blueな日々

( Art で逢いましょう)

悪意もそこにある

2006年11月26日 | 読書メモ

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カルト~cultは、ラテン語のcolereから派生した宗教色
の強い文化活動を意味する言葉~儀式や崇拝から派生。
日本では以前は、主に排他的な宗教団体を否定・敵視
する「邪教」という言葉で呼ぶことが多かった。
           (Wikipediaより転載・編集)
カルトを追求すれば、もっと突っこんだ認識や議論や
定義が必要になるが、簡単にまとめれば上記のような。

………
『闇の楽園』 図書館を利用(文庫本)
著者:戸梶圭太  出版:新潮社 発行:2002.01

出版社の内容紹介:会社の仕事に力の入らない青年は、
町おこしのアイデア募集を見て「お化け屋敷のテーマ
パーク」を思いつく。応募すると見事に採用。だが町
では反対運動が起き、住民投票で決着をつける事態へ。
青年たちが、反対派の素性を探ると、謎の集団に行き
当たった。あるカルト教団が町に道場建設を目論んで
いたのだ。破天荒な犯罪をポップなノリで描く著者の
衝撃的デビュー作。新潮ミステリー倶楽部賞受賞作を
加筆・補強した決定版。

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………
この作家の『未確認家族』『自殺自由法』につづけて
読んだ~私には3作目の作品。古書店では、この作家
の『溺れる魚』という文庫本を昨日、買った。好きに
なった作家である。あくまでも軽い乗りでスピーディ
な内容~展開の読書が心地よい。適度な下品さもいい。

たぶんオウム真理教をモデルに~カルトの邪悪な拡散
と侵蝕の過程を背景に、ある地方都市でのドタバタ劇
を描いた700ページもの大作。さまざまにひとクセある
人物たちが入り乱れる~人によっては破滅であり再生
でもあるラストに向けて。いい感じの処女作である。

最初に読んだ『未確認家族』のように、多くの人間が
死ぬ~殺される作品なんだろうと思っていたが、今回、
そんなことはなかった。だが、現実のオウムのことが
絶えず私の頭の中にあったので、この物語でも、触手
をのばす彼らの悪意が、怖いことは怖い。

………
『そして粛正の扉を』 古書を購入(文庫本)
著者:黒武洋  出版:新潮社 発行:2005.01

出版社の内容紹介:卒業式を翌日に控えた高校で突如
として発生した学校ジャック事件。武器を手に生徒を
人質にとったのは、普段は目立たない中年の女性教諭
だった。彼女の周到に練られた計画と驚くべき戦闘力
によって、対峙した警視庁捜査課の精鋭さえもが翻弄
されることに。焦燥し混乱する警察、そして保護者を
前に、ひとりまたひとりと犠牲者が。第一回のホラー
サスペンス大賞を受賞した衝撃の問題作。

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………
娘の死をきっかけに、すべての束縛から開放?された
母親~中年の高校教師。復讐を果たすため世の矛盾を
告発するため、もはや現実を超えた意思と肉体で学校
を占拠する。ためらいなく人を殺す。いっぽう高校生
たちは~男女の差がなく、まるで犯罪集団の予備軍の
ごときありさまで~ワルそのものに描かれている。

あの『バトル・ロワイヤル』~読むつもりはないが~
を凌ぐ作品との声もある。よくもまあ大勢を殺すもの
である。いわゆる小母さんが変身して~納得できない
設定や背景ではない~社会や教育や家庭の本来のあり
ようを問題提起する。そして天誅である。ここまでの
殺戮は不可能だろうが、現実に、起こりえるかもしれ
ない事件であると思わせる。批判の多い作品らしいが、
私はひととおり完成された内容だと思う。ただ作者の
文体には違和感があった。漢字を使いすぎてもいるし。

拳銃の写真は、ロシア製のマカロフ~小型の自動拳銃。
日本にも多数が不正に持ち込まれ、犯罪に使用されて
いるらしい。この本に登場する高校教師もこの拳銃で
多くの人間を殺害する。麻薬と銃器は何としても水際
で侵入を阻止すべきなのだが…。もちろん日本だけが
無縁ではありえない、薬物と銃社会との恐怖である。


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