性が入居してきた。「覗き」の病癖を持つ大沢は彼女に惹かれ、やがて現実と妄想の境界線が曖昧になっていく・・・。

折原一の代名詞というべき叙述トリックを駆使した作品、らしい。折原一の作品は初めて読んだので「らしい」としか表現できないが、読者を煙に撒く文章力と構想力は確かに溜息をつかされるほど見事。クライマックスであっと驚かされ、読み返してみれば確かに複線が数多い。そして最後の最後でさらにもう一捻り、という展開は見事。よくできた作品だと思う。

作品世界全体が暗く澱んだ雰囲気に満ちている。この雰囲気を受け入れられる読者であれば文句なしに楽しめるのではないだろうか。

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