そりゃおかしいゼ第二章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界の政治を問う

成熟した社会に過剰なインフレは不要である

2014年11月25日 | アベノミクス

とても興味ある表を見つけた。生活に必要な、食料、医療、衣服について「過去一年に十分なお金がないためにこれらのことができなかった」各国の達成の比率である。
飛びぬけて日本が低い。総じてヨーロッパ各国が低いが、日本ほどではない。世界の成長経済を担っている、中国では食料衣服はそれなりの調達をしてはいるが、医療は十分に国民の要求に応えていないことが判る。
メキシコやインドネシアが三部門とも高いのは理解できるが、韓国はどれも高く生活インフラが経済発展に追いついていないことが判る。ほぼ同様なのがアメリカである。これらの国は、社会インフラの整備が必要であろう。あるいは、格差社会の底辺層が深刻になっていることが推察される。
これは一つには日本が、高度成長を遂げてその主力部隊が高齢になっていることからも、この現実が解る。海外に行かれた経験のある方は、この表に納得するであろう。
この表は、日本が決して豊かな国であることを物語っているのではない。世界各国に比べて、格差がそれほど大きくないことや、特に医療の社会インフラが充実していることを物語っているのである。それにこの表にはないが、教育にも同じことが言える。教育の機会均等はどの国よりも日本は進んでいる。それに甘んじた子供たちが、登校拒否するなどとは贅沢の極みである。

この状況を、成長戦略を画策することで壊そうとするのがアベノミクスである。それはデフレ状況となることであるが、デフレの何処が悪い。少子高齢化社会では、デフレは自然現象と言える。働く人の絶対数も力もないからである。
ここに成長戦略なるものを持ち込むと、たちまち格差社会の出現となる。とりわけ医療と教育に競争を持ち込めば、一時安価になるかもしれないが、いずれ大きな反動を食らうことになる。
アベノミクスは、こうした社会インフラが安定状況にある国では破壊につながることになる。

円安は日本にプラスになる?

2014年11月01日 | アベノミクス
私は獣医師であって、経済学者ではない。経済のことは良く解らない、というよりも大嫌いである。社会動きを金銭評価するからである。その典型が、アベノミクスの第一の矢である。第一の矢は大胆な金融緩和策である。それが足らんかったのか、思ったような効果がなかったのか、昨日書いた”病的”金融緩和策である。
実体経済を見ることなく、インフレ率の数字をなんとしても2.0%にしたいのである。まず最初に市場がサプライズして、株高と円安を招いた。何もしないで大儲けした連中がいる。円安は今日も進行して、1ドル111円を超えた。
この円安を受けて黒田東彦(クロトン)は、「円安は日本全体ではプラスになる」と言ったのである。打ち合わせがなかったのか、安倍首相は同時刻に「円安は家計と中小企業ではデメリットが出ている」と発言している。トリクルダウンが起きてないこともとれる発言であるが、円安を歓迎していないととれる発言である。経団連の榊原会長も「これ以上の円安化好ましくない」と言っている。日銀総裁のクロトンのマネーゲームであるが、円安は日本にプラスになったのか?
貿易収支の赤字は今年十数兆円に上るようであるが、鳩山政権時代は10兆円もの黒字だったし、野田政権時代でも4兆位円の黒字であった。マネーゲームは失敗しているのである。日本のお金が流出しているのである。これが日本にプラスになるのか。
安倍首相はお嫌いなようであるが、対中国の収支は鳩山政権時代には、4兆円の黒字であったのであるが、1兆円もの赤字になっているのである。円安がもたらしたこうした結果が、日本にプラスになっているというのだろうか。
仕掛けられた円安で、原発停止を受けて石油や天然ガスを大量に買わなくてはならなくなったが、円安が大きな負担になっている。早く原発再稼働しなければ、貿易収支は悪化すると安倍政権国民を恫喝するが、実態は自らが作った円安に依拠するところが大きいのである。これも日本にプラスになっているというのであろうか?
アベノミクスで日経平均株価は倍近くも跳ね上がったのに、小売販売は138兆円からほとんど動いていない。物価が上がっていることを考慮すれば、消費動向は下がっているとみるべきなのである。なのに、円安は日本にプラスになっているのだろうか。
そもそも消費増税で経費は上がったのに、我々小規模業者はそれを農家に転嫁できないのが現状である。即ち消費税分を自らが負担して、国家に奉仕しているのである。一般国民は、円安によって生活必需品を主体とした物価上昇をまともに受けているのである。なのに、何が円安が国民にプラスになるというのであるか!


ここまで来た、日銀の病的金融緩和策

2014年10月31日 | アベノミクス
日銀は31日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和策を決めた。長期国債などの金融資産を市場から買い取って、年間60兆~70兆円としてきた資金供給量を3割も増やし、80兆円に増額するとした。消費増税で消費者物価の伸び率が鈍化しているのが理由である。日銀の金融政策を決める政策委員9人のうち4人が反対した。クロトン(黒田東彦総裁)以外は意見が相半ばし、同数ということであった。
前回が異次元の緩和策なら今回は、病的緩和策と言える。驚いた市場はすぐさま反応し、株価は上昇した。実体のない株価上昇は必ず反動が起きる。前回の異次元の緩和策の時にも同様に市場は反応したが、何しろ実体経済がついて行っていない。単なるサプライズ効果でしかない。そのことに気がついて、異次元はいつの間にか異次元でなくなった。そこ度今回又同じことをやる。市場にジャブジャブ金は出回るが、庶民には縁遠いところで回転するだけである。今回は病的金融緩和策と言える。一時的効果しかなく、覚せい剤のようなものでしかない。
日銀が行った緩和策は、アベノミクスの第一の矢である。第一の矢はマネーゲームである。輸出主体の大企業と株主が儲けたに過ぎない。そうした意味で、アベノミクスの第一の矢は成功しているとは言える。
しかし、実体経済を公共投資と成長戦略ので作り出すはずであったが、何一つとして成功していない。特に、大企業や都市の好景気が波及効果が一般国民にまで及ぶとしていた、トリクルダウンは起きていない。実質賃金は下がり、格差は拡大する一方である。
金融緩和策が誘導した円安で、日本の貿易赤字は膨大な数字になった。これまで日本をさえてきた輸出企業の海外移転で、円高は全く効果がなかったばかりか彼らも見捨てる結果になっているのである。
円安は庶民の必需品の燃料や食料価格を吊り上げる結果になっている。これに逆進性の強い消費税導入がさらに追い打ちをかける。さらに、金融政策で儲けた企業は、次の不景気に備えて企業内ストックを膨らませるだけとなっている。
アベノミクスの第2の矢の公共投資は、財政健全化に逆行するバブル時代の成長戦略である。不要な土木工事が頻繁に行われて、財政出動を穴埋めする税収など起きていない。安倍政権は行政改革を置き去りにし、官僚主導の増税と軍国化へと歩みを進める。
今回の日銀の金融緩和策は、実態を見極めることのない”病的”金融緩和策であると言える。