先月のなかば。財布の中には千円札が二枚だけに。月末までの
二週間、食事をあきらめて煙草を吸うか、などと考えてみたが、
食べないわけにはいかないだろう。わずか二千円だけで二週間
を生きるということ自体、そうとうに厳しい事態なのだ。煙草
を買うお金などないはずである。
財布の中にお金がなかったのは、先月の月初めに、光熱費など
の支払いを間違えたからだ。いそいで支払う必要のない請求書
の分まで、よけいに振り込んでしまった。限りある収入の中で
やりくりをしている状況では、一万円単位での支払いのミスは、
家計に即座に影響をおよぼしてしまうことに。
ふだんの月なら三万円ほどの光熱費などの支払いなのに、先月
は五万円近くをコンビニで振り込んでいる。その違いにその時、
気がつかない私はどうかしている。若年性の認知症？ではない
のか。などと、今になって不安になったりも。
というわけで、先月の14日の朝から、私は煙草を一本も吸って
いない。三週間が過ぎた。今月一日にお金が入り、そこで煙草
のことを考えこんでしまった。吸いたくてたまらなかったのだ。
だが。これまで節煙を考えなければ日にふた箱は確実に吸って
いた私である。日に六百円だ。間違いなく月に一万八千円ほど
の煙草代になってしまう。実に無駄な出費である。
禁煙は、まだつづけられそうだ。やはり煙草は買わないことに。
吸わないことに。禁煙ができた日が一日ずつ増えてゆくことが
奇妙に楽しくもある。とりあえず、また一週間ほど我慢を。