そりゃおかしいゼ第二章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界の政治を問う

大型酪農家ほど底力がない

2014年11月16日 | マイペース酪農
OCNのブログ閉鎖になってgooに移しましたが、これまでと異なって、酪農など農業や食糧に全く無関心で関係のない人たちが、多く閲覧されるようになったことに気が付いた。旧ブログで書いたことを再現したいと思う。

これは年一回行われるマイペース酪農年次交流会の資料である。放牧酪農主体の適正規模の家族経営の酪農家が、マイペース酪農の主体をなしている。
近頃になって、攻める農業と安倍政権が突如言い出して、農業の大型化の促進をやっている。生産性が高く、競争力があり、生産品を輸出するというのである。
規模拡大が、農業生産の基礎・基本を崩すことになり、外部資本の投入、輸入穀物の大量購入などで、決して経営的に優れた内容になっていないというのが、上の表である。
左の2列が、根釧地区のマイペース型農家で真ん中が交友のある道南の放牧農家である。搾乳する牛の頭数は、45頭と29頭である。右端は当地区の農協の平均で、83頭である。
出荷乳量は、それぞれ276トン、197トン、606トンである。同じ地区の両端農家の経営内容は、マイペースの頭数のほぼ倍で、出荷乳量は2.2倍で、概ね経営は2倍と見てよい。
乳代などの収入は、2982万円と6408万円で収入は倍以上あるにもかかわらず、農業所得は1306万円と1536万円となっている。ほとんど変わらないということである。
最も目につくのが、購入飼料の差である。マイペースの497万円に比べて、2134万円で4倍強である。購入飼料とは輸入穀物である。牛輸入穀物はほとんどがアメリカからで、主体はトウモロコシである。牛はほぼ倍量食べていることになる。
データーの取り方は同じではなく、農協の平均とはマイペース型の多分20%ほどの農家も加わっている数字であるる。細部では差異があるが農家の労働時間は、頭数以上に大型農家は多忙で、牛の病気も圧倒的に多くなる。
農家は気が休まる間がないのであるが、そうしたことも生活の一部となっていて、酪農家に負担になる部分は、この数字の中にはない。大型農家は、ただ多忙になるだけの毎日である。表にはないが、労働時間は倍となるうえ、労働の質は格段に高くなっている。家族と過ごす時間が多い小規模農家は、牛にも人のもやさしい飼養形態といえる。
穀物を家畜に大量に給与するのは、食糧問題の原因となっている。穀物の多給は、乳牛の疾病の直接的な原因になる。穀物の多給は、環境汚染の直接的な原因になる。
穀物の多給は大型化・多頭化・高泌乳化を意味することになり、外部資本への依存を高め、経営基盤が弱体化することになる。政府の唱える攻めの農業は持続力のない農業形態と言える。現実に大量の穀物給与をする農家は、円安と消費税それに電気代の高騰で大きなダメージを受けている。


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