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Musik von Augustin Hadelich

ヴァイオリニスト、アウグスティン・ハーデリッヒの演奏活動Note

アウグスティンのブログより (2010年7月3日)

2010-09-28 | From Augustin's Blog
2010年7月3日

新しいミュージック・ビデオを2つアップロードした。一つは、タウン・ホール(NY)で演奏したサラサーテのツィゴイナーヴァイゼン、もう一つはアルバム『Flying Solo』に収録されてるベルント・アロイス・ツィンマーマンの素晴らしい無伴奏ソナタのビデオ『Rhapsodie』(http://www.youtube.com/watch?v=kbKxH8VfpEI)。ツィンマーマンのビデオはとても抽象的だ。ビデオは、弓と僕の両手に発光ダイオード(LED)を付けて暗闇の中で撮影された(それで光があんなに音楽の流れに沿って動いてる)ビデオ撮影は本当に楽しかった。僕には全く経験のないことだったけど、撮影方法のおかげで、とても面白い経験になった。製作を担当してくれた素晴らしい映像アーティスト、クリステン・スローンは、ニューヨーク・シティ・バレエのためのビデオを多く手がけている(<http://portfolio.kristinsloan.com/)。

僕は今シアトルに来ている。昨年の夏ここでとても楽しい時を過ごしたので、皆に再会できて素晴らしい室内楽を演奏できるのはとても嬉しい。僕は月曜日にブラームスのピアノ三重奏曲ロ長調で演奏を開始する。同じ週に予定されてる短いソロのコンサートが特に楽しみだ。ちょうど数週間前、ミュンヘンに赴き、『ジュリア・フィッシャー&フレンド』フェスティバルで室内楽を演奏したばかり。そこでも素晴らしい演奏家たちのグループに出会い、ジュリアや皆ととても楽しい時間を過ごせた。

2日前、ロバート・クーレックと次期アルバムの収録を終えた。年末に発売される予定だ。同アルバムには、ストラヴィンスキーの『ペルゴレージによる組曲』、プロコフィエフのソナタ第2番とプーレンクのソナタが含まれている。
アルバムのレコーディングは興味深いプロセスだと思う。楽器の間近にマイクがセットされるコーディングという状況では、コンサートに一番適している演奏が必ずしも理想的なわけではない。全てのヴァイオリンがレコーディンに向いているわけでもない。でも、マイクの間近で収録されたギンゴールドのストラディヴァリウスを聴くのはとても素敵に思える(このヴァイオリンはとても複雑な音を持つと同時に、純粋で優しい音を持ち合わせている)。楽器のすぐ側で音を聴いている僕には、ヴァイオリンの持つディテールやニュアンスがつぶさに感じられが、ホールにいる聴衆や、数メートル離れて立っている人々にさえも、それは鮮明には届かない。だから、レコーディングでこれらのニュアンスが聴けるのをとても嬉しく感じる。

アウグスティンのブログより (2010年5月25日)

2010-06-05 | From Augustin's Blog
2010年5月25日

最新ビデオをアップロードした(http://www.youtube.com/watch?v=hYLFcGSmhZ8)。曲はサラサーテのサパテアードで、4月に行なわれたタウン・ホールのリサイタルでアンコールに演奏したものだ。
僕は今ヘルシンキに来ている。リハーサルも上手く進んでる。デンバーでミゲルとモーツァルトの協奏曲第五番を演奏したのが先週のことのように思える。
先週日曜日のセージ・ゲーツヘッドでの演奏はとてもエキサィティングだった。チャールズ・オーウェンと共演するのは初めてだったが、リハーサル時間はあまりなかった! 4月中旬に2日間リハーサルをし、リサイタルの直前に1時間リハーサルをしただけだった(土曜の夜遅くにニューカッスルに到着した)でも、2人の息が合ったため、演奏はスムーズに行った。どれだけリハーサル時間を取っても、息が合わない時はどうしようもないこともある。演奏はとても新鮮で、エキサィティングで、壮観なセージ・ゲーツヘッドで演奏するのは最高の気分だった!
先週の月曜日にヨーロッパに飛んだ際、やっとロンドン経由の便を再予約することができた(アイスランドの噴煙のための変更)そしてちょうどその週フィルハーモニア管弦楽団との共演でロンドンに来ていたギル・シャハムとばったりでくわした。すごい偶然だ・・・!

アウグスティンのブログより (2010年5月17日)

2010-05-19 | From Augustin's Blog
2010年5月17日

アイオワ交響楽団とショスタコーヴィチの協奏曲第一番を演奏して帰ってきたばかり。偉大な作品で、曲のカデンツァは最もすばらしいヴァイオリン・レパートリーの一つだ!この曲をまた演奏するのはとても楽しかった。

ビュルツブルグでブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏するため、まもなくドイツに発つ。ビュルツバーグの交響楽団と初めて共演したのは11歳の時だった!懐かしい友人たちとの再会が楽しみだ。その後リサイタルのためにニューキャッスルへ直行する。リサイタルはBBC3で放送される予定で、とてもエキサイティングだ!その後にはヘルシンキに飛び、ミゲル・ハース=べドーヤとモーツァルトの協奏曲第五番を演奏する。

モーツァルトの演奏では自作のカデンツァを演奏するが、ブラームスでは、ここ最近フリッツ・クライスラーのカデンツァを演奏するようになった。ヨアヒムのカデンツァよりずっと演奏が楽しい-クライスラーの作品には、なにかすばらしく創造性豊かなものがあり、彼のカデンツァは作品全体を圧倒せず、曲をより豊かなものにしている。それはふつう、作曲者自身がカデンツァを提供した時にしか見られないことだ(ショスタコーヴィチの協奏曲のように)。

ヨーロッパへは最初アイスランド航空で飛ぶはずだった。 レイキャビク経由だ・・・フライトはもちろん、火山灰問題が起こる以前に決まっていた。一ヵ月程前に火山灰の影響が出たときは、なんとかぎりぎりヨーロッパから飛び立つことができた。でも昨日アイスランドの空港が閉鎖されてしまったので、代わりにエールフランスで飛ぶことになった。

先月、ニューヨークタイムズに記事が掲載されたのは、とてもエキサィティングな出来事だった(http://www.nytimes.com/2010/04/16/arts/music/16hadelich.html?scp=1&sq=augustin%20hadelich&st=cse)!
そして、まだサイトにはアップできてないけど、最新のCDに収録されたイザイのソナタのyoutube(http://www.youtube.com/watch?v=8MFg_fx9LMQ)ビデオを最近製作した。今、他のビデオも製作中で、サイトのビデオページを近々更新しようと思ってる。

アウグスティンのブログより (2010年4月11日)

2010-04-14 | From Augustin's Blog
2010年4月11日

この春は大忙しだ!
火曜日にシュトゥットガルトでロバート・クーレックとリサイタルを行う。8日にパリのルーブル美術館でロバートとリサイタルを行ったばかりだ。パリはもちろん最高に楽しかった。少し長めに滞在してパリの街を楽しんだ。

ドイツに来る途中、ロンドンに少し立ち寄り、リハーサルを行った(ニューカッスルで行う5月23日のリサイタルのためにチャールズ・オーウェンと最初のリハーサル)。
前回の更新以来、オンタリオ州(カナダ)でイアン・パーカーとの数回のリハーサルを楽しみ、サン・パウロではバーバーの協奏曲を演奏した。サンパウロ交響楽団はとてもすばらしかった!ジャスティン・ブラウンとの再共演も期待どおり楽しいものだった。バーバーの協奏曲の演奏は、いつもすごく楽しい。彼の音楽はヨーロ-パではそれほど知られていないので、子ども時代はこの曲を知らずに過ごした。とても素晴らしい協奏曲だと思うし、この曲と出会い親しんでいくのはすばらしい経験だ。
演奏以外でもとても楽しい時を過ごした。コンサート・アーティストというのは、ひっきりなしにご馳走を食べなきゃならない。僕も今その訓練中だ :)

今月何度か演奏しているシューマンのソナタ第一番は本当に魅力的な作品だ。僕はこの曲が大好きで、特に第二楽章(アレグレット)にとても惹かれる。この楽章はすこし、暗鬱な第1楽章と切迫感あふれる第3楽章の間奏曲のようにも感じられる。また、ややおとぎ話のようにも聴こえ(“Once apon a time…”“昔々あるところに・・・”)、また子どもの目から見た世界を描いているようにも思える。ほんの束の間、子どもの仮面がはがれる瞬間があるが、すぐにもとのおとぎ話の世界へと戻っていく。ソナタ全体がこの上なく想像力に満ちていて、情緒的で、信じられないくらいロマンティックな作品だ。楽節間の転換を説得力をもって表現するのは、この作品での大きなチャレンジの1つだ。適したテンポを見つけるのも難しいが、それは多くのシューマンの作品にあてはまる。シューマンのヴァイオリン協奏曲を練習していて、あらためてそう感じてる。
さあ、シュトゥットガルトのリサイタル、そして18日にはニューヨークのタウン・ホールでリサイタルだ!

アウグスティンのブログより (2010年3月15日)

2010-03-19 | From Augustin's Blog
2010年3月15日

昨日、コネティカット州グリニッジで、ドイツ人チェリストのグスタフ・リヴィニウスとブラームスの二重協奏曲を演奏した。グスタフとの共演はすばらしい経験だった(彼との共演は今回が初めてだった)。この曲では、自分のパートにおける準備に限界がある。室内楽と同じで、共通の解釈を目指すため、お互いにいろんな要素を調整していくことになるからだ。でも、だからかえって演奏は興味深くなる。誰と弾くかによって、演奏がずいぶんと変わって行くからだ。土曜日の午後(コンサートが予定されていた日)、コネティカット州に大嵐がやってきて、グリニッジでもたくさんの木がなぎ倒され、一部の地域が停電になった。ほとんどの楽団員がコンサート会場に来れず、なんとか会場にたどり着いた数人の団員は、道を木に遮られて帰ることができなくなってしまった。もうトホホ…だった。

結局、グスタフと僕はレストランでご馳走を食べることになった。一日中コンサートのために準備して、突如演奏が中止になるというのはヘンなものだ・・・拍子抜けしてしまう。
幸い日曜日のコンサートは予定通りに行われ、グスタフも僕も2回分演奏を楽しんだ。 
今日の夜サンパウロに出発する。すごく楽しみだ!

アウグスティンのブログより (2010年2月27日)

2010-03-05 | From Augustin's Blog
2010年2月27日

先週、友人でピアニストのイアン・パーカーと一緒に、3つのリサイタルを行った。すごいスケジュールだったが(ボルティモア、ロサンゼルス、パルム・スプリングで3日連続の演奏)、イアンも僕も楽しい時を過ごした。体力的にも思ったほどきつくなかった。気候の変化は信じられないくらいだったけど-東部の雪景色からカリフォルニアの陽気、そしてまた雪景色へと日ごとに変わっていったから。

最近行った数回のリサイタルでツィゴイナーヴァイゼンを弾いている。初めてこの曲を弾いたのは7歳の時だった・・・ 幸い、その頃この曲をどんな風に弾いてたのか全く覚えてない。気づいたんだが、昔の未熟な解釈の名残をまだ指に感じる時、演奏がより難しくなる。

今は、“Musicians From Marlboro”ツアーの真っ只中だ(このツアーは昨年の東部ツアーの再演で、今回はスケネクタディ、トロント、サラソタ、ニューヨーク、その他の場所で演奏する)。

皆すばらしい演奏家で楽しいメンバーたちだ。ブラームスのクラリネット五重奏曲は、もともと2006年にバーモントのマールボロ音楽祭で演奏した。 この曲は完成に時間がかかる曲だが、これまで度々演奏してきたので、先週再びリハーサルを始めた時、すぐに演奏がかみ合い始めた。この一年間ずっと僕たちの中で曲が温められていたからかもしれない。昨年初めて演奏したコダーイのヴァイオリンとチェロのための二重奏曲も、今では自然に弾けるようになってきた。曲に2度目に向き合う時はいつも、自分が最初にやっていたことに呆れてしまう(フレージング、指使い、弓使いなど・・・一体何考えてたんだ、僕は?と思ってしまう)。

今はアイオワ州のエイムズにいて、明日ここで演奏がある。フライトでチェックインした僕たちの荷物がまだ届いていない。コンサート用の衣装が荷物に入ってる時はとりわけイライラしてしまう! コンサートまでまだ時間があるので、なんとかたどり着くといいんだけど・・・

アウグスティンのブログより (2010年2月13日)

2010-02-17 | From Augustin's Blog
2010年2月13日

この数週間、ハリスバーグ、グランドラピッズ、メキシコ・シティでベートヴェンの協奏曲を演奏し、すごく楽しかった(メキシコ・シティではまだ2回演奏が残ってる。ここでの演奏はもともと去年の5月に予定されていたが、新型インフルエンザのために今年に延期された)。
以前の訪問で良い思い出のできた場所に戻り、皆にまた再会できるのはいつも本当に楽しい。3つの街は全て2007-08年度のシーズンに訪れた所だ。グランドラピッズでは初めてラリー・ラクレフと共演した。彼とは来シーズンにもローチェスターとタンパで共演する予定だ。ラリーと一緒に曲を作るのはとても楽しかった。彼はオーケストラ・メンバーと友情を育てていける人で、それによってメンバーの力全てを演奏へ引き出せる指揮者だ。

ここ最近は、シューマンのヴァイオリン協奏曲を練習してる。この曲は少し風変わりな作品だ。ヴァイオリンのレパートリーの中には、内容は薄いが全体が上手くまとまっているものがある。つまり、とても効果的な協奏曲でヴァイオリンの特性が生かされているけど、音楽的にはあまり興味深くない作品だ。シューマンの協奏曲はその全く逆だ。題材、主題やアイディアは、他のシューマンの作品同様、美しくて素晴らしいが、全体のまとまりがない・・・!シューマンはピアニストだったので、ヴァイオリンの技巧についてあまり詳しくなく、彼がヴァイオリニストに求めた多くの事は、良く言っても演奏しにくく、ひどい場合は演奏不可能だ。この作品はピアノ曲のようなアルぺッジョだらけで、ヴァイオリンはたいてい中音域であいまいに歌うことが多いのに、背後でオーケストラが全く同じ音域でガンガンと演奏する。もうめちゃくちゃだ・・・!
でも、曲の題材は本当にすばらしいので、チャレンジする価値は多いにある曲だと思うし、感動的な曲になり得ると僕は思う。演奏は4月なので、曲に取り組む時間はまだまだある。

アウグスティンのブログより (2010年1月17日)

2010-01-18 | From Augustin's Blog
2010年1月17日

クリスマス休暇が終わり、コンサートも本格的に再開だ。先週は、ジャスティン・ブラウン指揮のアラバマ交響楽団とバルトークのヴァイオリン協奏曲を演奏した。昨年ここで、ジャスティンとブラームスの演奏を行ったばかりだ。今回も感じたことだが、ジャスティンとは音楽的に波長が合うようで、一緒に演奏するのはとても楽しかった。バルトークの協奏曲は大好きな曲の一つだが、演奏機会はあまり多くない。この曲の演奏をためらう交響楽団もあるからだ。でも僕はいつも、バルトークの曲が良い演奏につながった時は、満場の大喝采を呼ぶような気がする。

同曲のような一筋縄では行かない曲の場合、リハーサルの大部分がアンサンブルと技術面の調整に費やされることがある。今回は(通常よりも多い)3回のリハーサルがあったので、調整が終わった後、音楽作りに集中することができた。最後には自然に、情感を伴って、曲が生き生きと甦ったように思えた。願うことなら、あと10回ほど演奏できたらな…と思った。

ここ数週間で、米国へのフライトはさらに長々と時間がかかるようになってきてる。でも幸いこれまでは、機内にヴァイオリンを持ち込むことができている。たいていの場合、荷物入れに収まるなら、楽器は機内への持ち込みが許されるし、僕は念のため、TSA(米運輸保安局)の規定をプリントアウトして持って行くようにしてる。でも時たま、やたらと細かいスタッフがいて、ヴァイオリンケースはどんなに小さい飛行機の荷物入れにも入るよう作られていると言ってもなかなか信じてもらえない時がある。それはいつも、機内スタッフではなく、ゲートやチェックイン・カウンターにいるスタッフ達だ。もしかすると、彼らは飛行機に乗ることがないのかもしれない!

アウグスティンのブログより

2009-12-31 | From Augustin's Blog
2009年12月18日

先週の日曜日のフリック・コレクションでのコンサートは、今年の最後を締めくくるにふさわしい素晴らしい体験だった。ここのホールはこじんまりとしていて、聴衆をすごく身近に感じることができる。昔から僕は、こんな場所での演奏がとても好きだ。

ニューヨーク・タイムズによる同コンサートのレビューもとても嬉しいものだった。
http://www.nytimes.com/2009/12/16/arts/music/16hadelich.html?_r=1
ちょうど先週、同紙で僕の最新アルバム『Flying Solo』のレビューが掲載されたばかりだ。(http://www.nytimes.com/2009/12/13/arts/music/13recordings.html

このコンサートではいくつかの定番曲を演奏した(ベートーヴェンのソナタ第8番、プロコフィエフのソナタ第2番、イザーイのソナタ第3番)。プログラムは、1月にケネディー・センターで演奏したものと似ている。この度は、シュニトケのソナタ第1番も演奏した。鮮烈な激しさを持ち、感情を強く揺さぶられるこの曲は大好きな作品だ。スローな第2楽章はパッサカリア主題にのっとる(この曲を手がけていた時、シュニトケはショスタコーヴィチのピアノ三重奏を聞いてたんじゃないかと思う)。不毛なムードをかもしながら、わずかな音と和音だけで始まる冒頭は、聴くのが苦痛に感じられるくらいだ。そして終わりは、無調から有調への悲痛なまでの変化を経て、ハーモニクスによる最高音域でしめくくられる。(シュニトケはこの効果を好んで取り入れたが、この曲ではとりわけ効果的だ)

挙句の果てに、最終章の主題は、ラ・クカラチャの歪曲板とくる!シュニトケは明らかに、ショスタコーヴィチによる皮肉めいた一連のシリーズに続く決心をしていたにちがいない。

みなさん、どうか良い休暇をお過ごしください!!

アウグスティンのブログより (2009年12月12日)

2009-12-27 | From Augustin's Blog
2009年12月12日

明日はここニューヨークのフリック・コレクションでリサイタルを行う。このリサイタルはずっと心待ちにしていた。この美術館はとても好きな場所だ。

数週間前、ハンヌ・リントゥと初めて共演し、チャイコフスキーの協奏曲を演奏した。この曲は、演奏するごとに難しくなっていくような気がすることもある。技術面ではなく(それはだんだん楽になっていく)、新鮮なアプローチで演奏するのが難しくなっていくような気がする。この曲の演奏では、悪い癖が忍び込んで来るのに注意しなくちゃいけない。でも同時に、本能的なのびのびとした演奏が求められる曲でもある。幸い、ハンヌとの演奏には本能的なものが感じられた。(彼と会ったのは最初のリハーサルのたった5分前だったんだけど)でも、だからといってオーケストラとのアンサンブルが犠牲になったわけでもなかった。ハンヌは、ソリストの音をとても細かく聞き取れる指揮者だ。僕の音楽的意図をすぐさま理解し、演奏にただ反応するのではなく、次に来るものを絶えず予期してくれた。そのため、僕が意図していたことを全面的に支えてくれた。ハンヌの豊かな表現力と情熱溢れる指揮に導かれたローチェスター交響楽団の演奏も素晴らしかった。

あいにく、このコンサートの数日後に肺炎にかかってしまい、回復に2数週間以上かかった。幸いにも、明日のコンサートを前に元気になってきた!