残月録

残月がやがて消えていく間にも、私の日常生活の中に何か一瞬の輝きを求めて写真を撮っています.

白い鳥

2021-02-27 19:06:30 | 日記


えぇー、小噺を1つ。
昔々、雪深い山奥に、おじいさんとおばあさんが
住んでおりました。ある時おじいさんが薪を採りに行った
帰り道、どこからか奇妙な音がします。
おじいさんは急いで物音のするところへ行って
みました。そこには猟師の罠にかかった白い鳥
がもがいていたのです。不憫に思ったおじいさんは
白い鳥を逃してやりました。
ある晩のこと、トントンと戸を叩く音がします。
そこには白い着物を着た若い娘が立っていました。
おじいさんとおばあさん
は早速家の中へ入れてやり事情を聞きました。
「私はおじいさんに助けられた白い鳥です。
今日は恩返しに参りました。どうか部屋を貸してください。
そして絶対に見ないで下さい。」と言って部屋に閉じこもりました。
しかし誘惑に負けたおじいさんとおばあさんはそっと
覗いてみました。そうすると部屋の中は空っぽで
白い鳥も部屋の物も何もありません。
「どうしたもんじゃろな?」
おじいさんとおばあさんは思案にくれました。
白い鳥は鷺だったのです。
お後がよろしいようで。


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