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Musik von Augustin Hadelich

ヴァイオリニスト、アウグスティン・ハーデリッヒの演奏活動Note

コンサート・レビュー(インディアナポリス・スター 2007年9月)

2009-06-30 | Reviews
インディアナポリス交響楽団、際立つシュトラウスとハーデリッヒ

2007年9月28日
ホイットニー・スミス
インディアナポリス・スター


インディアナポリス交響楽団は今週、クラシックシリーズ・プログラムの演奏で、風格あふれるリヒャルト・シュトラウスの交響詩を披露した。またその夜、地元に馴染みのあるヨーロッパ出身のヴァイオリニスト、アウグスティン・ハーデリッヒが同楽団とのデビューを果たし、卓越した音楽の才をいくぶん控えめに披露した。


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厳密に言えば、23歳のハーデリッヒがインディアナポリス交響楽団と共演したのは初めてではない。2006年度インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールの本選でハーデリッヒは同楽団と演奏し、コンクールで優勝を果たした。その時演奏されたのはべラ・バルトークの曲であった。ハーデリッヒは今週、より伝統的なチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を選び、同楽団の定期演奏会に初出演した。

高度な技巧が求められる同協奏曲の第一楽章は、時として、ただ技巧をひけらかすためだけの役割を果たすこともある。約7年前、インディアナポリス交響楽団が行った同曲の演奏において、若いソリストが派手な技巧を強調しすぎた結果、深みにかける表面的な印象を残したことは記憶に新しい。

それに比べ、ハーデリッヒの曲の解釈は、はるかに満足感を与えるものだった。けして、速いテンポのオープニングと最終楽章において、技巧がおろそかになったわけではない。和音はバランスに優れ、スケールとアルぺッジョは滑らかに奏でられ、高音域の音も概してぴたりと合っている。けれども、ハーデリッヒは派手な演出を控え、代わりに演奏には真の音楽性が強調されていた。

観客の大喝采を受け舞台に戻ったハーデリッヒは、アンコールに感受性あふれるバッハのソナタを演奏した。

コンサート・レビュー(2007年9月)

2009-06-22 | Reviews
フォートワース交響楽団、今シーズンもハイレベルの演奏

9月15日2007年
マシュー・エリクソン
スター・テレグラム


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ヴァイオリニスト、アウグスティン・ハーデリッヒと、チェリスト、アルバン・ゲルハルトが、人気の高いブラームスの二重協奏曲のソリストを務めた。フォートワース交響楽団は来年1月、同じメンバーを率いNYのカーネギー・ホールで同曲の演奏を行う予定であるが、コラボレーションは幸先の良いスタートを切った。どちらのソリストも並外れた技巧と音楽性の持ち主で、ハーデリッヒの甘い音色とゲルハルトの豊醇な力強い音が合わさり、全楽章に素晴らしい効果をもたらした。

ハース=べドーヤは細心の伴奏者として、ブラームスが作曲した最後のオーケストラのための作品に、広々としたスペース感と秋色の空気感を漂わせた。

第一楽章では、卓越した技巧と洗練が優雅に披露され、スローなアンダンテは物悲しい激情を帯びて歌われた。そして最終章は、民族音楽を思わせる熱情に満ちたものだった。



ブラームスのソリスト、輝かしい演奏を披露

2007年9月15日
スコット・カントレル
ダラス・モーニングニュース


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その他のプログラム、ブラームスの二重協奏曲は、始まりから終わりに至るまで、絶妙な切迫感とともに演奏された。オーケストラのヴァイオリン部門が再び素晴らしい響きをもたらし、その音色は、時にはほのかに揺れる光、またステージ全体を照らし出す透き通った白熱光のように輝いていた。

ヴァイオリニストのアウグスティン・ハーデリッヒと、チェリストのアルバン・ゲルハルトは一つに溶け合い、流れるようなハーモニーと完璧なイントネーションとで曲を奏でた。ハーデリッヒは、自由自在に華麗な演奏を披露し、けしてでしゃばることなくその音楽性を提示した。ゲルハルトは、数箇所において荒い弓使いが見られたものの、同様に見事な演奏を行った。

2人のソリストは、来年1月にカーネギーホールで行われるフォートワース楽団のコンサートで、再び同曲を演奏する。ゲルハルトはまた同コンサートでオズワルト・ゴリジョフによる新曲のプレミアを行う予定である。


コンサート・レビュー(2007年7月)

2009-06-10 | Reviews
マールボロ音楽祭、オープニングにて伝統の優れた演奏を披露

2007年7月18日
タイムズ・アーガス
ジム・ロウ

先週末、マールボロ音楽祭のオープニングにて2つのコンサートが行われた。今年で57年目を迎える同音楽祭では、情熱に満ちたすばらしい音楽作りが今も受け継がれている。日曜日の午後、マールボロ・カレッジのパーソンズ音楽堂で、若く有望な演奏家や声楽家、そしてベテランの音楽家たちが集い演奏を行った。週末コンサートの中でも特に際立っていたのは土曜のプログラムの最後を飾ったブラームスのピアノ五重奏ヘ短調の演奏だった。けして目を見張るような華々しい演奏だったわけではない。逆に、そうではなかったことが注目に値すべきことだった。それは、ただただ美しい音楽作りであり、美しいブラームスであった。

ミツコ・ウチダとともに音楽祭の共同責任者を務めるピアニスト、リチャード・グード、ヴァイオリニストのアウグスティン・ハーデリッヒとベンジャミン・ベイルマン、ジュリアード四重奏団のヴィオラ奏者、サミュエル・ロード、チェリストのアマー・エルダンは、時には抑えの効いた洗練と情熱にあふれる演奏を披露した。スローテンポのアンダンテの楽章において、時おり余分な盛り上がりが見られ、スケルツォの演奏はラプソディの趣を味わうにはやや早かったとも言えるが、極めて崇高な音楽が生み出され、大変エキサイティングな演奏となった。

コンサート・レビュー(2007年4月)

2009-05-26 | Reviews
ピュアゴールド・ツアー:インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクール受賞者シリーズ

2007年4月30日
シャンタル・インカンデラ
Nuvo、インディアナポリス


アウグスティン・ハーデリッヒとYingdi Sunは、インディアナポリスでのこれほど熱狂的な歓迎を予測していたであろうか。2人は超満員の会場で、再度にわたる総立ちの喝采を受け、また、その理由は充分にあった。

アウグスティン・ハーデリッヒは2006年度インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールで優勝、Yingdi Sunは2005年度リスト・ピアノ・コンクールの優勝者である。明らかに、この2人は人目を引く派手な演奏や、小さな可愛らしいアンコール曲で優勝を手にしたのではない。この音楽家たちは、深く円熟した音楽性、感受性と熟練をもってそれぞれのコンクールで優勝に輝いたのである。

その夜のプログラムはシューベルトのヴァイオリンとピアノのための二重奏曲、イ長調、D.574 で始まった。どちらかといえば座談的な趣の同曲は、けして大喝采や驚嘆を呼ぶ作品ではないが、演奏は楽しく聴け、曲全体を通しSunの優れたアンサンブルと、ハーデリッヒの滑らかで流れるようなフレージングを聞き取ることができた。

ワーグナーの「タンホイザー」序曲の編曲、リストのピアノ・ソロにおいて、Sunの熟練が姿を現した。彼の演奏は強い意思と思慮深さにあふれ、超絶的な技巧に裏打ちされていたと言ってもけして大げさではないだろう。同曲の演奏では、しばしば技巧のみが強調される派手な演奏が見受けられるが、リスト編曲によるワーグナーの厚みのある管弦楽とすばらしい音の響きを、Sunは見事に表していた。

次はハーデリッヒの番で、彼のイザーイの無伴奏ヴァイオリンソナタ第三番「バラード」の演奏はまぎれもなく聴衆を感嘆させた。イザーイは難曲ではあるが、けしてうわべだけの派手な作品ではない。この曲は、ハーデリッヒの際立った技巧だけでなく、彼の音楽性と感受性をも明らかにした。

プログラムの最終曲は、人々に広く愛されるフランクのヴァイオリンのためのソナタ、イ長調だった。ハーデリッヒの演奏は、同曲においてヴァイオリニストに要求されるあらゆる要素-極上の音色、確かなピッチ、情熱と激しさ-に満ちていた。

アンコールに演奏されたクライスラーのウィーン奇想曲に聴衆は惜しみない喝采を送り、2人の音楽家たちが再びインディアナポリスにやってくる日を心待ちにしながら会場を後にした。

コンサート・レビュー(2007年4月)

2009-05-19 | Reviews
コンクール受賞者、ダイナミック・デュオを結成

2007年4月19日
ホイットニー・スミス
インディアナポリス・スター

インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールの優勝者が街に戻って来ると、聴衆は久しく会っていない旧友のように彼らを暖かく迎えるのが常だ。

ドイツ人のアウグスティン・ハーデリッヒも、火曜の夜、インディアナ・ヒストリー・センターにおいて、まさしくインディアナの暖かい大歓迎を受けた。

聴衆の熱狂ぶりから、4年ごとに開催されるインディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクール7人目の優勝者である23歳のハーデリッヒがこの地に戻ったのは、数年ぶりだと思う者もいただろう。

コンサート・チケットが完売しただけではない。その夜、ハーデリッヒ、そしてオランダの2005年度フランツ・リスト・ピアノコンクールで優勝した25歳の中国人ピアニストYingdi Sunは、3回にわたる総立ちの大喝采を受けた。これは、どんなに熱心なクラシック音楽ファンをしても寛大と言えるだろう。

Sunが体調を崩していたため、火曜日のプログラムには変更があった。オープニングに予定されていたブラームスのヴァイオリンとピアノのためのソナタ第一番ト短調は、技巧的難度が比較的低いシューベルトのソナタ、イ長調に変更され、ベートヴェンの難曲「クロイツェル」ソナタの代わりに、フランクのヴァイオリンとピアノのためのソナタ、イ長調が演奏された

コンサートはそれでも、超絶技巧と熟成した芸術的手腕が組み合わさった第一級の演奏となった。フランクの美しい旋律は、この夜の2人のチームワークを最高の形で表わしていた。ハーデリッヒはゆるやかなボーイングで、第一楽章の長く滑らかで流れるような旋律を生み出した。そして驚くほど自由に伸びやかに第3楽章「Recitivo-Fantasia」を歌った。Sunもハーデリッヒにひけを取らぬ大胆なソロを披露し、繊細な伴奏をもって応えた。

リストによるオーケストラ作品の編曲は、力まかせに鍵盤を打ちつけるピアニストの手にかかると、ただ退屈な技巧の見せ場と化してしまう。幸運にも、Sunは派手な演奏への誘惑を抑え、ワーグナーの歌劇「タンホイザー」序曲の編曲であるリストのピアノ幻想曲を、聴く者が楽しめる演奏にした。曲には盛り上がりとともに、静けさに包まれた瞬間が見られた。その上、Sunの演奏はリストが秀逸に織り込んだオペラの3つのメロディーをくっきり浮き彫りにした。

同様にハーデリッヒは、イザーイのヴァイオリン・ソロ「バラード」と、ピアノを伴ったアンコール曲、クライスラーの奇想曲において、その素早いフィンガリングを強調することもできただろう。しかし、ハーデリッヒは本道を選び、深い音楽性にあふれる演奏を行った。

コンサート・レビュー(2007年1月)

2009-05-15 | Reviews
グリーンビル交響楽団、若手ヴァイオリニストと黄金の演奏を披露

2007年1月14日
アン・ヒックス
グリーンビル・ニュース、サウスキャロライナ

土曜の夜、グリーンビル交響楽団の3回目のマスターワークシリーズ・コンサートがピース・センターにて行われた。23歳のヴァイオリニスト、アウグスティン・ハーデリッヒの演奏に、感激した聴衆の拍手喝采がいつまでも鳴り止まなかった。

ハーデリッヒの純金のようなチャイコフスキー・ヴァイオリン協奏曲ニ長調の演奏は、彼が2006年度インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールで金メダルを獲得した訳を明白に示していた。

19世紀のロシア人作曲家は、この協奏曲を手がけていた時期、人生の苦難に見舞われていた。感受性豊かな演奏者の手をもってすると、一つ一つの音から明瞭に作曲家の悲しみと苦悩が聞こえてくる。

若年ながら、ハーデリッヒは深く円熟した解釈を曲にもたらし、チャイコフスキーの物語の満ち干を美しく描いていった。ハーデリッヒの伸びやかな音は、第一楽章のこの上なく優美なカデンツァから第二楽章、そして最終楽章の瑞々しい調和と激情に溢れる終局に向け、無限の弧を描きだした。

ほっそりした優雅なハーデリッヒは、聴衆の口笛や歓声、叫び声を受け、深くお辞儀をし、にこやかに微笑んだ。聴衆の喝采はソリストを2度ステージに呼び戻し、3度目のカーテンコールでハーデリッヒはパガニーニの超絶技巧に散りばめられた小品、カプリース第21番を観客に贈り届けた。

コンサート・レビュー(2006年10月)

2009-04-20 | Reviews
ヴァイオリンの名手、オーリンズの手ごわい聴衆を魅了

2006年10月2日
フレッド・シャーウィン
ザ・イーステンダー


これまでにも、『コンサート・カンバーランド・パフォーマンス』において、東部の末端に住む我々がどれほど恵まれているか述べてきた。すべては、世界有数のクラシック・ミュージシャンをオーリンズの地に招待すべく奔走するボランティア・グループのおかげである。そして9月22日、彼らはまたしてもすばらしいコンサートを催してくれた。オーリンズの合同教会において、世界有数の若手ヴァイオリニスト、アウグスティン・ハーデリッヒと、才能あふれるカナダ人ピアニスト、イアン・パーカーのコンサートを実現したのである。

先週、インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールで優勝したばかりのハーデリッヒは、若さに見合わない名手レベルの演奏を披露した。弱冠22歳のハーデリッヒは1999年、実家が経営するイタリアの農場で火災事故に遭い、危うく一命を取り留めた。幾度にも及んだ手術と皮膚移植、長年に渡った困難なリハビリを克服した後、ニューヨークに渡り、この程ジュリアード学院で修士課程を修めた。

ハーデリッヒとパーカーはベートヴェンの『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第一番ニ長調』で演奏を始めた。これはハーデリッヒがインディアナポリスの第二予選で演奏した曲でもあり、見事な演奏だった。だが、その後の演奏に比べると、存在が薄くなったのも致し方ないだろう。

短い休憩の後、ステージに戻ったハーデリッヒが披露したバーンド・ツィンマーマンの『ソロ・ヴァイオリンのためのソナタ』は、かつて聴いたことのないような演奏だった。それはいわば、信じがたい演奏だったという他ない。唯一、残念だったのは、コンサートの前半で会場後方に座っていたオタワ国立芸術センター管弦楽団の指揮者、ピンカス・ズーカーマンがこの演奏を聴けなかったことである。

ツィンマーマンの素晴らしさもさることながら、今宵のハイライトは、パーカーと共に次に演奏されたブラームスの『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第三番ニ短調』であろう。二つの若き才能が合わさって奏でられたブラームスのメロディーは、まさに奇跡のような美しさだった。とりわけアダージョでは、ハーデリッヒの超絶技巧とはまた対照的な、より柔らかで叙情的な一面が垣間見られた。今宵のダイナミック・デュオは、アンコールにショパンのノクターン嬰ハ短調を弾き、演奏の最後を飾った。

レビュー (2006年 インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクール)

2009-04-14 | Reviews
9月

インディアナポリス・ヴァイオリン・コンクール

ニューヨークのジュリアード学院で学ぶハーデリッヒは、ベラ・バルトークのヴァイオリン協奏曲第二番の演奏により、数週間に渡った揺るぎない演奏に最後の仕上げを施した。ハンガリー人作曲家により1930年代に提示された『主題と変奏』の演奏を通し、ハーデリッヒの幅広い才能が明らかとなった。

ハーデリッヒは土曜に行われたロマン派協奏曲部門本選での最終演奏者であった。ハーデリッヒの超絶技巧と確かなイントネーション、ステージでの心奪われる存在感、歌うような演奏スタイルは、同曲の不協和音のハーモニーと音調をも超越し、インディアナポリス交響楽団の演奏パワーにも全くひけを取らないものだった。

第二予選におけるハーデリッヒのベートーヴェンのソナタ第一番は、とりわけ、作曲家のスタイルに忠実な印象を与えた。またハーデリッヒは参加者の中で、ブライト・シェンの現代曲『A Night at the Chinese Opera』の面白みとミステリーをとらえることのできた僅かな一人であった。本選の古典派協奏曲部門におけるモーツァルトの協奏曲第二番ニ長調の第一楽章において、ハーデリッヒは自由な楽句形式に彩られたカデンツァを披露した。
(インディアナポリス・スター)



11月

インディアナポリス・ヴァイオリン・コンクール

アウグスティン・ハーデリッヒは、実家の農場で遭遇した痛ましい事故で大火傷を負い、治療に数年を費やした。それから7年後、22歳になったハーデリッヒは、第7回インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールで優勝。4年ごとに開催され、ヴァイオリン・コンクールのオリンピックとして知られる同コンクールで、素晴らしい演奏を行った。

深く心に訴えるハーデリッヒの演奏はコンクールを圧巻し、総合優勝に加え、『課題曲』部門(ブライト・シェング作曲『A night at the Chinese Opera』)、『ベートーヴェン・ソナタ』部門、『ベートヴェン以外の作曲家によるソナタ』部門(ハーデリッヒはバルトークのソロ・ソナタを演奏)、『バッハ・独奏曲』部門、『アンコール』部門、『古典派ヴァイオリン協奏曲』部門そして『ロマン派ヴァイオリン協奏曲』部門の各賞を受賞した。

イタリアでドイツ人の両親の元に生まれた才気溢れるヴァイオリニストはまたピアニストでもあり、作曲も手がけるが、近年はヴァイオリンの演奏を中心に活動している。ジュリアード学院で修士学を修めたハーデリッヒは、現在もジュエル・スミルノフに師事中。これまでにウート・ウーギ、クリストフ・ポッペン、イゴール・オジム、アマデウス弦楽四重奏団のノーバート・ブレイニンなど多くのヴァイオリニストから指導を受けている。
(STRINGS MAGAZINE 2006年11月号)



12月

インディアナポリス・ヴァイオリン・コンクール - 古典&ロマン派本選

ドイツ人ヴァイオリニストのアウグスティン・ハーデリッヒは、比較的知名度の低いモーツァルトの協奏曲第二番における大胆な演奏を通し、その並はずれた音楽の才を示し、また極めて独創性に富むカデンツァを披露した。
広く愛されるバルトークの協奏曲第二番における情熱的な演奏は、ハーデリッヒの深い音楽性を明らかにし、観客、そして楽団員の両者から喝采を浴びた。
(THE STRAD 2006年12月号)

コンサート・レビュー (2006年3月)

2009-04-08 | Reviews
Symphony By the Sea - ブルッフ ヴァイオリン協奏曲

ハーデリッヒの特別な資質

2006年3月15日
スチュアート・コーエン記
マーブルヘッド・レポーター

『Symphony by the Sea』は長年に渡り、マーブルヘッドに非凡な才能を持つソリストを招待してきた。ごく最近コンサートに招かれたヴァイオリニストのアウグスティン・ハーデリッヒは、3月4日の土曜日、オールド・ノース・チャーチにて、人々になじみ深いブルッフのヴァイオリン協奏曲を演奏した。

最初の音が奏でられた時すでに、聴衆はハーデリッヒが特別なソリストだと気付いた。イタリアに生まれた21歳のヴァイオリニストは、作曲家でもあり、通常ではあり得ない豊かな情緒性を音楽に注ぎ込んだ。ハーデリッヒによるソロのフィナーレで、バラエティー豊かで満足感のある今夜の演奏がしめくくられた。

ブルッフのヴァイオリン協奏曲は、ロマン派ヴァイオリン協奏曲の中でもとりわけ人気のある一曲で、聴衆のほとんどに馴染み深い曲だった。オールド・ノース・チャーチにおけるハーデリッヒの演奏は驚嘆すべきものであった。芸術の目的が情感を呼び起こすことだとしたら、彼の演奏はまさしく崇高な芸術と呼べるものだった。演奏を通し、ハーデリッヒは、この歳若い青年の手によって作り上げられたとはとても思えない深い情感を曲にもたらした。

ハーデリッヒは1999年の火災事故であやうく一命を取り留めた。事故で負った大火傷のため、今でもその顔には一目でわかる傷跡が残されている。しかし土曜の夜、演奏後に見た彼は内面からの輝くような美しさに溢れていた。指揮者のマクフィーは、ハーデリッヒの演奏を超越的だと話す。「アウグスティンのコミュニケーションは極めて直感的で、心の奥底から生まれてくる。その演奏は技巧の存在すら感じさせない」とマクフィーは語る。

協奏曲が終わり拍手が静まった後、ハーデリッヒは聴衆にもう一つの喜びを与えてくれた。アンコールに演奏されたバッハのソロ・ヴァイオリンのためのソナタは、息を呑む美しさだった。概して、ロマン派時代の始まりは19世紀初期とされ、それ以前の、構成とバランスを基とする音楽に、豊かな情感をもたらしたと考えられている。けれども、ハーデリッヒの愛情にあふれる手で演奏されたこのシンプルなソナタには、優しさと慈しみが満ちあふれていた。

コンサート・レビュー(2005年)

2009-03-26 | Reviews
1月24日

ニュー・ジュリアード・アンサンブル - シュニトケ ヴァイオリン協奏曲 第三番

最後に演奏されたアルフレッド・シュニトケのヴァイオリン協奏曲は、ソビエト連邦下の生活における陰鬱な光景を思い起こさせ、聴く者の姿勢を思わず正させるものだった。
木管楽器を加えた小さなオーケストラをバックに、アウグスティン・ハーデリッヒがトリル連続の苦渋に満ちたソロを見事に演奏した。
(ニューヨーク・タイムズ)


4月

シャーロット交響楽団 - バッハ ヴァイオリン協奏曲 第二番 ホ長調

早いテンポの楽章におけるヴァイオリニストのアウグスティン・ハーデリッヒの演奏は、輝きとエネルギーに満ちあふれていた。
ハーデリッヒはまた、しなやか且つ鮮やかに『アダージョ』の旋律を歌い上げた。
深みのあるその音色には、微塵の甘ったるさも感じられなかった。
(シャーロット・オブザーバー)