blueな日々

( Art で逢いましょう)

ひさしぶりのSF?

2009年03月04日 | 読書メモ

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『川の書』『星の書』『存在の書』
 イアン・ワトスン・ 細美遥子 (翻訳) ・東京創元社・創元SF文庫(1994.3)
途方もなく巨大な一本の川が、世界を東西に分断して流れていた。人々にとって
川は唯一の交通路である。しかも川に出られるのは女だけ。だが対岸へ渡った者
は一人もいない。川の中心に横たわる黒き流れという謎の存在がすべてを阻んで
いるのだ。稀有壮大な物語の開幕。全宇宙を賭けたゴッドマインドの計画の全貌
とは。壮大なスケールと二転三転する展開する新しい神話世界。黒き流れ3部作。
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SF的ないくつかのアイデアをからませて、少女の成長とともに異世界が姿を現す。
面白く読めた。いい作品だと思う。バロック風な作品の構成ゆえ、語られる奇妙
な世界にひたることができれば、違和感を感じなければ、めくるめくイメージが、
読書の快楽を保証してくれるだろう。だが、究極の進化をとげたコンピュータの
末裔らしき存在。それはもはや人類には理解不能なものだと思うのだが、あまり
にも擬人化しすぎてはいないか。神は人間の発明ではあるが、神は人とコミニュ
ケーションを図ろうとするだろうか。たとえ神が人類を犠牲にして、宇宙の謎を
探るためであれ。そして死んでも何度も生き返る主人公。生命が使い捨てにされ
貴重なものでなくなる。そんな不満がすこしだけ。うらやましいのだが。

『プランク・ゼロ』『真空ダイヤグラム』
 スティーヴン・バクスター・古沢 嘉通/小野田和子他(翻訳)
  早川書店・ハヤカワ文庫SF(2002.12/2003.1)
恒星間宇宙へと進出した人類は豊饒にして冷徹なる時空の真実を知り、多種多様
な生命形態との遭遇をくり返してゆく。だがその前途には宇宙の黎明期から存在
する謎の超種属ジーリーとの興亡の歴史が待ち受けていた。人類は急速な拡張を
とげジーリーについに戦いをいどむのだが。時空の誕生から終末まで、数百億年
におよぶ壮大なスケールで描く未来史。フィリップ・K・ディック賞を受賞。
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数学や物理の記述が私には難解だ。本当のこと?ありえること?あるいはでたら
めなのか、わかるはずもない。連作短編のスタイルで。さまざまなエピソードで、
明らかにされる、この宇宙の仕組み。異星人との覇権争い。受容の限界を超える
時の流れ。紀元後4百万年の落ちぶれ囚われの人類。別の宇宙への脱出。旅立ち。
ハードでありながらも叙情にとむ描写。多くの世界と人間たちの世代。敵である
異星人でさえも魅力。同じシリーズの長編も複数翻訳されている。楽しみだ。




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