ヴァイオリニスト、『アービン・スペクタキュラー』で真の花火を披露
レビュー:火災事故から復帰のアウグスティン・ハーデリッヒ、大砲と花火をもかすませる演奏
2008年9月7日
ポール・ボダイン
オレンジカウンティ・レジスター
・・・・・・もう一つのハイライトはイタリア生まれのドイツ人、24歳のアウグスティン・ハーデリッヒの演奏である。火災事故から復帰したハーデリッヒの知名度はまだ比較的高くないが、325歳になるストラディヴァリウスを手に、優美な解釈をもって(また、ありがたくも甘さやくどさのない)ラフマニノフのボカリースを演奏、その優れた技巧を早々と提示した。休憩後に演奏されたチャイコフスキーの協奏曲は正直に述べて大げさに演奏されがちな作品である。だが、同作品のハーデリッヒの演奏はまた際立ったものだった。ハーデリッヒは、ロボットのような指使いで曲を駆け巡ったり、聴衆にアピールするために心揺さぶる過度の感傷でお決まりのカーブや盛り上がりを強調したりはしなかった。
超一級の、けれども強引さや派手さのない技巧、この上ない品格、一貫した豊饒さをもって、ハーデリッヒはこの定番中の定番曲に生命を吹き込んだ。力みの全くないその演奏は、一方で深い感動を生み出す。勇気と洗練がバランスされた演奏は、ふだんチャイコフスキーの協奏曲には見られない(少なくとも第三楽章までは)興味深さと、深い芸術性を生み出した。
ベライゾン・ワイヤーレス劇場に集まった大観衆はハーデリッヒの演奏に感激するあまり、第一楽章の直後に総立ちになり、歓声は長く鳴り止まなかった。途切れない拍手に、セント=クレアが「演奏がお気に召しましたか?」と口をはさむ。雷のようなさらなる拍手に、セント=クレアが応える。「それはよかった、実はもう二楽章残ってるんですよ」
残りの2楽章の後に沸き起こった一層大きな総立ちの喝采に応え、ハーデリッヒはパガニーニのカプリースをアンコールに演奏した。
レビュー:火災事故から復帰のアウグスティン・ハーデリッヒ、大砲と花火をもかすませる演奏
2008年9月7日
ポール・ボダイン
オレンジカウンティ・レジスター
・・・・・・もう一つのハイライトはイタリア生まれのドイツ人、24歳のアウグスティン・ハーデリッヒの演奏である。火災事故から復帰したハーデリッヒの知名度はまだ比較的高くないが、325歳になるストラディヴァリウスを手に、優美な解釈をもって(また、ありがたくも甘さやくどさのない)ラフマニノフのボカリースを演奏、その優れた技巧を早々と提示した。休憩後に演奏されたチャイコフスキーの協奏曲は正直に述べて大げさに演奏されがちな作品である。だが、同作品のハーデリッヒの演奏はまた際立ったものだった。ハーデリッヒは、ロボットのような指使いで曲を駆け巡ったり、聴衆にアピールするために心揺さぶる過度の感傷でお決まりのカーブや盛り上がりを強調したりはしなかった。
超一級の、けれども強引さや派手さのない技巧、この上ない品格、一貫した豊饒さをもって、ハーデリッヒはこの定番中の定番曲に生命を吹き込んだ。力みの全くないその演奏は、一方で深い感動を生み出す。勇気と洗練がバランスされた演奏は、ふだんチャイコフスキーの協奏曲には見られない(少なくとも第三楽章までは)興味深さと、深い芸術性を生み出した。
ベライゾン・ワイヤーレス劇場に集まった大観衆はハーデリッヒの演奏に感激するあまり、第一楽章の直後に総立ちになり、歓声は長く鳴り止まなかった。途切れない拍手に、セント=クレアが「演奏がお気に召しましたか?」と口をはさむ。雷のようなさらなる拍手に、セント=クレアが応える。「それはよかった、実はもう二楽章残ってるんですよ」
残りの2楽章の後に沸き起こった一層大きな総立ちの喝采に応え、ハーデリッヒはパガニーニのカプリースをアンコールに演奏した。