そりゃおかしいゼ第二章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界の政治を問う

安倍政権のもとで、農家所得半減が進行している

2014年10月26日 | 食料自給
コメの価格が暴落している。安倍政権は、”攻める農業”と銘打って、農家所得を10年で倍にするなどと謳いあげた。農家所得倍増計画である。ところが、現在消費の現場で起きていることは、コメは一俵当り、1700~2500円も下っているのである。所得倍増どころか半減している現状である。世界的な穀物豊作が背景にある。日本のコメは消費の鈍化も大きい。
自民党は政権奪還後、民主党の進めていた、所得補償政策(直接支払交付金)を段階的に(4年後)消滅させる方針である。その一方で悪名高き生産調整をなくすというのである。農家所得は何の根拠もなく減少する仕組みになっている。それに加えての、今年のコメ価格の暴落である。
その裏には、大規模化と海外進出によって農家所得は増加するという、攻める農業の虚構の論理がある。
今回のコメ暴落を見ればわかるが、大型農家ほど被害は大きい。大型農家は高品質のコメ生産に取り組んでいない。暴落で直撃を受けている。さらに、設備投資や人件費や借入金など、外部資本への依存度が高く、家族農業などの農家が本来持っている耐える力がない。
安倍政権になって、一般の農家は大きな戸惑いを受けている。現状より大きなものを買えば補助金が出る。現状より規模拡大をすると補助の対象になる。共同経営にすると支援を受けることができるなど、経営方針や経営内容や経営効率など全くお構いなしに、兎に角「大きくすれば金を出す」政策に転じているのである。
おかげで農家は大助かり・・・と思いきや、儲かっているのは農機具屋や飼料やさんや農協ばかりである。周辺産業が潤うばかりが、”セメルノウギョウ”の実態である。昨年農機具屋さんの年末賞与は、例年の何倍も支払われた。飲み屋街は大いに潤ったようである。
農業に対する一般経済学者の単純分析は、相変わらず貧相である。規模拡大すれば農家は儲かるというのもそうであるが、コメ価格が下がれば消費が増大するとか、経営が拡大して一層競争力が増すという屁理屈である。そんなこと今まで起きたことはないし、これからも起きることはない。
食料は人が生きていくために欠かすことのできないものである。それでいて、消費量を3割も増やすこともできないし、3割も減らすこともできない。世界の11億人が飢餓線上にあり、12億人が肥満に喘ぐという、遍在する実態がある戦略物資である。
食料を生産する人たちを、恒常的に保護することは、政治家の取り組まなければならないことである。豊作の時も凶作の時もである。積極的平和主義が言葉として矛盾する軍国主義の実態であるのと同様に、攻める農業など存在しないのである。守る農業しかないのである。


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